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再会⑧
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自信に満ちた笑みを見せるフェリクスを他所に議会はざわついていた。眉根を寄せて困惑の表情を見せる者や片方の口角を上げて苦笑いを浮かべる者。皆様々な表情を見せている。
「フェリクス特務大尉、確認だがそれは君とそのセシル・ローリエという方がいればなんとかなるという意味かな?」
少し戸惑い気味に国王が尋ねるとフェリクスはしたり顔で頷く。
「ええ、そうですね。いいですか? 今世界連合軍は包囲網を狭めながら侵攻して来ています。自分としてはまず東側の街ラブカから突破口を見つけるつもりです」
そう言ってフェリクスが地図を指し示す。
現在、ルカニードの南側より侵攻して来た世界連合は包囲網を狭めながら侵攻して来ており、ルカニードの王都から見ると扇状の包囲網が徐々に迫って来ていた。世界連合とルカニードの攻防は大きく分けて六ヶ所で行われており、フェリクスが言う東側の街ラブカは王都から見て左側から二番目の戦場にあたる場所だった。
「このラブカは地形的に守備がしやすい場所です。まずはラブカを攻めてる世界連合軍を蹴散らし包囲網に穴を空けます。そこから一気に反撃攻勢に出て敵の侵攻の足を止めます」
「口で言うのは簡単だが勝算はあるのか?」
「勿論です。お任せいただければまずはラブカを攻めてる連中を蹴散らして来ますよ」
揺るぎない自信を見せるフェリクスに対して国王は笑みを見せて二度三度と頷いた。
「よし、この王都に残留している兵士二千人をフェリクス特務大尉に預ける。今日中に兵士を集え。選りすぐりの兵を預けるからフェリクス特務大尉はその部隊を率いてラブカを必ず守って見せよ」
戸惑う将校もいたが国王の力強い命令に異議を唱える者はおらず、フェリクスは力強い敬礼をして部屋を後にした。部屋を出ると外で待機していたライデルがすぐに駆け寄って来る。
「ライデル、今回は君にも志願兵として手伝ってもらいたいんだが」
「勿論です。再び大佐の元で戦えるなら喜んでついて行きます」
「そうか、有り難い。ただ今は特務大尉だ、間違わないでくれ混乱を招く」
「はっ、失礼しました」
ライデルを横に従え、笑みをまじえながらも力強い足取りで廊下を進んで行く。再びリオの病室に辿り着いた二人は軽くノックして扉を開けた。
中に入るとセシルとリオが談笑しており、二人を残して出て行った時の少し重苦しい雰囲気は既に消えていた。
「今国王達とこれからについて話してきた。突然だが明日、兵士二千人を率いてラブカ防衛戦に参加する。セシルには重大な役を引き受けてもらいたいんだが」
二人の横に立ち、フェリクスがセシルの方を見つめながら言うとセシルは微笑みしっかりと頷く。
「OK任せといて。ここ数日は調子良いからなんでもこなせそう」
セシルが明るく笑うとベッドで横になっていたリオが再び体を起こした。
「大尉、私も御一緒します」
「リオ君はまだ駄目だ。そんな身体で前線に出す訳にはいかない」
「嫌です、ついて行きます。こんな時だけ私を除け者にしないで下さい」
「除け者にしたい訳じゃない。だがその怪我で無理させる訳にはいかないだろ」
「嫌です。それに前線に出て戦うつもりはありません。後方から鷹の目で戦場を見て皆に指示を出すだけです。何より貴方の復帰戦に私を置いて行くなんてあんまりじゃないですか?」
ベッドの上で笑みを浮かべながら力強い眼差しを向けて頑として譲ろうとしないリオを見てフェリクスは一度目を瞑るとため息をつき、軽い笑みを浮かべた。
「わかった、確かに君の言う通りだな。だが無理はするなよ。ライデル、君の仕事も確定だ。何があってもリオを守れ」
「了解しました。お任せ下さい、必ず守り抜きます」
「また貴方か。ふふ、まぁ今度こそはちゃんと最後まで守ってね」
力強く敬礼するライデルを見ながらリオは軽くため息をつきながら微笑む。
「時間がないからすぐに準備に取り掛かる。ライデルはバトルスーツを受け取ったら慣らしておいてくれ。セシルは特別製のバトルスーツを渡すから一緒に来てくれ」
フェリクスの指示を受け、皆リオの病室を後にした。フェリクスはセシルを連れて臨時で用意された部屋へと向かう。
「私の特注バトルスーツは何処にあるの?」
「今ユウナが俺のラボに取りに行ってくれている。届いたらすぐに使い方を教えるよ」
「そっか、じゃあ届くまでは少し休憩かな」
そう言うと少し甘えたようにフェリクスの首に手を回す。フェリクスも少し戸惑ったが満更でもない笑みを見せると立ったまま見つめ合いお互いの顔の距離を近付けていく。
「大尉、最速で取ってきました!……あっ、」
突然部屋の扉が開き、元気よくユウナが飛び込んで来るとフェリクスとセシルが目を見開いて振り返った。そんな二人を見てユウナも思わず口を押さえて止まってしまう。
「あ、あの、ごめんなさい。私、間が悪かったですね」
「い、いや、最速で戻って来てくれて助かったよ。ただ次から部屋に入る時はノックしてくれると助かるかな」
目線を逸らしながら照れ笑いを浮かべて謝罪するユウナにフェリクスが少しバツが悪そうに語り掛ける。
ユウナは頼まれていたバトルスーツをフェリクスに手渡すとすぐに部屋を後にした。セシルは二人きりの時間を邪魔されたからなのか、それともただ単に恥ずかしかったのか片手で頭を抱えながらはにかんだ様な笑みを浮かべていた。
「フェリクス特務大尉、確認だがそれは君とそのセシル・ローリエという方がいればなんとかなるという意味かな?」
少し戸惑い気味に国王が尋ねるとフェリクスはしたり顔で頷く。
「ええ、そうですね。いいですか? 今世界連合軍は包囲網を狭めながら侵攻して来ています。自分としてはまず東側の街ラブカから突破口を見つけるつもりです」
そう言ってフェリクスが地図を指し示す。
現在、ルカニードの南側より侵攻して来た世界連合は包囲網を狭めながら侵攻して来ており、ルカニードの王都から見ると扇状の包囲網が徐々に迫って来ていた。世界連合とルカニードの攻防は大きく分けて六ヶ所で行われており、フェリクスが言う東側の街ラブカは王都から見て左側から二番目の戦場にあたる場所だった。
「このラブカは地形的に守備がしやすい場所です。まずはラブカを攻めてる世界連合軍を蹴散らし包囲網に穴を空けます。そこから一気に反撃攻勢に出て敵の侵攻の足を止めます」
「口で言うのは簡単だが勝算はあるのか?」
「勿論です。お任せいただければまずはラブカを攻めてる連中を蹴散らして来ますよ」
揺るぎない自信を見せるフェリクスに対して国王は笑みを見せて二度三度と頷いた。
「よし、この王都に残留している兵士二千人をフェリクス特務大尉に預ける。今日中に兵士を集え。選りすぐりの兵を預けるからフェリクス特務大尉はその部隊を率いてラブカを必ず守って見せよ」
戸惑う将校もいたが国王の力強い命令に異議を唱える者はおらず、フェリクスは力強い敬礼をして部屋を後にした。部屋を出ると外で待機していたライデルがすぐに駆け寄って来る。
「ライデル、今回は君にも志願兵として手伝ってもらいたいんだが」
「勿論です。再び大佐の元で戦えるなら喜んでついて行きます」
「そうか、有り難い。ただ今は特務大尉だ、間違わないでくれ混乱を招く」
「はっ、失礼しました」
ライデルを横に従え、笑みをまじえながらも力強い足取りで廊下を進んで行く。再びリオの病室に辿り着いた二人は軽くノックして扉を開けた。
中に入るとセシルとリオが談笑しており、二人を残して出て行った時の少し重苦しい雰囲気は既に消えていた。
「今国王達とこれからについて話してきた。突然だが明日、兵士二千人を率いてラブカ防衛戦に参加する。セシルには重大な役を引き受けてもらいたいんだが」
二人の横に立ち、フェリクスがセシルの方を見つめながら言うとセシルは微笑みしっかりと頷く。
「OK任せといて。ここ数日は調子良いからなんでもこなせそう」
セシルが明るく笑うとベッドで横になっていたリオが再び体を起こした。
「大尉、私も御一緒します」
「リオ君はまだ駄目だ。そんな身体で前線に出す訳にはいかない」
「嫌です、ついて行きます。こんな時だけ私を除け者にしないで下さい」
「除け者にしたい訳じゃない。だがその怪我で無理させる訳にはいかないだろ」
「嫌です。それに前線に出て戦うつもりはありません。後方から鷹の目で戦場を見て皆に指示を出すだけです。何より貴方の復帰戦に私を置いて行くなんてあんまりじゃないですか?」
ベッドの上で笑みを浮かべながら力強い眼差しを向けて頑として譲ろうとしないリオを見てフェリクスは一度目を瞑るとため息をつき、軽い笑みを浮かべた。
「わかった、確かに君の言う通りだな。だが無理はするなよ。ライデル、君の仕事も確定だ。何があってもリオを守れ」
「了解しました。お任せ下さい、必ず守り抜きます」
「また貴方か。ふふ、まぁ今度こそはちゃんと最後まで守ってね」
力強く敬礼するライデルを見ながらリオは軽くため息をつきながら微笑む。
「時間がないからすぐに準備に取り掛かる。ライデルはバトルスーツを受け取ったら慣らしておいてくれ。セシルは特別製のバトルスーツを渡すから一緒に来てくれ」
フェリクスの指示を受け、皆リオの病室を後にした。フェリクスはセシルを連れて臨時で用意された部屋へと向かう。
「私の特注バトルスーツは何処にあるの?」
「今ユウナが俺のラボに取りに行ってくれている。届いたらすぐに使い方を教えるよ」
「そっか、じゃあ届くまでは少し休憩かな」
そう言うと少し甘えたようにフェリクスの首に手を回す。フェリクスも少し戸惑ったが満更でもない笑みを見せると立ったまま見つめ合いお互いの顔の距離を近付けていく。
「大尉、最速で取ってきました!……あっ、」
突然部屋の扉が開き、元気よくユウナが飛び込んで来るとフェリクスとセシルが目を見開いて振り返った。そんな二人を見てユウナも思わず口を押さえて止まってしまう。
「あ、あの、ごめんなさい。私、間が悪かったですね」
「い、いや、最速で戻って来てくれて助かったよ。ただ次から部屋に入る時はノックしてくれると助かるかな」
目線を逸らしながら照れ笑いを浮かべて謝罪するユウナにフェリクスが少しバツが悪そうに語り掛ける。
ユウナは頼まれていたバトルスーツをフェリクスに手渡すとすぐに部屋を後にした。セシルは二人きりの時間を邪魔されたからなのか、それともただ単に恥ずかしかったのか片手で頭を抱えながらはにかんだ様な笑みを浮かべていた。
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