遠の朝廷の大王

望月なお

文字の大きさ
1 / 15

1-1

しおりを挟む
 茶盤の上に一人分の茶杯と聞香杯、茶托。茶酌と茶海、茶壷、水盂。薬缶に満たした沸きたての湯。茶盤の上で茶壷に湯を入れて温める。その湯を茶海に戻し、またそれを茶杯と聞香杯に移す。茶器を温める間に茶壷には上等の白牡丹を一匙。新たな熱湯を茶海へと高い所から落とし、湯の温度を僅かに下げる。茶海の湯が適温になったら茶壷へと移し、蓋を閉めて心の中でゆっくりと一、二、三、と数える。茶杯と聞高杯を温めるために満たした湯を茶海へ捨て、聞高杯に茶壷から茶を注ぐ。茶托を用意し、茶を満たした聞高杯と茶杯を配し、香気が移った聞高杯から茶杯へと茶を注ぐ。杯は高貴な牡丹柄。山査子餅を横に添えてそれは部屋の奥に座す男へと差し出された。茶を受け取った男はゆったりと優雅な給仕の動作に苛立ちながら茶杯へと手を伸ばし、一口で干す。そのままお茶請けと手を伸ばし、音をたてて噛み砕いた。給仕はもう一度茶海へと熱湯を落としてから、男が飲み干した杯を下げると、二煎目をいれはじめる。
 給仕はこの宮殿中で一番位の高いこの粗野な男を冷静に見遣る。天之原と呼ばれた国を一月で滅ぼした鳧流の民。西の草原を騎馬で行く者たちだ。天之原の首都、枝夛の宮殿には多くの鳧流が流れ込んでいた。部屋の主が目の前の男に変わってから初めて入ったこの部屋は、以前と変わらずに豪奢な執務机、緋毛氈と大振りな玉に飾られた椅子、贅沢に金の入った紫紺の壁紙に飾られている。男はつまらなそうに執務机に積まれた書類の山を眺めやって、給仕へと話しかける。
「お前、いつか逢ったことがあるな」
給仕は目礼してから声を発すること無く、軽く目を伏せ目礼することで「是」と示す。給仕がこの宮殿の主へと直答することは許されていない。
「商人風情が何故ここで儂の給仕をしている」
給仕は仕方が無いとでもいうようにふと笑みを見せて、男の元へと跪く。
「ウバナンダ様にお召しをいただきました。パータラ様におかれましてはお言葉に難儀されておられる様子にて、私に通訳をと」
交わされる言語はこの地方のものとは大きく異なる西方の訛がある。給仕が操るそれはは柔らかく、パータラに不快感を与えない。
「しかし、通訳として私がパータラ様と共に居れば風聞にも関わりましょう。なれば私を給仕としてお傍に置いて下さればと」
パータラが短く問う。
「名は」
「胡、葯子と申します」
給仕の、美しく伏せた瞼と己の故郷よりも遥か遠い西の民の様な金色の髪とをパータラは満足そうに眺めて、肩へと手を置き、書類の山を一瞥してから当り前のように命じる。
「ならばそれを読み上げろ。それから次の休息にはバター茶が馬乳酒を持て。あのような茶は好まぬ」
「畏まりました」
恭しく給仕は立ち上がり、一歩下がると一礼する。それから一番上に積んであった書類を取り上げると異なる言語の書面を見ているのだとは思わぬ程に朗々と読みはじめた。

 ※

 このような場所にいれば、嫌でも遙遠之君と呼ばれた、幼い頃の思い出が甦る。

 この広大な宮殿に、美しく年若い異国の血を持つ母。十八人目の末の王子ともなれば、国を継ぐ必要も無くただこの鳥籠のような宮殿の中でゆるゆるといつまでも暮らしていくのだと漠然と感じていたし、それについて思うことも無く、兄たちを補佐し支えることに疑問を感じたことも無かった。
 自分が西方の血を色濃く受けていることは、母を知らずしても己の容姿が明白に示していて、だからこそ、自分は紛れも無い故郷にあるというのにも関わらず異邦人だった。彫りの深い顔立ちと、全体的に色素が薄い自分に対して、他の者は総じて象牙の肌と、黒い瞳と髪。そして王家の人間はそれを示すかのように黒髪の中に銀糸の部分を一房持つ。これは、この国の初代の王が肖像画に持つからだ。一房染め抜いている者もいれば、はじめからそのように生まれる者もいる。それが、王家の血を持つ者の印になる。他とは異なる自分の容姿で、子供の時分はたいそう嫌がらせにあったし、唯一同じような容姿を持つ亡国の姫であった母は、身一つでこの国に嫁いでから決して故郷の言葉を許されなかった。しかし、明らかに他と違う容姿は自分を否応でも特別だと認識させた。だからこそこの身に宿った疑念を消せずにいたのかもしれない。

 「おはようございます」
朝の挨拶は乳母だけだった。大きな天蓋が付いた寝台は緩く紗が掛かり、柔らかく朝日を遮る。目覚めには卓子に白茶が用意され、自分で自分の身を繕ったことは無かった。朝食を一人でとり、何がそんなに可笑しいのだろうか笑いさざめき、お召し替えをと迫る女官たちに着替えを受ける。そして、回廊を長く歩いて漸く母の部屋へとたどり着く。
「おはようございます。母上」
「おはようございます。遙遠之君」
この国で唯一自分とよく似た容姿を持つ母は、言葉少なく自分を迎え入れる。人前では決して母は多くを話さない。というより話せないのだ。流れるような手つきで用意されるお茶と、侍女が下がるのを待って、母はこの国の言葉では無い言葉で話し出す。歌うように柔らかな異国の言語は私にとって唯一の外の世界。私は幼く、母が故郷の言語を教える意味すら理解をしていなかったが、それでも、母とだけ話せる言語はどこか秘め事めいていて。嬉しくて私は必死で覚えた。共に食事を取ることも、子守唄を唱ってもらうことも無かったけれどもそれでも私は確固とした愛情を母から感じていた。
「そろそろ御勉強の時間でしょう。お戻りなさいな」
母のその振る舞いにはもう、遠い故郷のそれを感じない。十五で遥々西域の国から嫁いだ母は、その直後に祖国を他国に滅ぼされた聞く。それでもたくましく生きていたのだと思う。しかし、そのささやかな幸福も長くは続かなかった。風邪で臥せると母はそのまま寝台から出られなくなり、そのまま眠るように旅立った。今となっては王宮という魔物に母は殺されたのだと思う。私は母の生きている内にそれに気付き労うことはできなかった。私は十歳で今までで一番悲しい別れを経験した。

 母が亡くなって喪が明ける頃、初めて他の血を継ぐ人間と出逢った。その人は、自分ともそして王国の民とも異なった血を色濃く持つ人間だった。素肌に絹の薄物を身に付け、その上には大振りな襟が付いた上着を重ねる。上着は裾が腰程で、その下は細身のズボンで足を包む。服装も大きく異なっていることながら、流暢な言葉で、
「初めまして、遙遠之君。不空と申します」
と言って、男は十歳の自分の足下に跪いた。褐色の肌に掘りの深い顔立ち、黒髪に黒い瞳を持った見知らぬ血を持つ男だった。

 全てが始まったのはきっとそう、あの男と、出逢ってから。

 不空は長く宮殿に留まったかと思うと、一月も二月も顔を見せず忘れた頃にふらりと現れる。父王と何やら密室に籠り、その後に必ず自分に挨拶を欠かさなかった。十八人目の末子である自分に。今思えばその時にはもう、その後に知らされることは決まっていたことだったのかもしれない。

 「ご無沙汰をしております。遙遠之君」
その日も、半年ぶりの不空の訪問だった。
「不空は私のことを忘れてしまったのかと思った」
当て擦りを言うと不空は、知的な笑顔を見せて私と瞳を合わせる。どうやらこれがこの男の癖のようで、何か重要なことを伝える時には必ずこの癖を出した。
「準備に手間取ってしまいました。これからは当分お傍に」
母が亡くなってから私にとって外の世界を見せてくれる唯一の人。それが不空だった。だから、純粋に傍にいてくれるのは嬉しかったし、彼が歩いてきた西域の話を聞くのが好きだった。まるでそれは、自分の血が故郷を恋しがっているかのように、私は彼に話を強請った。

 だから、不空と共に父王の執務室に呼ばれた時も、特別な一言ではなく、いつものようにささやかな勉学の進行具合や誰かに自分の王子を紹介するような用事だと思っていた。豪奢な執務机、緋毛氈と大振りな玉に飾られた椅子、贅沢に金の入った紫紺の壁紙に飾られた部屋は、父王が座することで完成する。どこからとも無く聞こえる、楽師がゆるりと弾く異国の旋律。それに重なってまるで芝居のように、父王は言った。
「お前に名を授けよう。胡、葯子だ。よいな」
反応のない私を気にするふうも無く、父王は続ける。
「沙羅虞那都に赴き、僧の修行をせよ。行きは不空を付けよう」
沙羅虞那都は遙か西方、行者が修行をする町だ。そして、行きの供を不空にということは、帰りは無い。言外に父王が臭わせたことはそういうことだろう。父の低い声が、何度も巡る。そして、昂った感情に震える唇がやっと言葉を紡ぐ。
「何故っ。何故ですか父君。私は、兄君たちのお手伝いをすることすらお許し頂けないのですか。この髪が、この顔立ちがいけないのですか。それなら何故、私が生まれた時に河にでも流してしまわれなかった」
途中でこぼれ落ちた涙が嗚咽を誘って、途切れ途切れになるのも構わずに叫んだ。父の痛みに歪んだ顔が、まるで自分が悪いことをして窘められているような気になって、それが嫌で私は礼もとらずに部屋を出て部屋まで走った。

 不自由無きように、全てが満ちあふれるようにと与えられた日々。それが終わりを告げる日。私はまだ十三を数えたばかりだった。母の血を強く受けた金色の髪は丁寧に梳り結い上げると白銀色に染め抜いたような一房が僅かに目立つ。その一房こそが、母が王の愛を受けた証であり、自分をこの国が生かす全ての理由だった。けれど、こんなに不意に気に入らないものを手放すように父王に出家を言い渡されるとは思ってもいなかった。これからは当分お供に、と目線を通わせた不空の一言が甦ったが、それよりなりよりも、何故か溢れ出して止まらない涙が誰かに見咎められることが嫌で、乳母に叱られることを承知で着替えもせずに寝台に潜り込んだ。
 
 ※

 「何を惚けている、葯子」
久しぶりに逢ったというのに冷たいな、と妙な一言を付け加えて不空が私の隣に座る。落ち合う約束をした宿屋は、簡素だが清潔で当たりだった。不空は出逢って八年は経つというのに、容姿は殆ど変わらない。当時二十七だと言っていたから、今年三十五の男盛りだ。「元々老け顔だったのか」と覚えたての市井の言葉で伝えたのは沙羅虞那都への旅の途中だったか。いつものように知的に微笑んで、私を夕餉に誘わずに一人だけとっていたのを思い出す。あの時は少し落ち込んだ。そんなことを考えていたのが分かったのか、それとも口元に笑みを浮かんだのを見取ったのか、不空は本格的に葯子の目の前に何度か手をかざして振る。
「王子時代にでも戻っていたのか、戻ってきなさい」
そういってもう一度振るから、そのままその手を捕まえて甲に口付ける。
「親愛の印だよ、不空」
「それは光栄なこと」
と言いながら、嫌そうに不空は目の前にあった布巾で手の甲を拭う。いつものことだ。
「残念、西域のご夫人には好評なのに」
「まあ、葯子のその容姿では仕方ない。精々愛想を振りまいて売り上げに貢献しなさい」
私が目深に被ったフードを落として顔が表れるのを見てから不空は答える。同時に長い髪を絡めた翡翠色の髪紐を解き髪をおろす。何度か頭を振ってやっと落ち着く。砂漠を越えるにはただでさえ日除けに気をつけなければならない。特に、色素の薄い私のような肌を持つものには命取りだ。分かってはいるが、あまり好きではない。
「あの頃は不空がこんなに性格の歪んだ人だとは思っていなかったよ」
あの頃ってどの頃だ、と不空が混ぜ返すので私は初めて会った頃だと言う。
「俺も葯子の性格がこんなに捻るとは思わなかった、昔はあんなに可愛かったのに」
もう熱は出さなくなったか、とからかうように不空が言う。もう慣れたよ、と私は軽く答えて広がった髪を再び翡翠色の髪紐で一つにまとめる。その髪紐に目を止めて、不空は言う。
「まだそれを使っているのか」
「ええ、私の元婚約者の君から頂いたものだからね」
私はそう答えて、お湯を頼むために階下に降りたので、不空の、
「意外と一途だな」
という独り言は耳に入らなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無用庵隠居清左衛門

蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。 第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。 松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。 幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。 この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。 そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。 清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。 俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。 清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。 ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。 清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、 無視したのであった。 そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。 「おぬし、本当にそれで良いのだな」 「拙者、一向に構いません」 「分かった。好きにするがよい」 こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

古書館に眠る手記

猫戸針子
歴史・時代
革命前夜、帝室図書館の地下で、一人の官僚は“禁書”を守ろうとしていた。 十九世紀オーストリア、静寂を破ったのは一冊の古手記。 そこに記されたのは、遠い宮廷と一人の王女の物語。 寓話のように綴られたその記録は、やがて現実の思想へとつながってゆく。 “読む者の想像が物語を完成させる”記録文学。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

花嫁御寮 ―江戸の妻たちの陰影― :【第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞】

naomikoryo
歴史・時代
名家に嫁いだ若き妻が、夫の失踪をきっかけに、江戸の奥向きに潜む権力、謀略、女たちの思惑に巻き込まれてゆく――。 舞台は江戸中期。表には見えぬ女の戦(いくさ)が、美しく、そして静かに燃え広がる。 結城澪は、武家の「御寮人様」として嫁いだ先で、愛と誇りのはざまで揺れることになる。 失踪した夫・宗真が追っていたのは、幕府中枢を揺るがす不正金の記録。 やがて、志を同じくする同心・坂東伊織、かつて宗真の婚約者だった篠原志乃らとの交錯の中で、澪は“妻”から“女”へと目覚めてゆく。 男たちの義、女たちの誇り、名家のしがらみの中で、澪が最後に選んだのは――“名を捨てて生きること”。 これは、名もなき光の中で、真実を守り抜いたひと組の夫婦の物語。 静謐な筆致で描く、江戸奥向きの愛と覚悟の長編時代小説。 全20話、読み終えた先に見えるのは、声高でない確かな「生」の姿。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...