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エピローグ
43 林 良一
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婚姻届を出したと、動物園から帰ってきた由里と雅と司に伝えたところ、3人はしばし絶句した。
雅司が雅と司に自分が父親であることを説明し、知らなかったとはいえ、ずっと放っておいて悪かったと謝った。そして一緒に暮らしたいと言った。
雅は「家族なんだから、そうだよね」と言いまんざらでもなさそうだった。
司は「お母さんはどうなるの?」と由里を見た。
由里は覚悟を決めていたらしく、新しい仕事の話をして、事務所が社宅として借り上げているマンションに引っ越すと言った。
司は由里が一人ぼっちになると思い、「そんなの酷い」と怒った。
由里は「でも、私、番のいないオメガだから、雅司さんとは勿論、大きくなった雅と司とも同居していくのは難しい」と説明した。
確かにその通りだ。由里と別れることは仕方ない。
Miki Hojoの寮の食堂の仕事は雅司の強い希望で辞めた。できる限り一緒にいたいそうだ。雅司の稼ぎだけで経済的には問題ないので、美樹に辞めたいと伝えた。美樹は笑って「寿退職だね。おめでとう」と言った。
今は専業主夫となった。10年前と違い、専業主夫は十分にこなせるようになっていた。3人のアルファは食べる量が多いので料理のし甲斐がある。普通の料理しかできなかったので、最近はネットで調べて手の込んだ料理にもチャレンジしている。
雅司は雅と司を可愛がっているし、その10倍は良一を可愛がっている。36歳の雅司に全力で愛されると、41歳の良一は体力の違いを感じる。平日の日中は雅司は働いているので、のんびりできるからまだなんとかなっているが。この点でも仕事を辞めて良かったと思う。
手の込んだ料理以外にお菓子作りも練習し始めた。上手くできると由里の所に差し入れに行く。最近、雅も司も甘い物食べなくなったの、と言い訳をする。由里がお茶を入れてくれて、のんびりお喋りをする。由里はヘアメイクの仕事が忙しそうだが、やりたい仕事をしている充実感があるようだ。10年間お世話になって、使い捨てにしてしまったような疚しさが良一にはある。しかし、それは傲慢というものだろう。少額だが給料は払ってたし、由里が美容師になることを妨げなかった。そして由里は希望の職についた。バリバリ働いている由里は洗練されて綺麗になった。ただの専業主夫になった良一より成功した人生と言えるのかもしれない。
心配していた雅司の家族の紹介もすんなりと終わった。おそらく雅と司の存在は大きい。優れた2人の孫の顔を見たら、手放せないだろう。そうすると良一の事も受け入れなければならない。良一のオメガ風俗の過去は雅と司も知らないので、みんな触れない。いつかは白状しなければならないのかもしれない。でも、それが遠い未来であれば良いと思う。どうしようもできない運命という物があるのだ。
オメガ風俗で生まれ育ってしまったのも運命であれば、雅司と出会ったのも運命だ。
でも、自分はその都度、一生懸命生きてきた。オメガ風俗ではナンバーワンになったし、妊娠したら子供を頑張って育て、風俗から足を洗った。文盲だったけど、一から勉強し直した。
仕事を辞めて少し時間の余裕ができたので、高校に通いたいと雅司に相談した。4月に子供が中学入学するので、良一も通信制の高校に入学する予定だ。どんどん賢くなる子供に少しでもついていけるように頑張って勉強しようと思う。
もし、12年前に別れないで結婚してたらどうだったのか考える。
何もできない自分は雅司を振り回していただろう。そして雅司に愛想を尽かされたのではないか。
今の自分は、仮に雅司がいなくても生きていけると思う。それは10年間、雅司がいなくても生き抜いてきた自信だ。そう考えると10年間は無駄でなかったと思う。
劣化した自分を雅司がどう思うのか不安だったが、雅司は「可愛い、可愛い」とでろでろに愛してくれる。運命の番だから、目くらましにあっているのかもしれない。そのうちに我に返るのであろうか? それは分からないが、なんとなく、ずっと可愛いと思ってくれるような根拠のない自信がある。番になった時に強い絆ができたようで、雅司の愛が素直に信じられるようになった。番になって幸せだと思う。オメガ風俗時代は番になることが不幸の始まりだと信じていたので、それが違うということが分かっただけ幸せだと思う。
ママ……
そっと呟く。
産んでくれてありがとう。
りょういちは幸せになりました。
おしまい。
雅司が雅と司に自分が父親であることを説明し、知らなかったとはいえ、ずっと放っておいて悪かったと謝った。そして一緒に暮らしたいと言った。
雅は「家族なんだから、そうだよね」と言いまんざらでもなさそうだった。
司は「お母さんはどうなるの?」と由里を見た。
由里は覚悟を決めていたらしく、新しい仕事の話をして、事務所が社宅として借り上げているマンションに引っ越すと言った。
司は由里が一人ぼっちになると思い、「そんなの酷い」と怒った。
由里は「でも、私、番のいないオメガだから、雅司さんとは勿論、大きくなった雅と司とも同居していくのは難しい」と説明した。
確かにその通りだ。由里と別れることは仕方ない。
Miki Hojoの寮の食堂の仕事は雅司の強い希望で辞めた。できる限り一緒にいたいそうだ。雅司の稼ぎだけで経済的には問題ないので、美樹に辞めたいと伝えた。美樹は笑って「寿退職だね。おめでとう」と言った。
今は専業主夫となった。10年前と違い、専業主夫は十分にこなせるようになっていた。3人のアルファは食べる量が多いので料理のし甲斐がある。普通の料理しかできなかったので、最近はネットで調べて手の込んだ料理にもチャレンジしている。
雅司は雅と司を可愛がっているし、その10倍は良一を可愛がっている。36歳の雅司に全力で愛されると、41歳の良一は体力の違いを感じる。平日の日中は雅司は働いているので、のんびりできるからまだなんとかなっているが。この点でも仕事を辞めて良かったと思う。
手の込んだ料理以外にお菓子作りも練習し始めた。上手くできると由里の所に差し入れに行く。最近、雅も司も甘い物食べなくなったの、と言い訳をする。由里がお茶を入れてくれて、のんびりお喋りをする。由里はヘアメイクの仕事が忙しそうだが、やりたい仕事をしている充実感があるようだ。10年間お世話になって、使い捨てにしてしまったような疚しさが良一にはある。しかし、それは傲慢というものだろう。少額だが給料は払ってたし、由里が美容師になることを妨げなかった。そして由里は希望の職についた。バリバリ働いている由里は洗練されて綺麗になった。ただの専業主夫になった良一より成功した人生と言えるのかもしれない。
心配していた雅司の家族の紹介もすんなりと終わった。おそらく雅と司の存在は大きい。優れた2人の孫の顔を見たら、手放せないだろう。そうすると良一の事も受け入れなければならない。良一のオメガ風俗の過去は雅と司も知らないので、みんな触れない。いつかは白状しなければならないのかもしれない。でも、それが遠い未来であれば良いと思う。どうしようもできない運命という物があるのだ。
オメガ風俗で生まれ育ってしまったのも運命であれば、雅司と出会ったのも運命だ。
でも、自分はその都度、一生懸命生きてきた。オメガ風俗ではナンバーワンになったし、妊娠したら子供を頑張って育て、風俗から足を洗った。文盲だったけど、一から勉強し直した。
仕事を辞めて少し時間の余裕ができたので、高校に通いたいと雅司に相談した。4月に子供が中学入学するので、良一も通信制の高校に入学する予定だ。どんどん賢くなる子供に少しでもついていけるように頑張って勉強しようと思う。
もし、12年前に別れないで結婚してたらどうだったのか考える。
何もできない自分は雅司を振り回していただろう。そして雅司に愛想を尽かされたのではないか。
今の自分は、仮に雅司がいなくても生きていけると思う。それは10年間、雅司がいなくても生き抜いてきた自信だ。そう考えると10年間は無駄でなかったと思う。
劣化した自分を雅司がどう思うのか不安だったが、雅司は「可愛い、可愛い」とでろでろに愛してくれる。運命の番だから、目くらましにあっているのかもしれない。そのうちに我に返るのであろうか? それは分からないが、なんとなく、ずっと可愛いと思ってくれるような根拠のない自信がある。番になった時に強い絆ができたようで、雅司の愛が素直に信じられるようになった。番になって幸せだと思う。オメガ風俗時代は番になることが不幸の始まりだと信じていたので、それが違うということが分かっただけ幸せだと思う。
ママ……
そっと呟く。
産んでくれてありがとう。
りょういちは幸せになりました。
おしまい。
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はー幸せでした。泣きそうな厳しい現実から頑張って幸せになる!最高です😊
とても読みやすい文章で楽しかったです。有難うございました♪
読んで頂いてありがとうございます。
良一は頑張ったと思います。
早くハッピーエンドにしようとしていたのですが、作者の思った通りに動いてくれず、結局、子供に助けてもらいました。