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赤い服の女⑧ ノブの目線

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-信之-
健太とも別れ家に着いて何気なしにスマホを見ると朱美からLINEが来ていた。

『美優と少し喋ってから帰るね』
 
なるほどじゃあ俺はゆっくりしようかな。
そう思って朱美に
『じゃあ風呂でも入ってゲームでもしてるからまた連絡してきてくれ』
そうLINEを送りソファに寝転がった。
 
そしていつの間にか眠ってしまった。
 
ふと目を覚ましスマホの画面を確認する。
 
「2時間ぐらい寝てた」
ボーッとしながらそう呟く。
 
もう一度スマホの画面を見るが朱美からの連絡はまだ無かった。
 
『健太が朝方に起こすからリズムが狂ったな』
そう思いながらボーッとテレビを見てる。
 
すると
『ピロリロリン🎶ピロリロリン🎶』
突然スマホが鳴った
 
「びっくりした」
そう呟き電話に出る。
 
「はい」
 
「あっノブ。ごめんごめん。今美優の家で喋っててさぁ、」
 
「おっそうなんだ。LINEじゃなくて電話やったからびっくりしたわ」
 さりげなく会話しながら徐々に目を覚ましてくる。

「それで、えっとね・・・う~んと・・・・・・」
なんか朱美にしては珍しく言いにくそうにしてる。
 
何か健太の事で気に入らない事でもあったんだろうか?
そんな不安な気持ちにさいなまれていると、
 
「なんて言ったらいいかなぁ?え~と・・・」

さぁ健太の至らない所があったなら言ってくれ。ちゃんと注意しとくから。
そう思い待ち構えていると、
 
「健太君から赤い服着た女の霊の事、聞いた事ない?」
 
!?
突然、予想だにしない質問が来た。
 
「えっ!?女の霊?女の影とかじゃなくて?何それ!?」
寝起きで突拍子も無い質問が来たからパニックになる。
 
「えっいや、違う違う、ごめんて」
朱美が慌てて謝るが、冷静に考え直すと
 
「いや、待てよ。健太最近、赤い服着た女の霊に追いかけられる夢にうなされてたみたいやぞ」
昨日もその夢にうなされて、起きたぐらいやからな。
でも何故朱美が『赤い服の女』 の事を知ってる?

「えっ・・・そうなん?・・・ちょっと待って、また後でかけるから」
そう言って朱美は電話を切った。
 
俺は今になって震えてきた。
俺と健太しか知らないはずの話を何故朱美が知っているのか?
 
でも少し冷静になって考えると
『ひょっとしたら健太が美優ちゃんにLINEで伝えたのかもしれないな。だとしたら朱美が知ってるのもうなずける』
 
そう思っていると朱美から電話がかかってきた。
「あっノブ。今美優もいるんだけどスピーカーにして3人で話してもいい?」
珍しい提案に若干戸惑いながらも了承した。
 
「ノブ君こんばんは。今日はありがとうね。」
美優ちゃんが丁寧にお礼を言ってくる。
 
「いやいや、こちらこそありがとう。健太も楽しかったみたいやで」
こちらも在り来りな言葉ではあるがお返しをする。
 
「本当に?健太君楽しんでくれてた?」
スマホ越しにも美優ちゃんが喜んでくれてるのが伝わる。
 
あれ!?
今の流れからして美優ちゃんと健太はまだLINEしてない?
 
そんな疑問が浮かんだ時
「ねぇノブ。美優の話聞いてくれる?」
朱美がわりと真剣なトーンで言ってくる。
 
この時既に胸がざわついていた。
 
「ノブ君実は私ね・・・」

そこから美優ちゃんが子供の時、霊が見えてた事、年を重ねる毎にそれは徐々に見えなくなってきた事、そして健太の後に赤い服の女の霊が憑いていた事を話してくれた。
 
「マジか・・・」
それ以上、俺は言葉を失っていた。
 
「ねぇノブ君。赤い服の女の夢で健太君がうなされてたって本当なの?」
美優ちゃんは心配そうに聞いてくる。
 
「そうそう。しかもその夢2日続けて見てるらしい。だいたい健太が異変を感じたのは、前に山道の先にあった駐車場に行った頃かららしい」
そう言いながら健太が話してた2日続いた夢の話や山道の先に行った話をしていた。
 
 
・・・「そうなの?2日にかけて赤い服の女に追いかけられる夢見るなんて気味悪過ぎる」
さすがに朱美も驚いているようだった。
 
「そうなんだよ。しかもその話は俺と健太しか知らないはずなのに朱美が赤い服の女の話をしてきた時には寒気が凄かったよ」
 俺はそう言いながらもいまだに寒気がする。
 
「そういう事とか色々な事を総合すると美優の話の信ぴょう性がますます高くなるね」
 
その意見には俺も納得だった。
 
「ねぇノブ君。その山の駐車場に行った時の事。佐和子って人、ノブ君から見てもおかしかった?」
美優ちゃんが落ち着いた感じで聞いてくる。
 
「う~ん。その時は俺は特に何も感じなかったけど健太から話聞くとおかしいとは思うよ。泰文やすふみの事君付けで呼んだり、自分の事ウチとか言ったり、健太の後に乗せて、とか言ったり」
健太から聞いた佐和子の異変を色々並べていると
 
「へ!?何それ!?そんな事言ってたの!?」
明らかに美優ちゃんのトーンが変わる。
 
「う~ん、そうみたいなんだ。俺達は全然気付いてなかったんだけど佐和子が自分の事ウチとか言ってるの聞いた事ないしなぁ」
 
「へ~・・・・・・健太君のとか聞いてたんだ。」
 
スマホの向こう側からでも美優ちゃんの真剣さが伝わってくる。
  
「ねぇノブ君。その佐和子って子どんな子なの?」
  
「ん?佐和子?えっと背はちっちゃくて可愛らしい感じの子かな?」
 
「へぇ・・・そうなんだ。ちっちゃくてんだ」

「そうそう。それに健太って基本的に彼女以外の女の子は後に乗せないんだ。皆それを知ってるはずだし」
 
「へぇ・・・それなのに図々しく後に乗せろだって!?・・・それっておかしな話よね・・・」
美優ちゃんは1つ1つ確認する様に静かに言う。

「そうなんだよ。だからもしあの時佐和子が取り憑かれたりしてたんなら、これからも健太を佐和子には近ずけたりしない方がいいんかな、とか思うねんけどなぁ」
 
「えっ!?何!?まだ近ずこうとしてるの?絶対に近ずけちゃダメだよ!!絶対に!!」
美優ちゃんの口調がさっきまでと違ってキツくなってる。
余程健太の事を心配してくれてるんだな。
そう思うと俺は少しだけ安心していた。

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