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19 すっかり忘れてた
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部屋へと到着して先行したロデリックが扉を開けてくれて先に中に入る。
「ソファーまで運びます。少し休憩しましょう」
俺を抱えたまま続いたエドウィンが控えていた侍女にお茶の用意を促してから応接間のソファにそおっと俺を下ろしてくれた。
俺は、顔を両手で覆って横に倒れた。ボフンッと身体が弾む。
(うわあああ! 軽々運ばれちゃったよぉぉ! 胸板やばい! なんか良い匂いするし、こんなの心臓がもたないってぇぇ!!!)
「アキラ様? 私に抱かれるのはお嫌でしたか?」
心の中で盛大に悶えていたら、しょんぼり言われて慌てて起き上がった。
「言い方!! ちがっ、嫌じゃないよ! 顔が近くてドキドキしただけだから!」
「そうですか。ではこれからも危険な場面では抱き上げさせていただきます」
嬉しそうな笑顔を返されて撃沈した。これから? …え? 俺、大丈夫?
「次は私に譲ってもらう。結界魔法の範囲を広げれば可能だろう?」
「アキラ様の安全が優先だ。その時の状況によっては考慮するが譲歩はしない」
なんか二人が揉めてる? それに危険な場面って言われたから、俺が気付かなかっただけで訓練場でなにかあったのかもしれない。
「二人ともどうしたんだ? 急に部屋に戻ってきたけど何か問題が起きたのか?」
訊ねた俺を見た二人が小さく頷き合ってから座る俺の前に膝をついて見上げてきた。こんな風に敬う態度を取られるのは何度されても慣れないな。
先に口を開いたのはロデリックだった。
「アキラ様のお人柄は騎士たちにはほぼ周知されています」
ロデリックによると騎士の中で俺に怯えている者はもうほとんどいないそうだ。 エドウィンとロデリック以外の他の護衛騎士は毎日交代で警備に当たってくれている。騎士達は一日俺と過ごすと先々代の神子様と違うことに気付き、その話題は騎士の間で共有されていった。でもそれだけじゃないらしい。
「アキラ様は元のお姿と変わられたのでご自覚が薄いかと思いますが、皆その美しさに魅了されているのです」
………ん?
……あぁ~っ! そういえば、俺は美少年になったんだった。すっかり忘れてた~
なんて呑気に構えていたら、ロデリックがちょっと険しい表情になって続けた。
「そんな騎士達がアキラ様に優しく癒されて笑顔を向けられたら我慢できるわけがないのです。お身体に触れようとしてきたので訓練場を後にしました」
「そうだったんだ…。でも、治療を喜んでくれたのならこちらに危害を加えたりはしないんじゃないのか? そういえば、身を乗り出してきた騎士は片手を伸ばしてきていたし、あれは握手したかっただけなんじゃないのかなぁ…」
「「 私たちはそれを許容出来ません 」」
またハモられてしまった。でも、こんなに嫌がるってことは…
「もしかして、警備上に問題が出るってこと?」
二人が目を合わせてから俺を見て頷いた。俺は一応この国の神子なわけで、陛下と同じ身分だから色々あるのかもしれない。
「わかった。また問題がある時は任せるよ」
そう言ったらやっと二人の眉間の皺が取れて立ち上がってくれた。
そんな俺達にティーワゴンを押してきた侍女が控えめにお茶の用意が出来たことを告げてきた。護衛二人が険しい顔をしていたから声をかけられずにいたようだ。
そこからは警備上の話はお終いにして、お茶の準備もしてもらったことだし三人で休憩を取ることにした。
お茶をしながら模擬戦の時の魔法を交えた打ち合いについて興奮気味に質問攻めにしても、二人は嫌がらずに色々教えてくれる。武器に魔力を纏わせるのは高度な技で、騎士団内でも出来る者はそれほどいないらしい。
模擬戦中に俺の質問に答えてくれた護衛君も二人の実力は確かだって言っていたし、俺の専属護衛は本当に頼りになるなぁ。
「ソファーまで運びます。少し休憩しましょう」
俺を抱えたまま続いたエドウィンが控えていた侍女にお茶の用意を促してから応接間のソファにそおっと俺を下ろしてくれた。
俺は、顔を両手で覆って横に倒れた。ボフンッと身体が弾む。
(うわあああ! 軽々運ばれちゃったよぉぉ! 胸板やばい! なんか良い匂いするし、こんなの心臓がもたないってぇぇ!!!)
「アキラ様? 私に抱かれるのはお嫌でしたか?」
心の中で盛大に悶えていたら、しょんぼり言われて慌てて起き上がった。
「言い方!! ちがっ、嫌じゃないよ! 顔が近くてドキドキしただけだから!」
「そうですか。ではこれからも危険な場面では抱き上げさせていただきます」
嬉しそうな笑顔を返されて撃沈した。これから? …え? 俺、大丈夫?
「次は私に譲ってもらう。結界魔法の範囲を広げれば可能だろう?」
「アキラ様の安全が優先だ。その時の状況によっては考慮するが譲歩はしない」
なんか二人が揉めてる? それに危険な場面って言われたから、俺が気付かなかっただけで訓練場でなにかあったのかもしれない。
「二人ともどうしたんだ? 急に部屋に戻ってきたけど何か問題が起きたのか?」
訊ねた俺を見た二人が小さく頷き合ってから座る俺の前に膝をついて見上げてきた。こんな風に敬う態度を取られるのは何度されても慣れないな。
先に口を開いたのはロデリックだった。
「アキラ様のお人柄は騎士たちにはほぼ周知されています」
ロデリックによると騎士の中で俺に怯えている者はもうほとんどいないそうだ。 エドウィンとロデリック以外の他の護衛騎士は毎日交代で警備に当たってくれている。騎士達は一日俺と過ごすと先々代の神子様と違うことに気付き、その話題は騎士の間で共有されていった。でもそれだけじゃないらしい。
「アキラ様は元のお姿と変わられたのでご自覚が薄いかと思いますが、皆その美しさに魅了されているのです」
………ん?
……あぁ~っ! そういえば、俺は美少年になったんだった。すっかり忘れてた~
なんて呑気に構えていたら、ロデリックがちょっと険しい表情になって続けた。
「そんな騎士達がアキラ様に優しく癒されて笑顔を向けられたら我慢できるわけがないのです。お身体に触れようとしてきたので訓練場を後にしました」
「そうだったんだ…。でも、治療を喜んでくれたのならこちらに危害を加えたりはしないんじゃないのか? そういえば、身を乗り出してきた騎士は片手を伸ばしてきていたし、あれは握手したかっただけなんじゃないのかなぁ…」
「「 私たちはそれを許容出来ません 」」
またハモられてしまった。でも、こんなに嫌がるってことは…
「もしかして、警備上に問題が出るってこと?」
二人が目を合わせてから俺を見て頷いた。俺は一応この国の神子なわけで、陛下と同じ身分だから色々あるのかもしれない。
「わかった。また問題がある時は任せるよ」
そう言ったらやっと二人の眉間の皺が取れて立ち上がってくれた。
そんな俺達にティーワゴンを押してきた侍女が控えめにお茶の用意が出来たことを告げてきた。護衛二人が険しい顔をしていたから声をかけられずにいたようだ。
そこからは警備上の話はお終いにして、お茶の準備もしてもらったことだし三人で休憩を取ることにした。
お茶をしながら模擬戦の時の魔法を交えた打ち合いについて興奮気味に質問攻めにしても、二人は嫌がらずに色々教えてくれる。武器に魔力を纏わせるのは高度な技で、騎士団内でも出来る者はそれほどいないらしい。
模擬戦中に俺の質問に答えてくれた護衛君も二人の実力は確かだって言っていたし、俺の専属護衛は本当に頼りになるなぁ。
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