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第二章 美容薬販売編

第74話 領主の娘レーナ

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 前日の反省もあるが、純粋に店が大きくなり、それに伴い客を入れるキャパが大きくなったのもあり混乱は少なかった。流石に領主の身内が直接それと分かる格好ではこなかったが、何とメイド服を着た御婦人がおり、ロイはため息を付いていた。

 なんでもこっそり見たかったらしく、すっかりヴィーナスラヴェールのファンになったのだとか。

「ここではなんですので、中にどうぞ」 

 ロイはバックヤードに領主の娘とその母親を連れて行く。

 番をしていたソニアが驚いていたが、娘の方に見覚えがあったようだ。

「お忍びですか?」

「あら貴女、この格好で良く分かりましたね。なるほど。ふむふむ。これはおもしろいことになりそうね。しかしよく翌日に再開できましたわね」

「向こうの片付けに人を貸していただいたものですから。助かりました」

「ところでヴィーナスラヴェールはどれくらい持つのかしら?」

「少なくとも一ヶ月は持ちます」

「そう。でしたら使用人に買わせるので王都に送ってもらうことは可能なようね」

「あらあら。レーナったらすっかり気に入ったのね。そばかすも消えましたものね。ところでこの子の話しから王都で販売はしないのかしら?」

 ロイは少し考えた。

「どうでしょう?容器の入手と販売経路に難があります。ただ、生産の方はまだ余力があるのはあのですが」

「でしたらバーモント商会の店で扱ってもらいなさいな。そうすればこの子も魔法学園にいながら購入できると言うものですわ」

「魔法学園ですか・・・しかし、私たちが頼んでも会長と話しは中々出来ないのが現実です」 
 
「ご安心なさい。私が誰なのか分かっているのでしょ?そうねぇ、夕方には彼の方から来ると思いますわ」

「そうそう、他に何か面白いものはないのかしら?」

「そうですね。実は焼け跡から発見されたスライムがあり、まだ安全性が分かりませんが性質が変わっていました。今後面白い効果が発見できるかもですが、この上級回復ポーションの材料となる体液は喉ごしがよくて美味しいですよ。そのまま飲むと初級回復ポーションの効能までありますので、万が一の時用にお持ちになるのも宜しいかと」

「今飲めるのかしら?」

 準備しますと言って、道具を使い、抜き取ったスライムの体液をソニアを含め4つのグラスに注いだ。

「これがそうです。毒味が必要でしょうから、私とソニアに一つずつ飲む分を指定して下さいますか?」

 そう言うと、指定してきたのでロイとソニアは飲もうとしたが、口を付ける直前に腕を掴まれた。

「そちらを頂きます」

 そう言って娘の方が奪うと、一気に飲み干した。

「お、美味しいですわね!お母様もお飲みになって!」

 やはりソニアが口を付ける直前のをひょいと奪うように取ると、母親に渡す。

「凄いわね。癖になりそうね」

「ただ、大量に飲むと下痢を引き起こすのでグラス二杯が限界なんですけどね。ただ、適量を飲むとお通じも良くなるんですよ」

「売っては頂けますの?」 

「もちろん。しかし、まだ商品化前ですので水筒にお入れしてお渡しします」

 ロイはソニアの収納から出した水筒に体液を入れ、魔石を入れた。

「魔石を入れておくと一月は持ちます。ですのでこちらは王都に戻った以降も大丈夫かと」
 
 親子は満足そうにしていたが、店の外から騒ぎが聞こえて来かたと思うと、ミランダが駆け込んできた。
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