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ベルヴェットの魔法
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「そのあと、俺は死んだものと判断され、研究所から捨てられた。でも、吸血鬼の因子を取り込んだ俺は他の人間より幾分か丈夫だったから、何とか生き永らえて研究所から出ることが出来た」
ヘイヴィアの過去を私は黙って聞いていた。
というよりも正直理解が追い付かなかった。
吸血鬼を人為的に作り出すとか私の常識の埒外にある。
「さっきリゼに会って確信した。やっぱり、あいつはまだ操られているんだ。きっと、額の石さえとっちまえば元に戻るはずなんだ。でも……」
私の知っているヘイヴィアとかけ離れた想像を絶する過去。
それに対し、私もベルヴェットさんも何も言えなかった。
けど、彼だけは違った。
「お前の話、全然理解できなかったんだけどさ。なんでこんな暗い感じになってるだ?」
相変わらず空気の読めないゴブリンだ。
「あのね、ゼルには分からないかもしれないけど、ヘイヴィアにすごく大切な人がいてね。その人がまだ操られたまま敵として現れたの。少しはヘイヴィアの気持ちも考えてあげて」
「いや、俺もバカじゃないから分かるって。要するにそのリゼってやつを助けたいんだろ? なら、ラッキーじゃねぇか」
「なにが? 今敵として現れてどうしようって話で……」
「その額の石ってのを壊せばいいんだろ? 助け方も分かってて、そいつも手の届くところにいるんだろ? なら、チャンスじゃねぇか」
うっ……ゼルのくせに核心をついてる……。
「それともなんだ? 助ける自信がないのか? なら、代わりに俺が救ってやってもいいぜ。今後、俺をゼル様って敬うならな」
そうやって、ゼルはヘイヴィアを挑発しながら手を差し伸べる。
「はっ! 誰がゴブリンなんかに頼むかよ。自分の問題は自分で片付ける」
ヘイヴィアはいつもの調子でゼルの手を弾いた。
「じゃあ、さっさと行こうぜ」
うん、いい雰囲気。
ゼルはバカだけどいい仕事するじゃん。
「ってちょっと待って。行くってどこに? 今私たち落とし穴に落とされちゃったんだよ?」
「それなら問題ない」
「ベルヴェットさん?」
「君たちが今落ちてきた穴から地上へ戻る」
「地上へってどうやってですか? 箒もないから空飛べないですよ?」
「いいからいいから。とりあえず、穴の下に集まって」
言われるがままに私たちは自分が落ちてきた穴の真下に集まる。
「なにが始まるんだ?」
「知らない。でも、ベルヴェットさんが……」
「なんでもいいが俺は今すぐにでもリゼを助けに行きたいんだが?」
「そう言う協調性のないのは今はなしで。またバラバラになっちゃったら、今度こそ見つけられないかもしれないじゃん」
「はいはい、無駄口はそこまで。これから俺の魔法で君たちを上まで運ぶ。あまり暴れないでくれな」
「魔法って、一体……」
私がそう言いかけたときにはすでにベルヴェットさんの魔法が発動していた。
「え、嘘……浮いてる……?」
突如として私たちの体は宙に浮きあがった。
「お? お、おおう……?」
「あぶっ……なんだこれ?」
急に空中へ浮き上がったため、私たちはバランスを崩しよろける。
しかし、それでも地面に落ちることはなく、段々と高く上がっていく。
「どうだい? 僕の空気魔法は」
「空気魔法?」
風属性の魔法かと思ったがどうやら違うらしい。
空気魔法……聞いたことのない魔法だ。
「空気を自在に操る魔法さ」
「空気を操る?」
「そう。例えば空気の性質を変えたりね。今、君たちの足元にある空気を硬質化させた。本来は触れることすら出来ない空気だが、硬質化させることでその上に立つことが出来る。で、その硬質化させた空気の床を操って上へと俺たちを運んでいる」
「おお! なんかよく分かんねぇけどすげぇー。ほら見ろ、落ちねぇぞ」
ベルヴェットさんの説明を理解していないゼルはその場でジャンプして足場を踏みつける。
「ちょっとやめてよ! 足場が壊れたらどうするの!」
私はぴょんぴょん跳ねるゼルの頭を押さえつける。
「大丈夫。そのくらいじゃ壊れたりしない。と、そうこうしている間についたぞ。どうやらここの穴は塞がれていないようだ」
ベルヴェットさんの魔法で私たちは元いた遺跡の通路へと戻ってきた。
そうか、さっき落ちたときにベルヴェットさんが魔法で上がってこなかったのは穴を塞がれていたからなんだ。
「おっし、で、そのタイタンの連中はどこだ?」
私たちは空気の足場から降り、周囲を警戒する。
「流石に同じ場所にとどまっているとは思えない。とにかく先へ進もう。正面からタイタンの人たちが来たということはこの遺跡はどこかで国境を越えてタイタンに繋がっている可能性がある。間違って敵国に侵入しないようにだけ気を付けよう」
ベルヴェットさんの忠告を胸に、私たちは慎重に……。
「よっしゃー! 俺が一番!」
「いや、俺が先だ!」
って言っている傍からバカ二人が前に飛び出した!
「二人とも待ってって、タイタンのこともあるし、さっきの罠のこともあるでしょ!」
と、私の制止など聞かずに二人はどんどん先に行ってしまう。
「しょうがない。彼らのフォローは俺がするとしよう。彼らの行動もあながち間違ってない」
「え、なんでですか? 危険じゃないですか」
「確かに危険はある。だが、ゆっくりしていてはタイタンに大罪魔法を先に奪われてしまう可能性がある」
「あ、」
それもそうだ。
ヘイヴィアのことで忘れてたけど、私たちの本来の目的は大罪魔法を探すことだった。
「じゃ、急ごうか」
「そうですね」
私とベルヴェットさんは先を突っ走るバカ二人の後を追うのだった。
ヘイヴィアの過去を私は黙って聞いていた。
というよりも正直理解が追い付かなかった。
吸血鬼を人為的に作り出すとか私の常識の埒外にある。
「さっきリゼに会って確信した。やっぱり、あいつはまだ操られているんだ。きっと、額の石さえとっちまえば元に戻るはずなんだ。でも……」
私の知っているヘイヴィアとかけ離れた想像を絶する過去。
それに対し、私もベルヴェットさんも何も言えなかった。
けど、彼だけは違った。
「お前の話、全然理解できなかったんだけどさ。なんでこんな暗い感じになってるだ?」
相変わらず空気の読めないゴブリンだ。
「あのね、ゼルには分からないかもしれないけど、ヘイヴィアにすごく大切な人がいてね。その人がまだ操られたまま敵として現れたの。少しはヘイヴィアの気持ちも考えてあげて」
「いや、俺もバカじゃないから分かるって。要するにそのリゼってやつを助けたいんだろ? なら、ラッキーじゃねぇか」
「なにが? 今敵として現れてどうしようって話で……」
「その額の石ってのを壊せばいいんだろ? 助け方も分かってて、そいつも手の届くところにいるんだろ? なら、チャンスじゃねぇか」
うっ……ゼルのくせに核心をついてる……。
「それともなんだ? 助ける自信がないのか? なら、代わりに俺が救ってやってもいいぜ。今後、俺をゼル様って敬うならな」
そうやって、ゼルはヘイヴィアを挑発しながら手を差し伸べる。
「はっ! 誰がゴブリンなんかに頼むかよ。自分の問題は自分で片付ける」
ヘイヴィアはいつもの調子でゼルの手を弾いた。
「じゃあ、さっさと行こうぜ」
うん、いい雰囲気。
ゼルはバカだけどいい仕事するじゃん。
「ってちょっと待って。行くってどこに? 今私たち落とし穴に落とされちゃったんだよ?」
「それなら問題ない」
「ベルヴェットさん?」
「君たちが今落ちてきた穴から地上へ戻る」
「地上へってどうやってですか? 箒もないから空飛べないですよ?」
「いいからいいから。とりあえず、穴の下に集まって」
言われるがままに私たちは自分が落ちてきた穴の真下に集まる。
「なにが始まるんだ?」
「知らない。でも、ベルヴェットさんが……」
「なんでもいいが俺は今すぐにでもリゼを助けに行きたいんだが?」
「そう言う協調性のないのは今はなしで。またバラバラになっちゃったら、今度こそ見つけられないかもしれないじゃん」
「はいはい、無駄口はそこまで。これから俺の魔法で君たちを上まで運ぶ。あまり暴れないでくれな」
「魔法って、一体……」
私がそう言いかけたときにはすでにベルヴェットさんの魔法が発動していた。
「え、嘘……浮いてる……?」
突如として私たちの体は宙に浮きあがった。
「お? お、おおう……?」
「あぶっ……なんだこれ?」
急に空中へ浮き上がったため、私たちはバランスを崩しよろける。
しかし、それでも地面に落ちることはなく、段々と高く上がっていく。
「どうだい? 僕の空気魔法は」
「空気魔法?」
風属性の魔法かと思ったがどうやら違うらしい。
空気魔法……聞いたことのない魔法だ。
「空気を自在に操る魔法さ」
「空気を操る?」
「そう。例えば空気の性質を変えたりね。今、君たちの足元にある空気を硬質化させた。本来は触れることすら出来ない空気だが、硬質化させることでその上に立つことが出来る。で、その硬質化させた空気の床を操って上へと俺たちを運んでいる」
「おお! なんかよく分かんねぇけどすげぇー。ほら見ろ、落ちねぇぞ」
ベルヴェットさんの説明を理解していないゼルはその場でジャンプして足場を踏みつける。
「ちょっとやめてよ! 足場が壊れたらどうするの!」
私はぴょんぴょん跳ねるゼルの頭を押さえつける。
「大丈夫。そのくらいじゃ壊れたりしない。と、そうこうしている間についたぞ。どうやらここの穴は塞がれていないようだ」
ベルヴェットさんの魔法で私たちは元いた遺跡の通路へと戻ってきた。
そうか、さっき落ちたときにベルヴェットさんが魔法で上がってこなかったのは穴を塞がれていたからなんだ。
「おっし、で、そのタイタンの連中はどこだ?」
私たちは空気の足場から降り、周囲を警戒する。
「流石に同じ場所にとどまっているとは思えない。とにかく先へ進もう。正面からタイタンの人たちが来たということはこの遺跡はどこかで国境を越えてタイタンに繋がっている可能性がある。間違って敵国に侵入しないようにだけ気を付けよう」
ベルヴェットさんの忠告を胸に、私たちは慎重に……。
「よっしゃー! 俺が一番!」
「いや、俺が先だ!」
って言っている傍からバカ二人が前に飛び出した!
「二人とも待ってって、タイタンのこともあるし、さっきの罠のこともあるでしょ!」
と、私の制止など聞かずに二人はどんどん先に行ってしまう。
「しょうがない。彼らのフォローは俺がするとしよう。彼らの行動もあながち間違ってない」
「え、なんでですか? 危険じゃないですか」
「確かに危険はある。だが、ゆっくりしていてはタイタンに大罪魔法を先に奪われてしまう可能性がある」
「あ、」
それもそうだ。
ヘイヴィアのことで忘れてたけど、私たちの本来の目的は大罪魔法を探すことだった。
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私とベルヴェットさんは先を突っ走るバカ二人の後を追うのだった。
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