【R18】タルタロスの姫は魔族の騎士に溺愛される

麦飯 太郎

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終戦の夜と、涙の告白 *

 戦争が終わったことによりオッズライルの兵士の半数は、一刻も早く家族と再会したいとのことですぐに家路についた。
 ロックフェルト国にも終戦を伝えるために、早馬が得意な一人が向かっている。もちろん、モルタール王国にも手紙を配達員に託している。なるべく早くと伝えているので、数日後には届けられるはずだ。
 ティアブール国の王家崩壊、直後にボードン伯爵の王城占領、そしてそのボードン伯爵が亡くなり終戦。
 あっという間の出来事に旧ティアブール国の国民は動揺しているけれど、それでも日々の暮らしを守ろうと街のあちこちから声が上がっていた。
 終戦が国中に知れ渡るのはまだ時間がかかる。それに、旧ティアブール国貴族が戻ってくれば、また別の問題も浮かんでくるだろう。しかし、その度に湧き上がる不安を乗り越えなければ、きっと平和は訪れない。

「でも、きっと大丈夫ですよね」

 終戦を祝う宴があちこちで開催されている。歌に踊り、酒を飲んで笑い合う。その宴に国境は感じられなかった。
 フロストもエルドやキリアンに引っ張られ、黒蝶騎士団の輪の中で酒を飲まされている。きっとしばらく解放されないだろう。

「…………」

 手持ち無沙汰な訳ではないけれど、なんとなく一人で王城に足を向けた。
 廊下も、壁も、何もかも以前と変わらない。
 唯一、玉座の間だけは血で汚れているけれど、ボードン伯爵とその息子の遺体は、既に森の奥で埋葬されて何も残っていない。
 更に歩を進めると、懐かしい扉の前に辿り着いた。

「タルタロス……」

 ただの倉庫のような質素な扉。それを開くと、すぐ目の前に階段が現れた。ランプがなければ暗くて何も見えないのだが、そこを慣れた足つきで降りていく。
 階段の段差の幅も、何段目が欠けていることも、突然狭くなる足場も、全てを身体が覚えていた。
 危なげなく降りきった後に、壁のランプに手を伸ばす。もう何ヶ月も使っていなかったけれど、残っていたロウソクとマッチで火を灯した。
 侵入してきたオッズライルの者達はもちろん片付けられていたが、弾痕は壁にしっかりと残っている。それを指でなぞってから、天井を見上げた。

「フロストが突き破ったガラスも元通りね」

 もう一度、誰かを閉じ込める予定があったのだろうか。いや、その対象はきっと……。

「私だけ……かしら」

 きっと王はすぐに私を捕縛できると思っていたのだろう。
 鍵のかかっていない檻の中に入る。少しばかり埃が溜まっていたので、ベッドのシーツをそっと外してから腰を下ろした。
 何だかここにいると、あの頃に戻ってしまいそうな気になってくる。それを振り払うように頭を振れば、今度はボードン伯爵とその息子が浮かんできた。

「はぁ…………」
「溜息を吐くと、幸せが逃げるそうですよ? マリア様」
「――フロスト」

 顔を上げると、水差しとコップ、皿の上に甘味をいくつも乗せたトレーを持ったフロストが檻の中に入ってきた。
 それを机に置き、隣に座る。

「もう宴はいいのかしら?」
「マリアがいなくちゃ意味がないって」

 両手をあげて 飽きたよ と呟くので、思わずクスクスと笑ってしまう。

「で、どうした? 思うことがあるんだろ?」
「…………」

 言うべきか迷ったけれど、心のわだかまりを話せる相手はフロストしかいない。
 身体をフロストに向け、彼の両手をとる。
 少しだけ震えている手を落ち着かせるように、フロストがゆっくりと指先で手を撫でてくれた。

「……無血開城できなかったわ」
「それは…………」
「あの状況では阻止しようがなかった。オッズライルのことを考えるとこれで良かったのかもしれない。でも、難しくても無血を目指すと言ったのは私。どうにもできなかったのかしらって……どうしても考えてしまうの」

 誰も死なせたくなかった。いや、誰の死も見たくなかった。これは私のわがままなのかもしれない。でも、それでも生きていれば考えが変わることだってあるはずだ。

「人は、出会いで繋がっているでしょう? 私は幸運なことに騎士団員に恵まれていた。それに多くの国の人々とも話せば通じると感じられた。フロストだって、偶然フロストが興味を持って世話係になってくれた出会いで繋がってる。悪い人も、良い出会いで変わると……そう思ったの」

 どうしたら良かったのかわからない。でも、二人の死は変えられない。

「マリア……」
「ごめんなさい。返事に困るわよね」
「いや、そうじゃない。ただ、俺の意見を言ったところで、それはマリアの考えじゃないから。だから……うーん。そうだな。泣くか」

 え? と顔を上げると、その頭を隠すように両腕に包み込まれた。
 暖かく、トクトクと命の営みを身体の中から感じられる。
 生きている。なら、これから生きる分を精一杯、これまでの死者を弔うように……精一杯全力で生きよう。
 自然と涙が溢れ、今まで我慢していたものが溢れ出してくる。嗚咽をあげて、声が出ないくらいに泣き続けた。
 何も言わないフロストはひたすら頭と背を撫でてくれる。その手つきが、良く頑張ったと言ってくれているようで、余計に涙が流れた。



 どれくらい泣いていたのだろう。
 休んではまた泣いて、思い出しては泣いてを繰り返してしまった。

「ごめんなさい、フロスト」
「落ち着いた?」

 コップに水を注ぎ、手渡してくれたので一気にそれを飲み込む。焼き付いたような渇きが潤い、心にまで染み渡る。

「甘い」
「ハチミツを入れたんだ」

 こうなることを予想されていたようで恥ずかしくはあるけれど、フロストの心遣いが嬉しくて素直に礼を述べる。
 すると、困ったように笑いながら 多分、違う と言われてしまった。

「本当はさ、ここでエッチなことしちゃおうと思って持ってきたんだ。それで、沢山喘がせたら水が飲みたいだろうし、喉に優しいハチミツ水に。そんで、腹も減るだろうから甘味。な? 違うだろう?」

 恥ずかしそうに頬を染めて正直に話してくれてフロストが可愛らしく、小さく声に出して笑ってしまう。

「うん、笑ったほうが可愛い」

 頬に軽くキスをされ、ニコリと笑うと今度は唇に触れるだけのキスをしてくれた。

「あー。あともう一つ。白状しておきたいことが」
「なにかしら?」
「リックの野郎に嫉妬してる。ものすごく」

 ソフィアの兄のリック。ボードン伯爵の息子を刺した人物だ。
 なぜと首を傾げると、フロストは冷たい表情になり、苦虫を噛み潰して吐き捨てたような酷い顔になった。

「俺より先に、マリアにプロポーズしやがった」

 ……確かに、オッズライルに来ないかと言われてプロポーズ……のようなことを言われたが、あれはその場の勢いではないだろうか。興奮状態の脳が、後先考えずに言わせてしまったようなものだろう。
 それに、宴の前に土下座をされた。
 自身の身分で不相応なことを言ってしまったと、何度も何度も頭を下げていたのだ。

「あれは……カウントしなくて良いのでは?」
「そうか?」
「えぇ」
「でも、俺はもう、誰の後にもなりたくない」

 スッと真面目な表情になったフロストはベッドから立ち上がり膝をつく。
 こちらの両手の指先を軽く握り、頭を下げる。

「最初は軽く噂の姫を見にいくつもりで、この国に潜入した。でも、初めてここでマリアを見たとき、胸が苦しくなったんだ。可憐で美しく少女のようなお前を、なんで今まで知らなかったんだろうって。過去も今も未来も支えてやりたいって思うようになった。その気持ちはすぐ愛しさだって気付いたよ。でも、俺は魔族で……一度死んでいるようなものだ。だから、気付かれないようにと思っていたのに、マリアを知れば知るほど、好きになっていった。愛していた。今もそれは増え続けてる。もし、魔族から人間に戻れなかったとして、マリアが先に死んでも、俺はマリアを思い出すたびにまた好きになって愛していく」

 手を離し、胸元から小さな箱を取り出した。
 それを開いて中が見えるように傾けてくれる。中には透明の中に淡いブルーが揺れる宝石が飾られた、小さな指輪が納められていた。

「俺と結婚してくれ」
「――ッ、もちろん。私も魂だけになっても、フロストを愛してるわ」

 そっと指輪が左手の薬指にはめられる。ぴったりのサイズに首を傾げた。

「いつ、用意したの?」
「あー、あ、あー。ロックフェルトで」

 そんな時間はあっただろうかと思ったけれど、それは男のプライドがあるはずなので、聞かないことにした。
 だが、もう一つ気になることがある。 

「これ……とても高価でしょう??」

 透明度の高いダイヤモンドよりも硬く、加工が難しいとされるロックフェルトの中で一層寒い鉱山の、その一部でしか取れない石。加工の難しさと希少さ、美しいブルーの揺れ加減から、ほんの涙の雫ほどの宝石ですら驚くような値がつく。それが、リトーナーという宝石だ。
 そんな高価な宝石が、小指の爪程の大きさで輝いている。
 宝石の価値は良くわからないが、小国くらいなら数年くらいは賄えるだろう。

「たいしたことないさ。それに、買ったかどうか分からないだろう?」
 フロストが盗みをするはずがない。ということは……。
「掘ったの??」
「さて、どうでしょう?」

 嬉しそうに笑うフロストに、これ以上聞いても答えてはくれないだろう。なので、お礼に抱きついてキスをした。
 そっと唇を離し、目の前の美しく輝くブルーの瞳。愛しさが弾け、その瞼に、額に、頭にキスを続けた。

「マリア。そんなされたら、我慢できなくなるって」

 先程はそういう行為をするつもりで来たと言っていたのに……。

「我慢が必要?」

 敢えて煽るように言うと、フロストは驚いたように目を開き、そして意地悪そうに笑う。

「シても?」
「もちろん」

 その返答の直後、フロストに頭を抱えられ唇が再び合わさる。舌が差し込まれ、口腔を蹂躙するように歯列を舐められると、鼻から甘い息が漏れてしまう。
 呼吸ができないくらいに口を犯されているにも関わらず、その苦しさすらも嬉しい。こちらからもフロストの頭に両手を置いて、離れないように髪を撫でた。
 夢中でキスを続けると、それだけで蜜口がしっとりと濡れ始めてしまう。まだ、軍服のままなので、脱がなければ……替えの服は無い。
 それを伝えようとフロストから唇を離すと、コロンとベッドに寝転がされてしまった。

「軍服だと、お世話係だった頃を思い出す。あの時も……こうしてマリアを組み敷きたかった」
「そ、そうなの?」
「あぁ、そうだ。戦術の話っていう色気が一切ない時ですら、良い匂いがするし。胸が小さいと思ってたから、その小ぶりな乳房を包みたいと思ったさ。まぁ、我慢できなくて風呂でイタズラした時に、胸が大きくてギャップにクラクラした。何度もあの感触を思い出して抜いたし、その後も何度もイタズラしては、我慢したからな」

 正直過ぎる内容にこちらがクラクラしてしまう。だが、嫌ではない。

「今も締め付けてるのか?」

 そっとフロストの手が胸を撫でる。それだけで甘い喘ぎが出そうになるが、グッと我慢をして頷いた。

「軍服はさらしを巻いてピッタリと作ったので、巻いてないと閉まらないんです」
「そうか、なら解かないと苦しいよな」

 そう言って、フロストは胸を撫でていた手で器用に軍服のボタンを外し始める。
 前が開き、身体を起こされ、スルリと上着を脱ぐ。中のシャツも脱がされ、さらしだけになると、なんだかとっても卑猥な格好をしているような気がしてきた。
 それはどうやらフロストも同じだったらしく、小さく えっろ と呟く。
 そして、さらしの結び目を解き緩め、シュルシュルと絹音をたてながら上半身を隠していた布が取り払われた。

「可愛い乳首」

 膝で立ってと言われ、その通りにする。するとフロストの顔はちょうど胸の位置になり、両手で胸を寄せて集まった二つの乳首に吸い付いてきた。
 チュッチュクと音をたて、時折強くジュルルと吸われる。夢中になっているフロストの頭を撫で、吸われるたびに喘ぎを漏らせば、もっと? と視線だけあげたフロストが嬉しそうに再び乳首に吸い付いた。

「――ぁ、アンッ、ンぅ!」

 大きく吸い付かれれば口の中の温かさでとろけそうになるし、小さく強く吸われれば強い刺激に腰が揺れる。
 熱い舌でヌラヌラと舐め回されれば、もっとというように背をそらし胸を押し付けてしまった。

「んん、きもち、――フロストォ」

 甘えるような声に応えるように、フロストが片手をこちらのズボンに沿わせる。丁寧にベルトを外しチャックを降ろしたので、今度は自らズボンを脱いで下着もサッと脱ぎしてた。
 そしてフロストの手を取り、熱く濡れそぼった蜜口に押し付ける。

「すっご。とろっとろ」
「奥は……もっと熱いです」
「何それ――っていうか、マリア我慢できないんだよね? 俺も我慢できない」

 そう言いながらフロストは指を二本挿入し、ジュブジュブと中に溜まっていた愛液を掻き出すように動かし始めた。
 それが気持ち良すぎて、フロストの腕を握り腰を落とす。

「奥ぅ、もっと、もっと、――ンゥっ、あ、イッ」

 挿入した指を動かしながら、空いた指先で陰核を押し潰す。反対の手は乳首を摘むように捏ね、もう片方の乳首は口で吸われ、一気に快楽が駆け上ってきた。

「あっあっあっ――らめ、イクッ、フロスト、ダメェ――アァァァァァッ!!」

 盛大に潮を吹きながら背をのけ反り、はしたなくビックビックと身体が痙攣している。
 そんな中で、フロストにベッドに寝転がされ、両足を掴まれた。それを上に引き上げ、足首が顔の横に下ろされる。
 いくら蝋燭の淡い光の地下だといえど、これでは蜜口から後孔までフロストに丸見えだ。

「これ。これ、はちょっと……」

 恥ずかし過ぎる……と思っていると。フロストはそこに躊躇いなく顔を寄せた。

「ンックゥッっ!!」

 再び指を二本挿し、中の浅いところでクイクイと腹側を撫でる。その反対の部分には小さく敏感な陰核がぷっくりとピンクに勃起しているのが見えた。

「や、フロストぉ! だめ、それ、いっしょ、だめ」
「外からクリトリス吸い上げて、中からクリトリスの裏を扱いてあげる。――さて、どれだけ我慢できるかな?」

 意地悪そうに言うと、一気に責め立てるように言った通りの行為を始めた。達したばかりの身体はすでに快楽に溺れているため、たったの数回扱かれただけで再び潮を吹き出してしまった。
 その潮がフロストの顔を濡らし、テラテラと輝いている。

「ハハッ、今回はほとんど飲めた。……美味しいよ、マリアのお潮」
「――!! もうッ!!」

 笑うフロストが自らのズボンのベルトとチャックを下ろす。そして、そこからこれでもかと怒張した赤黒く卑猥な肉棒がブルンと飛び出てきた。
 先走りが溢れ、トロリと先端から流れ出ている。
 それを見せつけるように数回手で扱き、まだフロストへ向けたままのヒクヒクと絶頂の余韻を残した蜜口に沿わせてきた。

「あ、あの、このまま?」

 これでは、繋がった部分が全て丸見えだ。いや、見せようとしているのか。
 ニヤリと笑ったフロストの様子から、それが正解だろう。
 見せつけて、俺のだと思い知らせたいのだ。
 そんなことはもう知っている。というのは通じない。これは彼の独占欲だからだ。

「アッあっあっ――」
「そんなに期待されると、意地悪したくなるぞ」

 雁首で陰核を何度も引っ掛れ、熱い竿が蜜口を滑る。何度も何度も往復すると、それだけで軽く達して更に肉棒に蜜口が吸い付いてしまった。

「可愛い。可愛い。俺の、俺だけの奥さん」
「!! ――ンァぁぁぁあぁあ!!」

 奥さんと呼ばれ胸が弾んだ瞬間、太い肉棒が柔壁を掻き分け、熱い亀頭が最奥を穿った。そして、その勢いのままフロストは強く腰を打ちつけ始め、今度は強い絶頂から降りられなくなる。

「んあ、ああ、あ、ああぁ!!」
「ハハッ、言葉出せない? よだれが垂れちゃってるね。可愛いなぁ、俺の奥さんは」

 ゴッチュゴッチュと杭を打ち込むように何度も中を犯される。種付されるような酷い行為のはずなのに、なぜか恍惚とした気分になり愛されていると感じた。

「ほら、マリアのポルチオが吸い付いてチュコチュコって中で亀頭とキスしてるの。わかるか?」
「う、――んぁ、あ、アッ」
「そっか、分からないなら、教えてあげる。ほら!!」
「んあ゛ァツっっつ!!」

 大きく腰を落とされ汚い喘ぎを漏らしたが、フロストは嬉しそうに かわいいー と笑顔を浮かべた。

「はぁ、でも、ほんっとマリアの中は俺を搾り取ろうと凄いんだよな……一回、出して、次はちゃんと抱き合ってセックスしよう」
「――ッ?! ファぁ!! んお!! ンンン!!」
 
 宣言通り、フロストは自らが達するためだけの動きを始めた。中を蹂躙するように激しく、全てを埋めるように根元まで、そして支配するような微笑みを浮かべ悦に入った表情で見下ろされる。
 だが、口元で何度も 愛してる 好きだ 俺のだ と呟いているのが分かり、こちらまで愛おしさで下腹部がキュンキュンと反応を示してしまう。
 締まるだけしまった柔壁を掻き出すような激しい行為が続き、フロストが眉間に皺を寄せた。

「マリア――ッ、イくッ、奥に、全部……ッ」
「んッ……アッ、アンゥッ、んッ、――ほし、い、全部、くだしゃ」

 その瞬間、奥に亀頭が押し付けられグリグリと数回腰を回したかと思うと、ドビュッと中に熱い液体が注がれ始めたのを感じた。
 その熱をより奥へ押し込もうと、フロストの肉棒は跳ね続ける。

「んぁ、あー、ぁっ……」
「はぁー。気持ち良すぎる……」
「……私も……」

 本音を口にすると、フロストはニコリと笑い頭を撫でてくれた。

「あんまり戻るのが遅くなると、心配するかしら」

 きっとどちらかではなく、二人が居ないということならば探しはしないだろう。しかし……。

「戻りたい?」
「――んッ」

 まだ埋まったままの肉棒を押し付けて腰を回したフロストを、軽く睨む。だが、そんなことでめげるはずもなく、繋がったまま高くあげた腰をゆっくりと下ろしてくれて密着するように身体を合わせてきた。
 それだけでフロストの香りが強くなり、胸が弾む。

「なぁ、戻りたいか?」

 そんな懇願するような声で、ズルすぎる。そんなことを言われたら、もう答えるしかないではないか。

「まだ、……まだフロストとエッチなことがしたいわ。フロストがまだ軍服のままだから余計にいけないことをしているみたいだけど……でも、ここでの悪い思い出を塗り替えて」

 さして悪い思い出もないが、寂しい思い出が全てフロストに上塗りされればいい。
 フロストが私しか欲しないように、私もフロストしか欲していないのだから。

「いいよ。エッチなこと沢山言って、沢山言わせてあげる。大丈夫。扉は使い魔に閉じさせてるから誰も開けられない。沢山喘いで俺だけの奥さんの声を聴かせて」

 嬉しそうに淫猥に笑うフロストが好きだ。
 この表情で、既に達してしまいそうなほどに。
 まだやることは山積みだけれど、今だけは、何も憂いなくフロストを求めたい。

「聴いて、私が旦那様で感じている喘ぎを」

 抱き締めるように、隠すように覆いかぶさったフロストは、今度はゆっくりと味わうように律動を始めた。
 
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