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魔法学校編
デッドリー・インパクト
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闘技場は沸き立っており、その熱量は凄まじいものだった。
しかし、その場内の熱すらも冷ます寒さへ変わり雪がぱらつく。
アインが魔力覚醒によって"氷結の魔法"を発動さたのだ。
アインは氷の十字剣で地面を斬り、アルフィスの方へ氷柱を伸ばした。
アルフィスはその氷柱に反応するが、片膝をつきその場から動けない。
そこにアルフィスを守るようにアゲハがエンブレムのマントで氷柱をガードする。
すると氷柱は消し飛び、その姿を消した。
それを見届けてアゲハはまたダッシュでアインに近づくが、アインは氷の剣を地面に突き刺す。
「氷結界!」
爆風と共に冷気が辺りに立ち込め視界を遮る。
アゲハは周りを見るが、何も見えない。
「氷結の結晶剣!」
どこからか聞こえたその言葉と共に地面から歪な形の氷の剣が突き上げる。
アゲハはそれを間一髪のところでバックステップでかわすが、その氷の剣が消えると次の氷の剣がアゲハの足元から突き上げ襲う。
アゲハはどんどんバックスステップで回避し続けるが、その行動で息が苦しくなってきた。
「はぁはぁはぁ……これは冷気によるものか……このままでは……アルフィスが切り開いた道が……すまないアルフィス……」
アゲハは悲痛な表情で両膝をつき倒れる。
徐々に冷気が消え始め、アインが姿を現した。
今だにその姿は覚醒状態だった。
「勝った…のか……」
そう呟くアインだったが教官からの試合終了の合図が無かった。
アインが正面を見ると中央にアルフィスが俯き立っていた。
何か様子がおかしい。
「アルフィス……ハートル……」
「……ファイアボディ・複合魔法……下級魔法強化……」
その言葉と同時にアルフィスの立っている場所に巨大な真っ赤な魔法陣が現れる。
アルフィスの黒髪が赤色に銀色が混ざった色になり、目は真っ赤に染まる。
その眼光はアインを睨む。
「馬鹿な……魔力覚醒なのか……?」
アルフィスの足元の魔法陣が消えると闘技場内に熱波が広がる。
その温度はどんどん上昇していき、アインの魔力覚醒を完全に打ち消すほどの熱だった。
「久しぶりにキレちまった……アイン・スペルシア、生きて帰れると思うなよ」
「こ、この気配は……リーゼ王……」
アインは感じ取った。
この気配は完全に水の王に匹敵するほどの威圧感。
その圧力に思わずアインは後退りする。
アルフィスの足元の魔法陣が消えたと同時に、その場から姿を消し、赤い歪な線が上空へ走る。
そして、その赤い直線は一気に地面に突撃した。アルフィスは地面に右ストレートを叩き込んでいた。
「これで終わりだ!!」
ズドンという轟音と共に地面の四方八方にヒビが入り浮き上がる。
そのヒビから凄まじい熱量の熱波が発生する。
アインはその熱波を防ごうと氷の剣を地面に突き刺し、巨大な氷の壁を瞬時に作った。
だがその熱波は温度は尋常ではなかった。
氷の壁がどんどんと溶かされヒビが入りはじめる。
「なんなんだ……この熱量は……氷壁をこうも簡単に溶かすなんて……」
ついに氷の壁のほとんどが溶かされ、残った氷は砕けてすぐさま蒸発してしまった。
アインはその熱波に吹き飛ばされて勢いよく壁に叩きつれる。
「がはっ!」
そのまま地面に落ちたアインの魔力覚醒は解除され、そして気絶した。
倒れていたアゲハ、マーシャも吹き飛ばさたが、近くにいた聖騎士達が受け止めて事なきをえていた。
「そこまで!勝者アルフィス・ハートル!アゲハ・クローバル!」
闘技場の端にいた教官がすぐさま試合終了の合図をした。
アルフィスはその合図を聞き終わると両膝をつき、そのまま倒れる。
熱波は消えて補助魔法は全て解除された。
その後、アルフィスは一週間半もの間、意識不明だった。
______________
アルフィスは寮の自室を片付けていた。
ザックとライアン、レイアもそれを手伝っていた。
「ノア団長、ぼやいてたぞ、表彰台に優勝者がいないの初めてだってさ」
「それは申し訳無いことしたな。でもちょっとそれ見てみたかったぜ」
ザックがアルフィスの部屋のゴミを拾いながら皮肉たっぷりに語る。
困ったノアの顔を想像して机を布で拭くアルフィスは笑みをこぼす。
「あの冷静沈着なルイ校長も青ざめてたからね。他の教師も言ってたけど、闘技場をあそこまで破壊した生徒は今までいないってさ」
「それもそれで見てみたかったな。てか校長ってどんな顔してたっけ?」
ライアンが床を布で拭きながら苦笑いしていた。
アルフィスが校長を見たのは入学式の一度だけだったので全く記憶にない。
「もうここを出るんだから、アル君にはどうでもいいかもね。でも寂しくなるなぁ」
ベッドに座るレイアが悲しそうな顔をする。
ここを出るとかなりの期間会えなくなるのは事実だった。
「そう悲しい顔すんなよ。行って帰ってくるだけのことさ。どうせまたここ通るんだし、すぐ会えるさ」
そう言うアルフィスだが、三人は絶対に順調にはいかないと同時に思っていた。
なにせ歩けば災難のもとのアルフィスが旅なんて。
また何か強いやつ倒して戻ってくるに違いないと感じていた。
「よし!こんなもんかな。すまんな手伝ってもらって!」
アルフィスの言葉に三人が笑顔になる。
これで一旦お別れとなるとさすがのアルフィスも涙目になり、それを見た三人も涙した。
____________
次の日の朝
今日も普通に授業の日だ。
早朝、アルフィスはカバンを一つだけ持ち魔法学校前にいた。
朝早すぎて誰もいない。
アルフィスが学校を見つめていると不意に後ろから声をかけられた。
「アルフィス・ハートル」
「ん?お前は……」
アルフィスが振り向くとそこにはアイン・スペルシアがいた。
「初めまして……からかな?アイン・スペルシアだ。よろしく」
そう言ってアインは手を出して握手を求めた。
アルフィスはその手を握り自分も自己紹介する。
「アルフィス・ハートルだ。よろしく」
二人は笑みを浮かべた。
たった一度会い、その最初の出会いが決闘だった二人だが、もう何年も一緒にいる友達のようだった。
「もう行くのか?」
「ああ。北西門でアゲハも待ってるからな」
「そうか……北は寒い。着込んでいくといい」
「ああ、そのつもりさ」
アインは何か考えている様子だった。
意を決し、神妙な面持ちでアインは口を開いた。
「北に……白銀の魔人が出るそうだ……」
「白銀?魔人は黒かったはずだが……」
アルフィスは首を傾げる。
自分の出会った魔人は真っ黒で瘴気を漂わせた気持ち悪いやつというイメージだった。
「人に近い見た目らしい。もし出会ったら……倒してくれ。家族の仇《かたき》なんだ」
「……わかった」
どこか悲しそうなアインにアルフィスは何か深い事情があると察した。
「もう行くぜ。次会ったらまた決闘してくれ、今度はタイマンだ」
「ああ、望むところさ」
そう言ってアルフィスは北西門へと向かった。
アインはその後ろ姿をじっと見ていた。
「俺みたいなオタクが、あんなヤンキーみたいなヤツと会話するなんて昔じゃ考えられないな。……また会おうアルフィス・ハートル」
アインは遠い昔の自分の"前世"を思い出して笑みをこぼした。
____________
セントラル北西門
北西門に到着するとすでにアゲハがいた。
カバン一つと刀を持っている。
服装は聖騎士学校のブレザーだった。
「アゲハ、待たせたな」
「いいえ、私も今来たところです」
二人は北西門を見つめる。
ここからまた大きな旅になることは容易に想像できた。
「んじゃ、行くとしますか水の国へ」
「ええ、水の国へ」
二人は手続きを済ませ北西門を通る。
アルフィスは目の前に広がる世界が他の国とはまた違った空気なのを感じた。
アルフィス・ハートルは母を救うため水の国の旅へ一歩を踏み出した。
第一章・魔法学校編 完
しかし、その場内の熱すらも冷ます寒さへ変わり雪がぱらつく。
アインが魔力覚醒によって"氷結の魔法"を発動さたのだ。
アインは氷の十字剣で地面を斬り、アルフィスの方へ氷柱を伸ばした。
アルフィスはその氷柱に反応するが、片膝をつきその場から動けない。
そこにアルフィスを守るようにアゲハがエンブレムのマントで氷柱をガードする。
すると氷柱は消し飛び、その姿を消した。
それを見届けてアゲハはまたダッシュでアインに近づくが、アインは氷の剣を地面に突き刺す。
「氷結界!」
爆風と共に冷気が辺りに立ち込め視界を遮る。
アゲハは周りを見るが、何も見えない。
「氷結の結晶剣!」
どこからか聞こえたその言葉と共に地面から歪な形の氷の剣が突き上げる。
アゲハはそれを間一髪のところでバックステップでかわすが、その氷の剣が消えると次の氷の剣がアゲハの足元から突き上げ襲う。
アゲハはどんどんバックスステップで回避し続けるが、その行動で息が苦しくなってきた。
「はぁはぁはぁ……これは冷気によるものか……このままでは……アルフィスが切り開いた道が……すまないアルフィス……」
アゲハは悲痛な表情で両膝をつき倒れる。
徐々に冷気が消え始め、アインが姿を現した。
今だにその姿は覚醒状態だった。
「勝った…のか……」
そう呟くアインだったが教官からの試合終了の合図が無かった。
アインが正面を見ると中央にアルフィスが俯き立っていた。
何か様子がおかしい。
「アルフィス……ハートル……」
「……ファイアボディ・複合魔法……下級魔法強化……」
その言葉と同時にアルフィスの立っている場所に巨大な真っ赤な魔法陣が現れる。
アルフィスの黒髪が赤色に銀色が混ざった色になり、目は真っ赤に染まる。
その眼光はアインを睨む。
「馬鹿な……魔力覚醒なのか……?」
アルフィスの足元の魔法陣が消えると闘技場内に熱波が広がる。
その温度はどんどん上昇していき、アインの魔力覚醒を完全に打ち消すほどの熱だった。
「久しぶりにキレちまった……アイン・スペルシア、生きて帰れると思うなよ」
「こ、この気配は……リーゼ王……」
アインは感じ取った。
この気配は完全に水の王に匹敵するほどの威圧感。
その圧力に思わずアインは後退りする。
アルフィスの足元の魔法陣が消えたと同時に、その場から姿を消し、赤い歪な線が上空へ走る。
そして、その赤い直線は一気に地面に突撃した。アルフィスは地面に右ストレートを叩き込んでいた。
「これで終わりだ!!」
ズドンという轟音と共に地面の四方八方にヒビが入り浮き上がる。
そのヒビから凄まじい熱量の熱波が発生する。
アインはその熱波を防ごうと氷の剣を地面に突き刺し、巨大な氷の壁を瞬時に作った。
だがその熱波は温度は尋常ではなかった。
氷の壁がどんどんと溶かされヒビが入りはじめる。
「なんなんだ……この熱量は……氷壁をこうも簡単に溶かすなんて……」
ついに氷の壁のほとんどが溶かされ、残った氷は砕けてすぐさま蒸発してしまった。
アインはその熱波に吹き飛ばされて勢いよく壁に叩きつれる。
「がはっ!」
そのまま地面に落ちたアインの魔力覚醒は解除され、そして気絶した。
倒れていたアゲハ、マーシャも吹き飛ばさたが、近くにいた聖騎士達が受け止めて事なきをえていた。
「そこまで!勝者アルフィス・ハートル!アゲハ・クローバル!」
闘技場の端にいた教官がすぐさま試合終了の合図をした。
アルフィスはその合図を聞き終わると両膝をつき、そのまま倒れる。
熱波は消えて補助魔法は全て解除された。
その後、アルフィスは一週間半もの間、意識不明だった。
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アルフィスは寮の自室を片付けていた。
ザックとライアン、レイアもそれを手伝っていた。
「ノア団長、ぼやいてたぞ、表彰台に優勝者がいないの初めてだってさ」
「それは申し訳無いことしたな。でもちょっとそれ見てみたかったぜ」
ザックがアルフィスの部屋のゴミを拾いながら皮肉たっぷりに語る。
困ったノアの顔を想像して机を布で拭くアルフィスは笑みをこぼす。
「あの冷静沈着なルイ校長も青ざめてたからね。他の教師も言ってたけど、闘技場をあそこまで破壊した生徒は今までいないってさ」
「それもそれで見てみたかったな。てか校長ってどんな顔してたっけ?」
ライアンが床を布で拭きながら苦笑いしていた。
アルフィスが校長を見たのは入学式の一度だけだったので全く記憶にない。
「もうここを出るんだから、アル君にはどうでもいいかもね。でも寂しくなるなぁ」
ベッドに座るレイアが悲しそうな顔をする。
ここを出るとかなりの期間会えなくなるのは事実だった。
「そう悲しい顔すんなよ。行って帰ってくるだけのことさ。どうせまたここ通るんだし、すぐ会えるさ」
そう言うアルフィスだが、三人は絶対に順調にはいかないと同時に思っていた。
なにせ歩けば災難のもとのアルフィスが旅なんて。
また何か強いやつ倒して戻ってくるに違いないと感じていた。
「よし!こんなもんかな。すまんな手伝ってもらって!」
アルフィスの言葉に三人が笑顔になる。
これで一旦お別れとなるとさすがのアルフィスも涙目になり、それを見た三人も涙した。
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次の日の朝
今日も普通に授業の日だ。
早朝、アルフィスはカバンを一つだけ持ち魔法学校前にいた。
朝早すぎて誰もいない。
アルフィスが学校を見つめていると不意に後ろから声をかけられた。
「アルフィス・ハートル」
「ん?お前は……」
アルフィスが振り向くとそこにはアイン・スペルシアがいた。
「初めまして……からかな?アイン・スペルシアだ。よろしく」
そう言ってアインは手を出して握手を求めた。
アルフィスはその手を握り自分も自己紹介する。
「アルフィス・ハートルだ。よろしく」
二人は笑みを浮かべた。
たった一度会い、その最初の出会いが決闘だった二人だが、もう何年も一緒にいる友達のようだった。
「もう行くのか?」
「ああ。北西門でアゲハも待ってるからな」
「そうか……北は寒い。着込んでいくといい」
「ああ、そのつもりさ」
アインは何か考えている様子だった。
意を決し、神妙な面持ちでアインは口を開いた。
「北に……白銀の魔人が出るそうだ……」
「白銀?魔人は黒かったはずだが……」
アルフィスは首を傾げる。
自分の出会った魔人は真っ黒で瘴気を漂わせた気持ち悪いやつというイメージだった。
「人に近い見た目らしい。もし出会ったら……倒してくれ。家族の仇《かたき》なんだ」
「……わかった」
どこか悲しそうなアインにアルフィスは何か深い事情があると察した。
「もう行くぜ。次会ったらまた決闘してくれ、今度はタイマンだ」
「ああ、望むところさ」
そう言ってアルフィスは北西門へと向かった。
アインはその後ろ姿をじっと見ていた。
「俺みたいなオタクが、あんなヤンキーみたいなヤツと会話するなんて昔じゃ考えられないな。……また会おうアルフィス・ハートル」
アインは遠い昔の自分の"前世"を思い出して笑みをこぼした。
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セントラル北西門
北西門に到着するとすでにアゲハがいた。
カバン一つと刀を持っている。
服装は聖騎士学校のブレザーだった。
「アゲハ、待たせたな」
「いいえ、私も今来たところです」
二人は北西門を見つめる。
ここからまた大きな旅になることは容易に想像できた。
「んじゃ、行くとしますか水の国へ」
「ええ、水の国へ」
二人は手続きを済ませ北西門を通る。
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