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10 内緒話
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部屋に戻ってエドウィンとロデリック以外を外に出し、ソファーに三人で座る。念のためエドウィンに結界魔法を発動してもらってから口を開いた。
「確認したいんだけど、俺って王様と同じ身分なんだよね?」
俺の言葉に二人が無言で頷く。
「じゃあ、俺がお願いじゃなくて命令したら、どんな質問にも答えてくれる?」
これにも二人は頷いた。俺の目をまっすぐ見る二人に意図が伝わってて嬉しくなる。
専属護衛に任命された時に、俺に対して意図的に情報を遮断するように命令されたのだろう。命令したのは宰相のニスカーナンかな? もしかしたら王命かもしれない。
だとしたら身分的にも二人は王宮に仕える貴族だし逆らえないよな。
でも俺だって王様と同じ身分なんだろ? だったらその権力を使わせてもらおうじゃないか。
「これは命令です。この場で俺が質問したことに正直に答えるように」
俺の芝居がかった命令に、二人は少し笑いを堪えているようだ。
「まず一つ目。皆が俺に対して怯えたような対応をする理由を教えてくれ」
二人は目配せして頷き合い、ロデリックが答えてくれた。
「それは先々代の神子様を恐れていたからです」
「先々代?」
講師の男は神子について良い事しか言っていなかった。
「はい。先代の神子様はとても穏やかなお人柄でしたが、先々代の神子様は苛烈なお方だったのです」
そこから聞き出した話によると、先々代の神子はいつも不機嫌で、気に入らないことがあると度々雷を落としていたそうだ。天候を司る神子だからなのか、そんなことも出来たらしい。神子の機嫌が悪ければ天候にも影響を及ぼす世界だ。国民は疲弊し、国は荒れた。なんとか機嫌を取ろうとしても突っぱねられる。恐ろしくて王様でさえ逆らえなくなっていったそうだ。
……ちょっと待てよ。俺がこの世界に来たばかりの謁見の間で、エドウィンを晴臣様と間違えて少し乱暴な言葉遣いだったような……
「…俺ってそんなに怖い言動してた?」
そういえば、雷も落ちてたな。まさかそれで怖がらせてしまったんだろうか?
落ち込んでいたらエドウィンが否定してくれた。
「いいえ、そんなことはありません。アキラ様と接する機会があれば、どんなお人柄なのか伝わります。最近は侍女たちも普通に対応しているでしょう?」
確かに、身の回りのお世話をしてくれる人たちは、最初のような怯えた様子をほとんど見せなくなった。
「先代の神子様はこちらにいらした時点でかなりご高齢でした。けれど先々代の神子様は若い男性だったのです。そして、先日顕現されたアキラ様も同じように若い男性だったため、また同じような事が起こるのではと皆怯えていたのです」
先々代の神子様の時代に荒れてしまった国が、先代の神子様が穏やかに過ごされたおかげで随分回復したらしい。けれど、先代は高齢だったため僅か六年余りで逝去されてしまった。その後に顕現したのがまた年若い男性だったら、それは、まあ、怯えるのも分かる。
けれど直接対面で話をした俺が大人しく協力的な態度だった。だが顕現してから雷が二度落ちている。同じ若い男性だしいつ豹変するかわからない。だからなるべく刺激を与えないように情報を遮断して王宮内に囲い込むことにした。別の世界から来た俺はこの国の情勢なんてわからない。心地よいことだけ伝えて気分よく暮らしてもらえれば良いと考えたようだ。
そこでふと、思い至ってしまった。
「……俺の身近に仕える人が美形ばかりなのって……」
エドウィンはもちろんロデリックもすんごい美形だし、部屋の外に立っている騎士もみんな整った顔立ちをしているんだよ。まさかそこまで計算して任命していたのか? さすが国王を除けばこの国のトップといえる宰相って恐ろしいな……。
真っ青になって慄いてたら、二人が吹き出す音がして…
「ぶふっ! そ、うですね。ニスカーナン様は鋭いお方ですから。ぷっ、すみません」
「ぶっ、くくっ、いや、私達二人は、それだけで任命されたわけでは…ふっ、」
二人がめっちゃ笑いを堪えてるじゃん。どうせ俺はイケメン好きですよ~。
せっかくだから美形の珍しい表情を堪能してやる!
ん? …待てよ。今、俺好みの美形だから任命されたわけじゃないって言ったな…
「二人が任命された理由が他にあるの?」
俺のその一言に、笑いを堪えて震えていた二人の体がピタリと止まった。
「確認したいんだけど、俺って王様と同じ身分なんだよね?」
俺の言葉に二人が無言で頷く。
「じゃあ、俺がお願いじゃなくて命令したら、どんな質問にも答えてくれる?」
これにも二人は頷いた。俺の目をまっすぐ見る二人に意図が伝わってて嬉しくなる。
専属護衛に任命された時に、俺に対して意図的に情報を遮断するように命令されたのだろう。命令したのは宰相のニスカーナンかな? もしかしたら王命かもしれない。
だとしたら身分的にも二人は王宮に仕える貴族だし逆らえないよな。
でも俺だって王様と同じ身分なんだろ? だったらその権力を使わせてもらおうじゃないか。
「これは命令です。この場で俺が質問したことに正直に答えるように」
俺の芝居がかった命令に、二人は少し笑いを堪えているようだ。
「まず一つ目。皆が俺に対して怯えたような対応をする理由を教えてくれ」
二人は目配せして頷き合い、ロデリックが答えてくれた。
「それは先々代の神子様を恐れていたからです」
「先々代?」
講師の男は神子について良い事しか言っていなかった。
「はい。先代の神子様はとても穏やかなお人柄でしたが、先々代の神子様は苛烈なお方だったのです」
そこから聞き出した話によると、先々代の神子はいつも不機嫌で、気に入らないことがあると度々雷を落としていたそうだ。天候を司る神子だからなのか、そんなことも出来たらしい。神子の機嫌が悪ければ天候にも影響を及ぼす世界だ。国民は疲弊し、国は荒れた。なんとか機嫌を取ろうとしても突っぱねられる。恐ろしくて王様でさえ逆らえなくなっていったそうだ。
……ちょっと待てよ。俺がこの世界に来たばかりの謁見の間で、エドウィンを晴臣様と間違えて少し乱暴な言葉遣いだったような……
「…俺ってそんなに怖い言動してた?」
そういえば、雷も落ちてたな。まさかそれで怖がらせてしまったんだろうか?
落ち込んでいたらエドウィンが否定してくれた。
「いいえ、そんなことはありません。アキラ様と接する機会があれば、どんなお人柄なのか伝わります。最近は侍女たちも普通に対応しているでしょう?」
確かに、身の回りのお世話をしてくれる人たちは、最初のような怯えた様子をほとんど見せなくなった。
「先代の神子様はこちらにいらした時点でかなりご高齢でした。けれど先々代の神子様は若い男性だったのです。そして、先日顕現されたアキラ様も同じように若い男性だったため、また同じような事が起こるのではと皆怯えていたのです」
先々代の神子様の時代に荒れてしまった国が、先代の神子様が穏やかに過ごされたおかげで随分回復したらしい。けれど、先代は高齢だったため僅か六年余りで逝去されてしまった。その後に顕現したのがまた年若い男性だったら、それは、まあ、怯えるのも分かる。
けれど直接対面で話をした俺が大人しく協力的な態度だった。だが顕現してから雷が二度落ちている。同じ若い男性だしいつ豹変するかわからない。だからなるべく刺激を与えないように情報を遮断して王宮内に囲い込むことにした。別の世界から来た俺はこの国の情勢なんてわからない。心地よいことだけ伝えて気分よく暮らしてもらえれば良いと考えたようだ。
そこでふと、思い至ってしまった。
「……俺の身近に仕える人が美形ばかりなのって……」
エドウィンはもちろんロデリックもすんごい美形だし、部屋の外に立っている騎士もみんな整った顔立ちをしているんだよ。まさかそこまで計算して任命していたのか? さすが国王を除けばこの国のトップといえる宰相って恐ろしいな……。
真っ青になって慄いてたら、二人が吹き出す音がして…
「ぶふっ! そ、うですね。ニスカーナン様は鋭いお方ですから。ぷっ、すみません」
「ぶっ、くくっ、いや、私達二人は、それだけで任命されたわけでは…ふっ、」
二人がめっちゃ笑いを堪えてるじゃん。どうせ俺はイケメン好きですよ~。
せっかくだから美形の珍しい表情を堪能してやる!
ん? …待てよ。今、俺好みの美形だから任命されたわけじゃないって言ったな…
「二人が任命された理由が他にあるの?」
俺のその一言に、笑いを堪えて震えていた二人の体がピタリと止まった。
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