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お泊まり女子会と朝の嫉妬 *
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魔王アルフレッドに誘拐され、フロストと互いの執着を確認し合うように交わり……その後、ミーナとお泊まり会を家でしたいと伝え「何考えてんだ」とお仕置で追加の一回をされた。
その後も、何度かミーナお泊まり会案件を伝え、その度に突っぱねられた。
しかし、現在の状況はアルフレッドには居場所が知られているが、各国の追っ手の姿はまだ見えない。
ただ、ティアブール国とオッズライルが隣接しているモルタール王国の辺境といえど情報が無いわけではない。モルタール王国は中立だが、様子を見て牽制しあっている……そんなところのようだ。今はこちらも各国の出方を伺おうというところで話は落ち着いた。
現状維持であること、そして、初めての友人なのだと説得し、フロストは初めての恋人だから自慢したいと何度も伝え、そのかいがあってミーナは今日泊まりに来ることになっている。
「ふんふ~ん」
「ご機嫌だな」
鼻歌交じりにソファーから外を見ていると、つまらなそうなフロストが隣に座る。腰に回された手を解きながら、敢えて微笑みを浮かべた。
「だって! お泊まり、いえ、そもそも友達なんて初めてなんだもの! 楽しみに決まってます」
「俺だけで良くないか?」
「フロストは友達じゃないと伝えましたよね?」
「友達も恋人とも全部兼任してやる」
さすがの発言に目を瞬かせ、膨れたフロストの頬にキスをする。
「ダメです。あなたは私の大切な人で、その恋人……恋人よね?」
愛してるとか好きだとか何度も伝え、身体も重ねて中に精を出されているが、言葉で関係を確認することはしてこなかった。
当たり前のように恋人だからと言っていたが、共に過ごすなら……これからは関係をハッキリした方が良いのかもしれない。
「は? 恋人じゃないのか??」
……これは、私の勘違いだったようだ。フロストの中ではもうとっくに はっきりと 恋人だったのだろう。
「もちろん、恋人よ」
「いや、今、迷っただろ? 伝わってないのか?」
今にも襲い掛かりそうなフロストを止めて 伝わってます と何度も口にすると渋々離れてこちらを恨めしそうに見ていた。整った顔のパーツがその表情で崩れているように見えるが、それでもフロストの美貌は溢れ出ている。
「あの、その、恋人からいつか家族になれるかしら?」
現在のティアブール王国の王は血の繋がった父親ではあるけれど、報告のために顔を見るだけで名前を呼ばれた記憶はない。
母も姉も亡くしている今は、天涯孤独といって遜色ないだろう。それはフロストも同じだ。互いに家族がいないなら、互いを家族と思えるようになれたら良いのに。最近はそんなことをよく考えている。
「……家族、か」
こればかりは一人でどうにかなる問題ではない。そっとフロストの頭を引き寄せ、そのてっぺんにキスを落とす。
「いつか、そうなってもいいと思ったら教えて下さい」
「――あぁ」
その後、ミーナが来るまでの短い時間を無言で手を繋いで過ごした。
ミーナは仕事帰りにやってきた。
三人で食事をし、フロストをからかい笑い転げるミーナを見ていると自然と笑顔がこぼれた。
そして、夜。
フロストはリビングのソファーで寝てくれるというので、ミーナと二人でベッドに寝転ぶ。
「ふふーん、ここがフロストとマリアの愛の巣かぁ!!」
「ちょっ、何言って!!」
「あはは! ごめんごめん!」
シーツも枕も全て洗ったばかりのものだ。……変な匂いはしていないと思う。
「ほーんと、フロストってマリアのこと大好きだよね。最初の頃は街の女の子達も色めき立ってたけど、今やフロストじゃなくてフロストみたいな一途な男を探そうって話でもちきりだよ」
「そうなの? でも、まだフロストを見る視線は」
「いやいや、最近のあんたら二人を見てる女の子達はどっちかっていえばマリアを見てるんだよ?? 気付いてないの??」
そんなはずがない。フロストと私ならば、恋愛感情が無くともフロストの美貌を眺めていた方が心が潤うに決まっている。
首を傾げていると、頭をポンポンと撫でられた。
「そのままのマリアでいてね」
「なんですか、それ」
「女の子達は本当はマリアと仲良くなりたいの。この綺麗な黒髪も、白くてツヤツヤの肌も潤む瞳も、ぜーんぶ理由が知りたい。でもね、鉄壁冷徹フロストが常に隣にいる上に、前にフロストを恋愛目線で見ていた後ろめたさがあって声をかけられないってわけ。正直、フロストと私がいなければ、あっという間にマリアには若い女がアリのように群がるでしょうね」
「ふふっ、そんなことあるわけないじゃないですか」
それが真実でなかったとしても、もしそうであれば友人が増えるかしらと思案する。それだけでとても楽しい気分になれた。
「……ねぇ、マリア。答えたくなかったら話さなくていいんだけど、聞いてもいい?」
ふと、真剣な声色でミーナが呟いた。
答えられることは少ないだろうけれど、全てを突っぱねるようなことはしたくなくて、もちろんと答える。
「マリアとフロストはモルタール王国の人じゃないよね?」
「……ええ」
「犯罪者?」
「違ッ――いえ、そんな感じかもしれないですね」
戦争でのことは、仕事だったとして……タルタロスからの脱獄は、致し方なかったとしても犯罪になるのだろうか。
国に戻らず、勝手に国境を越え、さらには勝手にこの空き家に住んでいるので……犯罪といえば犯罪だ。
答えにどもっているとミーナはその先を促そうとはせず、わざとらしく ふーん と声を出した。
「そっかぁ。最初はさ、フロストが街に来たときにマリア用の平民の服を買わせろって言ってきたから、どっかから駆け落ちした貴族様だと思ったの。でもなーんか違うなーって」
怖くなってしまっただろうか。友人関係を悔やんでしまっただろうか。初めての友人に嫌われるのは辛いけれど、隠し事が多いのは事実で言い訳ができない。
「でもまぁ、私にとってはこれからもただの友人のマリアだし、ただの目の保養のフロストなんだけどね」
「!? あ、ありがとうございます!!」
「ははっ! お礼するところじゃないよ。当たり前だよ。じゃぁ、私の秘密も教えてあげるね」
どんな秘密なのかと唾を飲む。その緊張がミーナにも伝わったらしく、声を潜めて教えてくれた。
「私ね、逃げ出してきたの。だから今は逃走者」
「逃走……どこから? 何をして?」
「うーん、モルタール王国の首都から。脱走中。私達、似たもの同士かもね!」
クヒヒッとイタズラが成功したように笑い、毛布の中で手を握られた。
「ねぇ、マリア。私はマリアがどんな子であっても友達だから。マリアも私と友達でいてくれない?」
「もちろん! 何があっても友達です!」
その手をギュッと握り返し、涙が溢れそうで上擦った声で返事をした。
「ほら、泣かない泣かない。何かあったらこのミーナ様に頼りなさい! 大体のことは解決できるから!!」
突然、お姉さん風を吹かせるミーナに思わず吹き出し二人で笑い合う。そしてひとしきり笑い終えて、一息ついた。
「あの、ところで……」
「ん? どうしたの、マリア」
「フロストは友人じゃないんですか?」
「……………………あれは、目の保養だけでいいや」
「んふっ!!」
「あ、笑ったなー!!」
「だって、ミーナが!!」
夜が更けるまで、まるで姉妹のように話をし、手を繋いだまま眠りについたのだった。
翌朝、ミーナは朝食後に仕事場のある街へ戻っていった。
充実した時間を過ごせて、心までホクホクと暖かい。そんな気分で食器を片していると、後ろからフロストに抱き締められた。
「どうしました?」
「笑ってた」
「え?」
「ミーナとずっと笑ってた」
昨晩のことに違いないが、まさか起きていたのだろうか。
「俺のなのに」
「たった一晩ですよ? それに、友人で姉みたいな感じです」
ムッスリと眉間に皺を寄せたフロストは、はぁーと大きな溜息を吐き、手にしていた食器を奪われた。
「あの、フロスト」
「ベッドに行く」
「え? いや、朝です!!」
ジットリと睨まれ、これは従った方が良さそうだと本能で感じとる。
手を引かれるままベッドルームへ向かい、先程まで寝ていたそこに腰掛けた。目の前に立ったフロストが上半身を屈ませ、唇を奪われる。
一応もう一度、まだ朝だからと抵抗してみるが あいつのせいでマリア不足だ と呟かれ、抵抗はあっさりと弾かれてしまった。
舌を差し込まれ、上からトロトロとフロストの唾液が流れ込む。それを飲み下しながら激しいキスに応えているが、溢れた唾液が顎を伝う。
「んッ、はぁ、フロスト」
「……マリア」
唇を離し、ゴロリとフロストがベッドに寝転がる。簡単なシャツとズボン姿で寝転んだだけなのに、無駄にかっこいい。
「はい。脱がせて」
「え?」
「脱がせて欲しい」
なんという甘えだ。しかし、それを嫌だとは思えず、あっさりと従いシャツのボタンを外す。鍛えられた肉体が顔を覗かせ、無駄な肉の付いていない身体に思わずウットリと微笑んだ。
「はい。次はズボンも」
「そ、それは」
「触ってとは言わないから、脱がせて」
うぅと唸り声を上げつつ、ベルトを外しボタンを外し……フロストが腰を浮かせたのでそれを引き抜いた。
下着一枚のフロストの股間は、既に大きく膨らんでいるように見える。
「下着も」
言われるままに下着も引き抜くと、まだ緩く勃っているだけにもかかわらず、先走りでテラテラと光る赤黒く凶暴な肉の塊がブルリと飛び出てきた。
思わず喉を鳴らすと、フロストがスカートの中に手を差し込んできた。そして同じように下着を引き抜かれ、膝丈の白いワンピースは心もとない防御になってしまう。
胸には辛うじて緩いインナーも付けているが、それも取ろうと思えばすぐ外されてしまうだろう。
「さ、マリア。跨いで」
「ど、こに?」
「もちろん。ペニスの上」
「――ッ」
言われて改めてフロストの肉棒を見る。先程よりも大きくなっているのは気のせいだろうか。
――こんなに大きなのが私の中に、本当に入っていたのかしら??
あまりの大きさに、全て夢だったのではとすら思う。
しかし猛々しいその肉棒を見ただけで、柔壁が動きだし、奥がキュンと動くのを感じた。身体は確実に過去のいくつもの行為を思い出し、欲の熱が溢れてくる。
胸を高鳴らせながら、ゆっくりとフロストのに跨がる。
寝転がるフロストの身体に沿うように肉棒は反り勃っているので、中に入ることはないけれど蜜口と竿の部分が擦れてしまう。
「あッ」
「乗っただけで感じた? いいね。俺も気持ちいよ」
本当に? 乗っているだけでも心地良いの? と目で問いかけると、フロストはふっと笑みを浮かべ、腰に手を添えてきた。
「本当に凄くイイ。でも、もっと欲しいかな。こんな感じで」
添えてた手に力が入り、前後に腰が動かされる。すると少しだけ前屈みになってしまい、期待だけで膨れて敏感になってしまった陰核が熱に押し付けられた。
「んッアァツ!!」
「そんなに良かった? じゃあ今度はマリアが自分でシてみようか」
「え、じ、自分で?」
「そう。自分で自分が一番気持ち良くなれる場所を一生懸命に擦ってごらん」
ぐっと胸が痛み……いや、経験したことのない恥ずかしさに押し潰されそうになっている。
今まで快楽は全てはフロストから与えられていた。それを自ら求めるように動くのは……。女性として淑女としてあるまじき行動ではないのだろうか。
今更、淑女でも何でも無いのだけれど。
「すご。そんなに良かった?」
「え?」
「ん? 腰、動いてるよ。え? もしかて無意識? はぁー? エッチすぎるだろ」
混乱する頭のまま、冷静に下半身を見る。すると、はしたなく腰が揺らめきフロストの肉棒に蜜口を擦り合わせていた。
腰の動きで見え隠れするフロストの亀頭は、しっとりとして鈍い光を放っている。それが先走りだけではなく、絶え間なく溢れ出している愛液が混ざっていることは間違いない。
恥ずかしいのに、その光景があまりに淫美で目が離せない。
「フロスト、わたし、わたし」
「大丈夫。どんなにエッチに乱れて、淫乱で恥ずかしいことになっても、俺はマリアを愛してるから」
そう言われ、安心感を手に入れてしまい、グッと腰を強く落とす。
良いなら、もっと熱を感じたい。
前後にゆらゆらと腰を動かし、蜜口で熱と浮いた血管の凹凸を感じつつ、愛液を塗りこんでいく。
もっと良くなりたい。もっとフロストに良くなって欲しい。
敏感になり過ぎて避けていた陰核に熱棒が触れるように、腰を動かす。勃ちあがった陰核はコリコリと硬いものに触れ、下半身にジワジワと熱を広げていった。
しかし、夢中で腰を動かしていても、すぐにそれだけでは足りなくなる。身体はもっと、とてつもなく良い快楽を知っているからだ。
「フロスト……」
そんなこちらの心の内など見透かしているように、フロストは いいよ、腰浮かして と返事をくれる。
素直に腰を浮かせて、退こうとするが手を捕まれて動きを止めた。
「どうしたの?」
「違うぞ、マリアが挿れるんだ」
「それは――」
「できるよ。ほら、俺がペニス持っとくから、ゆっくり腰を落として」
中に誘いやすいようにフロストは自らの肉棒を立てるように支え、亀頭を蜜口に擦る。トロリとまた蜜が溢れ、それを丹念に塗り付けられた。
「い、痛いかも」
「痛かったら止まっていい」
「動けないと思うけど……」
「大丈夫」
何が大丈夫なのか分からないけれど、ゴクリと唾を飲み込み、言われるままに腰を落とし始める。
たっぷりと濡れた蜜口はブジュッと鈍い音を立てたが、すんなりと張り出した亀頭の太い部分を受け入れてしまった。その後はもう、腰が落ちるままに肉棒が柔壁を押し広げ、確実に中を刺激しながら埋まっていく。
その充足感に、思わず恍惚とした吐息を漏らしてしまった。
「ハ、あぁッ」
「良さそうだな」
小さく頷くと、フロストは安心したように笑顔をみせてくれた。
さらに奥へ誘い込むように腰を落とし、今度はゆっくりと引き抜いていく。その時に柔壁は抜けて欲しくないと抵抗するように締め付け、フロストのカリ首も抜けてたまるかと言わんばかりに引っかかる。
その堪らない快楽を自分から得ているのだと思うと、非常に興奮した。
何度も何度も腰を動かし、どこが良いかを探していく。柔壁を撫でるように亀頭を押し付けても良いし、奥まで飲み込み締めて熱を感じるのも良い。
知らない、知ることもなかった自身を知れたようで嬉しくなってしまった。
ふと、私ばかり良くなってもとフロストを見下ろす。
「――!!」
美しく、いつも余裕そうで、でも子供っぽさもあったフロスト。その彼が今、眉間に皺を寄せだらしなく口を開いて浅い呼吸を繰り返している。
苦しいのかと思ったけれど、そうではないようだ。
(ある意味、苦しいのね)
気持ち良くて堪らない。苦しいけれど、その心地良さをいつまでも感じていたい。そういうことだろう。
いつも感じている感覚を、今は与える側にいる優越感。それに思わずうっとりと目を閉じた。
「余裕そうですね、お姫様」
「アンッ! ぅ、ン!? フロスト!?」
グンと自身の腰とは違う動きを感じ、瞼を開く。すると、苦しい獣は意地悪そうに目を細めている。
「そんなに余裕なら、手加減は不要だな」
肉棒に突き上げられ浮いた腰は、落ちた瞬間にフロストにぶつかり酷い水音を立てた。
「だ、めぇ! それ、奥、おく入るゥ!!」
止まらない腰に何度も絶頂の寸前が見えた。
「ァ、くぅ……締めすぎだって」
「締め、て、なァ! イクッ、イク、らめ、フロスト、本当、ァァァア!!」
「クッソ、絞るな! ――クッうぅ」
絞ってないという言葉の代わりに高い嬌声と共に絶頂を迎え、フロストの熱い飛沫を最奥に感じ、亀頭でグリグリとその白濁を中に塗り込まれていった。
その後も、何度かミーナお泊まり会案件を伝え、その度に突っぱねられた。
しかし、現在の状況はアルフレッドには居場所が知られているが、各国の追っ手の姿はまだ見えない。
ただ、ティアブール国とオッズライルが隣接しているモルタール王国の辺境といえど情報が無いわけではない。モルタール王国は中立だが、様子を見て牽制しあっている……そんなところのようだ。今はこちらも各国の出方を伺おうというところで話は落ち着いた。
現状維持であること、そして、初めての友人なのだと説得し、フロストは初めての恋人だから自慢したいと何度も伝え、そのかいがあってミーナは今日泊まりに来ることになっている。
「ふんふ~ん」
「ご機嫌だな」
鼻歌交じりにソファーから外を見ていると、つまらなそうなフロストが隣に座る。腰に回された手を解きながら、敢えて微笑みを浮かべた。
「だって! お泊まり、いえ、そもそも友達なんて初めてなんだもの! 楽しみに決まってます」
「俺だけで良くないか?」
「フロストは友達じゃないと伝えましたよね?」
「友達も恋人とも全部兼任してやる」
さすがの発言に目を瞬かせ、膨れたフロストの頬にキスをする。
「ダメです。あなたは私の大切な人で、その恋人……恋人よね?」
愛してるとか好きだとか何度も伝え、身体も重ねて中に精を出されているが、言葉で関係を確認することはしてこなかった。
当たり前のように恋人だからと言っていたが、共に過ごすなら……これからは関係をハッキリした方が良いのかもしれない。
「は? 恋人じゃないのか??」
……これは、私の勘違いだったようだ。フロストの中ではもうとっくに はっきりと 恋人だったのだろう。
「もちろん、恋人よ」
「いや、今、迷っただろ? 伝わってないのか?」
今にも襲い掛かりそうなフロストを止めて 伝わってます と何度も口にすると渋々離れてこちらを恨めしそうに見ていた。整った顔のパーツがその表情で崩れているように見えるが、それでもフロストの美貌は溢れ出ている。
「あの、その、恋人からいつか家族になれるかしら?」
現在のティアブール王国の王は血の繋がった父親ではあるけれど、報告のために顔を見るだけで名前を呼ばれた記憶はない。
母も姉も亡くしている今は、天涯孤独といって遜色ないだろう。それはフロストも同じだ。互いに家族がいないなら、互いを家族と思えるようになれたら良いのに。最近はそんなことをよく考えている。
「……家族、か」
こればかりは一人でどうにかなる問題ではない。そっとフロストの頭を引き寄せ、そのてっぺんにキスを落とす。
「いつか、そうなってもいいと思ったら教えて下さい」
「――あぁ」
その後、ミーナが来るまでの短い時間を無言で手を繋いで過ごした。
ミーナは仕事帰りにやってきた。
三人で食事をし、フロストをからかい笑い転げるミーナを見ていると自然と笑顔がこぼれた。
そして、夜。
フロストはリビングのソファーで寝てくれるというので、ミーナと二人でベッドに寝転ぶ。
「ふふーん、ここがフロストとマリアの愛の巣かぁ!!」
「ちょっ、何言って!!」
「あはは! ごめんごめん!」
シーツも枕も全て洗ったばかりのものだ。……変な匂いはしていないと思う。
「ほーんと、フロストってマリアのこと大好きだよね。最初の頃は街の女の子達も色めき立ってたけど、今やフロストじゃなくてフロストみたいな一途な男を探そうって話でもちきりだよ」
「そうなの? でも、まだフロストを見る視線は」
「いやいや、最近のあんたら二人を見てる女の子達はどっちかっていえばマリアを見てるんだよ?? 気付いてないの??」
そんなはずがない。フロストと私ならば、恋愛感情が無くともフロストの美貌を眺めていた方が心が潤うに決まっている。
首を傾げていると、頭をポンポンと撫でられた。
「そのままのマリアでいてね」
「なんですか、それ」
「女の子達は本当はマリアと仲良くなりたいの。この綺麗な黒髪も、白くてツヤツヤの肌も潤む瞳も、ぜーんぶ理由が知りたい。でもね、鉄壁冷徹フロストが常に隣にいる上に、前にフロストを恋愛目線で見ていた後ろめたさがあって声をかけられないってわけ。正直、フロストと私がいなければ、あっという間にマリアには若い女がアリのように群がるでしょうね」
「ふふっ、そんなことあるわけないじゃないですか」
それが真実でなかったとしても、もしそうであれば友人が増えるかしらと思案する。それだけでとても楽しい気分になれた。
「……ねぇ、マリア。答えたくなかったら話さなくていいんだけど、聞いてもいい?」
ふと、真剣な声色でミーナが呟いた。
答えられることは少ないだろうけれど、全てを突っぱねるようなことはしたくなくて、もちろんと答える。
「マリアとフロストはモルタール王国の人じゃないよね?」
「……ええ」
「犯罪者?」
「違ッ――いえ、そんな感じかもしれないですね」
戦争でのことは、仕事だったとして……タルタロスからの脱獄は、致し方なかったとしても犯罪になるのだろうか。
国に戻らず、勝手に国境を越え、さらには勝手にこの空き家に住んでいるので……犯罪といえば犯罪だ。
答えにどもっているとミーナはその先を促そうとはせず、わざとらしく ふーん と声を出した。
「そっかぁ。最初はさ、フロストが街に来たときにマリア用の平民の服を買わせろって言ってきたから、どっかから駆け落ちした貴族様だと思ったの。でもなーんか違うなーって」
怖くなってしまっただろうか。友人関係を悔やんでしまっただろうか。初めての友人に嫌われるのは辛いけれど、隠し事が多いのは事実で言い訳ができない。
「でもまぁ、私にとってはこれからもただの友人のマリアだし、ただの目の保養のフロストなんだけどね」
「!? あ、ありがとうございます!!」
「ははっ! お礼するところじゃないよ。当たり前だよ。じゃぁ、私の秘密も教えてあげるね」
どんな秘密なのかと唾を飲む。その緊張がミーナにも伝わったらしく、声を潜めて教えてくれた。
「私ね、逃げ出してきたの。だから今は逃走者」
「逃走……どこから? 何をして?」
「うーん、モルタール王国の首都から。脱走中。私達、似たもの同士かもね!」
クヒヒッとイタズラが成功したように笑い、毛布の中で手を握られた。
「ねぇ、マリア。私はマリアがどんな子であっても友達だから。マリアも私と友達でいてくれない?」
「もちろん! 何があっても友達です!」
その手をギュッと握り返し、涙が溢れそうで上擦った声で返事をした。
「ほら、泣かない泣かない。何かあったらこのミーナ様に頼りなさい! 大体のことは解決できるから!!」
突然、お姉さん風を吹かせるミーナに思わず吹き出し二人で笑い合う。そしてひとしきり笑い終えて、一息ついた。
「あの、ところで……」
「ん? どうしたの、マリア」
「フロストは友人じゃないんですか?」
「……………………あれは、目の保養だけでいいや」
「んふっ!!」
「あ、笑ったなー!!」
「だって、ミーナが!!」
夜が更けるまで、まるで姉妹のように話をし、手を繋いだまま眠りについたのだった。
翌朝、ミーナは朝食後に仕事場のある街へ戻っていった。
充実した時間を過ごせて、心までホクホクと暖かい。そんな気分で食器を片していると、後ろからフロストに抱き締められた。
「どうしました?」
「笑ってた」
「え?」
「ミーナとずっと笑ってた」
昨晩のことに違いないが、まさか起きていたのだろうか。
「俺のなのに」
「たった一晩ですよ? それに、友人で姉みたいな感じです」
ムッスリと眉間に皺を寄せたフロストは、はぁーと大きな溜息を吐き、手にしていた食器を奪われた。
「あの、フロスト」
「ベッドに行く」
「え? いや、朝です!!」
ジットリと睨まれ、これは従った方が良さそうだと本能で感じとる。
手を引かれるままベッドルームへ向かい、先程まで寝ていたそこに腰掛けた。目の前に立ったフロストが上半身を屈ませ、唇を奪われる。
一応もう一度、まだ朝だからと抵抗してみるが あいつのせいでマリア不足だ と呟かれ、抵抗はあっさりと弾かれてしまった。
舌を差し込まれ、上からトロトロとフロストの唾液が流れ込む。それを飲み下しながら激しいキスに応えているが、溢れた唾液が顎を伝う。
「んッ、はぁ、フロスト」
「……マリア」
唇を離し、ゴロリとフロストがベッドに寝転がる。簡単なシャツとズボン姿で寝転んだだけなのに、無駄にかっこいい。
「はい。脱がせて」
「え?」
「脱がせて欲しい」
なんという甘えだ。しかし、それを嫌だとは思えず、あっさりと従いシャツのボタンを外す。鍛えられた肉体が顔を覗かせ、無駄な肉の付いていない身体に思わずウットリと微笑んだ。
「はい。次はズボンも」
「そ、それは」
「触ってとは言わないから、脱がせて」
うぅと唸り声を上げつつ、ベルトを外しボタンを外し……フロストが腰を浮かせたのでそれを引き抜いた。
下着一枚のフロストの股間は、既に大きく膨らんでいるように見える。
「下着も」
言われるままに下着も引き抜くと、まだ緩く勃っているだけにもかかわらず、先走りでテラテラと光る赤黒く凶暴な肉の塊がブルリと飛び出てきた。
思わず喉を鳴らすと、フロストがスカートの中に手を差し込んできた。そして同じように下着を引き抜かれ、膝丈の白いワンピースは心もとない防御になってしまう。
胸には辛うじて緩いインナーも付けているが、それも取ろうと思えばすぐ外されてしまうだろう。
「さ、マリア。跨いで」
「ど、こに?」
「もちろん。ペニスの上」
「――ッ」
言われて改めてフロストの肉棒を見る。先程よりも大きくなっているのは気のせいだろうか。
――こんなに大きなのが私の中に、本当に入っていたのかしら??
あまりの大きさに、全て夢だったのではとすら思う。
しかし猛々しいその肉棒を見ただけで、柔壁が動きだし、奥がキュンと動くのを感じた。身体は確実に過去のいくつもの行為を思い出し、欲の熱が溢れてくる。
胸を高鳴らせながら、ゆっくりとフロストのに跨がる。
寝転がるフロストの身体に沿うように肉棒は反り勃っているので、中に入ることはないけれど蜜口と竿の部分が擦れてしまう。
「あッ」
「乗っただけで感じた? いいね。俺も気持ちいよ」
本当に? 乗っているだけでも心地良いの? と目で問いかけると、フロストはふっと笑みを浮かべ、腰に手を添えてきた。
「本当に凄くイイ。でも、もっと欲しいかな。こんな感じで」
添えてた手に力が入り、前後に腰が動かされる。すると少しだけ前屈みになってしまい、期待だけで膨れて敏感になってしまった陰核が熱に押し付けられた。
「んッアァツ!!」
「そんなに良かった? じゃあ今度はマリアが自分でシてみようか」
「え、じ、自分で?」
「そう。自分で自分が一番気持ち良くなれる場所を一生懸命に擦ってごらん」
ぐっと胸が痛み……いや、経験したことのない恥ずかしさに押し潰されそうになっている。
今まで快楽は全てはフロストから与えられていた。それを自ら求めるように動くのは……。女性として淑女としてあるまじき行動ではないのだろうか。
今更、淑女でも何でも無いのだけれど。
「すご。そんなに良かった?」
「え?」
「ん? 腰、動いてるよ。え? もしかて無意識? はぁー? エッチすぎるだろ」
混乱する頭のまま、冷静に下半身を見る。すると、はしたなく腰が揺らめきフロストの肉棒に蜜口を擦り合わせていた。
腰の動きで見え隠れするフロストの亀頭は、しっとりとして鈍い光を放っている。それが先走りだけではなく、絶え間なく溢れ出している愛液が混ざっていることは間違いない。
恥ずかしいのに、その光景があまりに淫美で目が離せない。
「フロスト、わたし、わたし」
「大丈夫。どんなにエッチに乱れて、淫乱で恥ずかしいことになっても、俺はマリアを愛してるから」
そう言われ、安心感を手に入れてしまい、グッと腰を強く落とす。
良いなら、もっと熱を感じたい。
前後にゆらゆらと腰を動かし、蜜口で熱と浮いた血管の凹凸を感じつつ、愛液を塗りこんでいく。
もっと良くなりたい。もっとフロストに良くなって欲しい。
敏感になり過ぎて避けていた陰核に熱棒が触れるように、腰を動かす。勃ちあがった陰核はコリコリと硬いものに触れ、下半身にジワジワと熱を広げていった。
しかし、夢中で腰を動かしていても、すぐにそれだけでは足りなくなる。身体はもっと、とてつもなく良い快楽を知っているからだ。
「フロスト……」
そんなこちらの心の内など見透かしているように、フロストは いいよ、腰浮かして と返事をくれる。
素直に腰を浮かせて、退こうとするが手を捕まれて動きを止めた。
「どうしたの?」
「違うぞ、マリアが挿れるんだ」
「それは――」
「できるよ。ほら、俺がペニス持っとくから、ゆっくり腰を落として」
中に誘いやすいようにフロストは自らの肉棒を立てるように支え、亀頭を蜜口に擦る。トロリとまた蜜が溢れ、それを丹念に塗り付けられた。
「い、痛いかも」
「痛かったら止まっていい」
「動けないと思うけど……」
「大丈夫」
何が大丈夫なのか分からないけれど、ゴクリと唾を飲み込み、言われるままに腰を落とし始める。
たっぷりと濡れた蜜口はブジュッと鈍い音を立てたが、すんなりと張り出した亀頭の太い部分を受け入れてしまった。その後はもう、腰が落ちるままに肉棒が柔壁を押し広げ、確実に中を刺激しながら埋まっていく。
その充足感に、思わず恍惚とした吐息を漏らしてしまった。
「ハ、あぁッ」
「良さそうだな」
小さく頷くと、フロストは安心したように笑顔をみせてくれた。
さらに奥へ誘い込むように腰を落とし、今度はゆっくりと引き抜いていく。その時に柔壁は抜けて欲しくないと抵抗するように締め付け、フロストのカリ首も抜けてたまるかと言わんばかりに引っかかる。
その堪らない快楽を自分から得ているのだと思うと、非常に興奮した。
何度も何度も腰を動かし、どこが良いかを探していく。柔壁を撫でるように亀頭を押し付けても良いし、奥まで飲み込み締めて熱を感じるのも良い。
知らない、知ることもなかった自身を知れたようで嬉しくなってしまった。
ふと、私ばかり良くなってもとフロストを見下ろす。
「――!!」
美しく、いつも余裕そうで、でも子供っぽさもあったフロスト。その彼が今、眉間に皺を寄せだらしなく口を開いて浅い呼吸を繰り返している。
苦しいのかと思ったけれど、そうではないようだ。
(ある意味、苦しいのね)
気持ち良くて堪らない。苦しいけれど、その心地良さをいつまでも感じていたい。そういうことだろう。
いつも感じている感覚を、今は与える側にいる優越感。それに思わずうっとりと目を閉じた。
「余裕そうですね、お姫様」
「アンッ! ぅ、ン!? フロスト!?」
グンと自身の腰とは違う動きを感じ、瞼を開く。すると、苦しい獣は意地悪そうに目を細めている。
「そんなに余裕なら、手加減は不要だな」
肉棒に突き上げられ浮いた腰は、落ちた瞬間にフロストにぶつかり酷い水音を立てた。
「だ、めぇ! それ、奥、おく入るゥ!!」
止まらない腰に何度も絶頂の寸前が見えた。
「ァ、くぅ……締めすぎだって」
「締め、て、なァ! イクッ、イク、らめ、フロスト、本当、ァァァア!!」
「クッソ、絞るな! ――クッうぅ」
絞ってないという言葉の代わりに高い嬌声と共に絶頂を迎え、フロストの熱い飛沫を最奥に感じ、亀頭でグリグリとその白濁を中に塗り込まれていった。
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