ダンジョンから始まる異世界生活〜異世界転移した勇者なのに誰も拾ってくれませんから、ダンジョン攻略しちゃいます〜へなちょこ勇者の成長記

第４章

異変

　ダンジョンには六連星団とエレクトラ団のほぼ全てが向かっていた。総力戦だならだ。ただ、屋敷の護衛で一部が残る。くじ引きで屋敷一つに1パーティーだ。

　ギルドへ先行した晃がターニャ経由でギルドマスターにダンジョンを本攻略すると報告して貰う。本気で未踏破領域を突き進むと。

　ギルドを後にし、意気揚々とダンジョンに向かい出すが、街の正門から狼煙とけたたましい鐘の音がした。

「なあエニー、あれは何の騒ぎ？」

「そうだったわね。晃は異世界から来たんだからまあ知らないよね。うん、あれはね魔物が接近して来ている合図だけど、変ね。妙に長いわね」
　
「こんなのは初めてだな。一度ギルドに戻り確認した方が良いぞ」

　ローランに言われギルドに戻るが、門の方から群衆が逃げ惑っていた。

「不味いな。どうやら正門が突破されたらしいぞ」

　誰かが話していた。ギルド前には多くの人、正確には冒険者がいた。
　間もなくギルド職員が出てきて、師団の代表1名と各団の代表者2名までが入るように指示をされた。晃はダグラスとガブリエルと向かう。

　ギルドマスターが難しい顔をしていた。

「緊急事態に対処を願うが、まずギルドの緊急事態宣言を発動し、強制クエストを発動する。今は半分が集まったが、残りはダンジョンに入っている。ダンジョンに入っていない者で拒否するのは女神との契約を破棄し、事が収まったら、街を永久追放だ。魔物が大挙してきたのだ。所謂スタンピードだ。各自にカードを渡す。血を1滴垂らすと登録され、魔物を倒すと数と魔物のランクに応じてポイントが加算される。魔石はギルドと国で回収し、このポイントから皆に支払いをする。回復系は回復量に応じてポイントが入る。すまんが魔物を駆逐してくれ」

　と説明され、団員の数分カードを貰った。早速晃は説明と配布をし、屋敷に1部を戻し、説明とカードを渡した。非戦闘要員と女神は屋敷にて籠城だ。女神の屋敷は多くの一般人を引き受ける指示があり、結界を張っていた。護衛も立派な任務だ。

　晃達は否応なく正門に送り込まれた。道中魔物と出くわすが、晃の団は進行方向以外は無視だ。課せられたのは正門の奪取と、これ以上魔物を中に入れない事だ。可能なら殲滅せよと。

　バックヤード団は逃げる市民の護衛と町中に入った魔物の駆除だ。

　正門に近づくと多くの冒険者が戦っていた。ただ、冒険者や市民の死体が至る所に転がっていた。晃はその凄惨な光景に吐いてしまった。ソレイユに背中をさすって貰い落ち着いてから改めて周りを見る。今は何も感じなかった。不思議だった。血の海で本来は耐えられないのだが、一度吐いてからは大丈夫だった。

　正門には少数精鋭で向かう。晃は門の内側の制圧をガブリエル率いいるエレクトラ団に任せて正門に突撃を敢行する。今見えるのはオークや角の生えた狼のような魔物ばかりだった。ただ強くはないが数が多かった。続々と押し寄せていたのだ。

　晃はエニーに極大魔法を頼んで皆にエニーの護衛を頼んだ。突撃しつつ晃はロトで出た魔法を試す事にしたのであった。