ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!

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第109話 決定! チーム・ソウルフードわ

 【冒険者ギルド・受付カウンター】
 ジェスロの案が全滅した後、他のメンバーも次々と案を出したが、状況は悪化する一方だった。
「では、『銀月の守護騎士団』というのはいかがかな?」
「堅苦しいわ、グラハム。却下」
「じゃあ、『爆裂紅蓮隊』ですわ!」
「暑苦しいわ、アリア。却下」
「『お掃除本舗』」
「ベルナ、わたくしたちは清掃業者じゃないのよ? 却下」
「……『骨』」
「ゼノビア、それは名前ですらないわ。却下」
 時刻は夕方。
 本来なら、依頼を終えた冒険者たちでごった返す「ゴールデンタイム」だ。
 しかし、受付業務は完全にストップしていた。
 死神ルーナがカウンターを占拠し、俺たちがその前でウンウンと唸っているせいで、後ろには長蛇の列ができていた。
 だが、誰一人として文句を言う者はいない。
 「早くしろ!」と怒鳴れば、その瞬間に死神の機嫌を損ね、首が飛ぶかもしれないからだ。
 (頼む……早く決めてくれ……!)
 (なんでもいい……もう『ポチ』でも『タマ』でもいいから……!)
 ギルドマスターを含む全員が、手を合わせて祈っていた。
 その悲痛な願いが天に届いたのか、それとも単にお腹が空いたのか。
 今まで黙っていたニーナが、ぽつりと呟いた。
「……『ソウルフード』」
 その言葉に、ルーナがピクリと眉を動かした。
「……ソウルフード?」
「はい。ルーナ様の『魂(ソウル)』と、先輩の美味しいご飯(フード)。……響きも、なんかかっこいいです」
 ニーナの天然な説明に、ルーナは顎に手を当てて考え込んだ。
「ふむ……。魂を喰らう(ソウル・フード)、とも取れるわね。死神であるわたくしが率いるに相応しい、獰猛さと哲学を感じるわ」
 いや、ニーナは多分そこまで考えてないぞ。単に腹が減っただけだぞ。
 だが、ルーナは満足げに頷いた。
「いいでしょう。採用よ」
 その瞬間、ギルド中から「おおぉぉぉ……!」という、感動と安堵の吐息が漏れた。
 こうして、俺たちのパーティー名は『ソウルフード』に決定したのだった。
 
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 ・
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 【3ヶ月後・ダンジョン深層】
 それから、3ヶ月が過ぎた。
 俺たち『ソウルフード』の毎日は、一言で言えば「地獄のスパルタ合宿」だった。
 最強のSランク冒険者ルーナが加入したことで、攻略速度は劇的に上がったが、同時に要求されるレベルも跳ね上がったのだ。
「ベルナ、盾の角度が甘い! 死ぬわよ!」
「アリア、詠唱が0.5秒遅い! 焼かれるわよ!」
「ジェスロ、指示を出しなさい! 止まったら全滅よ!」
 ルーナは、ただ後ろで腕を組んでいるだけではない。
 絶妙なタイミングで激辛な指導(罵倒)を飛ばし、俺たちが死にかけると最低限のフォローを入れて生還させる。
 まさに「死神教官」による実戦訓練。
 おかげで俺たちは、泥をすするような思いをしながらも、驚異的な成長を遂げていた。
 中層のジャングルを抜け、さらにその下の階層も突破し――。
 そして今。
 俺たちは、巨大な扉の前に立っていた。
「……ここか」
 目の前にあるのは、高さ10メートルはあろうかという、黒鉄の扉だ。
 表面には複雑な魔法陣と、6つの窪みが刻まれている。
 ルーナが、その扉を見上げて静かに言った。
「ええ。ここが、わたくしが一人では突破できなかった『嘆きの扉』よ」
 彼女ほどの力があっても、開くことができなかった場所。
 単純な戦闘力ではなく、ギミックによって「ソロ攻略」を拒絶する、ダンジョンの悪意そのもの。
「さあ、ジェスロ。ここからが本当の勝負よ」
 ルーナが俺を見て、ニヤリと笑った。
 3ヶ月の苦行を経て、ようやく俺たちは、最強の案内人が足止めされた場所へ追いついたのだ。
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