聖騎士殺しの異世界珍道記〜奴隷を買ったらお姫様だった件〜

KeyBow

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第36話 弟が欲しい?

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 お宝を回収しながらブラッドは告げた。

「済まないが、村から奪われた分と、殺された者達の見舞金をこの中から出させてくれないか?」

「別に1Gもいらねえよ。ブラッドには皆感謝しているんだ。まあ、村に渡す金を差っ引いて余りゃあ御の字だろうさ!」

「助かるよ!さて、ここを燃やして村に行くか。所で生きて捕えた奴はいるのか?」

「全員くたばっているぜ。ガインとサウラが外に残り、死体を漁ってから村に行くさ。俺はお前と村に行くぞ」

 そうしてガインとサウラの2人に後を任せ、ブラッドはタミア、ダリスと3人で村に急ぐ。ガインとサウラには漁った後の死体はそのままで引き上げるように指示をした。

 村につくと盗賊の死体の片付けや、壊された住居の修繕、修繕不可能な建物から荷物を運び出していたりする等の事後処理をする姿が見て取れた。

 ブラッドが村に一歩踏み入れると皆が手を止め、その巨躯を見ていた。

 ワンズ、ニスティー、マリーナがブラッドの所に来た。

「ブラッド様、村人の死亡者は7名。盗賊の生き残りは13名で、縛り上げて一箇所に集めておきました。如何なされますか?」

「町に連れていって引き渡すか、奴隷として売り払おう」

「畏まりまして御座います」

 マリーナが深々とお辞儀をした。
 すると村長が数名の者を引き連れて現れた。

「騎士様。我らをお救い頂き、感謝の言葉が思いつかぬ程、感謝を致しております」

「俺にそんな他人行儀な言葉は不要だぞ。ダルマの爺さん、久し振りだな」

「えっ?私の事をそんなふうに呼ぶのは、ま、まさか、お前さんブラッドか?あの乱暴者のブラッドだな!大変だ!だ、誰かル、ルキエルに至急ここに来るように伝えてきてくれ!」

「生きているのか?」

「勿論じゃ。その、ブラッド、一緒に出兵した者達はどうなった?」

「済まない。俺が唯一の生き残りだ」

「皆逝ってしもうたか。良い奴らばかりじゃったのう」

「悪い奴が生き残って済まないな」

「そういう意味ではない。良くぞ生きて戻ってきたのう!」

「なあ爺さん。今回の被害の復興などはこれでなんとかなるか?盗賊のアジトを潰してきたが、そこにあった金品を持ってきた。余ったら彼奴等に報酬として渡したい」

「おお!済まないな。殺された者の家族への見舞金と、壊された家の復興費にこれだけ貰えれば十分じゃよ。残念ながら村からは謝礼を出す余裕がなくてな。半分を頂くとするよ」

「心配すんな。それに遠慮なんぞするなよ」

 そうしてお宝が半分程戻され、4人に分配を指示した。
 分配は8等分にする。

 そうしていると、一人の女性がリリニアとアリアナに手を引っ張られて村長の所に来た。
 緑色の腰までの見事なストレートを束ね、質素な服を着ているが、その美貌を隠す事は出来ない。

 ブラッドは皆に指示をしており、丁度その女性に対して後ろを向いていた。

「丁度良いところに来たのう。リリニアとアリアナが連れて来てくれた者達じゃ」

 アリアナとリリニアがブラッドに駆け寄る。

「ラッドのおじちゃん!村を救ってくれてありがとう!ねえねえ、私達の母様よ!美人なのよ!見て見て!」

 ブラッドは振り向き様に手に持っていた兜を落とした。
 そして2人が母親と呼ぶ美しき女性も持っていた籠を落とし、暫しの間2人はまじまじとお互いを見ていた。

 彼女は成長し、ニスティーが負けたと唸るほどの美女だった。すらっとしたしなやかな肉体。昔の面影を残してはいるが、理知的な大人の顔の女だ。

「ブラッド!?」「ルキエル!?」

 お子ちゃま2人が母親に自慢気にブラットの事を話している最中だった。

「凄いのよ!このおじちゃん!ねえ、母様の再婚相手に相応しいと…」

 2人は駆け寄り、ひと目も憚らず抱きしめ合い、そして熱いキスを交わす。

 村人は皆唖然とした。

 聖女と言わんばかりの淑女として村でも一目を置かれ、他所ではその知識と能力から聖女とも言われ、何かと村人からの相談にのってあげていた清らかな心の持ち主が、情熱的にその唇を貪っているのだ。そのような淑女認定の人物が人目を忘れて抱きしめあい、キスまでしている。そしてその鎧に包まれた硬い胸に顔を埋め泣いている。ブラッドも愛おしそうに頭を撫でていた。

 タミア、ニスティー、マリーナが俯き涙を浮かべていた。

 お子ちゃま2人が駆け寄ろうとしていたのをサウラとワンズが止めた。

「10年振りの恋人達の再会だ。邪魔をしちゃあ駄目だ」

「あの人がお父さんなの?何故今まで迎えに来てくれなかったの!?お母様がどれ程…」

「責めてやるな。大将が敵将を討ったお陰で漸く奴隸から開放されたんだ。来たくても来れなかったんだ。俺たちゃぁ皆大将のおこぼれで奴隷から開放されたんだぜ!だから大将に付き従っているんだ」

「確か10年よね?」

「そうだ。俺達は約10年の間戦奴として数多の戦場に駆り出され、なんとか生き延びてきたんだ。そうか。お嬢達はブラッドの娘か。しょっちゅう俺の愛した女性はそれは素晴らしいと言っていたが、嘘ではなかったんだな!」

 ルキエルははっとなり、2人を手招きした。そして自分の前に立たせ、頭を撫でた。

「よくお聞き。この騎士様が貴女達のお父様よ。ご挨拶なさい」

「ルキエル、あの時この2人を身籠ったのか?」

「はい!貴方からの素晴らしい贈り物があればこそ私は今まで生きてこられました。長かった!長かったわ!」

「この2人はもう知っている。お前に似て出来た子だ。そうか。俺の娘か!」

 ブラッドはルキエルの前に跪ついた。

「ルキエル、遅くなった。あの時の約束はまだ生きているか?」

 ルキエルは頷く。

「約束通りお前を迎えに来た。俺の妻になってくれ!」

 ブラッドは剣を捧げた。
 リリニアとアリアナは口を抑えて、辛うじて喜びの声を出さずにいた。

「はい!ずっとお待ち申し上げておりました。不束者ですし、少々薹が立っていますが、宜しくおねがいします!」

 ブラッドは2人を手招した。

「そうか。お前達は俺の娘か。うん。母親に似て将来有望だな!」

「私、弟が欲しいの!」

 2人がハモり、ルキエルが真っ赤になるのであった。
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