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第2章 晃編

ダンジョンへ

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 晃はスマホとにらめっこをしていた。やはり引けるロトが出ていて、未契約女神との契約記念ロトと有った。魔石を11個必要とし、住居を得られるようだ。そして晃は武器を出してターニャに言われた手入れをしていた。

 それと今後に控えているロトはレベルアップ記念や住居入手記念だった。多分家具とかなんだろうと思う。

 女神のビフォーアフターの写真を観ていた。確かに面影があるが、違い過ぎたので不思議だった。喋り方も違うが、契約後は不思議な感覚があった。

 女神は力尽きて寝てしまった。晃は複雑な感情に見舞われていた。体力がなくなったのだろうが、雄として見られていないのか、襲って欲しいのか、はたまた異性として見られているが信用してくれているのか。

 ただ、晃はか弱い女性に対して寝込みを襲う性分ではない。信頼に応えようとし、明日の事を考えてやがて眠くなり床で寝る。自分を信じられないからだ。間違いを犯しかねないから服を枕にして眠る事にした。

 ただ、葛藤は有った。晃も年頃の男の子だ。据え膳食わねばの状態で、目の前の美し女神を裸にし、自らの欲望のはけ口にしようと思えば出来るのだ。

少し手を伸ばせば魅力的な男心を燻る素敵な胸が有る。勿論そう言う事に興味があり、機会があれば初体験を済ませたい思いも人一倍有る。しかし欲望より理性と自制が勝った。

 そして朝を迎えたがだがどうしてこうなった??
 いつの間にかベッドで寝ていて、イザベラの胸に頭を埋める形で抱きかかえられていた。しかも既に起きていてわざと胸に押し付けてグリグリとしているのだ。

 晃は目覚めると訳が分からないないが苦しい。なのでよく分からない顔にある柔らかな物体を引き離そうとそれを押したが、手には柔らかな感触が有った。なんだろうとモミモミすると圧迫していた物が少し離れた。そしてその手にあったのがイザベラの双丘だと分かると顔を青くし、ジャピング土下座をした

「女神様ご、ごめんなさい。そのわざとではないのですが、む、胸を触ってしまいました」

「ふふふ。晃くんは積極的だネ!。私の胸の感触はどうだった?」

「はい、柔らかく、至高の感触でした。女の人の胸を初めて触りましたが、柔らかいんですね!って、何を言わせるんですか?」

「ふふふ。君は紳士だね。床で寝ているのを見たのと、私の純潔がまだ保たれていたから驚いたよ。大抵の女神は初契約者が男の場合、契約した夜に純潔を散らされると聞いていたのに。犯さないでいてくれてありがとう。それとも私には魅力がなかったのかな?」

「いえいえ、魅力的過ぎて、一緒の布団に入って寝たら絶対襲っちゃいそうだったから床で寝てたんです」

「うん。分かっているよ。君が何故私を抱けたのに抱かなかったのかを。3大ダンジョンの攻略だよね?元の世界に帰る為だよね。帰ると別れなきゃだから、私を奇麗な体のままにしてくれたんでしょ?何年先の事になるかは分からないけど、君の選択は尊重するよ。出来たらこの世界に残って貰いたいけどね。絶対絶対、女神様を愛してるから帰るのは辞めますって言わせるんだからね。私は君が求めてくるならいつでも受け入れよ。それより今日はどうするの?」

「はい。あの、僕にある加護が何かわからないのですが、転移前からロトがあり、それが実は今日の夜までの限定なのですが、未契約女神との契約記念ロトがあり、どうやら住居を得られるようなんです。但し魔石が11個、それも自分で倒したのが必要なので、早速ダンジョンに行ってきます。なので許可が欲しいのと、ギルドに申し込みと、アシスタントさんに女神様を紹介しに行きます」

「無理をしないでね。君はまだ一般人程度の力なんだから。そうだね、君には特別な加護を授けるから目を瞑むってじっとしてるんだよ」

 晃は黙って従い、目を瞑る。すると唇に柔らかな感触があり、思わず目を開けるとキスをされていた。しかし、何やら力が漲ってきた感じがした。

「あのね、これはキスじゃないからね。キスはちゃんとしたのが欲しいから、ノーカンだよ。こうしないとあげられないんだ。力が得られた事が分かったと思うけど、これはね無詠唱の、つまり詠唱破棄の加護なの。これはね、大切な人に授ける物だからね。一つしかない加護だから大事にして欲しい。今はまだ魔法が使えないだろうけど、いずれ君の役に立つ筈なの。だから無理しないでちゃんと帰ってくるんだよ!」

 晃はただただ頷くだけだ。

 朝食の後にギルドに向かう。イザベラにお金を渡し、晃がダンジョンに行っている間に服を買うように言っておいた。服屋の場所は分かるとの事だ。

 ギルドに着くと騒ぎが起こった。見た事の無い女神がいるからだ。ターニャを探していると向こうから慌てて駆けてきた。

「ご機嫌よう女神様、晃さんこちらの女神様は?」

「君は誰かな?私は2日前に下界に来た女神イザベラだよ。晃くんは私の初契約者になったの。この意味分かるよね?それよりダンジョンに入る許可をお願いね」

「あっはい。女神イザベラ様。申し遅れましたが、晃様のアシスタントを担当していますターニャと申します。宜しくお願いします。まずは晃様のダンジョン許可証ですね。ではこちらに」

 個室で手続きをし、程なくして許可証が発行され、三者の血をそれぞれの場所に垂らして登録が終わった。
 それをギルドにて記録し、原本を晃に持たせた。
 許可証をダンジョンに入れると以後どのダンジョンも入れるのだ。

 晃は早速許可を持ってダンジョンに向かった。ターニャが止めるも晃には聞こえなかった。猪突猛進である。

 晃が出ていった後にギルドマスターと女神の話し合いが有った。

 新たな女神が降臨したのは10年振りとなり、イザベラが一人の女神が亡くなったと伝えた。尤も女神が下界で死ぬと天界に戻されるだけなのだが。ただ、長い年月下界には行けなくなる。

 イザベラはその女神が死んだ前後に下界に派遣されてきたと。晃が転移したのと同時だった。つまり入れ替わりなのだ。

 死んだ女神の契約者はそろそろ契約した女神が亡くなったと気が付くのだと。但し地上での話だ。

 誰かと再契約しなければならない期限は2週間。それを過ぎると加護が消え、レベルもリセットされる。

 そしてイザベラから告げられた今回死んだ女神の名から最大級の団の女神だったから、ギルドマスターは愕然としていた。総勢40人を超える団だからだ。

 現在は女神が死んだその日からダンジョンへ遠征に行っているから、女神の死に気が付かないと。最悪の場合戦闘中に加護が無くなり一般人に戻る。計画では最大2週間の遠征なので間に合うはずだが、団員が再契約するまでの期間があまりにも短く、混乱は必須だ。

 再契約するのには女神と団長二人の同意がいる。女神が許可しても団長が拒否すれば契約が出来ない。ギルドマスターは全団に女神の一人が亡くなったのと、その団のメンバーの受け入れ要請を出すと伝えたのであった。
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