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ふた欠片の情夫(いろ)
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「オレが酔っ払うと亮が困るから……」
喬一は、差し出された猪口をつき返しながら、丁寧に断った。
澁澤は一向に怯まず、なになにこのくらいと言って執拗に酒を勧めてくる。その横では担当者の浜田がすまなそうに何度も頭を下げて、手ぬぐいらしき大判の布で汗を拭いていた。
「こんな図体のオレが潰れたりしたら、帰れなくなっちまう」
「ご謙遜、ご謙遜。せっかくの酒席なのに、呑まずに帰る莫迦はいやしませんよ、先生。読者の反応もまずまず。この調子でいくと部数がどんどん伸びますよ」
ああ、それで機嫌がいいのかと、喬一は隣りに座る亮にこっそり耳打ちをした。
田上喬一の名前がでかでかと表紙の中央を飾り、新連載開始ス──と謳われた雑誌がかなりの勢いで販売部数を伸ばしているという。──宴席を設けましたから、どうぞどうぞと澁澤が連絡してきたのは一昨日のことだった。
しかも前回と同じ料亭で──。
喬一は、出迎えに現れた女将に店の名前を試しに尋ねてみた。前は上手くはぐらかされたが、果たして今夜はどうだろう。二度目くらいじゃ言わないかと、少し捻くれた気持ちもあったが、女将の答えは存外に早かった。
「“燕”と申します。どうぞご贔屓に」
白い首を傾げて微笑んだ。そうして女将は、仲良く手を繋いでいる二人の姿に目を留めて、更に顔を綻ばせた。
亮はそれを面映そうに受け止めて、ほんのりと頬を赤く染める。
宴席が進んでも二人の手は離れることなく固く繋がったままで、自ずから喬一は食事を摂ることができなかった。そのせいで澁澤の酒の勧めを一方的に受ける羽目になっていた。
「先生がお酒を召し上がらないから、連れの方が困っているじゃありませんか」
澁澤が亮の方へと視線を寄越し、ねえ、と何やら合図めいた目配せをする。
「そうなのか?」
「どうしても飲みたくないと言うのなら、この手を離して。せっかくのお料理なんだからいただこうよ」
少し声を潜めて答えた。
「ここの料理はもちろん美味いが、酒も絶品なんだがなあ」
あからさまに困ってみせる澁澤を、亮は少々呆れ気味にみつめる。
「ここはお付き合いということで、呼ばれたらいいよ。酔ったって、喬一ひとりくらいなら頑張って運ぶから」
ここまで気を遣わせて、酒を呼ばれないわけにはいくまい。
喬一は渋々猪口を受け取り、滴るほどに注がれた、熱燗と呼ぶにはすっかりぬるくなってしまった酒を一気に喉へ流し込んだ。
酒気が目に沁みて、しばらく目が開けられなかった。そこへ、含んだ物言いの澁澤の声が近寄ってきた。
「先生にね。ちょっとした贈り物があるんですよ。なに、そんな大したモンじゃありませんからね。大仰な入れ物に入っちゃあいるけども」
何やら贈り物があるのだと言う。
亮に腕を軽く叩かれ、目を瞬かせながら澁澤の差し出している手を見た。
白くて細長い箱。十字に結わえられた深紅のビロードのリボン。中味が何か知れないが、大仰だと言えば確かにそうである。
「先生のこれからのご執筆に、いくらかのご奉仕ができればと思いましてね」
ずい、と箱が差し出される。
喬一は、ちらりと視線を箱に寄越しただけで受け取らず、ありがとうと礼を言って箸を取った。
喬一が箱を受け取らなかったことを気にも留めない澁澤は、この店は自家製の干物を食わしてくれるのだと自慢げに話した。
部数伸ばしのために、あれやこれやと自分をもてなす狡猾な澁澤に一瞥をくれ、喬一は無作法にも、丁寧に焼き上げられた柳がれいを両手で引っ掴み、がつがつと頬張った。
なんだかその様が可笑しくて、しかめっ面をしている澁澤には申し訳なく感じながら、亮は思わず吹き出した。
喬一と一緒の時間は楽しくて、めまぐるしく変わる。ぬくぬくとした温もりでまどろむことだってできる。
生きていればこそ、だ。
可笑しくて笑っているはずなのに、涙が零れる。
「少し風に当ってきます」
濡れた頬を隠すように笑いながら席を立った。
澁澤は、してもしようがない料理の話はやめにして、徳利を持って立ち上がると、亮と入れ替わるように喬一の横へ腰を下ろした。
廊下に出ると、来たときは下がっていた簾が上がっていて、隣接する棟との境を流れる小さな川がはっきりと見て取れた。
手の甲で涙をごしごしと拭い取り、手摺り越しに川を覗き込む。
錦鯉が数匹ゆったりと泳いでいる。一際大きくて立派な鯉がゆらりと現れて、悠然と泳いでいくのを目で追っていると、先ほどは気づかなかった渡り廊下に人影をみつけた。
は明らかにこちらを見ているようだった。
亮は姿勢を正し、目を凝らした。
白地に牡丹の図柄の友禅が、廊下の灯りで浮かび上がる。
人影が柱に手を掛けると、振袖が揺らめいた。反り橋を渡ってこちら側へ下り立つと、あの晩の彼の声が聞こえた。
「いらっしゃいませ」
つつつと彼が近づいてきて、ようこそいらっしゃいましたと、もう一度言った。
紅を差している彼の唇はぬらぬらと紅く光っている。その唇がゆっくりと開いた。
「楽しんでいらっしゃいますか? それともどこかお加減が悪くてこちらへ?」
差し出された手を、亮は咄嗟に叩いてしまう。
すぐに謝ったが、彼はむしろ喜んでいるように見えて、ぞっとした。
「お加減が悪いのでなければいいのですよ」
燕は叩かれた手を擦りながら笑った。
「少し風に当りたいと思って……」
ばつが悪そうに、もじもじと上目遣いで答えると、燕がもう一度手を伸ばしてきた。
「訊きたいことがあるのだけど」
寄せてきた燕の項から、芳しい花の香りが漂ってくる。粉白粉の香りの中に香料が含まれているようで、立ち上る薔薇の香りの強烈さに酔ってしまいそうだった。
夜気に当って心地いいはずが、白粉の匂いに当てられて眩暈がする。よろめいた亮は、思わず燕に寄りかかった。
そこは見た目が女のようでもやはり男である。床につくほどの袖を揺らしながら身体を支えてくれた。
「別室で休みますか?」
店の者らしい気遣いも見せる。
「いいえ。それには及びません。そんなことをされたら連れが酷く心配しますから」
「そうですか? こちらはちっとも遠慮なんかいらないんですよ?」
亮は何度も首を振って断った。
「顔色だって、ほら」
燕は亮の顎先を捕らえて上向かせた。驚いて見開かれた黒い瞳の中に、にっこりと微笑む美青年が映り込む。
「青い顔をして。まるで酷い目にでも合っているみたい」
亮の頬に涙の跡を見つけて、冷ややかに笑う。
「あの」
「女性との経験はおありですか?」
藪から棒に訊ねた。
亮はきょとんとした顔で、再度声を掛けた。質問の意味がわからなかったからだ。
「仰っている意味がわかりません」
燕の袖を掴んだまま素直に訊き返した。
「これは失礼しました。藪から棒ですね。いえね、お客様。うちは筆おろしもしているのですよ」
人差し指を濡れて光る唇に押し当てて、内緒ですけどと言って微笑んだ。
「こうしてあなたの身体に触れてみると、色の匂いがしないものだから……。もしやと思って訊ねたのです。筆おろしが希望でうちを訪ねていらしたのなら、それは私の分野でございますからね。一先ず、お声を掛けておこうかと思った次第でございます。嫌な思いをさせてしまったのなら、浅はかな──」
燕は、その紅い唇を亮のそれへと近づけた。
「このうつけ者を存分に嬲ってくださいませ」
亮の身体を手摺りへと押しつけ、逃げられないようにした。下手に動けば川へ落ちる。
袖を掴んできた亮の手に力が篭り、落ちないようにと必死になる。
「嬲ってくださいませ」
燕は亮の唇を柔らかく食んだ。
紅い、ぬらぬらと光る柔らかな肉質の燕の唇。歯列を割って侵入して、逃げる亮の舌を絡め取って唾液ごと啜る。
燕の表情は実に楽しそうだった。最後に軽く噛みついてから、そっと離れた。
そうですか──と意味深に呟く。
「そちらの経験はまだなのですね」
わざわざ顔を近づけて、耳朶に息を吹きかけた。
真っ赤な顔で、息を吹きかけられた耳を押さえると、燕がふふふと笑った。
「可愛いひと」
そう言い残し、燕は友禅の牡丹を翻しながら、渡り廊下を戻って行った。
喬一は、差し出された猪口をつき返しながら、丁寧に断った。
澁澤は一向に怯まず、なになにこのくらいと言って執拗に酒を勧めてくる。その横では担当者の浜田がすまなそうに何度も頭を下げて、手ぬぐいらしき大判の布で汗を拭いていた。
「こんな図体のオレが潰れたりしたら、帰れなくなっちまう」
「ご謙遜、ご謙遜。せっかくの酒席なのに、呑まずに帰る莫迦はいやしませんよ、先生。読者の反応もまずまず。この調子でいくと部数がどんどん伸びますよ」
ああ、それで機嫌がいいのかと、喬一は隣りに座る亮にこっそり耳打ちをした。
田上喬一の名前がでかでかと表紙の中央を飾り、新連載開始ス──と謳われた雑誌がかなりの勢いで販売部数を伸ばしているという。──宴席を設けましたから、どうぞどうぞと澁澤が連絡してきたのは一昨日のことだった。
しかも前回と同じ料亭で──。
喬一は、出迎えに現れた女将に店の名前を試しに尋ねてみた。前は上手くはぐらかされたが、果たして今夜はどうだろう。二度目くらいじゃ言わないかと、少し捻くれた気持ちもあったが、女将の答えは存外に早かった。
「“燕”と申します。どうぞご贔屓に」
白い首を傾げて微笑んだ。そうして女将は、仲良く手を繋いでいる二人の姿に目を留めて、更に顔を綻ばせた。
亮はそれを面映そうに受け止めて、ほんのりと頬を赤く染める。
宴席が進んでも二人の手は離れることなく固く繋がったままで、自ずから喬一は食事を摂ることができなかった。そのせいで澁澤の酒の勧めを一方的に受ける羽目になっていた。
「先生がお酒を召し上がらないから、連れの方が困っているじゃありませんか」
澁澤が亮の方へと視線を寄越し、ねえ、と何やら合図めいた目配せをする。
「そうなのか?」
「どうしても飲みたくないと言うのなら、この手を離して。せっかくのお料理なんだからいただこうよ」
少し声を潜めて答えた。
「ここの料理はもちろん美味いが、酒も絶品なんだがなあ」
あからさまに困ってみせる澁澤を、亮は少々呆れ気味にみつめる。
「ここはお付き合いということで、呼ばれたらいいよ。酔ったって、喬一ひとりくらいなら頑張って運ぶから」
ここまで気を遣わせて、酒を呼ばれないわけにはいくまい。
喬一は渋々猪口を受け取り、滴るほどに注がれた、熱燗と呼ぶにはすっかりぬるくなってしまった酒を一気に喉へ流し込んだ。
酒気が目に沁みて、しばらく目が開けられなかった。そこへ、含んだ物言いの澁澤の声が近寄ってきた。
「先生にね。ちょっとした贈り物があるんですよ。なに、そんな大したモンじゃありませんからね。大仰な入れ物に入っちゃあいるけども」
何やら贈り物があるのだと言う。
亮に腕を軽く叩かれ、目を瞬かせながら澁澤の差し出している手を見た。
白くて細長い箱。十字に結わえられた深紅のビロードのリボン。中味が何か知れないが、大仰だと言えば確かにそうである。
「先生のこれからのご執筆に、いくらかのご奉仕ができればと思いましてね」
ずい、と箱が差し出される。
喬一は、ちらりと視線を箱に寄越しただけで受け取らず、ありがとうと礼を言って箸を取った。
喬一が箱を受け取らなかったことを気にも留めない澁澤は、この店は自家製の干物を食わしてくれるのだと自慢げに話した。
部数伸ばしのために、あれやこれやと自分をもてなす狡猾な澁澤に一瞥をくれ、喬一は無作法にも、丁寧に焼き上げられた柳がれいを両手で引っ掴み、がつがつと頬張った。
なんだかその様が可笑しくて、しかめっ面をしている澁澤には申し訳なく感じながら、亮は思わず吹き出した。
喬一と一緒の時間は楽しくて、めまぐるしく変わる。ぬくぬくとした温もりでまどろむことだってできる。
生きていればこそ、だ。
可笑しくて笑っているはずなのに、涙が零れる。
「少し風に当ってきます」
濡れた頬を隠すように笑いながら席を立った。
澁澤は、してもしようがない料理の話はやめにして、徳利を持って立ち上がると、亮と入れ替わるように喬一の横へ腰を下ろした。
廊下に出ると、来たときは下がっていた簾が上がっていて、隣接する棟との境を流れる小さな川がはっきりと見て取れた。
手の甲で涙をごしごしと拭い取り、手摺り越しに川を覗き込む。
錦鯉が数匹ゆったりと泳いでいる。一際大きくて立派な鯉がゆらりと現れて、悠然と泳いでいくのを目で追っていると、先ほどは気づかなかった渡り廊下に人影をみつけた。
は明らかにこちらを見ているようだった。
亮は姿勢を正し、目を凝らした。
白地に牡丹の図柄の友禅が、廊下の灯りで浮かび上がる。
人影が柱に手を掛けると、振袖が揺らめいた。反り橋を渡ってこちら側へ下り立つと、あの晩の彼の声が聞こえた。
「いらっしゃいませ」
つつつと彼が近づいてきて、ようこそいらっしゃいましたと、もう一度言った。
紅を差している彼の唇はぬらぬらと紅く光っている。その唇がゆっくりと開いた。
「楽しんでいらっしゃいますか? それともどこかお加減が悪くてこちらへ?」
差し出された手を、亮は咄嗟に叩いてしまう。
すぐに謝ったが、彼はむしろ喜んでいるように見えて、ぞっとした。
「お加減が悪いのでなければいいのですよ」
燕は叩かれた手を擦りながら笑った。
「少し風に当りたいと思って……」
ばつが悪そうに、もじもじと上目遣いで答えると、燕がもう一度手を伸ばしてきた。
「訊きたいことがあるのだけど」
寄せてきた燕の項から、芳しい花の香りが漂ってくる。粉白粉の香りの中に香料が含まれているようで、立ち上る薔薇の香りの強烈さに酔ってしまいそうだった。
夜気に当って心地いいはずが、白粉の匂いに当てられて眩暈がする。よろめいた亮は、思わず燕に寄りかかった。
そこは見た目が女のようでもやはり男である。床につくほどの袖を揺らしながら身体を支えてくれた。
「別室で休みますか?」
店の者らしい気遣いも見せる。
「いいえ。それには及びません。そんなことをされたら連れが酷く心配しますから」
「そうですか? こちらはちっとも遠慮なんかいらないんですよ?」
亮は何度も首を振って断った。
「顔色だって、ほら」
燕は亮の顎先を捕らえて上向かせた。驚いて見開かれた黒い瞳の中に、にっこりと微笑む美青年が映り込む。
「青い顔をして。まるで酷い目にでも合っているみたい」
亮の頬に涙の跡を見つけて、冷ややかに笑う。
「あの」
「女性との経験はおありですか?」
藪から棒に訊ねた。
亮はきょとんとした顔で、再度声を掛けた。質問の意味がわからなかったからだ。
「仰っている意味がわかりません」
燕の袖を掴んだまま素直に訊き返した。
「これは失礼しました。藪から棒ですね。いえね、お客様。うちは筆おろしもしているのですよ」
人差し指を濡れて光る唇に押し当てて、内緒ですけどと言って微笑んだ。
「こうしてあなたの身体に触れてみると、色の匂いがしないものだから……。もしやと思って訊ねたのです。筆おろしが希望でうちを訪ねていらしたのなら、それは私の分野でございますからね。一先ず、お声を掛けておこうかと思った次第でございます。嫌な思いをさせてしまったのなら、浅はかな──」
燕は、その紅い唇を亮のそれへと近づけた。
「このうつけ者を存分に嬲ってくださいませ」
亮の身体を手摺りへと押しつけ、逃げられないようにした。下手に動けば川へ落ちる。
袖を掴んできた亮の手に力が篭り、落ちないようにと必死になる。
「嬲ってくださいませ」
燕は亮の唇を柔らかく食んだ。
紅い、ぬらぬらと光る柔らかな肉質の燕の唇。歯列を割って侵入して、逃げる亮の舌を絡め取って唾液ごと啜る。
燕の表情は実に楽しそうだった。最後に軽く噛みついてから、そっと離れた。
そうですか──と意味深に呟く。
「そちらの経験はまだなのですね」
わざわざ顔を近づけて、耳朶に息を吹きかけた。
真っ赤な顔で、息を吹きかけられた耳を押さえると、燕がふふふと笑った。
「可愛いひと」
そう言い残し、燕は友禅の牡丹を翻しながら、渡り廊下を戻って行った。
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