92 / 111
第五章 魔軍襲来
第91話 再会
しおりを挟む
トルネードが魔物を巻き込みながら進んでいた。先程から三郎が飛ばしていた石、城壁から飛ばされた岩や槍、矢等、諸々を巻き込みつつ、凶悪になりながら正門に向かっていた。
竜巻は魔物や物をどんどん巻き上げて成長していたのもあり、魔物達は竜巻に巻き込まれた瞬間に石や岩で砕かれ、バラバラに引き裂かれながら上空に巻き上げられていった。
竜巻が通過した後を三郎達が進んでいるが、あくまで一部を始末しただけなので、その隙間を埋めるようにして後続の魔物が入り込み、退路を塞がれている。
なので足の早い魔物が追いついてくるのだ。リセが精霊術で後方に炎の壁を作り、追撃を遅らせていた。
時間が惜しのと戦略を立てる時間的な余裕が無かったので、直感で動くしかなかった。
雑で直情的に動いていたのだが、それは相手にも同じ事が言える。急に降って湧いてきた相手に対し打つ手を考える暇がなく、目の前の有り得ない状況に驚愕するし、場当たり的な対処にならざるを得なかったのだ。
三郎は一杯一杯だった。慣れない精霊術のコントロールに苦戦していたからだ。本来であれば慣れればどうという事は無い事なのだが、慣れていない為にコツが分からず、コントロールに対して集中せざるを得なかったのだ。
だが、三郎達は何とか正門に辿り着こうとしていたが、今度はトルネードが邪魔になる。その為、トルネードが移動する方向を変える事にした。上部を先端とし、先程まで三郎達がいた所に向けて突撃させたのだ。それは先程のタカタミの時と同じようにだった。数体の魔物が三郎達に肉薄していたが、トルネードがいなくなったのでお構いなしに進み、何とか正門の所に辿り着いた。
三郎は精霊術でリーナの体を若干浮き上がらせる感じで風を発生させた。そしてリーナがジャンプすると、必死に門を守る者達の頭上を飛び越えて中に入った。あちこちで治療待ちの兵士が、壁にもたれ掛かっていたりしてぐったりしているのが見て取れた。
すると歓喜が湧き上がった。
勿論そこを守っている者達からだ。
「神獣様とリセ様が戻られた!おおお!戦女神のリセ様だ!」
三郎は呟いた。
「お前って人気あるのな?」
「ふふふ。驚きなさい!私のこの美しさに皆心を奪われているのよ!」
「はぁ。自分で美しいとか言うか?まあ確かに喋らなけりゃ有り得ないくらいの美人さんなんだよな。残念さんだけど」
「ちょっと今何か失礼な事を言わなかった?」
「そうか?リセが美人で人気者なんだなって呟いただけだよ」
「あら、ありがとう。さあ登りましょうか?」
リーナは爪を立てて垂直の壁を登った。先の風がまだ続いているからできる荒業だ。
啞然と見ている兵士をよそにあっという間に上り詰めたのだ。
そこには魔物に攻撃をしている者達がいた。正門に魔物を近付けまいと必死に戦っていたのだ。
三郎はリーナから降りると周りをキョロキョロしていたが、いきなり3人に抱きつかれた。
勿論紗代子、ソフィア、アルテミスだ。そしてミライに方を貸してもらっているトニーが来た。3人は良かったと泣いていた。また、城壁の上にいた者達から熱烈に歓迎を受け、そして歓喜が湧き上がった。
「無事に戻ってこれて嬉しいよ。しかしあの包囲をよく突破してこれたね!」
「ははは。まあ無茶をしましたから。それより状況はあまり良くないようですね。よし、まずは門を塞ぐよ!」
皆がへっ?と何を言っているの?といった顔をしていたが、三郎は門を塞ぐべく、精霊術の発動準備に入るのであった。
竜巻は魔物や物をどんどん巻き上げて成長していたのもあり、魔物達は竜巻に巻き込まれた瞬間に石や岩で砕かれ、バラバラに引き裂かれながら上空に巻き上げられていった。
竜巻が通過した後を三郎達が進んでいるが、あくまで一部を始末しただけなので、その隙間を埋めるようにして後続の魔物が入り込み、退路を塞がれている。
なので足の早い魔物が追いついてくるのだ。リセが精霊術で後方に炎の壁を作り、追撃を遅らせていた。
時間が惜しのと戦略を立てる時間的な余裕が無かったので、直感で動くしかなかった。
雑で直情的に動いていたのだが、それは相手にも同じ事が言える。急に降って湧いてきた相手に対し打つ手を考える暇がなく、目の前の有り得ない状況に驚愕するし、場当たり的な対処にならざるを得なかったのだ。
三郎は一杯一杯だった。慣れない精霊術のコントロールに苦戦していたからだ。本来であれば慣れればどうという事は無い事なのだが、慣れていない為にコツが分からず、コントロールに対して集中せざるを得なかったのだ。
だが、三郎達は何とか正門に辿り着こうとしていたが、今度はトルネードが邪魔になる。その為、トルネードが移動する方向を変える事にした。上部を先端とし、先程まで三郎達がいた所に向けて突撃させたのだ。それは先程のタカタミの時と同じようにだった。数体の魔物が三郎達に肉薄していたが、トルネードがいなくなったのでお構いなしに進み、何とか正門の所に辿り着いた。
三郎は精霊術でリーナの体を若干浮き上がらせる感じで風を発生させた。そしてリーナがジャンプすると、必死に門を守る者達の頭上を飛び越えて中に入った。あちこちで治療待ちの兵士が、壁にもたれ掛かっていたりしてぐったりしているのが見て取れた。
すると歓喜が湧き上がった。
勿論そこを守っている者達からだ。
「神獣様とリセ様が戻られた!おおお!戦女神のリセ様だ!」
三郎は呟いた。
「お前って人気あるのな?」
「ふふふ。驚きなさい!私のこの美しさに皆心を奪われているのよ!」
「はぁ。自分で美しいとか言うか?まあ確かに喋らなけりゃ有り得ないくらいの美人さんなんだよな。残念さんだけど」
「ちょっと今何か失礼な事を言わなかった?」
「そうか?リセが美人で人気者なんだなって呟いただけだよ」
「あら、ありがとう。さあ登りましょうか?」
リーナは爪を立てて垂直の壁を登った。先の風がまだ続いているからできる荒業だ。
啞然と見ている兵士をよそにあっという間に上り詰めたのだ。
そこには魔物に攻撃をしている者達がいた。正門に魔物を近付けまいと必死に戦っていたのだ。
三郎はリーナから降りると周りをキョロキョロしていたが、いきなり3人に抱きつかれた。
勿論紗代子、ソフィア、アルテミスだ。そしてミライに方を貸してもらっているトニーが来た。3人は良かったと泣いていた。また、城壁の上にいた者達から熱烈に歓迎を受け、そして歓喜が湧き上がった。
「無事に戻ってこれて嬉しいよ。しかしあの包囲をよく突破してこれたね!」
「ははは。まあ無茶をしましたから。それより状況はあまり良くないようですね。よし、まずは門を塞ぐよ!」
皆がへっ?と何を言っているの?といった顔をしていたが、三郎は門を塞ぐべく、精霊術の発動準備に入るのであった。
1
あなたにおすすめの小説
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる