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十 マッサージ
しおりを挟む吉永はぜえぜえと息を切らしながら、顔を朱に染めている。ヒクヒクと震える肉ヒダと、ピクンと跳ねる身体。言い様のない色香が、むわっと立ち上っているように思えて、ゴクリと喉を鳴らす。
明らかなる挑発。どういうつもりなのかは明白だ。吉永は俺を誘惑している。
吉永の痴態を見ただけだと言うのに、既に下腹部では硬く主張している。理性を保とうとシーツをグッと握りしめる。
「吉、永……」
どういうつもりだと、目線で問いかける。吉永は赤い舌を見せてニンマリと嗤う。
「マッサージ、してくれるんだろ?」
「―――」
思わず、絶句する。
吉永の手がアナルに伸びる。ここに欲しいと指を這わせて、俺を誘う。
「……痛いのは腰じゃなかったっけ?」
興奮を悟られぬように、わざと話題を逸らす。だが、目線は外せていない。
「迎え酒みたいなもんよ」
どういう理屈だ。
「なるほどね」
敢えて突っ込まずに、興味なさそうにしてみれば、吉永は不満そうに顔を近づける。
「航平」
嫌なの? そんな風に、瞳が訴えている。甘えた声に、不覚にもぐらついた。くそ。
無言で吉永の肩を掴み、ベッドに押し倒す。
「……マッサージ。マッサージだからな」
負け惜しみのようにそう言うと、吉永はくはっと笑った。
既に準備してあったようで、穴は柔らかく解れている。面倒がないのは良いが、俺にアレコレさせたくないということだろうか。
(俺はアレコレすんの、好きなんだけど……)
まあ、男相手に何をすれば良いのかは、解ってないんだけどな。吉永は相変わらず、下半身を脱いだだけ、最低限の姿だ。AVを見せてきた時もそうだが、俺に萎えられたくないんだろう。こっちは不思議と萎えないんだが。
据え膳をお膳立てされた上、散々煽られた後だ。遠慮せずに行くことにする。スエットをずらして半勃ちの性器を取り出し、アナルに押しつける。
「んぁ……」
期待した顔で、吉永が鳴く。ぬるぬると入り口を尖端で擦ってやると、途端に蕩けた顔をした。
ゆっくりと、先端を穴に埋める。肉輪を押し拡げ、ぬぷっと肉棒を沈めていく。挿入しているのはこちらなのに、呑み込まれて行くようだ。口を空けた穴が、貪欲に俺に食らいつく。
「っ、く……」
鈴口を押し込み、そのまま奥へと入っていく。抵抗するように内壁が蠢く。ナカは熱く、気持ちいい。
グッと最奥まで押し込み、ピタリと尻に腿をくっつける。吉永が小さく痙攣した。
「あ、あ――っ……ん……」
ドクドクと、繋がった部分が脈打つ。吉永は半開きになった唇から、甘い声を漏らした。
「ぃ、う……、っ……航平……」
「挿入れただけで、良さそうじゃん」
「ぅ、ん……、気持ち、い……」
惚けた顔でそう言う吉永に、ドキリ心臓が鳴る。普段はムカつくのに、こういう吉永はエロいと思う。
吉永の脚を掴み、腰を動かす。最初はゆっくりと、内部を味わうように動かしてやる。
「ん……、は、っ……」
引き抜くと、引き留めるように吉永が吸い付く。また挿入するときは、緩く。
(……わざと、やってんだよな……)
ゾクゾクと、背筋が粟立つ。無意識かも知れないが、淫靡に動く内部に、興奮して頭がクラクラする。
ずぷ、ずぷと腰を打ち付ける度に、吉永は全身で快感を味わっているようだった。
「ふ、ぁ……、んっ、あ、あっ……」
吉永の性器も勃起して、揺さぶる度に前後に動く。ふと、シーツに転がったままのローターに気がついて、手を伸ばした。スイッチを入れると、ヴヴヴと小さく振動する。
「……んぅ?」
夢中になっていた吉永が、音に気づいて目蓋を開く。
俺はローターを、吉永の性器に押し当てた。
「ひぁっ!! あっ、あ、航平っ……! なに、す」
「良い声で鳴くじゃん」
「ん、あ、ばかっ……」
吉永の頬が、赤く染まる。ビクビクと腰を捻りながら、快感に悶える姿に、グリグリとローターを押しつけた。
「あっ、あ、んっ、それっ……、ダメっ……!」
「嫌じゃねーだろ?」
「ひぅっ!」
白い喉を晒して、吉永が悶える。眦に涙が浮かんでいた。
(……吉永を虐めんの、クセんなる……)
普段はやられっぱなしだが、ベッドの上では逆転する。その状況が、余計に愉しくなる。
腰の動きを早くして、何度も突き上げる。吉永の脚がシーツを蹴った。
「っ、吉永……」
「あ、あっ……、あ、ああっ!」
激しく身体を震わせて、俺と吉永は同時に白濁を吐き出した。
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