84 / 88
イザナギ学院一年生編
第43話 予兆
しおりを挟む
エミリーヌ達と別れ、なんとか夕食を無事に乗り越えたその日の夜中、俺達は突如として発生した地震と凄まじい音で目が覚めた。
「うおッ!?」
「なんだなんだ? 地震か!?」
「そ、そうらしいですね。けど、それにしては……」
「あ、収まった」
暫くして揺れが収まり、俺達は顔を見合わせた。
「なんか物凄い音したよな」
「うん……悠馬君も聞きましたよね?」
「ああ、聞いてた……けどまあ、多分震源が真下だったとかで聞こえたんじゃね?」
――……。
――今のは……まさか、な。
――なんだよ二人共、どうした?
――いや、なんでもない。恐らく気のせいであろう。
――なんだそれ。
俺は内心で首をかしげながらも、眠気に負けて瞼を閉じる。そして、俺達は再び眠りについた。
「わかってるな、和人」
「ああ、絶対に花音に料理をさせない。だろ?」
朝、出発前に俺達は二人で顔を合わせていた。
「また女子の手料理が食べたいからとか言ってやらかしやがったら、俺がお前の口に喜んで全部突っ込むからな」
「ああ、大丈夫だ。問題ない。てか、流石の俺でももう……な?」
「どうだか」
「信じてくれよ、絶対に大丈夫だから。そうだな……神に……いや、神なんて信じてないからあの時スーパーで見た俺の女神に誓おう」
――エミリーさんに誓われてもな……。つーかコイツにはエミリーさんがお向かいさんだとか、知り合いだとかって事はバレないようにしよう。バレたらめんどくさそうだ。
「どうしたんですか二人共ー!」
「おう、すぐ行く!」
三時間後。
「それにしても、なんでかモンスターが少ないな……」
「だな」
俺達は暫く奥の遺跡目指して歩いて居たのだが、まだモンスターと殆ど会敵していなかった。
「会ったのもゴブリン数匹だしな。もしかして、俺達より先に来た奴が狩りつくしたとか?」
「オイオイ、冗談はよせよ。知ってるだろ? ダンジョンのモンスターってのは基本無限湧きだぞ? 減った分だけ補充されるようになってるのに、そんな事できるわけないだろうが。出来たとしてもソイツは化け物かなんかだろうよ」
「だな」
ダンジョンのモンスターは基本無限湧きだ。無論、新しくモンスターの発生する場所はランダムなので、早々簡単に倒したモンスターと再戦なんてないが。
「けどこのダンジョンは実習用で死んでもスタート地点に戻るだけだから、経験値目当てで狩りをしてるとか?」
そう。このフィールドワークに用いられているダンジョンでは、死んでもスタート地点に戻されるだけで済む。まあこの広い森を折角歩いてきたのに振り出しに戻るってのは、中々に痛いペナルティだが。
「けど、経験値の為にフィールドワークの点数捨てるか?」
「そうですよね。私達の運が良いだけとか?」
俺達が軽い調子で雑談していると、前方から唸り声が聞こえてきた。
「噂をすればなんとやら、だ。来るぞ!」
そして茂みから飛び出してきたのは、もう少し奥地から出現するはずのオークだった。
「おいおいおい」
「あ、あれ? 私達って何時の間にそんなに奥地まで来てましたっけ?」
「とりあえずやるしかないだろ!」
俺は自分の腕にハマる腕輪を撫でながら、二人に叫んだ。
「だな、いつまでもボーっと考えたってしょうがねぇ」
「行きましょう!」
俺達は顔を見合わせると、オークに向かって突撃した。
「甘いですッ!」
花音は、棍棒を振り上げたオークの眼球目掛けて矢を放つ。
「ナイスアシストだ花音!」
俺と和人はオークを挟み込むと、目を抑えたオークが闇雲に繰り出す棍棒を避けながら、和人がオークの棍棒を持った方の手を切り落とし、遂に俺がオークの首を切り裂いた。
「よっしゃ!」
「やったね!」
「よし! 俺達の勝ちだ!」
オークを倒した後、俺達はハイタッチした。
「あれ? そういえばお前、俺達と違ってレベル100超えてなかったか? なのになんでオークといい勝負してんだよ」
「確かにそうですね」
「ん? ああ。レベルそんままだと授業にならないしつまんないから、レベルを制限する腕輪を嵌めてんだよ」
「へー、そうなんですね……。って、それって国宝級のレアアイテムじゃないですか!?」
「そ、そうなの?」
――ナム・タルって曲がりなりにも神様らしいし、当たり前か。それにしても国宝級って。
その時だった。
「なんだ!?」
急に何かが降ってきたかと思うと、突風が吹き荒れる。
――クソ! なんなんだ一体!
「ワイバーンだと!?」
降ってきたのは、ちゃんと奥まで進めば出現するオークとは違い。本来ボスの一体として遺跡内に君臨し、通常エンカウントはしないはずのワイバーンだった。
――ワイバーンがダンジョン内を自由に動き回ってるのも充分異常だが、それよりも……。
本来ワイバーンは赤色でその表面は鱗に覆われているのだが、何故かこのワイバーンは青色で所々残ってはいるが鱗が剝がれ落ち、従来のワイバーンより全体的にふやけている……というよりも、ブヨブヨしているような感想を俺に抱かせた。
――気を付けろ悠馬。そいつからは微弱だが、邪神の気配がする。
――マジかよ。
「気を付けろ二人共! このワイバーン、普通じゃねえぞ!」
俺達が臨戦態勢を取ると、ワイバーンは通常とは違うノイズの混じったような聞くに堪えない咆哮を上げ、俺たちに向かって突撃してきた。
「うおッ!?」
「なんだなんだ? 地震か!?」
「そ、そうらしいですね。けど、それにしては……」
「あ、収まった」
暫くして揺れが収まり、俺達は顔を見合わせた。
「なんか物凄い音したよな」
「うん……悠馬君も聞きましたよね?」
「ああ、聞いてた……けどまあ、多分震源が真下だったとかで聞こえたんじゃね?」
――……。
――今のは……まさか、な。
――なんだよ二人共、どうした?
――いや、なんでもない。恐らく気のせいであろう。
――なんだそれ。
俺は内心で首をかしげながらも、眠気に負けて瞼を閉じる。そして、俺達は再び眠りについた。
「わかってるな、和人」
「ああ、絶対に花音に料理をさせない。だろ?」
朝、出発前に俺達は二人で顔を合わせていた。
「また女子の手料理が食べたいからとか言ってやらかしやがったら、俺がお前の口に喜んで全部突っ込むからな」
「ああ、大丈夫だ。問題ない。てか、流石の俺でももう……な?」
「どうだか」
「信じてくれよ、絶対に大丈夫だから。そうだな……神に……いや、神なんて信じてないからあの時スーパーで見た俺の女神に誓おう」
――エミリーさんに誓われてもな……。つーかコイツにはエミリーさんがお向かいさんだとか、知り合いだとかって事はバレないようにしよう。バレたらめんどくさそうだ。
「どうしたんですか二人共ー!」
「おう、すぐ行く!」
三時間後。
「それにしても、なんでかモンスターが少ないな……」
「だな」
俺達は暫く奥の遺跡目指して歩いて居たのだが、まだモンスターと殆ど会敵していなかった。
「会ったのもゴブリン数匹だしな。もしかして、俺達より先に来た奴が狩りつくしたとか?」
「オイオイ、冗談はよせよ。知ってるだろ? ダンジョンのモンスターってのは基本無限湧きだぞ? 減った分だけ補充されるようになってるのに、そんな事できるわけないだろうが。出来たとしてもソイツは化け物かなんかだろうよ」
「だな」
ダンジョンのモンスターは基本無限湧きだ。無論、新しくモンスターの発生する場所はランダムなので、早々簡単に倒したモンスターと再戦なんてないが。
「けどこのダンジョンは実習用で死んでもスタート地点に戻るだけだから、経験値目当てで狩りをしてるとか?」
そう。このフィールドワークに用いられているダンジョンでは、死んでもスタート地点に戻されるだけで済む。まあこの広い森を折角歩いてきたのに振り出しに戻るってのは、中々に痛いペナルティだが。
「けど、経験値の為にフィールドワークの点数捨てるか?」
「そうですよね。私達の運が良いだけとか?」
俺達が軽い調子で雑談していると、前方から唸り声が聞こえてきた。
「噂をすればなんとやら、だ。来るぞ!」
そして茂みから飛び出してきたのは、もう少し奥地から出現するはずのオークだった。
「おいおいおい」
「あ、あれ? 私達って何時の間にそんなに奥地まで来てましたっけ?」
「とりあえずやるしかないだろ!」
俺は自分の腕にハマる腕輪を撫でながら、二人に叫んだ。
「だな、いつまでもボーっと考えたってしょうがねぇ」
「行きましょう!」
俺達は顔を見合わせると、オークに向かって突撃した。
「甘いですッ!」
花音は、棍棒を振り上げたオークの眼球目掛けて矢を放つ。
「ナイスアシストだ花音!」
俺と和人はオークを挟み込むと、目を抑えたオークが闇雲に繰り出す棍棒を避けながら、和人がオークの棍棒を持った方の手を切り落とし、遂に俺がオークの首を切り裂いた。
「よっしゃ!」
「やったね!」
「よし! 俺達の勝ちだ!」
オークを倒した後、俺達はハイタッチした。
「あれ? そういえばお前、俺達と違ってレベル100超えてなかったか? なのになんでオークといい勝負してんだよ」
「確かにそうですね」
「ん? ああ。レベルそんままだと授業にならないしつまんないから、レベルを制限する腕輪を嵌めてんだよ」
「へー、そうなんですね……。って、それって国宝級のレアアイテムじゃないですか!?」
「そ、そうなの?」
――ナム・タルって曲がりなりにも神様らしいし、当たり前か。それにしても国宝級って。
その時だった。
「なんだ!?」
急に何かが降ってきたかと思うと、突風が吹き荒れる。
――クソ! なんなんだ一体!
「ワイバーンだと!?」
降ってきたのは、ちゃんと奥まで進めば出現するオークとは違い。本来ボスの一体として遺跡内に君臨し、通常エンカウントはしないはずのワイバーンだった。
――ワイバーンがダンジョン内を自由に動き回ってるのも充分異常だが、それよりも……。
本来ワイバーンは赤色でその表面は鱗に覆われているのだが、何故かこのワイバーンは青色で所々残ってはいるが鱗が剝がれ落ち、従来のワイバーンより全体的にふやけている……というよりも、ブヨブヨしているような感想を俺に抱かせた。
――気を付けろ悠馬。そいつからは微弱だが、邪神の気配がする。
――マジかよ。
「気を付けろ二人共! このワイバーン、普通じゃねえぞ!」
俺達が臨戦態勢を取ると、ワイバーンは通常とは違うノイズの混じったような聞くに堪えない咆哮を上げ、俺たちに向かって突撃してきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる