58 / 88
イザナギ学院一年生編
第20話 黄衣の王
しおりを挟む
俺達はポータルに乗り、イザナギの待つ部屋へとワープした。
「凄い……ですわね……」
報酬部屋に移動するはずだったのに、何故か荘厳な神社の前に俺達はワープしていた。
「気を付けよう、何があるかわからない」
「え? けどわたくしたちが使ったのは、ダンジョンクリアのワープゲートでしてよ? ……わかりましたわ。貴方の忠告ですもの、用心しますわ」
「ああ」
ーーなんだ? ここで一体何が起きてる? 恐らくあの神社の中にイザナギはいるはず……けど。
俺は首を振ると、迷いを捨てて進むことにする。
「行こう、ミシェル。ここで迷ってても埒が明かない」
「そうですわね、行きましょう。それと……その……特別にわたくしの事はエミリーヌと呼んでくれて構いませんわ! その……貴方に沢山助けて頂きましたし、本当に特別でしてよ!」
「わかった、改めてよろしくな。エミリーヌ」
「はい! よろしくお願いしますわ!」
「なんだこれは!?」
俺は神社に足を踏み入れると、なにかおぞましい気配を感じ取った。
「どうかしましたの?」
どうやら、エミリーヌは何も感じないらしい。きょとんとした顔でどうしたのか聞いてくる。
「い、いや。なんでもない。行こう」
ーー戻るなんて選択肢、端からないからな。
そして、俺達はいよいよイザナギの居るであろう部屋にたどり着く。
「ここが報酬部屋でして?」
「ああ、恐らくな。行くぞ」
俺は意を決して、その豪華で荘厳な扉を開ける。
「ようこそ、名も知らぬ者よ。よくぞここまでたどり着いてくれた」
そこにはラスティアで見たのと同じ部屋が広がり、中には鎖でつながれたイザナギが待ち構えていた。
「えーっと、どなたですの? そして何故鎖に?」
ーーゲーム時代から気になってたんだ! ナイス質問だぜエミリーヌ!
「この鎖か? コレは、俺の中に巣くうモノを縛り付けるための物だ」
ーーなんだそれ。そんな情報、前世でどこにも……
「俺は妻を……イザナミを蘇らせようとしたんだ。だけど失敗してしまった。その上、禁術を通して奴に目をつけられ浸食される始末さ」
そう言うと、イザナギは急に苦しみ始める。
「イザナミ……まさか、貴方は神のイザナギ様ですの!?」
「グ……もう時間がない。君には俺の力と俺の武具を、女の子には俺の妻が残した力を上げよう。君達には迷惑をかけるが、どうかコイツを……!?」
そうして俺達が力を受け取り、飛んできた天叢雲剣と天十握剣をキャッチすると、イザナギの姿に罅が入る。
「なッ!?」
俺が驚きの余り声を上げた瞬間。イザナギが砕け散りまるで脱皮をするように、中から黄色い衣を纏い仮面を付けたナニカが現れた。
ーー無事にゲーム内最強装備とイザナギの力は回収したが……オイオイ、こんな奴ゲームには居なかったぞ!? それに、さっきから感じてたおぞましい気配の元はコイツか!
「構えろエミリーヌ! コイツはヤバい!」
「あ、あぁ……」
俺が振り返り声を掛けると、崩れ落ちるエミリーヌの姿が目に映る。
「な? おいエミリーヌ!? しっかりしろ! ……風、か?」
俺が慌てて崩れ落ちたエミリーヌに駆け寄ったその時、建物の中であるにも関わらず風が吹くのを感じ顔を上げる。
「なん……だ……」
その瞬間、俺は意識を失った。
「んあー……なんか変な夢を見てたような……」
朝の6時。俺は目覚まし代わりのスマホのアラームで目を覚ます。
「どこだっけ、ここ……あぁ。そういえば、浅野さんに引き取られたんだっけ。三年も前の事なのに忘れるとか、寝坊しすぎだな……」
その後。何故か迷った挙句に廊下を歩いて階段までたどり着き、下に降りて洗面所までたどり着くと姉さんと出会った。
「おはよう姉さん」
「……」
つい習慣で挨拶して無視された後、俺は気が付く。
ーーそういやなんで俺、姉さんに挨拶したんだっけ? 俺達は互いに、この家には居ないものとして扱ってるじゃないか。
「痛ッ」
そう考えた瞬間、頭痛がした。
「昨日徹夜して寝不足だからか? まぁ良いや」
そして一通り身支度を終えこの豪邸から出て、学校へと向かった。
「よう冬香、龍斗」
Eクラスに向かっている最中、冬香と龍斗の二人とすれ違ったので挨拶する。
「……おはよう?」
「……」
ーーまただ。なんで俺は大して仲良くもない相手に挨拶してんだ? しかも俺、上田とは犬猿の仲じゃないか。
俺は首をかしげながら、教室へとたどり着いた。
「なぁ花音、ココって……?」
その後。授業中わからないところがあったので花音に声を掛けると、花音は飛び上がった。
「ひゃい!?」
「あー、花音ちゃん? どうしたの?」
急に飛び上がった花音を心配して、天音先生が心配そうな声で尋ねる。
「だ、大丈夫です!」
花音は慌てて着席すると、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「悪い。急だったか?」
俺は花音にわからない部分を教えてもらっている最中、花音にそう問いかける。
「い、いえ! 鈴木君が私に話しかけてくるなんて珍しいなと驚いただけです!」
「あぁそう……」
「それにしても今日の鈴木君は不思議ですね……いつものトゲトゲしたオーラがないというか……話しかけやすいというか……」
「あれ? 普段の俺ってそんなにトゲトゲしてた?」
「ひゃい!? あ、声漏れちゃってましたか……え、えっと……正直近寄りがたいというか、ずっと不機嫌というか……」
ーーなあロト、俺って普段そんなに近寄りがたいオーラ放ってる? おーい、ロトー? ……あれ? そういえばロトって誰だっけ。
俺は再び首をかしげると、機械的に黒板をノートに書き写す作業へと戻って行った。
「凄い……ですわね……」
報酬部屋に移動するはずだったのに、何故か荘厳な神社の前に俺達はワープしていた。
「気を付けよう、何があるかわからない」
「え? けどわたくしたちが使ったのは、ダンジョンクリアのワープゲートでしてよ? ……わかりましたわ。貴方の忠告ですもの、用心しますわ」
「ああ」
ーーなんだ? ここで一体何が起きてる? 恐らくあの神社の中にイザナギはいるはず……けど。
俺は首を振ると、迷いを捨てて進むことにする。
「行こう、ミシェル。ここで迷ってても埒が明かない」
「そうですわね、行きましょう。それと……その……特別にわたくしの事はエミリーヌと呼んでくれて構いませんわ! その……貴方に沢山助けて頂きましたし、本当に特別でしてよ!」
「わかった、改めてよろしくな。エミリーヌ」
「はい! よろしくお願いしますわ!」
「なんだこれは!?」
俺は神社に足を踏み入れると、なにかおぞましい気配を感じ取った。
「どうかしましたの?」
どうやら、エミリーヌは何も感じないらしい。きょとんとした顔でどうしたのか聞いてくる。
「い、いや。なんでもない。行こう」
ーー戻るなんて選択肢、端からないからな。
そして、俺達はいよいよイザナギの居るであろう部屋にたどり着く。
「ここが報酬部屋でして?」
「ああ、恐らくな。行くぞ」
俺は意を決して、その豪華で荘厳な扉を開ける。
「ようこそ、名も知らぬ者よ。よくぞここまでたどり着いてくれた」
そこにはラスティアで見たのと同じ部屋が広がり、中には鎖でつながれたイザナギが待ち構えていた。
「えーっと、どなたですの? そして何故鎖に?」
ーーゲーム時代から気になってたんだ! ナイス質問だぜエミリーヌ!
「この鎖か? コレは、俺の中に巣くうモノを縛り付けるための物だ」
ーーなんだそれ。そんな情報、前世でどこにも……
「俺は妻を……イザナミを蘇らせようとしたんだ。だけど失敗してしまった。その上、禁術を通して奴に目をつけられ浸食される始末さ」
そう言うと、イザナギは急に苦しみ始める。
「イザナミ……まさか、貴方は神のイザナギ様ですの!?」
「グ……もう時間がない。君には俺の力と俺の武具を、女の子には俺の妻が残した力を上げよう。君達には迷惑をかけるが、どうかコイツを……!?」
そうして俺達が力を受け取り、飛んできた天叢雲剣と天十握剣をキャッチすると、イザナギの姿に罅が入る。
「なッ!?」
俺が驚きの余り声を上げた瞬間。イザナギが砕け散りまるで脱皮をするように、中から黄色い衣を纏い仮面を付けたナニカが現れた。
ーー無事にゲーム内最強装備とイザナギの力は回収したが……オイオイ、こんな奴ゲームには居なかったぞ!? それに、さっきから感じてたおぞましい気配の元はコイツか!
「構えろエミリーヌ! コイツはヤバい!」
「あ、あぁ……」
俺が振り返り声を掛けると、崩れ落ちるエミリーヌの姿が目に映る。
「な? おいエミリーヌ!? しっかりしろ! ……風、か?」
俺が慌てて崩れ落ちたエミリーヌに駆け寄ったその時、建物の中であるにも関わらず風が吹くのを感じ顔を上げる。
「なん……だ……」
その瞬間、俺は意識を失った。
「んあー……なんか変な夢を見てたような……」
朝の6時。俺は目覚まし代わりのスマホのアラームで目を覚ます。
「どこだっけ、ここ……あぁ。そういえば、浅野さんに引き取られたんだっけ。三年も前の事なのに忘れるとか、寝坊しすぎだな……」
その後。何故か迷った挙句に廊下を歩いて階段までたどり着き、下に降りて洗面所までたどり着くと姉さんと出会った。
「おはよう姉さん」
「……」
つい習慣で挨拶して無視された後、俺は気が付く。
ーーそういやなんで俺、姉さんに挨拶したんだっけ? 俺達は互いに、この家には居ないものとして扱ってるじゃないか。
「痛ッ」
そう考えた瞬間、頭痛がした。
「昨日徹夜して寝不足だからか? まぁ良いや」
そして一通り身支度を終えこの豪邸から出て、学校へと向かった。
「よう冬香、龍斗」
Eクラスに向かっている最中、冬香と龍斗の二人とすれ違ったので挨拶する。
「……おはよう?」
「……」
ーーまただ。なんで俺は大して仲良くもない相手に挨拶してんだ? しかも俺、上田とは犬猿の仲じゃないか。
俺は首をかしげながら、教室へとたどり着いた。
「なぁ花音、ココって……?」
その後。授業中わからないところがあったので花音に声を掛けると、花音は飛び上がった。
「ひゃい!?」
「あー、花音ちゃん? どうしたの?」
急に飛び上がった花音を心配して、天音先生が心配そうな声で尋ねる。
「だ、大丈夫です!」
花音は慌てて着席すると、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「悪い。急だったか?」
俺は花音にわからない部分を教えてもらっている最中、花音にそう問いかける。
「い、いえ! 鈴木君が私に話しかけてくるなんて珍しいなと驚いただけです!」
「あぁそう……」
「それにしても今日の鈴木君は不思議ですね……いつものトゲトゲしたオーラがないというか……話しかけやすいというか……」
「あれ? 普段の俺ってそんなにトゲトゲしてた?」
「ひゃい!? あ、声漏れちゃってましたか……え、えっと……正直近寄りがたいというか、ずっと不機嫌というか……」
ーーなあロト、俺って普段そんなに近寄りがたいオーラ放ってる? おーい、ロトー? ……あれ? そういえばロトって誰だっけ。
俺は再び首をかしげると、機械的に黒板をノートに書き写す作業へと戻って行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる