【完結】10年愛~運命を拒絶したオメガ男性の話

十海 碧

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再会

34 林 良一

 良一は、いつも通りMiki Hojoの寮の食堂に出勤した。美樹に昼食を一緒にとろう、とまた誘われた。
 午後1時になり、賄いを持って美樹の部屋に行く。西山淳もいた。
「ごめんなさい。ご招待いただいたのに行けなくて」
 良一は謝る。雅司に出くわすのが怖くて、結局、西山淳の写真展には行けなかった。
「このモデルは誰なんだ? て良く聞かれたから、RYOさんが来たらパニックになっていたよ。来なくて良かったかも。展示していた写真、良ければもらってくれないかと、今日持ってきたんだ」
 包装した写真パネルを良一にプレゼントする。良一はありがたく頂いた。
「林雅司さん、バツイチなんだって」
 淳が良一に告げる。良一はどきっとする。
「雅君が林さんとこ行ったらしいよ。それで、由里さんと結婚している事、分かったみたい。RYOさんに迷惑になるから会えないと言ってた。林さん、勘違いしているようだよ」
 情報量が多すぎて良一の頭が追い付かない。
「お節介かもしれないけど、林さん、めちゃくちゃRYOさんの事、好きだと思う。RYOさんも、そうなんでしょ。一度、会ってみたら?」
 淳は一気に言う。美樹も頷く。
「でも、俺、おじさんになっちゃったよ」
 良一は顔を赤らめて言う。美樹と淳はしみじみ良一を眺める。
 確かに10年前のRYOは神がかった美しさがあった。オメガ男性しか持てない中性的な色気。オメガ風俗ナンバーワンの風格があった。
 今の良一は39歳には見えない若々しさだ。すらっとした体型はそのままなので、綺麗なお兄さんという感じだ。銀髪や紫の瞳はそのままだが、肌は健康的に日焼けしている。調理の仕事をしているから、二の腕なども筋肉がついて、以前より健康的だ。また、雰囲気もオメガ風俗に勤めていた時は退廃的な色気があったが、今は2人の子持ちなので爽やかである。良くも悪くも平凡になってしまった。
 写真のモデルになってもらった時は叡智を超えた美しさがあった。今の良一にはそれがない。今の良一をモデルにして写真を撮りたいとは正直思えない。
 美樹も淳も沈黙する。良一は自分が心配している事が、他人も認めるところだと再認識する。
「多分、がっかりされちゃうと思うし、がっかりする顔を見たくない」
 良一は賄いを食べ、仕事に戻った。

 美樹も淳も雅司が今の平凡になった良一をどう思うのか想像できなかった。アルファの考えることはオメガには分らない。美樹としてはオメガ風俗のキャストだった時より、今の方が生命力があり安心して見ていられるが、アルファとしてはあの退廃的な色気が堪らないのかもしれない。
 運命の番だから、会ってしまえば上手くいくようにも思うが、がっかりされるのが怖いという良一の気持ちも分かった。
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