自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!

荒星

文字の大きさ
28 / 88
イザナギ学院入学前編

第22話 悲願

しおりを挟む
 俺は今、最深部へと続くエレベーターの前に立ちふさがる強化型ワイバーンと対峙していた。

「フッ」

 強化型ワイバーンはその背に着いたキャノン砲を放とうとしたので、俺は咄嗟に横へ跳んだ。

「チッ!」

 その時、轟音と共に先ほどまで居た場所が爆発する。
 飛んできた破片で頬を切ったが、なんとか回避には成功したがその威力は絶大だ、俺は冷や汗を書きながら剣を構えた。

 ーー最も。あの威力で焦げ跡と少しの跡しかつかない、この研究所の床が一番ヤバいがな。

 あのキャノン砲には冷却が必要で連射は出来ない。

 ーー冷却が済む前に終わらせる!!

 俺が強化型ワイバーンに向けて走り出したその時、強化型ワイバーンは口を大きく開けた。

 ーーうっそだろお前!?

 俺は強化型ワイバーンの足元に向けてスライディングしてブレスを回避したが、強化型ワイバーンの放った弾は俺の頭の上を掠めて壁に当たると爆発し、俺は冷や汗をかいた。

 ーー殺意高すぎるだろ。

 俺が足元で強化型ワイバーンを切りつけていると、俺を蹴飛ばそうとしたので慌てて足元から出る。 

「オラッッ!」

 体勢を立て直し、俺は強化型ワイバーンに剣を振るった!

「マジで?」

 しかし、強化型ワイバーンはその羽に付けられた刃で俺の攻撃を防いでいた。

「ガッ!?」

 そのまま剣をはじかれ、俺は壁に激突した。

「だが!!」

 俺は壁を蹴り、宙返りをしながらイグニススラッシュを発動させ、強化型ワイバーンの付け根を切りつける事で、片翼を切りつける事に成功した。

「Gruaaa!?」

 強化型ワイバーンは痛みからがむしゃらに暴れまわるも、俺は少し下がりながら魔法を放つ準備をした。

 強化型ワイバーンがのたうち回るのをやめ、口を開きまたもやブレスを吐こうとしたその時。

 ーー今ッ!

 俺は無属性魔法のスパークショックを放った。

 すると、強化型ワイバーンの発射前のエネルギーとスパークショックがぶつかり合い爆発して、強化型ワイバーンは怯んだ。

「ハッ!」

 その隙をついて致命の一撃を発動させて、ワイバーンの首を切り落とした。

 ーーまだだッ!!

 強化型ワイバーンを倒し終えた俺が後ろに跳び退いたその時、先程まで俺が立っていた場所に何かが降ってきた。

 キメラtype:I スローター。身長三メートル弱の人型モンスターで、片手にエナジーブレード、もう片方にガトリングガンを装備している。設定曰く、ザコ狩り用に開発されたキメラらしい。

「そこを退けぇ!」

 俺はスローターに切りかかるが、エナジーブレードに防がれる。

 そして、そのまま体勢を立て直しレイスラッシュを発動させるが、今度はガトリングガンで防がれた。

「この! 硬すぎるんだよ!」

 俺が悪態をつきながら剣を振り上げたその時、スローターがガトリングガンを構えた。

「ちょ、待て! ふざけてんじゃねぇ!?」

 俺は壁を走り、弾丸に追われながらもなんとか回避する。

 その後、何度も剣を振るがやはり両腕の武器で防がれる。

「セイッ!」

 だが隙を見て地面を蹴り弾丸のように飛び上がり、スローターのガトリングガンを装備している左腕を切り落とした。

「行ける!」

 俺はそのまま腕が無くなり、防御できなくなった左側に回り込みながら攻撃する。

「ヤベッ!」

 しかし何かがすごい勢いで俺に迫っているのを見て、後ろに跳んで回避したが間に合わずにその何かに当たり、俺は地面を転がった。

 地面に手を着きながら俺がスローターを見ると、背中からもう二本腕が生えている。

「来たか……」

 スローターはHPが20%を切ると、バーサーカーモードになり手数が多くなる。文字通り。

 スローターはその三本の腕をがむしゃらに繰り出しながら攻撃してきた。
 繰り出される腕を飛び越えたり、のけぞったりして俺はなんとか避け続けているが、じりじりと壁に追い詰められる。

 ーークソ! どうする!? これじゃあ近づくどころか、壁に追い詰められてそのままミンチだ!

「あぁクソ! このままハメ殺しするつもりか!?」

 もはや壁まであと一歩しか後退する場所が無くなったその時、スローターはエナジーブレードを俺めがけて突き刺してきたが、俺が回避したことでスローターのエナジーブレードが壁に突き刺さった。
 
 ーーそこだ!

 俺は手元が狂いエナジーブレードが壁から抜けなくなったスローターの右腕を切り落とし、スローターの胸に剣を突き刺した。

「なんでザコ狩りモンス設定なのにこんなに強いんだ……」

 崩れ落ちて魔力へと還ったスローターを見つめながら、俺は一度へたり込む。

 だが一分ほどして、このまま休みたいと悲鳴を上げる体にむち打ち、俺は最深部へと続くエレベーターに乗り込んだ。



 俺が最深部へ着くと、そこには浅野潤が待ち構えていた。

「いやはや、驚いたよ。まさか君があの二体を倒してここまで来るとは」

「……悠……馬?」

 俺は、手術台の上に寝かされて衰弱しきった声で俺を呼ぶ姉さんを見て、怒りを滲ませた声で浅野潤を問い詰めた。

「……おい、テメエ。テメエは一体姉さんに何をしやがった」

 鋭く睨みつける俺を見て、苦笑しながらへらへらと浅野潤はこうのたまった。

「いやー、ね。円華に少し病気が見つかったんだよ。だからその検査と手術をしていたんだ。だから心配は要らない、今すぐ帰ってくれ」

「じゃあその机の上にあるそのエンブレムはなんだ」

 俺が指を差した机の上には、邪神教団の一員である事を表すエンブレムが乗っていた。

「これは……」

「隠さなくても良い。テメエ、自分の娘に邪神の欠片を埋め込みやがったな!?」

 俺がそう言うと、浅野潤は不気味な笑顔で答えた。

「正解だ、だが君は何故そんな事を知っている? 僕は話した覚えはないし、ましてや円華も今まで知らなかったハズだが? もしかして君はあの目障りな組織、メラムの一員だったりするのかな?」

「黙りやがれ、このクソ野郎が。テメエに父親なんて名乗る資格はねえ。俺はテメエを倒して姉さんを助け出す。それだけだ」

 俺は、浅野潤に剣を向けながら言い放った。

「君が僕を倒す? 正気かい?  折角やっと椿を蘇らせる事ができるんだ! 邪魔をしないでほしいなぁ……! それに助けるだって? 馬鹿な事を。助けてもらう必要なんて、円華にも僕にもないんだよ」

「本当に邪神が、魔神アスタロトが人間の願いを素直に聞き届けてくれるって? それにあれが、冥界から死人の魂を蘇らせる権能なんて持っているとでも?」

 すると、浅野潤は大声を上げて笑った。

「フ、ハハハッ! そうさ! あの方は自分が復活した暁には復活させた者の願いを聞き届けてくれる! ディートハルトは確かにそう言った! そして古来より死人を蘇らせるのは禁術。邪神ならば禁術を使える、すなわち椿は生き返れるんだ!」

 ディートハルト。邪神教団のリーダーで、人間ではなく魔神アスタロト直属の配下の邪竜が人化した姿。すなわち化け物。
 そして浅野潤に噓を付き、徐々に洗脳して利用した張本人。

 俺は浅野潤のその錯乱したようにまくしたてる様子を見て、もはや言葉による説得は不可能だと思い知った。

「悠馬……やめてくれ、悠馬ではお父様に勝てない。私の事は良いんだ……元々、お母様は私を生んで体が弱ってしまった事で死んでしまった。これは私の罪滅ぼしでもある。だから……」

 息も絶え絶えに辛くて今にも気絶してしまいそうなのに、自分のことなんて一ミリも考えずに俺に逃げろと言う、そんな姉さんに俺は安心させようと笑いかけた。

「大丈夫、姉さん。すぐ終わらせるから。そしたらまた、一緒にご飯を食べよう。いつも通りに。だから姉さん、これが終わったら姉さんのハンバーグが食べたいな」

「なにを勝てる気でいるんだい? 君如きが僕に勝てるとでも? フフッ、君のその思い上がりを正してあげよう」

 ーーわかってるさ、今の俺じゃあお前に勝てないってことくらい。

 俺は怯える自分を、姉さんの辛そうな顔を見ることで奮い立たせて、浅野潤との戦闘に入った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...