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後半戦
正式辞任
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ペナントレース後半戦を2日後に控えたこの日、Glanzの櫻井大翔監督は休養から正式に辞任の発表を行った。
会見には櫻井が出席し、辞任の経緯を報道陣に話した。
ヘッドコーチという立場から監督に昇格し、選手起用も今までとは一味違った采配をしようと空回りしているうちに、自分は監督には向いてないんじゃないかと悟り、辞任を決意したという。
残りのシーズンは財前助監督が指揮を執るが、来年以降は中田ヘッドコーチが昇格、もしくは外部からの招聘という予想だ。
そんなワケで、後半戦は財前が指揮を執る事となった。
「あぁ~あ、残りのペナントオレが采配しなきゃなんないのかよ~」
「ヒロトがまさかギブアップするとはなぁ」
ここはさいたま S Villageの監督室。
財前助監督と中田ヘッドコーチが残りのペナントをどう戦うか話し合っている。
「今日の先発は…冴島か」
「となると、今日はリリーフ陣が忙しくなりそうだな」
冴島は球数が多い。
7回までに110球を超えた事もあり、今シーズンはいまだ完投が0だ。
「フルカウントまでいくからな」
「マクダウェルみたいに打たせて取るピッチングを覚えてくれればいいんだが」
マクダウェルと冴島の1試合辺りの平均球数の差は18.7球。
「まぁ、それで勝てればいいんだけどな」
「で、打順はどうする?」
「う~ん…これでいいかな」
メンバー表に打順を書いた。
今日の対戦相手、京都スーパーフェニックスの先発は元チームメイトの北乃。
Glanzは現在4勝1敗、防御率3.84の冴島が先発。
スーパーフェニックスのスターティングオーダー
1ライト 刀根 32
2セカンド 兼本 12
3センター 姫野 3
4指名打者 フォスター 55
5ファースト 清武 8
6キャッチャー 丸藤 2
7レフト 足達 1
8ショート 鷹村 7
9サード 横川 25
ピッチャー 北乃 17
Glanzのスターティングオーダー
1ライト 中山 2
2センター 唐澤 1
3セカンド 森高 7
4サード 吉岡 33
5ファースト 徳川 23
6キャッチャー 毒島 6
7指名打者 武藤 5
8ショート 筧 24
9レフト 藤村 46
ピッチャー 冴島 16
「さぁて、本日もこの時間がやって参りました!」
「何がこの時間だ!単なる野球中継じゃねぇか!」
またこの実況が始まった。
「本日はさいたま S Villageから、SAITAMA Glanz対京都スーパーフェニックスの三連戦がスタートします!
解説はいつものように、さいたまテレビ専属解説者の玉井尻臭生さん、実況はワタクシ亀頭白之助が試合終了までお送りします!
玉井尻さん、今日もヨロシクお願いします!」
「おう、シクヨロ」
「さて、後半戦のスタートですが、SAITAMA Glanzは一昨日櫻井監督が正式に辞任を発表しました。
チームの士気に関わるかと思うんですが、その点はどうなんでしょうか?」
「財前が代わりに監督やるんだろ?」
「えぇ、残りのペナントは財前助監督が代行として指揮を執るとの事です」
「ふ~ん、まぁいいんじゃねぇの?今年は優勝出来ないだろうし」
さいたまテレビ局には抗議の電話が殺到した。
「三連戦の初戦、先発はスーパーフェニックスが6勝4敗の北乃、Glanzは4勝1敗の冴島です。
玉井尻さん、スーパーフェニックスは現在ネプチューンリーグ西地区の3位、対するGlanzはネプチューンリーグ東地区の4位。
両チームとも今ひとつな成績ですが、浮上のきっかけは何だと思いますか?」
「浮上?ンなもん、ひたすら練習するのみ!一にも練習、二も練習!三四が無くて、五に練習!ガッハッハッハッハッハッハ!」
テレビ局には、「あのバカな解説者をクビにしろ!」と苦情が殺到した。
「さて、今日の見どころですが…玉井尻さん、今日はどこに注目しましょうか?」
「注目ねぇ…強いて言うなら、北乃のピッチングかな」
「ほーほー、北乃のピッチングですか!」
「う~ん、北乃はナックルカーブとパームボールの精度が良くなってきただろ?ストレートも去年に比べて5km/h程速くなってるし、ピッチングの幅が広がってきたんじゃないかな」
もっともらしい事を言ってみる。
「ではGlanzの方はどうでしょうか?」
「ん~…冴島が先発か…コイツはミスターフルカウントだからな。
何せ、球が荒れて狙いを絞れないのがいいかもしれないけど、どうだろうなぁ」
「調子次第というワケでしょうか?」
「うん。
調子もなんだが、更にもう一つ上に行くにはピッチングを勉強しなきゃなんないだろうな」
的確な事を言ってるんだが、胡散臭い雰囲気を醸し出しているせいで嘘臭く感じる。
「さぁ、間もなくプレイボールです!
マウンド上に背番号16を付けた冴島が投球練習を終えて主審のコールを待っています」
【1回の表、京都スーパーフェニックスの攻撃は…1番ライト刀根。背番号32】
「スーパーフェニックスのリードオフマン刀根が左打席に入りました。
ここまでの成績は、打率.297 ホームラン7 打点37 盗塁は14ともうすぐ3割に届く数字です。
玉井尻さん、スーパーフェニックスはこの刀根の出塁率如何によって得点力が左右されると言っても過言ではないですよね?」
「そんなモン、どこのチームでも一緒だろ!
1番バッターが塁に出なきゃ点は取れないだろうが」
「…失礼いたしました。
玉井尻さんの仰る通り、1番バッターが塁に出て得点のチャンスが広がるものです」
んなワケで一旦CM!
会見には櫻井が出席し、辞任の経緯を報道陣に話した。
ヘッドコーチという立場から監督に昇格し、選手起用も今までとは一味違った采配をしようと空回りしているうちに、自分は監督には向いてないんじゃないかと悟り、辞任を決意したという。
残りのシーズンは財前助監督が指揮を執るが、来年以降は中田ヘッドコーチが昇格、もしくは外部からの招聘という予想だ。
そんなワケで、後半戦は財前が指揮を執る事となった。
「あぁ~あ、残りのペナントオレが采配しなきゃなんないのかよ~」
「ヒロトがまさかギブアップするとはなぁ」
ここはさいたま S Villageの監督室。
財前助監督と中田ヘッドコーチが残りのペナントをどう戦うか話し合っている。
「今日の先発は…冴島か」
「となると、今日はリリーフ陣が忙しくなりそうだな」
冴島は球数が多い。
7回までに110球を超えた事もあり、今シーズンはいまだ完投が0だ。
「フルカウントまでいくからな」
「マクダウェルみたいに打たせて取るピッチングを覚えてくれればいいんだが」
マクダウェルと冴島の1試合辺りの平均球数の差は18.7球。
「まぁ、それで勝てればいいんだけどな」
「で、打順はどうする?」
「う~ん…これでいいかな」
メンバー表に打順を書いた。
今日の対戦相手、京都スーパーフェニックスの先発は元チームメイトの北乃。
Glanzは現在4勝1敗、防御率3.84の冴島が先発。
スーパーフェニックスのスターティングオーダー
1ライト 刀根 32
2セカンド 兼本 12
3センター 姫野 3
4指名打者 フォスター 55
5ファースト 清武 8
6キャッチャー 丸藤 2
7レフト 足達 1
8ショート 鷹村 7
9サード 横川 25
ピッチャー 北乃 17
Glanzのスターティングオーダー
1ライト 中山 2
2センター 唐澤 1
3セカンド 森高 7
4サード 吉岡 33
5ファースト 徳川 23
6キャッチャー 毒島 6
7指名打者 武藤 5
8ショート 筧 24
9レフト 藤村 46
ピッチャー 冴島 16
「さぁて、本日もこの時間がやって参りました!」
「何がこの時間だ!単なる野球中継じゃねぇか!」
またこの実況が始まった。
「本日はさいたま S Villageから、SAITAMA Glanz対京都スーパーフェニックスの三連戦がスタートします!
解説はいつものように、さいたまテレビ専属解説者の玉井尻臭生さん、実況はワタクシ亀頭白之助が試合終了までお送りします!
玉井尻さん、今日もヨロシクお願いします!」
「おう、シクヨロ」
「さて、後半戦のスタートですが、SAITAMA Glanzは一昨日櫻井監督が正式に辞任を発表しました。
チームの士気に関わるかと思うんですが、その点はどうなんでしょうか?」
「財前が代わりに監督やるんだろ?」
「えぇ、残りのペナントは財前助監督が代行として指揮を執るとの事です」
「ふ~ん、まぁいいんじゃねぇの?今年は優勝出来ないだろうし」
さいたまテレビ局には抗議の電話が殺到した。
「三連戦の初戦、先発はスーパーフェニックスが6勝4敗の北乃、Glanzは4勝1敗の冴島です。
玉井尻さん、スーパーフェニックスは現在ネプチューンリーグ西地区の3位、対するGlanzはネプチューンリーグ東地区の4位。
両チームとも今ひとつな成績ですが、浮上のきっかけは何だと思いますか?」
「浮上?ンなもん、ひたすら練習するのみ!一にも練習、二も練習!三四が無くて、五に練習!ガッハッハッハッハッハッハ!」
テレビ局には、「あのバカな解説者をクビにしろ!」と苦情が殺到した。
「さて、今日の見どころですが…玉井尻さん、今日はどこに注目しましょうか?」
「注目ねぇ…強いて言うなら、北乃のピッチングかな」
「ほーほー、北乃のピッチングですか!」
「う~ん、北乃はナックルカーブとパームボールの精度が良くなってきただろ?ストレートも去年に比べて5km/h程速くなってるし、ピッチングの幅が広がってきたんじゃないかな」
もっともらしい事を言ってみる。
「ではGlanzの方はどうでしょうか?」
「ん~…冴島が先発か…コイツはミスターフルカウントだからな。
何せ、球が荒れて狙いを絞れないのがいいかもしれないけど、どうだろうなぁ」
「調子次第というワケでしょうか?」
「うん。
調子もなんだが、更にもう一つ上に行くにはピッチングを勉強しなきゃなんないだろうな」
的確な事を言ってるんだが、胡散臭い雰囲気を醸し出しているせいで嘘臭く感じる。
「さぁ、間もなくプレイボールです!
マウンド上に背番号16を付けた冴島が投球練習を終えて主審のコールを待っています」
【1回の表、京都スーパーフェニックスの攻撃は…1番ライト刀根。背番号32】
「スーパーフェニックスのリードオフマン刀根が左打席に入りました。
ここまでの成績は、打率.297 ホームラン7 打点37 盗塁は14ともうすぐ3割に届く数字です。
玉井尻さん、スーパーフェニックスはこの刀根の出塁率如何によって得点力が左右されると言っても過言ではないですよね?」
「そんなモン、どこのチームでも一緒だろ!
1番バッターが塁に出なきゃ点は取れないだろうが」
「…失礼いたしました。
玉井尻さんの仰る通り、1番バッターが塁に出て得点のチャンスが広がるものです」
んなワケで一旦CM!
応援ありがとうございます!
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