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第一章 冒険者編
第52話 リラの初冒険
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リラは新たなチャレンジとなる冒険活動への期待で心が躍っていた。もちろん魔物など殺したこともないし、そんなことをする日が来ようとは夢にも思わなかった。
ギルドマスターからの指示により、パワーレベリングを行い、魔物を倒すことによりレベルが上がれば鑑定能力が向上するか否かについて検証をすることになった。
それに伴い、正式に冒険者登録をし、受付業務は暫く休みとなった。
また、臨時とはいえ晶石の舞のメンバーとなることになった。
不安もあるが、その喜びはそれ以上だった。これまで蔑みの対象だったはずの、外れギフト持ちのロイのことを弟分と思っていたが、いつの間にか一人の男として見ていた。
彼女の容姿は数多の男の心を虜にしていたが、あくまで【容姿】に用があり、内面を見ようともしなかった。
そんな中、内面をしっかり見てくれ、あからさまに胸ばかり見てくる他の男とは違う接し方をしてくるロイに惹かれていた。
ロイと共に過ごせる喜びがリラの胸を満たし、その高鳴りを抑えることはできなかった。
冒険者としての新しい一歩、そしてこれから始まる新たな生活への期待が、彼女の心を躍らせていた。
ギルドの業務を終えて私服に着替えたリラは、ロイとのデートに心をときめかせていた。
少し丈の短いスカートと体のラインが出やすいピタリとしたブラウス。
見慣れたギルドの制服姿とはまた違う大人の姿に、ロイはドギマギしていた。15歳の少年からすれば2歳年上のリラは十分大人の女性だ。
つい見惚れていたロイに不満そうな顔をする。
「こら、ロイ君、何か言うこと無いの?女の子が私服姿で現れたんだよ!」
「あっ、うん。その、素敵です。ゴメンなさい。つい見惚れていました」
「もう少し気の利いた言葉が欲しかったぞ!ふふふ。まあ及第点ね。ほら何やってんの?ほら、腕を出しなさいな!」
彼女は積極的にロイの腕に自分の腕を絡ませた。
もちろん腕を組む以上、その腕に胸の感触が伝わるわけだが、ロイは緊張で体が思うように動かず、右腕と右足が同時に動いていた。
そんなロイの反応にリラはあえて突っ込まないが、ソニアは苦労しているんだろうなとつくづく思う。
町を歩きながら、これからの冒険について夢を語り合った。
「ねえロイ君、私たちのこれからの冒険、わくわくしない?」
リラは微笑みながら言った。
「もちろんだよ、リラ。君と一緒なら、どんな冒険も楽しみだよ」
少し落ち着いてきたロイは目を輝かせて答えたが、リラの突然の親密な行動にまだオロオロしていた。
いや、胸の幸せな感触が気になり会話に集中できない。
ウキウキとした気持ちを隠せないリラは、意気揚々と武具店へと向かった。冒険者としての装備は何ひとつとして持っていなかった。そのため、今日の目的は最低限の装備を揃えることだった。
ギルドマスターから、「装備を買ってこい」とお金を渡されていたのだ。
「ロイ、この剣、素敵じゃない?私たちの冒険にぴったりね。」
リラは武具を手に取り、言葉を続けた。
「リラのセンスはいつも素晴らしいよ。それに、君が選ぶなら間違いないさ。でも、剣は使えるの?」
ロイは笑顔でリラに答えたが、彼女の胸元に目が行ってしまい、慌てて視線を逸らした。
「あら、どこを見ているの?ロイ君も男の子ね。残念だけど、剣を握るのは初めてよ」
リラはからかうように言い、ロイの顔が赤くなるのを見て楽しそうに笑った。
「ソニアほどじゃないけど、私のも中々でしょ?」
更に赤くなるロイの様を見て、からかいたくなる気持ちを抑えるのに一苦労したが・・・
結局剣の扱いに慣れていないからと、軽量なモーニングスターと厚目の革の服、胸当てとローブ、旅用のブーツを選んだ。
翌日リラはギルドへと向かった。胸いっぱいの期待を抱きながらギルドに到着すると、ロイとソニアだけで、エリナ、ベリーズ、ミランダの姿はどこにもなかった。
昨日は大部屋を使いたいと言われ、部屋を分けることに。ロイとベリーズ、女子3人とにだった。
しかし、ロイが起きると既にベリーズの姿はなく、ギルドにもいなかったことからロイは落胆していた。
三人がブロンズランクに上るまでの臨時加入だったことを思い出したが、別れの言葉もなく去ってしまった彼らにロイは淋しさを感じていた。
「大丈夫よロイ、私たちにはこれからの冒険があるわ。新しい仲間もできるし、私たちは一緒に成長していくのよ。」
リラは優しく言ったが、今日3人が来られないことは知っているでしょうに?と変なロイ君だなと思うも、ロイの勘違いにソニアも気が付かなかった。
しかし、冒険は待ってはくれない。リラのパワーレベリングを目的として、ロイ、ソニア、そしてリラ自身の三人で出発することになった。目的地は、近くの森で、森に住まうモンスターたちを討伐することだった。リラは初めての戦闘に意気込んでいた。
森の中は予想以上に危険で、彼らは数多くのモンスターと遭遇した。
ゴブリン、オーク、ドッグ系などだが、単独でしか出なかった。
最初は慣れるまでと、ソニアが網で捕らえ、ロイが剣で倒したり見本を示し、午前中は魔石抜取りなどでパワーレベリングを図り、リラは違和感からレベルが上がったと思うと告げると、いよいよリラも直接魔物を殺すことに。
ロイとソニアのサポートのもと、リラは網に捕らわれた魔物を次々とモーニングスターを振るって倒していった。
戦闘を重ねるごとに、リラの動きはより機敏に、攻撃はより鋭くなっていった。
夕日が森をオレンジ色に染める頃、三人は無事任務を終えてギルドへと戻った。リラは冒険者としての一歩を踏み出し、新たな仲間たちと共に成長していく喜びを噛みしめていた。別れがあれば出会いもある。リラはこれから訪れる無数の冒険に胸を躍らせ、明日への希望を新たにしていた。
ギルドマスターからの指示により、パワーレベリングを行い、魔物を倒すことによりレベルが上がれば鑑定能力が向上するか否かについて検証をすることになった。
それに伴い、正式に冒険者登録をし、受付業務は暫く休みとなった。
また、臨時とはいえ晶石の舞のメンバーとなることになった。
不安もあるが、その喜びはそれ以上だった。これまで蔑みの対象だったはずの、外れギフト持ちのロイのことを弟分と思っていたが、いつの間にか一人の男として見ていた。
彼女の容姿は数多の男の心を虜にしていたが、あくまで【容姿】に用があり、内面を見ようともしなかった。
そんな中、内面をしっかり見てくれ、あからさまに胸ばかり見てくる他の男とは違う接し方をしてくるロイに惹かれていた。
ロイと共に過ごせる喜びがリラの胸を満たし、その高鳴りを抑えることはできなかった。
冒険者としての新しい一歩、そしてこれから始まる新たな生活への期待が、彼女の心を躍らせていた。
ギルドの業務を終えて私服に着替えたリラは、ロイとのデートに心をときめかせていた。
少し丈の短いスカートと体のラインが出やすいピタリとしたブラウス。
見慣れたギルドの制服姿とはまた違う大人の姿に、ロイはドギマギしていた。15歳の少年からすれば2歳年上のリラは十分大人の女性だ。
つい見惚れていたロイに不満そうな顔をする。
「こら、ロイ君、何か言うこと無いの?女の子が私服姿で現れたんだよ!」
「あっ、うん。その、素敵です。ゴメンなさい。つい見惚れていました」
「もう少し気の利いた言葉が欲しかったぞ!ふふふ。まあ及第点ね。ほら何やってんの?ほら、腕を出しなさいな!」
彼女は積極的にロイの腕に自分の腕を絡ませた。
もちろん腕を組む以上、その腕に胸の感触が伝わるわけだが、ロイは緊張で体が思うように動かず、右腕と右足が同時に動いていた。
そんなロイの反応にリラはあえて突っ込まないが、ソニアは苦労しているんだろうなとつくづく思う。
町を歩きながら、これからの冒険について夢を語り合った。
「ねえロイ君、私たちのこれからの冒険、わくわくしない?」
リラは微笑みながら言った。
「もちろんだよ、リラ。君と一緒なら、どんな冒険も楽しみだよ」
少し落ち着いてきたロイは目を輝かせて答えたが、リラの突然の親密な行動にまだオロオロしていた。
いや、胸の幸せな感触が気になり会話に集中できない。
ウキウキとした気持ちを隠せないリラは、意気揚々と武具店へと向かった。冒険者としての装備は何ひとつとして持っていなかった。そのため、今日の目的は最低限の装備を揃えることだった。
ギルドマスターから、「装備を買ってこい」とお金を渡されていたのだ。
「ロイ、この剣、素敵じゃない?私たちの冒険にぴったりね。」
リラは武具を手に取り、言葉を続けた。
「リラのセンスはいつも素晴らしいよ。それに、君が選ぶなら間違いないさ。でも、剣は使えるの?」
ロイは笑顔でリラに答えたが、彼女の胸元に目が行ってしまい、慌てて視線を逸らした。
「あら、どこを見ているの?ロイ君も男の子ね。残念だけど、剣を握るのは初めてよ」
リラはからかうように言い、ロイの顔が赤くなるのを見て楽しそうに笑った。
「ソニアほどじゃないけど、私のも中々でしょ?」
更に赤くなるロイの様を見て、からかいたくなる気持ちを抑えるのに一苦労したが・・・
結局剣の扱いに慣れていないからと、軽量なモーニングスターと厚目の革の服、胸当てとローブ、旅用のブーツを選んだ。
翌日リラはギルドへと向かった。胸いっぱいの期待を抱きながらギルドに到着すると、ロイとソニアだけで、エリナ、ベリーズ、ミランダの姿はどこにもなかった。
昨日は大部屋を使いたいと言われ、部屋を分けることに。ロイとベリーズ、女子3人とにだった。
しかし、ロイが起きると既にベリーズの姿はなく、ギルドにもいなかったことからロイは落胆していた。
三人がブロンズランクに上るまでの臨時加入だったことを思い出したが、別れの言葉もなく去ってしまった彼らにロイは淋しさを感じていた。
「大丈夫よロイ、私たちにはこれからの冒険があるわ。新しい仲間もできるし、私たちは一緒に成長していくのよ。」
リラは優しく言ったが、今日3人が来られないことは知っているでしょうに?と変なロイ君だなと思うも、ロイの勘違いにソニアも気が付かなかった。
しかし、冒険は待ってはくれない。リラのパワーレベリングを目的として、ロイ、ソニア、そしてリラ自身の三人で出発することになった。目的地は、近くの森で、森に住まうモンスターたちを討伐することだった。リラは初めての戦闘に意気込んでいた。
森の中は予想以上に危険で、彼らは数多くのモンスターと遭遇した。
ゴブリン、オーク、ドッグ系などだが、単独でしか出なかった。
最初は慣れるまでと、ソニアが網で捕らえ、ロイが剣で倒したり見本を示し、午前中は魔石抜取りなどでパワーレベリングを図り、リラは違和感からレベルが上がったと思うと告げると、いよいよリラも直接魔物を殺すことに。
ロイとソニアのサポートのもと、リラは網に捕らわれた魔物を次々とモーニングスターを振るって倒していった。
戦闘を重ねるごとに、リラの動きはより機敏に、攻撃はより鋭くなっていった。
夕日が森をオレンジ色に染める頃、三人は無事任務を終えてギルドへと戻った。リラは冒険者としての一歩を踏み出し、新たな仲間たちと共に成長していく喜びを噛みしめていた。別れがあれば出会いもある。リラはこれから訪れる無数の冒険に胸を躍らせ、明日への希望を新たにしていた。
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