共学の学校にもしも男子が1人しかいなくなったら？

渚

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24 試練の始まり

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春の陽気が少しずつ広がり始め、学校にも新たな変化の兆しが感じられるようになった。美咲と涼の関係はますます強固になり、クラスメイトとの関係も落ち着き、何事も穏やかに進んでいるように見えた。しかし、そんな日々の中で、美咲の心に新たな不安が芽生えていた。

ある日、放課後に美咲と涮は一緒に帰る途中、いつもとは少し違う雰囲気を感じた。

「涼、なんだか最近、何かが違う気がするんだ」

涼は不安げな美咲の顔を見て、すぐに立ち止まり、彼女を見つめた。

「どうしたの？何かあった？」

美咲は少し戸惑いながらも言葉を続けた。

「クラスの中で、なんだか微妙な空気が流れている気がするの。由美とはもう完全に仲良くなったけど、それでも、他のクラスメイトたちが私に対してどう思っているのか、少し不安になってきた」

涼はその言葉を聞いて、少し考え込んだ。

「確かに、クラスの雰囲気は微妙に変わったかもしれないね。でも、美咲が無理に合わせようとしなくていいんだよ。君が大切にしている人たちとの関係を築いていけば、それが一番大事だよ」

美咲は涼の言葉に少し安心したものの、やはり心の奥に不安を抱えていた。

「ありがとう、涼。でも、やっぱり怖いんだ。由美や涼と仲良くできていても、他の子たちが私をどう思っているのか、気になってしまう」

涼はしばらく黙っていた後、優しく美咲の肩に手を置いた。

「美咲、怖いのは分かる。でも、周りがどう思うかよりも、美咲がどうしたいかが大事だよ。自分の気持ちに正直になって、無理しないこと。誰かに嫌われることを恐れていたら、きっと本当の自分を見失ってしまうから」

美咲は涼の優しい言葉に励まされ、少しずつ心が軽くなっていくのを感じた。

「ありがとう、涼。私は、これからも自分らしく、無理せず過ごしていきたいと思う」

涼は微笑んで、美咲の手を握った。

「それでいいんだよ。俺もずっと君の味方だからね」

美咲は涼の手の温かさを感じ、心から安心した。

⸻

その日、教室では美咲の予想とは裏腹に、大きな出来事が起きていた。授業が終わり、放課後にクラスメイトたちが集まる中、美咲も友達との会話に参加していた。そこで、由美が突然、何かを話し始めた。

「ねえ、みんな、ちょっと聞いてよ！」

美咲は驚いて振り返り、由美が何を言おうとしているのか気になった。クラスの中の他の女の子たちも興味津々で見守っている。

「実はさ、私、ちょっと大事なことを言わなきゃいけないの。美咲と私、もうすっかり仲良くなったけど、他にも気になることがあってさ…」

その時、美咲の胸に一瞬、冷たいものが走った。由美の言葉が何を指すのか、予感がしていた。

「…え？どういうこと？」美咲が思わず口を開く。

由美は少し黙った後、続けた。

「実は、私が最近、気になっているのは…美咲と涼のこと。どうして、あんなに二人だけで過ごしているの？クラスの他の子たちとも、もう少し話した方がいいんじゃない？」

その言葉を聞いた瞬間、美咲は驚きと同時に戸惑いを感じた。他のクラスメイトたちが一斉に注目している中、彼女はどう答えるべきか分からなくなった。

涼のことを気にしている由美の言葉が、美咲の心に深く刺さった。美咲が涼と一緒に過ごす時間が多くなってきたことは確かだが、それがクラスメイトたちの反感を買っているのかもしれないと思うと、不安で胸がいっぱいになった。

「私は…」美咲は言葉を詰まらせながら、周囲を見回した。

「私は涼と過ごすのが楽しいから、自然とそうなったんだ。でも、涼を気にしないで！他の子たちとももっと仲良くしたいと思ってる」

由美は少し表情を変え、少し照れくさそうに言った。

「ううん、別に嫌っているわけじゃないけど、なんか、最近ちょっと距離を感じるんだよね。涼ばっかりに頼りすぎじゃないかなって」

美咲はその言葉を深く受け止めたが、涼のことを責められているようで、少し胸が苦しくなった。

「わかった…気をつけるよ」美咲は小さな声で答えた。

その後、美咲は涼にそのことを伝える決心をした。

⸻

放課後、美咲と涼がいつものように一緒に帰ろうとしていると、美咲は急に立ち止まった。

「涼、ちょっと話したいことがあるんだ」

涼は驚きながらも、美咲の表情を見てすぐにうなずいた。

「もちろん、どうしたの？」

美咲は少し悩んだ後、言葉を選ぶように話した。

「最近、由美が私たちのことを気にしているみたいで…なんか、私が涼とばかり一緒にいることで、周りの人たちが気を使っているんじゃないかって、少し不安になったの」

涼はしばらく沈黙し、その後、穏やかな声で言った。

「美咲、君が周りのことを気にしているのは分かる。でも、俺たちの関係は美咲と俺のものであって、他の人にどう思われるかじゃなくて、自分たちがどうしたいかが大事だよ。由美もきっと、心配しているだけだと思うし、俺たちが無理して何かを変える必要はないんだ」

美咲はその言葉に少し安心し、涼に微笑みかけた。

「ありがとう、涼。やっぱり、あなたと話すと心が落ち着く」

涼はにっこりと笑い、美咲の手をそっと握った。

「俺も美咲と話すと安心するよ。お互いに、無理せず自分らしくいようね」

美咲はその言葉に勇気をもらい、もう一度前を向いた。涼と一緒に歩く道は、どんな困難も乗り越えられると信じていた。

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