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復活⑮
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「私は大尉の命令通りに戦場全体の情報収集を一番に考えていました。そんな時、私の常識では考えられないような巨大な飛空艇が飛来したのです。大きさはルカニード最大級の飛空艇の三倍程でした。見た事もない巨大な飛空艇の襲来に私は危機を感じ、持ち場を離れて中央エリアの方へと移動しました」
アイリーンの雷神聖鉄槌の影響でいまだ体が言う事をきかない中、フェリクスはリオの説明を必死に頭で整理する。
「飛空艇から降りてきた奴らは見た事ない格好をしていましたし、何より獣人のような奴らもいました。そいつらは世界連合の奴らと交戦になり、向こうの戦場は混沌な状態でしたよ。それを伝えようと必死でこっちに向かっている時、巨大な火球が大尉達のいる方向へ飛んで行くのがわかって急いで駆けつけたんです」
「ちょっと待ってくれ。向こうの戦場は今どうなってるんだ?」
「離れ過ぎてるんでここからは見えませんが、恐らく相当現場は混乱していると思われます。ただ幸か不幸か、奴らが世界連合とやり合ってくれてるんで侵攻は今は止まっているかと」
リオの情報を聞きフェリクスは思案に暮れる。謎の軍隊の参戦。しかも世界連合とやり合っている。ルカニード王国は中立国だ、友軍の話など聞いた事もない。世界連合とまともにやり合おうなんて国はルカニードかラフィンぐらいだ。それに獣人?
どれ程考え込んでも答えを導き出せそうになかった。
「当事者に聞いてみるしかないか」
ようやく動くようになった体を起こし立ち上がる。向こうではジョシュアが飛びかかるも軽くあしらわれていた。
「よう、仮面の兄さんよ、第二ラウンドと行きたいんだが」
フェリクスが徐に立ち上がり声を掛けると、男は振り向き口角を上げた。
「そうか、遠慮せずに全員でかかって来るがいい」
「そうかい、なら遠慮なく、と言いたい所なんだがその前にお前は一体何者だ? 目的はなんだ?」
フェリクスの問い掛けに一瞬、全員の動きが止まる。すると男は距離をとった。
「なるほど、確かにそうか。まずは名乗っておこうか」
男は頷き全員を見渡す。アイリーンもセシルもジョシュアも、勿論フェリクスも全員の視線が集まる。敵であるとはいえ、これ程の男が一体何者なのか? 何の目的があって参戦したのか? 今後を見据える為にも男の正体は知っておきたかった。
「我が名はシャリア。いつまでも愚かな争いを繰り返す貴様ら人類を滅ぼし、世界を終わらす者だ。さぁかかって来い」
「はっ、シャリアか。今までシャリアの生まれ変わりだなんだとほざく奴らは五万と見てきたわ『雷神槍』」
割って入るようにアイリーンが電撃を放つが、男は余裕を持ってそれを躱すと更に距離を取り笑みを浮かべる。
「生まれ変わりではなく本人だと言っているんだがなぁ」
「尚更信じられるかよ。四百年前に死んだ奴がいる訳ねぇだろ」
ジョシュアが叫ぶが、確かにその通りだった。四百年前に死んだシャリアがいる訳がない。全員そう思っていたが、今目の前にいる男の力が尋常ではない事もまた事実。頭ではわかっているが全員何処か完全には否定出来ずにいた。
「まぁいい。ならば少しだけ本気を見せてやろうか」
そう言って男が腕を横に振るうと火竜が吠えた。大きくその口を開けると、みるみる炎が集束していき、高密度の火球を作り上げる。
「確かあっちでも戦っていたよな?」
男が振り向き仮面からのぞく口元に笑みを浮かべる。男が振り向いた方向は本来フェリクス達が交戦していた場所。即ちヴェルザードやワンドリー達が戦っている場所だった。
「おい、何するつもりだ!?」
「何って攻撃だろ。私の復活を祝して派手に行こうじゃないか。撃て火竜よ、高熱爆炎地獄」
男の命により放たれた火球は光を帯びて、糸を引く様に一直線に本隊が激戦を繰り広げている方向へと向かって行く。
次の瞬間、本隊がいた場所にドーム状の爆発が起こると、凄まじい爆音と共に熱風が襲い来る。離れていてもわかる爆発とその威力にその場にいた全員が呆気に取られていた。
「くそっ、リオすぐに向かって被害を確認してきてくれ」
「はい、了解しました」
フェリクスから命じられリオがすぐさま駆け出して行く。リオを見送り、振り返ったフェリクスの表情は怒りに満ち溢れていた。
「貴様がシャリアであろうと誰であろうと敵である事には変わりない。敵は排除するのみ」
「自分が誰だと聞いてきたんだろうが」
少しうんざりしたように呟いた男にフェリクスが斬り掛かる。
斬り掛かったフェリクスの剣を男がひらりと躱すと右手を振るい炎を放つ。炎に包まれたフェリクスだったが、それでも構わず剣を振るい続けた。
フェリクスと男が激闘を繰り広げるが、攻めるフェリクスの剣を男が余裕を持って躱し続けているようだった。そこに更にジョシュアとアイリーンも剣を握り締め参戦する。
三人による連撃。流石に男からは余裕は感じられなくなっていた。
「流石に鬱陶しいな。来い火竜」
男の命に火竜が反応する。火竜は男もろとも三人を飲み込んだ。たまらずジョシュアとアイリーンが身に移った炎を消すように転がりながら離れるが、フェリクスだけは炎に包まれながらも剣を振るった。
「フェリクス! 風よ」
援護に入るタイミングを見計らっていたセシルが慌てて突風を放つと、フェリクスを包んでいた炎を吹き消した。
「はぁ、はぁ、このメンツでやってまともに捉えきれないとはな」
肩で息をしながらフェリクスが呆れたように呟く。
アイリーンの雷神聖鉄槌の影響でいまだ体が言う事をきかない中、フェリクスはリオの説明を必死に頭で整理する。
「飛空艇から降りてきた奴らは見た事ない格好をしていましたし、何より獣人のような奴らもいました。そいつらは世界連合の奴らと交戦になり、向こうの戦場は混沌な状態でしたよ。それを伝えようと必死でこっちに向かっている時、巨大な火球が大尉達のいる方向へ飛んで行くのがわかって急いで駆けつけたんです」
「ちょっと待ってくれ。向こうの戦場は今どうなってるんだ?」
「離れ過ぎてるんでここからは見えませんが、恐らく相当現場は混乱していると思われます。ただ幸か不幸か、奴らが世界連合とやり合ってくれてるんで侵攻は今は止まっているかと」
リオの情報を聞きフェリクスは思案に暮れる。謎の軍隊の参戦。しかも世界連合とやり合っている。ルカニード王国は中立国だ、友軍の話など聞いた事もない。世界連合とまともにやり合おうなんて国はルカニードかラフィンぐらいだ。それに獣人?
どれ程考え込んでも答えを導き出せそうになかった。
「当事者に聞いてみるしかないか」
ようやく動くようになった体を起こし立ち上がる。向こうではジョシュアが飛びかかるも軽くあしらわれていた。
「よう、仮面の兄さんよ、第二ラウンドと行きたいんだが」
フェリクスが徐に立ち上がり声を掛けると、男は振り向き口角を上げた。
「そうか、遠慮せずに全員でかかって来るがいい」
「そうかい、なら遠慮なく、と言いたい所なんだがその前にお前は一体何者だ? 目的はなんだ?」
フェリクスの問い掛けに一瞬、全員の動きが止まる。すると男は距離をとった。
「なるほど、確かにそうか。まずは名乗っておこうか」
男は頷き全員を見渡す。アイリーンもセシルもジョシュアも、勿論フェリクスも全員の視線が集まる。敵であるとはいえ、これ程の男が一体何者なのか? 何の目的があって参戦したのか? 今後を見据える為にも男の正体は知っておきたかった。
「我が名はシャリア。いつまでも愚かな争いを繰り返す貴様ら人類を滅ぼし、世界を終わらす者だ。さぁかかって来い」
「はっ、シャリアか。今までシャリアの生まれ変わりだなんだとほざく奴らは五万と見てきたわ『雷神槍』」
割って入るようにアイリーンが電撃を放つが、男は余裕を持ってそれを躱すと更に距離を取り笑みを浮かべる。
「生まれ変わりではなく本人だと言っているんだがなぁ」
「尚更信じられるかよ。四百年前に死んだ奴がいる訳ねぇだろ」
ジョシュアが叫ぶが、確かにその通りだった。四百年前に死んだシャリアがいる訳がない。全員そう思っていたが、今目の前にいる男の力が尋常ではない事もまた事実。頭ではわかっているが全員何処か完全には否定出来ずにいた。
「まぁいい。ならば少しだけ本気を見せてやろうか」
そう言って男が腕を横に振るうと火竜が吠えた。大きくその口を開けると、みるみる炎が集束していき、高密度の火球を作り上げる。
「確かあっちでも戦っていたよな?」
男が振り向き仮面からのぞく口元に笑みを浮かべる。男が振り向いた方向は本来フェリクス達が交戦していた場所。即ちヴェルザードやワンドリー達が戦っている場所だった。
「おい、何するつもりだ!?」
「何って攻撃だろ。私の復活を祝して派手に行こうじゃないか。撃て火竜よ、高熱爆炎地獄」
男の命により放たれた火球は光を帯びて、糸を引く様に一直線に本隊が激戦を繰り広げている方向へと向かって行く。
次の瞬間、本隊がいた場所にドーム状の爆発が起こると、凄まじい爆音と共に熱風が襲い来る。離れていてもわかる爆発とその威力にその場にいた全員が呆気に取られていた。
「くそっ、リオすぐに向かって被害を確認してきてくれ」
「はい、了解しました」
フェリクスから命じられリオがすぐさま駆け出して行く。リオを見送り、振り返ったフェリクスの表情は怒りに満ち溢れていた。
「貴様がシャリアであろうと誰であろうと敵である事には変わりない。敵は排除するのみ」
「自分が誰だと聞いてきたんだろうが」
少しうんざりしたように呟いた男にフェリクスが斬り掛かる。
斬り掛かったフェリクスの剣を男がひらりと躱すと右手を振るい炎を放つ。炎に包まれたフェリクスだったが、それでも構わず剣を振るい続けた。
フェリクスと男が激闘を繰り広げるが、攻めるフェリクスの剣を男が余裕を持って躱し続けているようだった。そこに更にジョシュアとアイリーンも剣を握り締め参戦する。
三人による連撃。流石に男からは余裕は感じられなくなっていた。
「流石に鬱陶しいな。来い火竜」
男の命に火竜が反応する。火竜は男もろとも三人を飲み込んだ。たまらずジョシュアとアイリーンが身に移った炎を消すように転がりながら離れるが、フェリクスだけは炎に包まれながらも剣を振るった。
「フェリクス! 風よ」
援護に入るタイミングを見計らっていたセシルが慌てて突風を放つと、フェリクスを包んでいた炎を吹き消した。
「はぁ、はぁ、このメンツでやってまともに捉えきれないとはな」
肩で息をしながらフェリクスが呆れたように呟く。
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