異世界ロマンはスカイダイビングから!

KeyBow

文字の大きさ
23 / 135
第1章

顛末

しおりを挟む
 朝食の時間になり、当夜とルナは既に着替えて準備ができていた。

 暫くすると三人娘が部屋に来たので全員で食事をしに食堂に向かった。

 今までと違いがあった。そう、アモネスが当夜の隣に座ったのだ。
 今までだと当夜の隣はルナで、アモネス達は三人で並んで座っていたから、今までにない行動にレグナスとシャクラが驚いていた。
 当夜はどうするか悩んでいた。アモネスには確かに己の秘密を知られたが、レグナスとシャクラが知らないのはいけない事ではないのか?知らせるべきではないかと。

 これまでの当夜は、己の体の事を知られるのを極端に嫌がっていた。というより知られる事を恐れていた。だがしかし、いざ知られると全員に知らせていないのは仲間に対して失礼だ、彼女達の選択肢を奪ってしまうのではないかと、言わないのは卑劣とさえ考えていた。
 そんな当夜の悩みを知ってか知らずか妙にアモネスのテンションは高かった。
 今日の予定はどうするのか?となり、まずはギルドでスタンピードの説明及び依頼達成報告と換金を行い、いよいよ王都へ向けて旅をしたいと話すと全員が頷いていた。
 その為ギルドを出た後は馬車と馬の購入と野営の準備をする事となった。また収納がどれ位かは分からないが、まとまったお金が入ると思うので、今回の報酬は旅の資金とし、服を追加で購入、武器防具の装備も充実させる、食料の購入、回復アイテムなどの購入とてんこ盛りになりそうだった。

 当夜とアモネスの二人に対してレグナスとシャクラの怪訝そうな目が痛かった。当夜は今日の夜に、己の体の事を隠さずに言う事を密かに決意していくのであった。

 食事の後にギルドに向かい、早い時間の為すぐに対応して貰ったが、受付のお姉さんに討伐依頼の時のスタンピートについての話と、オークの買い取りや魔石について聞くと、驚いていて、ちょっと待ってくださいと言い残し奥に引っ込んでいった。

 5分位するとギルドマスターが出てきて呆れ顔で

ギルドマスター「あれ程言ったのにもうばれているぞ!はぁ」

 ギルドマスターはため息をついていた。
 それもそのはず、収納スキルがばれていたからだ。

当夜「ああ、収納の事か。俺はそういうの隠すのが下手だから、絶対ばれるので隠すのを止めたんだ。知らないうちにそれ絡みでトラブルになる位なら、知られていると分かっている方が対処が出来るんだよね」

ギルドマスター「ほう、少しは考えてるんだな。で、この後はどうするのだ?」

当夜「明日か明後日から王都に向かおうかと思います。最終的にはまたこの街に戻りたいですね。中々居心地が良いので」

ギルドマスター「そうか、戻るなら歓迎するぞ」

 当夜は以前から言っていた通りに旅に出る準備が出来次第出発する旨と、スタンピード発生の詳細を伝え、握手をして別れた。もう一度受付に戻り、一部のオークの買い取りと魔石の換金を行った。
 冒険者ランクも当夜とルナがランクB、アモネス、シャクラ、レグナスの3人がCに上った。

 洞爺は上位個体の換金はここでは止めて王都で売る事としたのだった。
 皆のランクが一つづつ上がったのが嬉しかった。
 金額は全ての報酬を合わせて3500万になったので、各自の口座に700万づつ入金して貰った。皆は遠慮するが今回は思う所があり均一にしたのだ。

 当夜はギルドを出て、アモネスにちょっとした買い物をルナにしてあげてとお願いをしていた。ルナがあまりにも女性としての身なりに無頓着なので、その辺りの教育を含めお願いしてみると、アモネスは頷いて抵抗するルナを引っ張っていった。
 ルナは救いを求める目を当夜にするが、送り出した当人にお願いしても無駄な事だ。満面の笑顔で送り出し、当夜はレグナスとシャクラを伴い別の買い物に行く事とした。

 道中に必要な生理用品の買い出しだった。ルナが生理で苦労しているが、当夜が購入できる品ではない。皆の分を購入するが、自分達のを買えと言っても彼女達が恥ずかしがるので、ルナの分を多目にしてシャクラ達が必要な分も買うようにと、当夜からお金を渡され二人が買い物をする。これはカモフラージュだった。
 買い物の後、喫茶店でお茶をする事になり、当夜は二人に自分の体の秘密を打ち明けた。

 その上でアモネスが当夜を伴侶としたいと申し入れをしてきた旨を説明した。それを踏まえて先日の話をよく考えるように諭した。

当夜「例えば君たちの裸を俺が見るとしよう。実は男性として興奮できないんだ。同性が同性の裸をお風呂で見かける位の感覚でしかないんだ。かといって俺は衆道の気はないからね。俺の体が治らない限り俺の伴侶となった者は子を産めず、女性としての悦びを知る事無く朽ちる可能性があるんだ。俺には伴侶となった者を他の男に委ねるつもりもないから、俺の伴侶になるという事はそういう覚悟がいるんだ。勿論俺の体を治す為の手段を見つける旅をこれからも行うんだけどもね。だから俺が君達に手を出そうとしないのは魅力を感じないわけでも、女性に興味がないわけでもないし、俺の体の問題なんだ。紳士でも何でもないんだよ。素直に君達を綺麗だなと、可愛いなとは思うけど、触れたり、胸を揉んでみたりしたいという普通の男が抱く性的な欲望が涌かないんだ。俺の体が正常なら既に君達を俺の女にしている自信があるよ」

 そう言うと二人とも当夜の手を握り締めて

レグナス「薄々そうじゃないかとは気が付いていたんです。ルナ姉様に対する対応とか見ていて感じていました。それでも私達は当夜の事が好きなんです。だから一緒に添い遂げさせてください」

 当夜は彼女達が自分から離れるだろうと思っていたが、そうではなかった。既に感づかれていて、どうもこの思いは変わらないようだ。別の選択肢を、以前から考えていた最終手段をもってして、彼女達の幸せを考える必要があると強く考えていて悩むのだった。

 当夜は考えさせて欲しいと一旦回答を保留した。
 一人で少し考えたいからと二人に少しお金を渡し、何かデザートでも食べておいでと言うと、喜ぶ二人を見つつまだまだ子供だなと思うのだ。当夜は苦悩の表情を浮かべながら、あちこちで食料を売っている店で食料を買い、収納に入れていくのであった。

 また旅に備えて馬車と馬を購入した。人を運ぶ為の屋根の付いたのだ。中古で200万したがルナが珍しく払うというので、支払いはルナが行った。

     そして宿に戻り、馬車を預け夕方になっていた為、皆で食事をし、出発は明後日でどうかと話をして風呂を入り解散となった。 当夜は決意を新たに眠っていくのであった。   
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる

枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。 艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。 誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

処理中です...