7 / 36
吸血連合篇(前編)
第3話 吸血連合・最悪の吸血族の復活
しおりを挟む
シドラとアオイは、しばらく周辺の猛獣を狩り、それを調理して生活した。が、むやみに猛獣を倒すと、『案件が挑戦者によって達成されない』という問題が発生した。
「おい泥棒ども、俺たちの町からもっと離れろ!」
「これでも10kmほどは離れているはずですが。」
「10kmじゃ足りねぇ!もっと離れやがれ!このあたりの獲物は俺たちのモノだ!」
「ここはどの町や国の領地でもないはずですが。」
「俺たちの町がこのあたりに一番近いんだよ!だからだ、俺たちの町が拠点じゃないならもっと離れろ。」
「…しょうがないですね、分かりました。」
このように、2人は屁理屈をつけられて日に日に町から遠ざけられていた。
だが、そのおかげで2人は異変に気付くことができた。
空気中の魔力濃度が濃くなりつつある。
しかもそれは、吸血族特有のものであり、不穏な気配は感じていた。が、奴らが復活するとまでは考えていなかった。
翌日――。
「ねぇ、空が紫色だけど、何か起こるのかな?」
「分からない。でも、一回あの町へ行こう。」
*
2人が町に着くと、南関所とその周辺は、血の海と化していた。
そこには、強力な覇気とおぞましい程の魔力を放つ2柱の魔神がいた。
「おや、君たちはこの雑魚どもの仲間?それとも、僕たちの仲間?吸血族は大歓迎だよ。」
「敵ならブッ飛ばす。」
「待てよエルゼベル。この雑魚どもよりは強いから、もっと強くなってもらってから殺した方が楽しいじゃん。」
「しかしだジル、オレは早くあの栄光を…」
「エルゼベルとジルって、まさか…」
「ああ、あの<青髭>のジルと<生娘殺し>のエルゼベルだ。」
「よく知ってるね。さすがは同胞…、いや、君たちは熾天使の方の吸血族か。知ってるとは思うけど、今一度自己紹介するよ。僕はジル=ルガティックだ。君たちとは仲良くしたいな。」
「オレはエルゼベル=カーリアだ。オレはお前らとつるむ気なんざ更々ねぇぞ。」
「ご丁寧にどうも。でも、あいにく僕らはお前たちとは仲良くできない。」
「そうか。残念だ。ならば質問しよう。大切な君主が火炙りにされた時、君ならどうする?」
「僕なら、火炙りにされる前に救出するが。」
「君も吸血族だから分かるだろう?人間がどこまでも愚かな生き物だって。僕たちの最初の存在意義は、汚れた心の人間の血を吸ってその心を浄化することだったよ。僕は原初の吸血族の1人だからね。でも、人間の心が汚れすぎて使命を果たすには老若男女問わず血を吸う必要があった。なのに、誰かが吸血族も悪魔だと言い出したよ。僕らには昔から翼がなかった。血は少量でよかったのに吸われることに抵抗を覚え始めた人間がまた1人また1人と、この嘘を信じだしたさ。人間以外は信じなかったのに。人間は天使と悪魔を見分ける審美眼がなかったらしい。そのうえ、当時の吸血族君主のリベセント様は人間に嵌められ、猛毒を飲まされて火炙りにされてしまった…。それからだったよ。人間滅亡派と使命保守派に別れたのは。で、僕たち人間滅亡派が作った今の伝承にもある<Tepes・army>。人間の少年少女を標的にして鮮血を吸いたいだけ吸えたあの頃はよかったよ、本当に。僕たちは、人間を滅ぼしたかったよ。でもある日、大精霊ロキに世界樹の50階層に封印されてしまった。それから、何千年という気が遠くなるほどの時間、あの瞬間を待った。そしたら、昨日遂に解放されたんだよ!だから、まずは子供の気配が多い町から潰していこうと思ったのさ。僕たちがここに着いた時にはもう雑魚が群れを成していたよ。滑稽だと思わないか?その雑魚たちをクイッと軽く捻ったら、この有り様。で、今ってワケ。どう?改めて人間は愚かだとは思わなかったか?」
「…悔しいけど、そうかもしれない。」
「じゃあ、吸血連合で一緒に人間の滅亡を目指そうよ。」
「そんなことはしない。」
「君も今まで人間に虐げられてきたでしょう。なのに復讐しないって、君は吸血族もどきなの?そういえば、君肌の血色が異常に人間っぽいけど本物の吸血族もどき?」
「人間には自分たちが熾天使だと伝えて和解するつもりだ、いつか必ず。」
「もし君たちが僕たちの敵なら、その夢が実現する前に人類を滅ぼしてあげる。じゃあ、せいぜい足掻くといいさ。」
そんなことを言って、2柱の魔神は滲んで消えた。
「お兄ちゃん、私たちでどうにかできる?」
「どうするも何も、もう1回封印するしかないだろ。」
「封印する、って、まさか…」
「僕たちで世界樹に行って、大精霊ロキに封印してもらう。もう、残された手段はこれしかない。」
「…わかった。私たちで吸血連合を封印して、またお兄ちゃんとデートしよ。」
「分かった。約束だ。」
続く 次回、王国へ
「おい泥棒ども、俺たちの町からもっと離れろ!」
「これでも10kmほどは離れているはずですが。」
「10kmじゃ足りねぇ!もっと離れやがれ!このあたりの獲物は俺たちのモノだ!」
「ここはどの町や国の領地でもないはずですが。」
「俺たちの町がこのあたりに一番近いんだよ!だからだ、俺たちの町が拠点じゃないならもっと離れろ。」
「…しょうがないですね、分かりました。」
このように、2人は屁理屈をつけられて日に日に町から遠ざけられていた。
だが、そのおかげで2人は異変に気付くことができた。
空気中の魔力濃度が濃くなりつつある。
しかもそれは、吸血族特有のものであり、不穏な気配は感じていた。が、奴らが復活するとまでは考えていなかった。
翌日――。
「ねぇ、空が紫色だけど、何か起こるのかな?」
「分からない。でも、一回あの町へ行こう。」
*
2人が町に着くと、南関所とその周辺は、血の海と化していた。
そこには、強力な覇気とおぞましい程の魔力を放つ2柱の魔神がいた。
「おや、君たちはこの雑魚どもの仲間?それとも、僕たちの仲間?吸血族は大歓迎だよ。」
「敵ならブッ飛ばす。」
「待てよエルゼベル。この雑魚どもよりは強いから、もっと強くなってもらってから殺した方が楽しいじゃん。」
「しかしだジル、オレは早くあの栄光を…」
「エルゼベルとジルって、まさか…」
「ああ、あの<青髭>のジルと<生娘殺し>のエルゼベルだ。」
「よく知ってるね。さすがは同胞…、いや、君たちは熾天使の方の吸血族か。知ってるとは思うけど、今一度自己紹介するよ。僕はジル=ルガティックだ。君たちとは仲良くしたいな。」
「オレはエルゼベル=カーリアだ。オレはお前らとつるむ気なんざ更々ねぇぞ。」
「ご丁寧にどうも。でも、あいにく僕らはお前たちとは仲良くできない。」
「そうか。残念だ。ならば質問しよう。大切な君主が火炙りにされた時、君ならどうする?」
「僕なら、火炙りにされる前に救出するが。」
「君も吸血族だから分かるだろう?人間がどこまでも愚かな生き物だって。僕たちの最初の存在意義は、汚れた心の人間の血を吸ってその心を浄化することだったよ。僕は原初の吸血族の1人だからね。でも、人間の心が汚れすぎて使命を果たすには老若男女問わず血を吸う必要があった。なのに、誰かが吸血族も悪魔だと言い出したよ。僕らには昔から翼がなかった。血は少量でよかったのに吸われることに抵抗を覚え始めた人間がまた1人また1人と、この嘘を信じだしたさ。人間以外は信じなかったのに。人間は天使と悪魔を見分ける審美眼がなかったらしい。そのうえ、当時の吸血族君主のリベセント様は人間に嵌められ、猛毒を飲まされて火炙りにされてしまった…。それからだったよ。人間滅亡派と使命保守派に別れたのは。で、僕たち人間滅亡派が作った今の伝承にもある<Tepes・army>。人間の少年少女を標的にして鮮血を吸いたいだけ吸えたあの頃はよかったよ、本当に。僕たちは、人間を滅ぼしたかったよ。でもある日、大精霊ロキに世界樹の50階層に封印されてしまった。それから、何千年という気が遠くなるほどの時間、あの瞬間を待った。そしたら、昨日遂に解放されたんだよ!だから、まずは子供の気配が多い町から潰していこうと思ったのさ。僕たちがここに着いた時にはもう雑魚が群れを成していたよ。滑稽だと思わないか?その雑魚たちをクイッと軽く捻ったら、この有り様。で、今ってワケ。どう?改めて人間は愚かだとは思わなかったか?」
「…悔しいけど、そうかもしれない。」
「じゃあ、吸血連合で一緒に人間の滅亡を目指そうよ。」
「そんなことはしない。」
「君も今まで人間に虐げられてきたでしょう。なのに復讐しないって、君は吸血族もどきなの?そういえば、君肌の血色が異常に人間っぽいけど本物の吸血族もどき?」
「人間には自分たちが熾天使だと伝えて和解するつもりだ、いつか必ず。」
「もし君たちが僕たちの敵なら、その夢が実現する前に人類を滅ぼしてあげる。じゃあ、せいぜい足掻くといいさ。」
そんなことを言って、2柱の魔神は滲んで消えた。
「お兄ちゃん、私たちでどうにかできる?」
「どうするも何も、もう1回封印するしかないだろ。」
「封印する、って、まさか…」
「僕たちで世界樹に行って、大精霊ロキに封印してもらう。もう、残された手段はこれしかない。」
「…わかった。私たちで吸血連合を封印して、またお兄ちゃんとデートしよ。」
「分かった。約束だ。」
続く 次回、王国へ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる