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15 魔法
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今俺は王宮の敷地内にある温室に来ている。土魔法を使ってみるためだ。クルサード侯爵が薬草班に話をつけてくれて、これから薬草を植える予定の場所を魔法で耕すのをやってみることになっている。魔力も感じられるようになったし、今度はそれを使うことも覚えていかないと。
俺が魔法を使うというので薬草班の職員たちが見学に来ている。固い表情をして遠巻きにこちらを見ているから、無害アピールしとこうと思って笑顔で手を振ってみたらどよめきが起こった。俺は珍獣か?
「こ、こちらが予定している薬草畑です」
緊張気味の職員の人が案内してくれた温室内の畑は思っていたよりずっと広かった。
「…広いんだね」
「様々なポーションに必要ですから。これでも足りないので冒険者ギルドに依頼して薬草を集めております」
なるほど、確かに王宮のみんなの為の薬を作っているならそうなるか。その広さにビビりつつも日本で見た野菜が元気に育つふわふわの土壌をイメージして土魔法を発動した。そうしたら、少し乾いて平らだった畑の土がぼこぼこと動き出し、見る見るうちに俺の良く知る畑の状態になっていった。おお! 魔法って凄いな。
「なんと、この広さを一度の魔法で?!」
「素晴らしい! これ程柔らかな土の状態は見た事がありません!」
見学してた職員たちも沸いているようだし、初めての魔法は上手くいったみたいだ。この畑に植えた薬草の生育具合も後で教えてもらう約束をして、俺たちは次の目的地に向かうことにした。
次に向かったのは騎士団の訓練場だ。今度は治癒魔法を使ってみるためだ。訓練場に入ると騎士たちが兜をしていないロデリックに驚いた視線を向けてきた。中には嫌そうな顔をしている者もいる。『傷もち』に対する差別を感じてモヤっとしていたら、なぜかエドウィンとロデリックが模擬戦をすると言い出した。
「初めて治癒魔法を使うのですから見知らぬ騎士より私たちの方が安心ですよ」
「お互い本気で打ち合いますから傷ついたら癒してください」
「本気で? もちろん治すけど、無茶はしないでくれ…」
訓練用に刃を潰してあるから大丈夫だと言ってふたりは準備をはじめている。
「アキラ様、決してここを動かないでください」
エドウィンが俺の座る場所に結界を発動して二人は訓練場の中心に向かった。離れた二人の代わりに今日もついてきた騎士四人が俺の護衛に立ってくれる。今は音の遮断まではしていないから会話が出来るらしい。結界魔法便利すぎる。
そして審判役らしき騎士の合図で時間制限を付けた模擬戦がはじまった。
最初は心配していた俺だけど、はじまってからは目が釘付けになった。
魔法を交えた打ち合いはまるで舞っているように格好いい!
舞台の殺陣を思い出してめちゃくちゃ興奮した!
「凄い凄い! 二人は相当強いの?」
「え?! あ、はいっ。エドウィンは第二王子殿下の元護衛ですから実力は確かです。ロデリックの槍術に敵う者は騎士団にはいないでしょう」
「そうなんだ! やっぱり二人は凄いんだね!」
急に俺に話しかけられた護衛君は驚いてたけど、ちゃんと答えてくれたから嬉しくて笑いかけたら下を向かれてしまった。やっぱりまだ怯えられてるのかな…?
試合終了の合図が鳴って二人が戻って来た。あんなに激しく動いていたのに息を切らしている様子もほとんど無い。
「二人ともすっごく格好良かったよ!」
「「 アキラ様 」」
浮かれて出迎えた俺になぜか不機嫌そうな二人が膝をついて詰め寄って来た。
「そこの護衛と何を話していたのですか? 気が散って槍を受けてしまいました」
「私も気になって剣を受けてしまいました」
「「 癒してください 」」
二人揃って患部を差し出してきた。袖まくりをした腕の一部が赤黒く腫れていて痛々しい。
「うわっ、痛そう…。無茶するなって言ったのに。じゃあ、治療してみるね」
まずはエドウィンの腕に手をかざして治癒魔法を発動した。そうしたらびっくりするくらい一瞬で腫れも赤みも消えた。直ぐにロデリックの腕も治癒したら、こちらも一瞬だった。うわぁ、本当に魔法って凄いな。
「一瞬で痛みが消えました。さすがアキラ様です」
「魔力も優しくて本当に癒されました」
そんなに嬉しそうな笑顔でべた褒めされるとどうしたって胸が高鳴ってしまう。二人とも顔が良すぎるんだよ! 両手で顔を覆って叫ぶのを堪えていたら「魔法の効果が速すぎる」「一瞬で消えたぞ?!」って周りが騒いでいるのが聞こえてきた。
もしかして、俺の魔法はチートなのか? 薬草畑でも沸いてたし、これも転生特典?
俺が魔法を使うというので薬草班の職員たちが見学に来ている。固い表情をして遠巻きにこちらを見ているから、無害アピールしとこうと思って笑顔で手を振ってみたらどよめきが起こった。俺は珍獣か?
「こ、こちらが予定している薬草畑です」
緊張気味の職員の人が案内してくれた温室内の畑は思っていたよりずっと広かった。
「…広いんだね」
「様々なポーションに必要ですから。これでも足りないので冒険者ギルドに依頼して薬草を集めております」
なるほど、確かに王宮のみんなの為の薬を作っているならそうなるか。その広さにビビりつつも日本で見た野菜が元気に育つふわふわの土壌をイメージして土魔法を発動した。そうしたら、少し乾いて平らだった畑の土がぼこぼこと動き出し、見る見るうちに俺の良く知る畑の状態になっていった。おお! 魔法って凄いな。
「なんと、この広さを一度の魔法で?!」
「素晴らしい! これ程柔らかな土の状態は見た事がありません!」
見学してた職員たちも沸いているようだし、初めての魔法は上手くいったみたいだ。この畑に植えた薬草の生育具合も後で教えてもらう約束をして、俺たちは次の目的地に向かうことにした。
次に向かったのは騎士団の訓練場だ。今度は治癒魔法を使ってみるためだ。訓練場に入ると騎士たちが兜をしていないロデリックに驚いた視線を向けてきた。中には嫌そうな顔をしている者もいる。『傷もち』に対する差別を感じてモヤっとしていたら、なぜかエドウィンとロデリックが模擬戦をすると言い出した。
「初めて治癒魔法を使うのですから見知らぬ騎士より私たちの方が安心ですよ」
「お互い本気で打ち合いますから傷ついたら癒してください」
「本気で? もちろん治すけど、無茶はしないでくれ…」
訓練用に刃を潰してあるから大丈夫だと言ってふたりは準備をはじめている。
「アキラ様、決してここを動かないでください」
エドウィンが俺の座る場所に結界を発動して二人は訓練場の中心に向かった。離れた二人の代わりに今日もついてきた騎士四人が俺の護衛に立ってくれる。今は音の遮断まではしていないから会話が出来るらしい。結界魔法便利すぎる。
そして審判役らしき騎士の合図で時間制限を付けた模擬戦がはじまった。
最初は心配していた俺だけど、はじまってからは目が釘付けになった。
魔法を交えた打ち合いはまるで舞っているように格好いい!
舞台の殺陣を思い出してめちゃくちゃ興奮した!
「凄い凄い! 二人は相当強いの?」
「え?! あ、はいっ。エドウィンは第二王子殿下の元護衛ですから実力は確かです。ロデリックの槍術に敵う者は騎士団にはいないでしょう」
「そうなんだ! やっぱり二人は凄いんだね!」
急に俺に話しかけられた護衛君は驚いてたけど、ちゃんと答えてくれたから嬉しくて笑いかけたら下を向かれてしまった。やっぱりまだ怯えられてるのかな…?
試合終了の合図が鳴って二人が戻って来た。あんなに激しく動いていたのに息を切らしている様子もほとんど無い。
「二人ともすっごく格好良かったよ!」
「「 アキラ様 」」
浮かれて出迎えた俺になぜか不機嫌そうな二人が膝をついて詰め寄って来た。
「そこの護衛と何を話していたのですか? 気が散って槍を受けてしまいました」
「私も気になって剣を受けてしまいました」
「「 癒してください 」」
二人揃って患部を差し出してきた。袖まくりをした腕の一部が赤黒く腫れていて痛々しい。
「うわっ、痛そう…。無茶するなって言ったのに。じゃあ、治療してみるね」
まずはエドウィンの腕に手をかざして治癒魔法を発動した。そうしたらびっくりするくらい一瞬で腫れも赤みも消えた。直ぐにロデリックの腕も治癒したら、こちらも一瞬だった。うわぁ、本当に魔法って凄いな。
「一瞬で痛みが消えました。さすがアキラ様です」
「魔力も優しくて本当に癒されました」
そんなに嬉しそうな笑顔でべた褒めされるとどうしたって胸が高鳴ってしまう。二人とも顔が良すぎるんだよ! 両手で顔を覆って叫ぶのを堪えていたら「魔法の効果が速すぎる」「一瞬で消えたぞ?!」って周りが騒いでいるのが聞こえてきた。
もしかして、俺の魔法はチートなのか? 薬草畑でも沸いてたし、これも転生特典?
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