【R18,BL】雪月花時最憶君

麦飯 太郎

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17、幸せな朝

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 繰り返しているうちに、翌日の朝が来た。

(えっと……俺の視力が落ちたのが夕方で、蓮に拾われて……夜からだったとしても、それでも翌朝まではやり過ぎたよな)

 とっくに起きていた蓮に そろそろ朝食ですよ と笑われたのはつい先程だ。

 そして今、軽く湯を浴びてから広間で朝食を目の前にしている。
 着物の色が違うだけの同じ顔が三人並んで居るのを気配で感じる、ニコニコと嬉しそうに笑って蓮と恭吾の言葉を待っているようだ。

 なんだか、家出したのにすぐに戻って来たような気分で心が落ち着かない。久しぶりに会ったはずの三つ子と実際に見えなくても顔を合わすのもなんだか恥ずかしかった。

「蓮さま、お食事にしましょう!  冷めたら勿体ないです」

 天花が口を開く。

「そうですね。では、頂きます」

 いただきまーす と元気に返事をした子供達が行儀良く食事を始めた。

「恭吾さんは私が口元に運びます。ご飯とお吸い物、漬物と焼き魚と天麩羅、茶碗蒸しに……」
「ちょ、ちょ、ちょっと待った!  今日ってなんでこんなに豪華なんだ?」

 普段ならば、朝御飯はご飯と味噌汁に漬物とたまに卵焼きか出汁巻き卵にするくらいだ。質素だが、充分に満たされる量だと恭吾はこの生活で充分知っている。

 なので、夕食のように焼き魚や天麩羅が出るのは非常に稀だ……いや、経験がない。

「ん?  当たり前じゃないですか」

 質問の意図が分かりませんという言葉の天花の変わりに風花が答えた。

「恭吾が帰ってきたから。提案した」

 どうやら食事の内容を変えようと言ったのは風花のようだ。だが、戻ったのを知ったのは今朝のはずだ。そんなに急に朝食の献立を変えられるのだろうかと疑問に思う。

 だが、彼らは鬼なのだ。
 自分が戻って来たことなど、気配で丸分かりなのだろうと勝手に納得をすることにした。

「おかえり、恭吾!」

 六花が嬉しそうな声で言った。
 迎えてもらえるだけでもありがたい。その上、三つ子は“喜んで”迎えてくれている。

 目の奥がジンと熱くなる。折角、蓮が巻き直してくれた包帯が無駄になるのは忍びなく、ぐっと我慢をしたが、ありがとうと返事をした声は微かに震えていた。

「風花はね、恭吾が大好きなの」

 六花は続ける。

「でね、天花は蓮さまが大好きなの。特別に好きなんだって!  でも、六花はみんな好きなの!  仲良く暮らそうね!」
「ちょっと、六花!  言っちゃダメって約束したのに……」
「ん?  だってとっても好きなんだよね?」
「す、好きだけど……」

 いつも落ち着いた天花が焦るなんて珍しい。
「あれ?  風花は顔赤いよ?  どうしたの?」

 悪気のない六花は、天花と風花にとっての爆弾をどんどん投下しているようだ。

 意味を理解し、思わずクククッっと堪えた笑いをしてしまった。それに気付いた蓮も優しくフフフと笑う。

「おやおや、では私は風花さんが、恭吾さんは天花さんがライバルということになりますね。これは負けていられませんね」

 天花と風花は違うと否定をしているようだが、あってるのにと六花が口を挟み、また場が盛り上がる。

 自分の居場所がここにある。
 それが嬉しく、自然と涙を零す。それはすぐに包帯に染込み存在を消したが、湿った感覚はそれがあったことを知らせた。

 その湿りに気付いた風花が、近づき頭をポンと撫でてくれた。

「悲しい?」

 小さな手をそっと包むように握り、ゆっくり首を横に振る。

「いや、幸せだなと思ってさ」
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