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第4章
晃の暴走
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晃はなんとなくその男に見覚えが有った。どこで見たのだろうかと思い出そうとしていたが
「すまねぇ魔物に追われているんだ。女神の加護が消えちまったんだよ。悪いけど助けてくれないか?」
恥も外聞も無く助けを求めてきた。晃はふと思い出す。そういえばこの世界に来た直後に助けてくれた者達の中の一人だ。確か罵声を浴びせかけて来たような気がするが、それでも恩人である事には変わりがない。どうやらオーガに追われていたようで、オーガが剣を振りかざしその男に当たりそうになるが、晃が急ぎ転移し間に割って入り、二本の剣で受け止めたが。その隙にその男はローラン達の方へ走って行く。それと他に先程戦っていたのと同じ獣型の魔物が数匹追い縋がってきた。
どうやらこのオーガが率いていたようであるが、そちらの方はローランやレオナ達が対処していく。ソレイユはイザベラに張り付いている。晃はこのオーガと一騎打ちを始めた。しかしそんなに時間はかからなかった。追われている者がいた状況である為に勝負を急ぎ決着した方が良いと判断し、晃は背後に転移し心臓を一突きし霧散させていった。
その男は目を見開いて口をあんぐり開けて驚いていた。
「お、お前あの時のビギナーじゃねえか?あん時半べそをかいてやがったのになんでこんなに強いんだよ?それともお前は双子の弟がいて、実はお前は兄貴の方とかそんなオチはねえよな?」
「その節はお世話になりました。僕は晃と言います。先日は助けて頂き感謝をしてます。あの時は異世界から召喚され、街中にいたのが急にダンジョンにいたんです。そ、れより女神の加護が消えだってどういう事ですか?」
「済まねえな。バカにした相手に助けられちまったな。遠征帰りの途中で突如女神の加護が消えやがったんだ。レベルも1になっちまって戦闘中だったんで団は半壊でな。数名がやられたが何とか逃げ切って、偶々見つけたセーフゾーンに逃げ込んだんだ。ただ、加護が消えた為にまともに戦えず、帰れなくなったんだ。で、有志で救援を募りに行く事になり、数名で強行突破していたんだが、俺様がなんとか20階層まで戻り、あんたらに助けられたんだ。2つ下にその、仲間が陣を張り魔物を引き付けて俺を行かせたんだ。頼む、エニグマを助けてやってくれないか?」
ローランが
「悪いが無理な話だ。俺達は女神イザベラ様を地上に連れ帰らないとなんだ」
「頼む。時間が無いんだ。お前らの強さがあれば2つ下位いどうって事ないだろ?どうか頼む。無茶だし、無理な願いだとは分かっている。なあ、坊主、エニグマを助けてやってくれないか?結界がいつまで持つか分からないんだ。それと他の仲間も食料が尽きるのが時間の問題なんだよ。女神が多分死んじまってさ、上級者層でいきなり力がなくなり皆死に掛けたんだ。団長が殿を引き受けてくれなかったら全滅してたんだ。団長は多分死んだろうな。仲間は38階層にいるんだ」
彼は必死だった。土下座もした。レオナ、ソレイユ、レヴィが周辺の警戒と駆除をしてくれていた。
イザベラが
「話は分かったよ。確かに君には女神の加護が無いね。このままだとダンジョンを出れないよ。一旦私と契約し、地上に出た後で私の元に留まるか、他の女神の元に行くかすれば良いさ。ただ、私は戦えないから1階層で戻る者を待つよ。その間に救援を求めにギルドに行きなさい。私の所の団員も救助隊に駆出しましょう」
急ぎ有無を言わせず契約をする。しかしレベルは戻らなかった。
「君のレベルは残念ながら地上に出ないと戻らないようだね。ただ、私の加護で多少戦えるようになった筈だよ。その子には気の毒ですが、地上に出て一刻も早く上級者を集めましょう。今の私達では38階層は厳しいでしょう。22階層も私がいる限り足を引っ張るのでとてもではないですが無理ですよ」
「頼む!お前を助けたエルフっ子に死ねっていうのか?自分を犠牲にして俺を地上に向けて送り出してくれたんだ。今ならまだ間に合うんだ。頼む!」
晃はいきなり駆け出した。そう、あの、ずっと夢に出てくるエルフの恩人だ。考えるより先に体が動いたのだ。
「僕一人で行きます。皆は救助隊を呼んで来て下さい。僕には命の恩人を見捨てる事は出来ません。ローラン頼むイザベラ様を頼んだよ。イザベラ様ごめんなさい。ローラン達がいれば大丈夫です」
止める間もなく消えて行き、追えなくなっていた。
「あのバカ勝手に行きやがって。ちっ。一応団長命令だから聞いてやるよ。まあ、あいつなら何とかなるだろうが、時間が経てばやばくなるな。急いで戻ろう。アンタも来るんだ。レオナと俺が前衛、ソレイユがイザベラ様の警護、レヴィが後衛だ。急ぐぞ」
そうやって彼らは地上を目指し駆けていた。不思議と魔物に出くわさないのであった。
「すまねぇ魔物に追われているんだ。女神の加護が消えちまったんだよ。悪いけど助けてくれないか?」
恥も外聞も無く助けを求めてきた。晃はふと思い出す。そういえばこの世界に来た直後に助けてくれた者達の中の一人だ。確か罵声を浴びせかけて来たような気がするが、それでも恩人である事には変わりがない。どうやらオーガに追われていたようで、オーガが剣を振りかざしその男に当たりそうになるが、晃が急ぎ転移し間に割って入り、二本の剣で受け止めたが。その隙にその男はローラン達の方へ走って行く。それと他に先程戦っていたのと同じ獣型の魔物が数匹追い縋がってきた。
どうやらこのオーガが率いていたようであるが、そちらの方はローランやレオナ達が対処していく。ソレイユはイザベラに張り付いている。晃はこのオーガと一騎打ちを始めた。しかしそんなに時間はかからなかった。追われている者がいた状況である為に勝負を急ぎ決着した方が良いと判断し、晃は背後に転移し心臓を一突きし霧散させていった。
その男は目を見開いて口をあんぐり開けて驚いていた。
「お、お前あの時のビギナーじゃねえか?あん時半べそをかいてやがったのになんでこんなに強いんだよ?それともお前は双子の弟がいて、実はお前は兄貴の方とかそんなオチはねえよな?」
「その節はお世話になりました。僕は晃と言います。先日は助けて頂き感謝をしてます。あの時は異世界から召喚され、街中にいたのが急にダンジョンにいたんです。そ、れより女神の加護が消えだってどういう事ですか?」
「済まねえな。バカにした相手に助けられちまったな。遠征帰りの途中で突如女神の加護が消えやがったんだ。レベルも1になっちまって戦闘中だったんで団は半壊でな。数名がやられたが何とか逃げ切って、偶々見つけたセーフゾーンに逃げ込んだんだ。ただ、加護が消えた為にまともに戦えず、帰れなくなったんだ。で、有志で救援を募りに行く事になり、数名で強行突破していたんだが、俺様がなんとか20階層まで戻り、あんたらに助けられたんだ。2つ下にその、仲間が陣を張り魔物を引き付けて俺を行かせたんだ。頼む、エニグマを助けてやってくれないか?」
ローランが
「悪いが無理な話だ。俺達は女神イザベラ様を地上に連れ帰らないとなんだ」
「頼む。時間が無いんだ。お前らの強さがあれば2つ下位いどうって事ないだろ?どうか頼む。無茶だし、無理な願いだとは分かっている。なあ、坊主、エニグマを助けてやってくれないか?結界がいつまで持つか分からないんだ。それと他の仲間も食料が尽きるのが時間の問題なんだよ。女神が多分死んじまってさ、上級者層でいきなり力がなくなり皆死に掛けたんだ。団長が殿を引き受けてくれなかったら全滅してたんだ。団長は多分死んだろうな。仲間は38階層にいるんだ」
彼は必死だった。土下座もした。レオナ、ソレイユ、レヴィが周辺の警戒と駆除をしてくれていた。
イザベラが
「話は分かったよ。確かに君には女神の加護が無いね。このままだとダンジョンを出れないよ。一旦私と契約し、地上に出た後で私の元に留まるか、他の女神の元に行くかすれば良いさ。ただ、私は戦えないから1階層で戻る者を待つよ。その間に救援を求めにギルドに行きなさい。私の所の団員も救助隊に駆出しましょう」
急ぎ有無を言わせず契約をする。しかしレベルは戻らなかった。
「君のレベルは残念ながら地上に出ないと戻らないようだね。ただ、私の加護で多少戦えるようになった筈だよ。その子には気の毒ですが、地上に出て一刻も早く上級者を集めましょう。今の私達では38階層は厳しいでしょう。22階層も私がいる限り足を引っ張るのでとてもではないですが無理ですよ」
「頼む!お前を助けたエルフっ子に死ねっていうのか?自分を犠牲にして俺を地上に向けて送り出してくれたんだ。今ならまだ間に合うんだ。頼む!」
晃はいきなり駆け出した。そう、あの、ずっと夢に出てくるエルフの恩人だ。考えるより先に体が動いたのだ。
「僕一人で行きます。皆は救助隊を呼んで来て下さい。僕には命の恩人を見捨てる事は出来ません。ローラン頼むイザベラ様を頼んだよ。イザベラ様ごめんなさい。ローラン達がいれば大丈夫です」
止める間もなく消えて行き、追えなくなっていた。
「あのバカ勝手に行きやがって。ちっ。一応団長命令だから聞いてやるよ。まあ、あいつなら何とかなるだろうが、時間が経てばやばくなるな。急いで戻ろう。アンタも来るんだ。レオナと俺が前衛、ソレイユがイザベラ様の警護、レヴィが後衛だ。急ぐぞ」
そうやって彼らは地上を目指し駆けていた。不思議と魔物に出くわさないのであった。
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