19 / 38
第2章 堕天使の告白
1 *
しおりを挟む
「エレン、エレン、どこへ行った」
酔ったお父さんが僕を探し回っている。僕はトイレにカギをかけて中に閉じこもり、震えていた。
しかし、すぐに見つかる。トイレのドアが、がちゃんがちゃんと乱暴にこじ開けられる。カギはあまくなっており、簡単に開く。
「エレン、俺から逃げるな」
お父さんは僕の首根っこをつかまえ、トイレから外に出し、寝室に連れ込む。
「お父さん、僕だよ、律だよ。お母さんじゃないよ」
僕は無駄だとわかりながら、抵抗を続ける。お父さんは僕を殴る。僕は気を失ってしまう。そして、お父さんは僕を犯した。
僕のお母さんは東ヨーロッパの戦争難民だったそうだ。一時停戦になり、一時帰国を促されたが、お母さんは祖国に帰らず、不法滞在者となってしまった。お父さんは難民を支援するNPO法人で働いていた。不法滞在者となってしまったお母さんはそのNPO法人を頼り、お父さんと出会った。
お父さんとお母さんは結婚して、僕が生まれた。
お父さんは普段は優しい人だったが、お酒を飲むと人格が変わり、お母さんに暴力をふるった。僕が小学生になるまで、お母さんは我慢していた。しかし、ついに我慢できなくなり、大使館に駆け込んで、祖国に強制送還されたそうだ。お母さんはもう二度と日本の地は踏めない。お母さんの祖国は、今なお戦争中であり、レベル4の退避勧告が出ている。僕が行くこともできなかった。
お母さんは不法滞在者だったので、僕の戸籍上に名前はない。お父さんと僕の名前だけだった。僕はお父さんのところにいるしかなかった。
お母さんは美しい人だった。僕と同じ、金髪と青い瞳を持っていた。お父さんの職場の同僚は、僕を見ると「エレンさんに似てきたな」と言う。それを聞いたお父さんが不機嫌になるので、みんな黙ってしまうのだけれど。
初めては、僕が小学校3年生だった。お父さんはお酒を飲んで、僕のことを「エレン」とお母さんの名前で呼んだ。お父さんは僕の下半身を裸にした。殺気だったお父さんの雰囲気に、僕は必死で抵抗したが、殴られて意識を失った。
意識がもどると、1人ぼっちになっていた。おしりに強い痛みを感じたので、恐る恐る、右手で触ってみると、血と白いどろっとした液体が手についてきた。
血……。僕、おしりから血が出てる……。死んじゃうの?
お父さんに殴られたところも痛いし、とりわけ、おしりの穴はズキズキ痛い。おまけに血も出ていて、僕は恐怖だった。
ガチャンと玄関のドアの音がして、足音が聞こえた。
お父さん?
こんな風にしたのがお父さんだったにも関わらず、1人で不安だったので、お父さんが帰ってきたことに安心感を覚えた。
「お父さん!」
僕は起き上がりお父さんのところに行こうとした。
「律、そこに寝てなさい」
お父さんはレジ袋を置き、僕の足元に座った。そして、僕のおしりに買ってきた軟膏を塗って手当をしてくれた。
「律、ごめんな。お父さん、お母さんがいないの寂しくて」
お父さんは泣いて、僕に謝りながら、僕の手当をしてくれた。僕はお父さんが可哀そうになって、されたことを忘れた。
それから数日はお父さんはすごく優しかった。あれは何かの間違いだったのだと、僕はお父さんを許していた。
しかし、またお父さんはお酒を飲み、僕を殴った。そして、レイプした。僕は殴られていることは理解していたけれど、レイプの意味は分かっていなかった。素面になると、お父さんは僕に泣いて謝り、優しくなった。僕の顔は腫れ上がるので、数日学校を休むことができた。優しくなったお父さんは僕に欲しかった流行りのゲームを買ってくれて、僕は布団の中でごろごろゲームをして過ごした。痛い思いはするけれど、その後は遊んで過ごせるので、これはこれでいいかと自分を納得させていた。
「転んでぶつけた」
顔の腫れがひけて、学校に行く。それでも、完全にあざはなくなっていない。先生が「どうしたの?」と聞くと、僕はそう答えた。先生を心配させたくなくて、僕は笑顔で答える。お父さんに変なことをされていると気づかれたくなかった。お父さんが僕にしていることは、僕が悪い子だから、しつけのためにしていて、それは必要だということにしたかった。
周囲も何かに気づき始めていたのかもしれない。周りは僕を腫れもののように当たり障りなく扱うので、僕は気が付かなかったが、お父さんは追い込まれていたのだった。
最後の夜、お父さんはお酒を飲み、僕を抱いた。最近では、僕も殴られるのは痛いし、痕が残るので、あまり抵抗しなくなった。お父さんは僕のことを「エレン」と呼び、僕を抱いた。僕が抵抗しないと、お父さんはベビーオイルを使ってくれて、終わった後の痛みは軽くなった。
「エレン、エレン」
お父さんはお母さんの名前を泣きながら呼び続け、僕の上で腰を振った。
僕は意思のない人形のように力を抜いて、心を別の世界に飛ばした。
終わった後は、いつも通り、お父さんは泣きながら僕に謝った。「もう二度としない」と僕に誓ったが、僕は信じなかった。
しかし、誓いは守られた。学校から帰ってきた僕は、家の中でお父さんが首を吊っているのを発見した。
酔ったお父さんが僕を探し回っている。僕はトイレにカギをかけて中に閉じこもり、震えていた。
しかし、すぐに見つかる。トイレのドアが、がちゃんがちゃんと乱暴にこじ開けられる。カギはあまくなっており、簡単に開く。
「エレン、俺から逃げるな」
お父さんは僕の首根っこをつかまえ、トイレから外に出し、寝室に連れ込む。
「お父さん、僕だよ、律だよ。お母さんじゃないよ」
僕は無駄だとわかりながら、抵抗を続ける。お父さんは僕を殴る。僕は気を失ってしまう。そして、お父さんは僕を犯した。
僕のお母さんは東ヨーロッパの戦争難民だったそうだ。一時停戦になり、一時帰国を促されたが、お母さんは祖国に帰らず、不法滞在者となってしまった。お父さんは難民を支援するNPO法人で働いていた。不法滞在者となってしまったお母さんはそのNPO法人を頼り、お父さんと出会った。
お父さんとお母さんは結婚して、僕が生まれた。
お父さんは普段は優しい人だったが、お酒を飲むと人格が変わり、お母さんに暴力をふるった。僕が小学生になるまで、お母さんは我慢していた。しかし、ついに我慢できなくなり、大使館に駆け込んで、祖国に強制送還されたそうだ。お母さんはもう二度と日本の地は踏めない。お母さんの祖国は、今なお戦争中であり、レベル4の退避勧告が出ている。僕が行くこともできなかった。
お母さんは不法滞在者だったので、僕の戸籍上に名前はない。お父さんと僕の名前だけだった。僕はお父さんのところにいるしかなかった。
お母さんは美しい人だった。僕と同じ、金髪と青い瞳を持っていた。お父さんの職場の同僚は、僕を見ると「エレンさんに似てきたな」と言う。それを聞いたお父さんが不機嫌になるので、みんな黙ってしまうのだけれど。
初めては、僕が小学校3年生だった。お父さんはお酒を飲んで、僕のことを「エレン」とお母さんの名前で呼んだ。お父さんは僕の下半身を裸にした。殺気だったお父さんの雰囲気に、僕は必死で抵抗したが、殴られて意識を失った。
意識がもどると、1人ぼっちになっていた。おしりに強い痛みを感じたので、恐る恐る、右手で触ってみると、血と白いどろっとした液体が手についてきた。
血……。僕、おしりから血が出てる……。死んじゃうの?
お父さんに殴られたところも痛いし、とりわけ、おしりの穴はズキズキ痛い。おまけに血も出ていて、僕は恐怖だった。
ガチャンと玄関のドアの音がして、足音が聞こえた。
お父さん?
こんな風にしたのがお父さんだったにも関わらず、1人で不安だったので、お父さんが帰ってきたことに安心感を覚えた。
「お父さん!」
僕は起き上がりお父さんのところに行こうとした。
「律、そこに寝てなさい」
お父さんはレジ袋を置き、僕の足元に座った。そして、僕のおしりに買ってきた軟膏を塗って手当をしてくれた。
「律、ごめんな。お父さん、お母さんがいないの寂しくて」
お父さんは泣いて、僕に謝りながら、僕の手当をしてくれた。僕はお父さんが可哀そうになって、されたことを忘れた。
それから数日はお父さんはすごく優しかった。あれは何かの間違いだったのだと、僕はお父さんを許していた。
しかし、またお父さんはお酒を飲み、僕を殴った。そして、レイプした。僕は殴られていることは理解していたけれど、レイプの意味は分かっていなかった。素面になると、お父さんは僕に泣いて謝り、優しくなった。僕の顔は腫れ上がるので、数日学校を休むことができた。優しくなったお父さんは僕に欲しかった流行りのゲームを買ってくれて、僕は布団の中でごろごろゲームをして過ごした。痛い思いはするけれど、その後は遊んで過ごせるので、これはこれでいいかと自分を納得させていた。
「転んでぶつけた」
顔の腫れがひけて、学校に行く。それでも、完全にあざはなくなっていない。先生が「どうしたの?」と聞くと、僕はそう答えた。先生を心配させたくなくて、僕は笑顔で答える。お父さんに変なことをされていると気づかれたくなかった。お父さんが僕にしていることは、僕が悪い子だから、しつけのためにしていて、それは必要だということにしたかった。
周囲も何かに気づき始めていたのかもしれない。周りは僕を腫れもののように当たり障りなく扱うので、僕は気が付かなかったが、お父さんは追い込まれていたのだった。
最後の夜、お父さんはお酒を飲み、僕を抱いた。最近では、僕も殴られるのは痛いし、痕が残るので、あまり抵抗しなくなった。お父さんは僕のことを「エレン」と呼び、僕を抱いた。僕が抵抗しないと、お父さんはベビーオイルを使ってくれて、終わった後の痛みは軽くなった。
「エレン、エレン」
お父さんはお母さんの名前を泣きながら呼び続け、僕の上で腰を振った。
僕は意思のない人形のように力を抜いて、心を別の世界に飛ばした。
終わった後は、いつも通り、お父さんは泣きながら僕に謝った。「もう二度としない」と僕に誓ったが、僕は信じなかった。
しかし、誓いは守られた。学校から帰ってきた僕は、家の中でお父さんが首を吊っているのを発見した。
0
あなたにおすすめの小説
【連載版あり】「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩
ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。
※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞に応募しましたので、見て頂けると嬉しいです!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる