異世界ロマンはスカイダイビングから!

KeyBow

文字の大きさ
55 / 135
第2章

閲兵式

しおりを挟む
 今日は城に行く事になっていて、メイドを含め、全員で出掛ける事にしている。
 当夜のパーティーは国王の護衛として国王の周辺に陣取っている。正確にはシャクラ達はおまけである。ケイトを近くに呼ぶ口実として国王が護衛としたのだ。当夜の微妙な国王直属冒険者というよく分からない役職は、堂々とケイトを呼ぶ口実にしたかっただけなのだ。

 閲兵式の会場は闘技場だ。そんな物がある事に当夜はとても驚いたが、娯楽の少ないこの世界では闘技場での各種戦闘等が見世物として人気なのだった。閲兵式もそういった数少ない娯楽の一部と、国の権威を知らしめる一石二鳥の場になっている。

 歩兵の師団単位での行進や、騎士による演武、模擬戦などが行われている。
 こちらも毎度の行事だというが、次は見習い魔術師であるお子様達の魔法のお披露目だ。幼稚園児か小学校1年生位の年齢の子供だ。親が歓声をあげたり応援している。どこの世界でも、親が小さな子の成長に一喜一憂する姿は変わらないものだなと、当夜はその様子をぼんやり見ていた。
 豆粒くらいのファイヤーボールとか水鉄砲としか思えないウォーター、失敗して煙だけ等ほっこりする。

 当夜はそんな中アースホールとストーム、アイスランス、各属性のウォール、エクスプローション(爆発)雷、ただ明るく点滅するフラッシュ等子供が使っている魔法をいくつか覚えたのだ。

 続いて魔術師の番だ。
 上級魔法で水竜やゴーレムを作ったりしている。中には飛翔もある。
 当夜はだんだん焦りだした。中級以上の魔法を覚えられないのだ。
 当夜は焦ってケイトに相談する。

当夜「ヤバイよケイト。あのお子ちゃまが使っていた初級魔法しか覚えられなかったよ!この後俺の出番なんだろ?」

ケイト「まあまあそれは大変。あらあらどうしましょう」

当夜「ええええええ!まじでやばいんだって!うわーもう時間だよ」

ケイトは面白がって真剣に取り合わなかったが、流石に時間なので表情を変えて

ケイト「うふふ。慌てて狼狽えている当夜様って可愛い!」

当夜「あう。マジでなんかアドバイス欲しいんだよ」

ケイト「しょうがないですね。愛しの当夜様の為ですからアドバイスを  お・ひ・と・つ・♪当夜様の魔力は今の所天井知らずでしょ?それを生かせば初級魔法でもとんでもないのになるのでしょう?」

 当夜はケイトの言わんとする事が何となく理解出来た。色々な事を試そうと考えを巡らせている。
 その後どう言う式や演武等があったのか見る余裕が無い当夜は何があったか良くわからない。必死に考えていたが、遂に当夜の番になったのだ。

 国王が当夜の横に立ち、司会が当夜の事を国王の直轄の守護者と説明した。すると兵士が何かを準備しだして、闘技場の中央に荷馬車が数台置かれた。当夜は理解した。あれを壊せという事だと。
 先ずは一台目を特大のファイヤーボールを放ち一瞬で消し炭にしたが、周りが一気に静まり返った。
 次にソフトボール大のアイスボールを100発程展開して一気に投射し、一瞬で荷馬車を押し潰した。 

 そして最後に合成魔法を試みる。ストームとファイヤーボールと石を投げるストーンショットだ。
 まずは小さく作るも凄まじい熱を持った溶けた石がストームの中で暴れまわった。段々強くしていき、高さ3m位になるよう魔力を調整すると馬車に向けて動かした。ストームが接近すると馬車はストームの中に入り、一気にストームが作り出す嵐の中にてバラバラになり上空へ燃えながら飛ばされた。そして燃えながら地面に落下し、辺りは溶けた石やら煙が立ち込めて、会場があまりの威力に騒然となり、国王の手駒が有り得ない位の魔術師だと、そこにいた者達が理解した瞬間だった。ケイトはワナワナと震え、シャクラはポカーンと口を開け、レグナスとアモネスの二人は手を取り合い当夜をうっとりと見つめていた。

 そして改めて当夜が国王に馬車の破壊を完了した事を報告すると、国王が立ち上がり、当夜をハグして頭を撫でる。

 それは無名の国宝級の力を持つ魔術師が、国王の懐刀だと世に知らしめた瞬間だった。当然観客の中には他国の間諜がいる。国王が家臣をハグする事は余程の事がなければあり得ないから、この男の実力と国王にいかに信頼されているか、国元に新たな驚異者として報告する事となる。争いを避けるのにこちらの戦力がとんでもないと、仕掛けたらヤバイ相手だと国王は近隣諸国に知らせたかったのだ。

 この後、国境警備隊に普段だと捉えたりする間諜と思われる者を一週間放置して素通りさせよと命じている。
 国王は当夜に国内の不穏分子の事を話したが、隣国から戦争を仕掛けられる可能性が高いと、隣国に放った者より隣国が戦争準備中だとの情報を得ていたのだ。当夜は何となくそんな事だろうなとは薄々感じていたりした。

 当夜は先の魔法を使った直後、超級オリジナル魔法ラヴァーストムーブを開発した旨のガイダンス表示がちらっと出たので、オリジナル魔法を取得したと理解していた。次からはイメージするだけで発動可能だ。

 式が終わった後、国王はかなり機嫌がよく、夕食を食べていくように言われ、夕食を城で食べてから全員で帰宅となった。
 帰宅後ケイトからジト目で言われた。

ケイト「あ、あのね当夜様、少しは自重しましょうね。お祖父様は満足なさっていましたが、観客は唖然としていましたよ。まさか私のささやかなアドバイスがあのような事になるとは。私は初級魔法と言ったのに何ですあの超級魔法は?驚きを通り越して呆れましたわ」

当夜「ああ、あの魔法は概ね狙い通りだったよ。最後のは予測より威力が高かったけど、王様の狙い通りだと思うよ。まあ、確かにやり過ぎたけど、王様の助けにはなった筈だよ」

ケイト「えっ!どういう事ですか?」

当夜「ああ、他国の間者が沢山居たんだろう?王の子飼いの俺が、とんでもない魔法を使えると分かると戦争を仕掛けるのを考え直すだろう?。王様が呟いていたぞ!これで戦争を回避できるって。あれは、軍勢にぶつける想定で考えたんだよ」

 皆青くなっていた。まさかそのような裏事情があったとは知らなかったからだ。
 皆が唖然としていたが、当夜はとにかく疲れたのでとっとと風呂に入り布団の中に入り、ルナにへのチャージ後即寝ていったのだった。

 当夜の言質の意味を誰も理解していない。軍勢にぶつけると言ったのだ。少なくとも当夜はいざ戦争となったら先の魔法を躊躇なく使うであろう事を意味する。戦争とはいえ大量殺戮の手段があり、それを使うと公言しているのだ。平和な国に生まれ育った者の発言とはかけ離れている事を誰かが気づいてあげるべきだったのだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる

枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。 艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。 誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

処理中です...