2 / 13
2.巻き毛の伯爵令嬢
しおりを挟む
「公爵令息の婚約者は真っすぐな髪の可愛い子でね。巻き毛の伯爵令嬢はその公爵令息の婚約者をしょうことなく苛めたのさ」
「どうやって?なにをしたの?」
デーティアはベアトリスの巻き毛を撫でる。
「真似しないっていうなら教えるよ。その意地悪な伯爵令嬢はそれが原因で公爵令息に嫌われて、とうとう修道院に送られたんだから」
「意地悪なんかしないわ!」
「よろしい。でもね、好奇心は猫をも滅ぼすってこともお忘れでないよ?」
「わかったわ」
ベアトリスは好奇心ではち切れそうだ。
「なに、誰しもちょっとはやりそうなことが始まりだったよ」
デーティアは語る。
「その伯爵令嬢は、最初は言葉の端々に嫌味をのせて当てこすった。髪のこと、容姿のこと、ちょっとした仕草のこと。全部その伯爵令嬢の主観でこじつけだったけどね」
くすくす笑う。
「公爵令息の婚約者はおとなしい性格だったらしく、相手に何もしなかった。口答えも反発もね。すると次は、彼女の前でお茶会やちょっとしたパーティーに彼女だけ招待しなかったり、取り巻き全員に目立つ髪飾りやなんかを与えて流行を作り出そうとしたりした。うまくはいかなかったけどね。巻き毛の伯爵令嬢は、派手好みだったからね」
片目をつぶってみせる。
「それでも気にしない様子を見ると、怒りのままに彼女の物を破損した。教本を破いたり、水をかけたり、足をかけて転ばせたり。そうして口汚く罵ったのさ」
デーティアは右手をひらひらさせる。
「ただ黙って耐えるだけっていうのも問題でね。あの頃あたしは、なんで言い返さないんだろうとイライラしたものさ」
フフンと笑うデーティアを見て、 ベアトリスも笑う。
「いやがらせはどんどん過激になって、噴水に突き落としたこともあった。公爵令息の婚約者は噴水の彫刻で腕を切る怪我をしても、『自分が足を滑らせた』って言い張ったんだよ」
皮肉を込めてフンと鼻を鳴らした。
「今、学園のどこにも噴水や池はないだろう?事が露見した後、全て潰して花壇になったのさ。虐められた伯爵令嬢の婚約者が、厳重に抗議したからね。」
ベアトリスを見やって言う。
「巻き毛の伯爵令嬢がひとつだけ褒められるのは、全部自分の手でしたことだね」
デーティアは皮肉っぽく笑って続ける。
「それでも平気な顔をしている公爵子息の婚約者に、伯爵令嬢はどんどん憎しみが増していってね。ここからは聞いただけの話なんだけど」
一息とばかりに冷めた紅茶を飲んで続ける。
「とうとう公爵令息の婚約者は卒業まで耐え続けた。伯爵令嬢は業を煮やした。卒業してしまえば、公爵令息と結婚してしまう。そこで王宮で催される卒業パーティーで公爵令息の婚約者に毒を盛ったそうだ」
右手をひらひらさせた。
「ところが悪いことはどこかで露見するものさ。今までの悪事を見かねたご学友が、大分前から公爵家にご注進してたのさ」
「よかった。全員が敵ってわけではなかったのね」
手を絞るように握っていたベアトリスが呟く。
「公爵家ではずっと見張りをつけて動向を見守っていたし、当日は公爵令息は婚約者にぴったり付き添っていた。そして例の毒杯を差し出された時、伯爵令嬢が毒を入れたことを見張りが報告していたから、その毒杯を公爵令息が受け取って飲もうとした。もちろん振りだよ。ところが慌てた伯爵令嬢はその杯を奪おうとして、中味が自分の腕にかかった。その途端、伯爵令嬢の腕が焼け爛れた」
ベアトリスが息を呑む。
「伯爵令嬢はその場で捕縛されたけれど、この期に及んでも公爵令息の婚約者に罪を被せようとしたもんだよ。けれど、公爵令息の婚約者の窮状を手をこまねいて心を傷めて見ていた者が、次々と伯爵令嬢の悪事を証言したのさ」
息をつめてベアトリスが先を待つ。
「伯爵令嬢は毒殺未遂で捕らえられて裁判を受け、ロナウ領の厳しい修道院に送られた。寒くて辛い場所さ。そこで二百日の間手鎖を課されて、三年の間朝夕跪かされ罪状を読み上げられ複唱して懺悔させられた上、日中は苦役に従事しなければならなかった。お嬢様育ちには辛かっただろうね」
「苦役ってどんなの?」
尋ねるベアトリス。
「畑仕事や建物の補修、家畜の世話なんかさ」
畑仕事や家畜の世話は、ベアトリスも経験がある。
「十二年経って戻ってきた時はすっかり老け込んで体を損なって、伯爵家の離れで二年もせず亡くなったよ」
「家畜の世話や畑仕事くらいで?」
ベアトリスは夏の間、デーティアの下で過ごす時にどちらも経験している。
「あたしの畑やヤギや鶏なんて比べようもないよ。ロナウは厳しい北の領地だからね」
「でもお祖母様は、ロナウの領地をあんなにも上手に経営しているじゃない?」
「管理人が優秀なのさ。それに百年前はもっと厳しかったよ。今じゃ色々改良しているからね。それに」
デーティアは公式にロナウ辺境伯を叙爵されている。経営は代理人だが。
「あの修道院は今でも厳しい戒律を守っていて、広大な畑と牧畜で自給自足しているし、それでも普段の食事は質素極まりないからね。冬は長くて寒い。今でもあそこの尼僧たちの寿命は短いよ」
考え込むベアトリスにデーティアはにやにや笑って言う。
「さてその公爵令息だけどね」
はっとベアトリスが顔を上げる。
「あんたの婚約者のワイアット公爵のひいじいさんの父親だよ」
とたんに頬が紅潮するベアトリス。
「おやおや。この婚約はうまくいっているようだね」
「おばあさま!!」
抗議するように言うベアトリス。
「だからね、エルヴィラ嬢は僻んでいるのかもしれないよ。優しくてハンサムな公爵と婚約している幸せな王女様にね」
デーティアはくすくすと笑う。
「どうやって?なにをしたの?」
デーティアはベアトリスの巻き毛を撫でる。
「真似しないっていうなら教えるよ。その意地悪な伯爵令嬢はそれが原因で公爵令息に嫌われて、とうとう修道院に送られたんだから」
「意地悪なんかしないわ!」
「よろしい。でもね、好奇心は猫をも滅ぼすってこともお忘れでないよ?」
「わかったわ」
ベアトリスは好奇心ではち切れそうだ。
「なに、誰しもちょっとはやりそうなことが始まりだったよ」
デーティアは語る。
「その伯爵令嬢は、最初は言葉の端々に嫌味をのせて当てこすった。髪のこと、容姿のこと、ちょっとした仕草のこと。全部その伯爵令嬢の主観でこじつけだったけどね」
くすくす笑う。
「公爵令息の婚約者はおとなしい性格だったらしく、相手に何もしなかった。口答えも反発もね。すると次は、彼女の前でお茶会やちょっとしたパーティーに彼女だけ招待しなかったり、取り巻き全員に目立つ髪飾りやなんかを与えて流行を作り出そうとしたりした。うまくはいかなかったけどね。巻き毛の伯爵令嬢は、派手好みだったからね」
片目をつぶってみせる。
「それでも気にしない様子を見ると、怒りのままに彼女の物を破損した。教本を破いたり、水をかけたり、足をかけて転ばせたり。そうして口汚く罵ったのさ」
デーティアは右手をひらひらさせる。
「ただ黙って耐えるだけっていうのも問題でね。あの頃あたしは、なんで言い返さないんだろうとイライラしたものさ」
フフンと笑うデーティアを見て、 ベアトリスも笑う。
「いやがらせはどんどん過激になって、噴水に突き落としたこともあった。公爵令息の婚約者は噴水の彫刻で腕を切る怪我をしても、『自分が足を滑らせた』って言い張ったんだよ」
皮肉を込めてフンと鼻を鳴らした。
「今、学園のどこにも噴水や池はないだろう?事が露見した後、全て潰して花壇になったのさ。虐められた伯爵令嬢の婚約者が、厳重に抗議したからね。」
ベアトリスを見やって言う。
「巻き毛の伯爵令嬢がひとつだけ褒められるのは、全部自分の手でしたことだね」
デーティアは皮肉っぽく笑って続ける。
「それでも平気な顔をしている公爵子息の婚約者に、伯爵令嬢はどんどん憎しみが増していってね。ここからは聞いただけの話なんだけど」
一息とばかりに冷めた紅茶を飲んで続ける。
「とうとう公爵令息の婚約者は卒業まで耐え続けた。伯爵令嬢は業を煮やした。卒業してしまえば、公爵令息と結婚してしまう。そこで王宮で催される卒業パーティーで公爵令息の婚約者に毒を盛ったそうだ」
右手をひらひらさせた。
「ところが悪いことはどこかで露見するものさ。今までの悪事を見かねたご学友が、大分前から公爵家にご注進してたのさ」
「よかった。全員が敵ってわけではなかったのね」
手を絞るように握っていたベアトリスが呟く。
「公爵家ではずっと見張りをつけて動向を見守っていたし、当日は公爵令息は婚約者にぴったり付き添っていた。そして例の毒杯を差し出された時、伯爵令嬢が毒を入れたことを見張りが報告していたから、その毒杯を公爵令息が受け取って飲もうとした。もちろん振りだよ。ところが慌てた伯爵令嬢はその杯を奪おうとして、中味が自分の腕にかかった。その途端、伯爵令嬢の腕が焼け爛れた」
ベアトリスが息を呑む。
「伯爵令嬢はその場で捕縛されたけれど、この期に及んでも公爵令息の婚約者に罪を被せようとしたもんだよ。けれど、公爵令息の婚約者の窮状を手をこまねいて心を傷めて見ていた者が、次々と伯爵令嬢の悪事を証言したのさ」
息をつめてベアトリスが先を待つ。
「伯爵令嬢は毒殺未遂で捕らえられて裁判を受け、ロナウ領の厳しい修道院に送られた。寒くて辛い場所さ。そこで二百日の間手鎖を課されて、三年の間朝夕跪かされ罪状を読み上げられ複唱して懺悔させられた上、日中は苦役に従事しなければならなかった。お嬢様育ちには辛かっただろうね」
「苦役ってどんなの?」
尋ねるベアトリス。
「畑仕事や建物の補修、家畜の世話なんかさ」
畑仕事や家畜の世話は、ベアトリスも経験がある。
「十二年経って戻ってきた時はすっかり老け込んで体を損なって、伯爵家の離れで二年もせず亡くなったよ」
「家畜の世話や畑仕事くらいで?」
ベアトリスは夏の間、デーティアの下で過ごす時にどちらも経験している。
「あたしの畑やヤギや鶏なんて比べようもないよ。ロナウは厳しい北の領地だからね」
「でもお祖母様は、ロナウの領地をあんなにも上手に経営しているじゃない?」
「管理人が優秀なのさ。それに百年前はもっと厳しかったよ。今じゃ色々改良しているからね。それに」
デーティアは公式にロナウ辺境伯を叙爵されている。経営は代理人だが。
「あの修道院は今でも厳しい戒律を守っていて、広大な畑と牧畜で自給自足しているし、それでも普段の食事は質素極まりないからね。冬は長くて寒い。今でもあそこの尼僧たちの寿命は短いよ」
考え込むベアトリスにデーティアはにやにや笑って言う。
「さてその公爵令息だけどね」
はっとベアトリスが顔を上げる。
「あんたの婚約者のワイアット公爵のひいじいさんの父親だよ」
とたんに頬が紅潮するベアトリス。
「おやおや。この婚約はうまくいっているようだね」
「おばあさま!!」
抗議するように言うベアトリス。
「だからね、エルヴィラ嬢は僻んでいるのかもしれないよ。優しくてハンサムな公爵と婚約している幸せな王女様にね」
デーティアはくすくすと笑う。
11
あなたにおすすめの小説
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる