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第二章 魔法協会セミナー編

魔剣使い

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 受講者が座った椅子を片付ける。
 ここは元々、公会堂として使われている場所で椅子も多数あり、まさにセミナーにうってつけの場所であった。
 会場も最大100名ほど収容できる大ホールであり満席にすることも出来た。
 多くの人が入会希望の用紙を受け取ってくれたし、受講料としてそれなりの額を稼いだ。金欠気味の協会にはありがたい額だ。

 冒険者ギルドのバーで豪勢に打ち上げしようじゃないかと、ピリスが勝手にほざいていたが、これも接待の一つだなとピリスと一緒にみんなを先に行かせた。
 会計はエレメントアーミーの経費でつけておくようにと、カイルにも耳打ちしておいた……パシーとピリスの酒の飲み比べで今日の上りを全て放出するつもりはないしな。
 ふぅ、とは言え、100席を一人で倉庫に収納するのはちとしんどいか。

「はぁ、カヤは打ち上げに顔出してくれるかな」

 独り言をつぶやいてみたが、望みは薄いだろうな。
 さっさと片して合流するかと椅子を持ち上げた所で、棒状の物を持つ受講者の娘がまだ座っていた。

「あ、本日はご参加ありがとうございました。あの、本日のセミナーはもう終わりましたが、いかがいたしましたでしょうか?」

 俺に気づいたのか慌てて立ち上がりペコリと頭を下げた。
 改めて目の前で見るとカヤ達にも引けを取らない美少女だ。
 艶やかなポニーテールに、きりっとした目元、スッと通っている鼻、口は真一文字に閉じ、スレンダーな体型もあって凛とした佇まいをしている。
 和風な美少女だな、日本にいそうだがもちろん芸能人クラスとして。

「本日のセミナーはいかがでしたか?」

 俺の言葉に反応してか肩掛け鞄をゴソゴソと探している。
 何か渡すものがあるのだろうか? それより先ほどから一言も発してくれないのだが。
 和風美少女が鞄からメモ用紙を取り出すと、何かを書きコチラに見せてきた。

『ごめんなさい、何を言っているのか分からないです』

 筆談か。
 そして伝わってないということは聾唖か。
 俺の反応に気づいたのかまたメモをスラスラと書く。
『耳が聞こえないのですが唇で相手が何を話しているのか分かります……ですが、正直、あなたの異世界語は何を言っているか分からないです、ごめんなさい』
 読唇術とはすごいな。本当にそんなこと出来る人がいるんだ。
 俺はオブザーバーあって、この世界での言葉や文字の理解が出来るが、唇の動きまで流石に翻訳はされないよな。

「今日のセミナーはどうだったか? と聞いているんだ」

 帰ったはずのクラウスが近づいてきた。
 クラウスに気づくともう一度話すクラウスの口の動きを読み取って、メモに書く。

『本日は素晴らしいセミナー……というのですか? ありがとうございました! 私は産まれてからこのような学びの場を見たことも聞いた事もありませんし、何より魔法使いが魔術紋の話をエレメントギアを使ってするなんて、人生観が変わるほどの驚きでした!』
「それは良かった何よりです! でしたら良ければ入会など」
「それは良かったと言っているぞ。そして、入会か――それは無いだろう」

 クラウスは鼻で笑うように翻訳する。

「お前さぁ、俺が嫌いなのは分かっているけど、今はお前も(公社)ボッカイ魔法協会の賛助会員なんだからな? 手伝えとは言わないが、邪魔はするなよ」
「貴様らの事をバカにして言っているのでない――【魔剣使い】が魔法協会に入るわけないだろと言っているのだ」

 魔剣使い? ……するとその棒状の物が魔剣とか? 
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