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十四話 クッキングロリ
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朝早くに目覚めた私は、腕まくりをしてキッチンに立っていた。
地球飯(地球のご飯)が食べたい!!
この世界に転生してから、幾度もその想いに駆られてきた。
この世界の料理は、あまり発展していない。
我が家にはお抱えのシェフがおり、その人が腕を振るってくれるのだが、味はなんとも微妙だ。
別に不味い訳ではないが、地球飯と比べるとどうしても劣ってしまい、満足感に欠ける。
なので、今日は地球のご飯を作っていこうと思う。作るのは、私の大好物フレンチトーストだ。
ここで問題なのは、私は実家暮らしだった為料理という物をしたことがないということだ。
家事は全て親に任せきりだったので、レシピすら知らない。
普通なら諦めるしかないが、私には困った時の必殺技がある。
では、お願いします!
『はい、始まりました。神授業。今日はフレンチトーストの作り方を学んでいこう!………(wiki調べ)』
『用意する物はこちら!
ミルク 100ml
パン 1つ
コケッコウの卵 1個
砂糖 大さじ1
バター 小さじ2
コケッコウの卵とバターは高級品だが、君の家ならば用意されているだろう。』
台所を漁ると材料は全て見つけることが出来た。流石は大貴族だ。
ここから、異世界感の欠片もないガチガチのお料理教室が幕を開ける。
『まず、器に卵と砂糖を入れよくかき混ぜる。しっかりと混ざったところで、ミルクを入れさらにかき混ぜるんだ。』
卵なんて久しぶりに割ったけど、結構楽しい!
『かき混ぜたらパンを適当な大きさに切り分け、さっきかき混ぜた液に浸していくんだ。』
ヒタヒタっと。関係ないが、私はひたパンよりつけパン派だ。
『浸す時間は片面1分30秒だ。裏面にひっくり返すのを忘れないように気をつけよう!』
はーい!忘れてないでーす。
『次は………え、えーっと………ちょっと待ってくれ。画面がどこかにいってしまった。』
そう言って慣れない手つきでスマホをいじくっている。
おじいちゃんか!?しっかりしてよー!!料理は手際が命なんだから!
『今まで料理をしたことのない人間がそんな事を抜かすんじゃない!仕方ないだろう!料理なんてしないし、フレンチトーストなんざ男の作る料理じゃないんだよぉー!!(あくまでも個人的な見解)しゃあないやん!』
な、何かすみません。何で大阪弁?っていうか今日の先生はキャラがぶれてないか?
『こっちだって色々と準備というものがあるんだ。そちらの世界の事なら答えてやれるが、地球の事となると咄嗟には答えられないこともある。料理の事など尚更だ。なぜなら、私も料理をしたことがないのだから!』
なんだ。この人も同士か!
人間味のない人だと思っていたが、思わぬ共通点に親近感が湧く。
『では、話を戻そう。
フライパンを温め、バターを溶かしたところにパンを入れこんがりとキツネ色になるまで焼いていくんだ。』
ジューという焼ける音と共にいい匂いが辺りを包んでいく。
ふふっ!楽しみー!!
『焼けたら器に盛り付け、お好みで砂糖をかければ完成だ!』
高そうな器に乗せ、上から少量の砂糖をかける。
「やったー!!上手にできたー!!」
初めて出来た料理に年甲斐もなくはしゃぐ。
「では、いただきまーす!!!」
口に運ぼうとしたその時、お父さんとお母さんがひょっこりと顔を出す。
「なんだかいい匂いがするわね。」
「本当だね。すごく美味しそうな匂いだ。」
ジーっとフレンチトーストを眺めてくる。
◯
「うおおおっ!!これは………!!王族主催の社交会でもこれほど美味しいパンは出てこないぞ。」
「甘くてふわふわしていて凄く美味しいわ!!こんなの初めて食べたわ!!」
そう言ってガツガツ食べていく。
私のフレンチトーストなのに~!
そう思うが、すごくいい笑顔で食べていく両親を止める勇気が私にはなかった。
仕方なく追加で焼いていると、アンネをはじめとした使用人さん達が続々と集まってしまい、結局全員分焼くことになった。
渋々焼きながら周りを見ると、みんな笑顔でフレンチトーストを頬張っていた。
たまには料理も悪くないかな~!
喜んでくれる両親と使用人さん達を見て、今度は何を作ろうかと思案するのであった。
地球飯(地球のご飯)が食べたい!!
この世界に転生してから、幾度もその想いに駆られてきた。
この世界の料理は、あまり発展していない。
我が家にはお抱えのシェフがおり、その人が腕を振るってくれるのだが、味はなんとも微妙だ。
別に不味い訳ではないが、地球飯と比べるとどうしても劣ってしまい、満足感に欠ける。
なので、今日は地球のご飯を作っていこうと思う。作るのは、私の大好物フレンチトーストだ。
ここで問題なのは、私は実家暮らしだった為料理という物をしたことがないということだ。
家事は全て親に任せきりだったので、レシピすら知らない。
普通なら諦めるしかないが、私には困った時の必殺技がある。
では、お願いします!
『はい、始まりました。神授業。今日はフレンチトーストの作り方を学んでいこう!………(wiki調べ)』
『用意する物はこちら!
ミルク 100ml
パン 1つ
コケッコウの卵 1個
砂糖 大さじ1
バター 小さじ2
コケッコウの卵とバターは高級品だが、君の家ならば用意されているだろう。』
台所を漁ると材料は全て見つけることが出来た。流石は大貴族だ。
ここから、異世界感の欠片もないガチガチのお料理教室が幕を開ける。
『まず、器に卵と砂糖を入れよくかき混ぜる。しっかりと混ざったところで、ミルクを入れさらにかき混ぜるんだ。』
卵なんて久しぶりに割ったけど、結構楽しい!
『かき混ぜたらパンを適当な大きさに切り分け、さっきかき混ぜた液に浸していくんだ。』
ヒタヒタっと。関係ないが、私はひたパンよりつけパン派だ。
『浸す時間は片面1分30秒だ。裏面にひっくり返すのを忘れないように気をつけよう!』
はーい!忘れてないでーす。
『次は………え、えーっと………ちょっと待ってくれ。画面がどこかにいってしまった。』
そう言って慣れない手つきでスマホをいじくっている。
おじいちゃんか!?しっかりしてよー!!料理は手際が命なんだから!
『今まで料理をしたことのない人間がそんな事を抜かすんじゃない!仕方ないだろう!料理なんてしないし、フレンチトーストなんざ男の作る料理じゃないんだよぉー!!(あくまでも個人的な見解)しゃあないやん!』
な、何かすみません。何で大阪弁?っていうか今日の先生はキャラがぶれてないか?
『こっちだって色々と準備というものがあるんだ。そちらの世界の事なら答えてやれるが、地球の事となると咄嗟には答えられないこともある。料理の事など尚更だ。なぜなら、私も料理をしたことがないのだから!』
なんだ。この人も同士か!
人間味のない人だと思っていたが、思わぬ共通点に親近感が湧く。
『では、話を戻そう。
フライパンを温め、バターを溶かしたところにパンを入れこんがりとキツネ色になるまで焼いていくんだ。』
ジューという焼ける音と共にいい匂いが辺りを包んでいく。
ふふっ!楽しみー!!
『焼けたら器に盛り付け、お好みで砂糖をかければ完成だ!』
高そうな器に乗せ、上から少量の砂糖をかける。
「やったー!!上手にできたー!!」
初めて出来た料理に年甲斐もなくはしゃぐ。
「では、いただきまーす!!!」
口に運ぼうとしたその時、お父さんとお母さんがひょっこりと顔を出す。
「なんだかいい匂いがするわね。」
「本当だね。すごく美味しそうな匂いだ。」
ジーっとフレンチトーストを眺めてくる。
◯
「うおおおっ!!これは………!!王族主催の社交会でもこれほど美味しいパンは出てこないぞ。」
「甘くてふわふわしていて凄く美味しいわ!!こんなの初めて食べたわ!!」
そう言ってガツガツ食べていく。
私のフレンチトーストなのに~!
そう思うが、すごくいい笑顔で食べていく両親を止める勇気が私にはなかった。
仕方なく追加で焼いていると、アンネをはじめとした使用人さん達が続々と集まってしまい、結局全員分焼くことになった。
渋々焼きながら周りを見ると、みんな笑顔でフレンチトーストを頬張っていた。
たまには料理も悪くないかな~!
喜んでくれる両親と使用人さん達を見て、今度は何を作ろうかと思案するのであった。
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