推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

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第三章

第六話 負けイベントには早すぎるじゃないか

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 どうしてそんな発想になってしまうんだよ!

 突然コワイが斜め上に行っていることを言い出し、俺は心の中で叫んでしまった。

 アリサといい、コワイといい、どうしてカレン以外で俺が出会う女の子は、直ぐにそんな発想に至ってしまうんだよ。

 彼女たちの俺に対するイメージが変態チックになっていることに、頭が痛い。

 でも、これって逆に言えば、自分たちがエロいことを考えているからこその発想じゃないのか?

「ユウリ、本当に彼女を性奴隷にするつもりだったの?」

「これだから男はケダモノなのよ。きっと頭の中では、あの女を穢すことを考えているに決まっているわ」

 後方から二人が非難してきたので振り向く。カレンとアリサはジト目で俺の顔を見てきた。

「誤解だ! あいつが勝手に妄想して口走っているだけだからな!」

 アリサはともかく、カレンにだけは俺が変態だと思われたくはない。俺は必死に誤解であることを訴えるも、アリサがカレンの前に立ち、俺に対してゴミを見るような眼差しを送ってくる。

 もう、どうすればいいんだよ。

 どうすればいいのか分からない俺は、最終手段としてコワイに自害してもらうことにする。

 彼女がリタイアすれば、俺の誤解は解けるかもしれない。

「悪いが、現場が混乱してしまっている以上、君にはリタイアしてもらう。その方法として自害してもらうが別に構わないよな?」

「当たり前だ。お前に穢されるくらいなら死を選ぶ!」

 彼女の強い意志に、俺は複雑な気持ちになった。

 正直、誤解を解いてから倒したかった。だって汚名を着せられたまま倒したのであれば、後味が悪いじゃないか。でも、どうしようもない状況になった以上は、わがままを言っていられない。

「我が奴隷契約の紋様を用いて命じる。その命を自らの手で――」

 コワイに自害をするように命じようとしたところで、いきなりコワイの体が光だす。

 この現象は、管理者から敗北したと判断されたときに起きる粒子化の光。まだ彼女は自害していないが、俺が命じようとした段階で負けだと判断されたみたいだ。

「あの女の人の体が光っている」

「あの光、サクを倒したときと同じ光ね」

「ああ、どうやら管理者に敗北だと判断されたみたいだな」

 あの男を褒めるようなことはしたくなかったが、これに関しては今だけ礼を言いたい気分だった。

 ゲームの世界とは言え、女の子が自分の首を切ったり、胸を突き刺したりする光景を見たくはなかったからな。

 自分の体が光っているのを見て、コワイは安心しきったような穏やかな笑みを浮かべる。

「これで妾は聖神戦争からリタイアだ。サクがリタイアしたとき、彼の分の願いも妾が叶えてやらなければと思ったが、その夢も潰えてしまった」

 コワイはポツリと言葉を漏らすと、俺に視線を向けて来る。

「先ほどは性奴隷とか言って悪かったな。妾の敗北が決まった以上、少しでも身体的ダメージを与えてやろうとした。お前が連れている女たちからゴミを見るような視線を向けられて、困っている姿を見られて満足だ」

 彼女が瞼を閉じると、徐々に爪先から光の粒子に変わっていく。

「なぁ、サクは消え際に何か言っておったか?」

「ああ、どちらかと言えば恨み言だったな。お前やあの方が俺を倒してくれると言っていた」

「ふふ、サクらしい消え際の一言だ。妾はあの男とは違う故に、お前に助言を残してやろう。妾を倒したのは賞賛に値するが、それでもお前はあの方には勝てない。実際に戦ってみて、そう実感した。だから、あの方から目を付けられる前にひっそりと暮らせ。それがこの世界で長く生きられるコツだ」

 コワイの言葉を聞きながら、俺は無言で頷く。

 助言はありがたいが、そんなことは言われなくても分かっている。俺の目的はカレンを生き残らせること。無闇に本編のストーリーに首を突っ込んで彼女を危険に晒すつもりはない。

 コワイの粒子化が頭にも起こり、頭部からなくなっていく。

 最後に何かを言っていたようだが、上唇まで消えていたので、彼女が何を言っているのかが分からなかった。

 その数秒後、完全にコワイの姿形はなくなり、光の粒子は天へと登って行く。

 サク・アケチ、コワイ・トドメキは、本編でカレンが殺されるデスイベントの持ち主だった。だけどその脅威である二人を倒し、危険性がなくなったことに俺は安堵する。

 だけどこんなに連続でデスイベントが起きるのは正直に言って、二度とゴメンだ。

「さぁ、これでこの街の脅威は去った。今日は宿屋に泊まって休もう」

 彼女たちに宿屋で休もうと告げ、踵を返す。

「ねぇ、ユウリ、あれって何?」

 カレンが指を向けて訊ねてくる。

 再び踵を返して背後を見ると、空間に裂け目のようなものが出来ていた。

 あれは転移系のスキルより生まれた時空の歪み。何者かがこの場に現れようとしているのか。

「カレン、アリサ、警戒してくれ。おそらく神の駒が現れる」

 二人に警戒を促し、構える。

 まさかこうも連続で神の駒が現れるとは思わなかった。

 話の分かる人物なら良いが、話が通じないような戦闘狂のようなやつだった場合は、連戦することになる。

 どうか戦闘に発展しませんように。

 心の中で神様に祈る。

「悪いがその願いは叶わぬ」

 時空の裂け目から男の声が聞こえ、空間の裂け目が広がると一人の男が現れた。

 嘘だろう。どうしてお前がここで登場するんだよ。お前は中盤まで登場しないキャラじゃないか。負けイベントには早すぎるだろう!










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