異世界ロマンはスカイダイビングから!

KeyBow

文字の大きさ
37 / 135
第2章

ダンジョン3日目

しおりを挟む
 今日は15階層からになるが、当夜達は本日もダンジョンであり得ないくらいにまともな食事をしていた。

 相変わらずシャクラの腕は素晴らしい。限られた食材にも関わらず美味しいのだ。
 当夜は少し気になりシャクラの調理風景を覗いていた。ポーチから小瓶を出して振り掛けていた。塩胡椒の類のようだった。

当夜「やあシャクラ。それは何かな?調味料かい?」

シャクラ「お、おはよう。当夜。これはね塩と胡椒よ。これが有るのと無いとでは味が全然違うのよね!」

当夜「へーこっちにも有るんだね。普通に店で売っていたっけ?」

シャクラ「ううん。これね一応貴重品だから貴族の出入りするお店でしか置いていないのよ。ここぞって時にしか使わないのですけどね」

当夜「そんな貴重なのを今使っても良いのか?高いんじゃないのか?」

シャクラ「そ、そんなのダンジョンでの活力を増やすのと、そ、その折角当夜が、わ、私の料理を食べてくれるんだから、ちょっとでも美味しく食べて貰いたいんだもん」

 当夜は涙を流していた。今まで手料理を振る舞ってくれるような女性がいなかったのだ。デートでの食事は大抵ファミレスとか、ちょっとしたレストランや居酒屋ばかりだった。たまに回らないお寿司屋さんだった。
 愛情の籠もった、自分の為に作ってくれた料理を食べた事が無かった。
 当夜は跪いてシャクラのお腹に抱きついて泣いた
 真っ赤になった包丁を持ったままのシャクラがオロオロして

シャクラ「ちょっと、な、何よ当夜。私、何か言った?そ、それとこそばゆいし恥ずかしいよ」

 当夜は涙を拭いながら立ち上がり

当夜「ご、ごめんな。う、嬉しくて、俺なんかの為にこんなに良くしてくれて嬉しいんだ。出来たら二人には今の事は内緒にしてくれると嬉しいな」

シャクラ「そ、そんな大した事無いのに当夜は大袈裟ね。じゃ、じゃあ夜のあれ、今日もやってよ」

当夜「うん、そんな事位しか出来ないけどそんなんで良ければ幾らでも」

 そう言い少し肩を揉んであげる当夜である。

 朝食が出来たので皆を起こし、今日も美味しく朝食をシャクラとルナにあーんされている。

 当夜はふと思う。『あれ?なしてルナもあーんに加わったんだ?』

 少し時は戻り、当夜が、シャクラのお腹で泣いている頃だ。ルナがアモネス、レグナスに

ルナ「あのですね、今朝の当夜様へのあーん当番を私にもさせて頂けませんか?」

 ルナの申し入れに戸惑いつつも喜んで受け入れ、二人はルナの変化に感動して抱きついていた。

アモネス「じゃあ、姉様はシャクラとの当番で行きましょう!」

レグナス「えっとね、たまに少し咀嚼したのを口移しであげてくださいね!」

ルナ「畏まりました。口移しですね」

 真に受けるルナを二人はにやけた目で見ていたのだが、ルナは気がついていなかったのだ。

 また時間が変わり元の時間に。
 そしてルナとシャクラがあーんしていると、ルナが突然当夜に口づけをして、口移しで食べさせ始めたのだ。アモネス、レグナスはドヤ顔で、シャクラは真っ赤になりながら震えている。シャクラも負けじと口移しで食べさせ始めたのだ。

 当夜はアモネスとレグナスがけしかけたんだと二人のニヤケ顔から判断して、

当夜「二人共、口移しをしなくても俺はちゃんと噛めるから、恥ずかしいからもうやめてね。無理ならもう味を感じないけど自分で食べるから」

 そんな当夜の言葉にアモネスとレグナスは、はっとなり黙って俯くのだ。

 朝食の後の方付けの時に二人は当夜に謝罪をした。当夜は、頭を撫でて話を終わらせた。

 そして緊張感のない彼らは16階層へ降りて行く。

 この場所も岩がゴツゴツしているザッツ!ダンジョンだ。
 違いは分岐の数が多くなり、行き止まりで引き返す事が多くなってきた。
 魔物はウサギの凶暴なのやら子猫が凶暴になったのやら、見た目が可愛らしいが、体長60-100cm位のが、時折出る感じだ。ホーンラビットも出てきた。
 マッピングの精度が高いのでどんどん地図が出来上がっていく。
 運がいいのか悪いのか、全ての通路を行き尽くし、最後の通路を進んでいくと階段が見えてきた。
 19階層まで同じような状況で時折ルナと当夜が戦闘を控え、アモネス達に経験を積ませる意味もあり戦わせていた。
 元々3人で冒険を始めようとしていただけあり、問題なく戦っている。

 そして19階層の終点、つまり階段に来ていた。時間は、夕方に差し掛かろうという頃合いだ。

 恐らく20階層はボス部屋のみだ。小休止し階段を降りていく。
 このフロアは当夜が戦う事にした。一応剣を装備している。武器屋で買った日本刀だ。何故あるのかは分からないが、レイピアとして売っていたっけ。
 ご丁寧に脇差も女性用のレイピア扱いだった。

 二刀流が出来るかわからないが、脇差を差して、日本刀を構える。

 そして20階層のボスと対峙する。
 当夜は突っ込みを入れる

 当夜「バルタン星人かよ!?」

 蟹が二足歩行している感じだ。はっきり言ってキモイ。
 女性陣にはやらせたくないと感じた。
 背丈は2m位。腕が2本あり、手が蟹ハサミだ。

 当夜は剣で切り結ぶがあっさりハサミで防がれる。
 当夜は考える。恐らくレベルがかなり上がっているはずだ。ステータスも上がっているはずだが、剣は素人だ。剣道を多少かじった程度だ。それも中学1年の時に部活で少しやっていたが、一度手首を骨折してから親に禁止されて退部した程度だった。

 当夜の近接戦闘は、ほぼステータス頼みだ。
 剣技がないので大振りだったりする。

 しかしハサミで受け止められるが、こちらの方が早い。足や胴を狙いフェイントを入れる。段々手傷を負わせて行き、遂にハサミを切り落とした。
 そこからは一方的だ。胸に剣を突き立て、脇差で首を跳ねた。胸に刺した剣は引き抜けず折れたから脇差を使った。

 ドロップを残して消えていった。
 出てきたのは刀が1本と杖が2本だ。それと魔石。
 当夜の武器とシャクラとアモネスに向けの軽量な魔法の補助具を担う杖だ。
 どれもオリハルコン製だ

 アモネスがきつい口調で問う

アモネス「ねえ当夜、何故魔法を使わなかったの?何度か蹴られていたけど、当夜の魔法ならもっと楽に行けたと思うのだけど」

当夜「ああその事か。ここ魔法使えないぞ」

 皆試しに魔法を唱えるが出ない

 魔法禁止エリアだったのだ。
 そしてこの階層のボスを倒すと普段と違う事が起こった。今までと違い、元々この部屋には入り口の扉しかない。

 そうしていると新たな扉が発光現象と共に開いたのだ。

 レグナスが扉を開けようとするも反応がない。

 シャクラも駄目だ。
 当夜が行くと反応が有った。
 当夜が扉に触れると当夜だけ吸い込まれたのだ。

 あっという間で皆が悲鳴を上げていた。

アモネス「いやああー」

 そしてアモネスが手を伸ばすも、当夜に届く直前にその姿が見えなくなった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる

枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。 艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。 誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

処理中です...