ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第四章

第十一話 リュシアン、俺のギルドに戻って来い!

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「フェルディナン!」

 俺は突然声をかけてきた男の名を叫ぶ。

 やつはこちらに駆け寄って来ると、ハクギンロウを次々とぶった斬る。

「フェルディナン、どうしてここに?」

 他のハクギンロウを斬り倒しつつ、俺は彼に訊ねる。

「そんなもの、ギルドマスターとしてこの砦の建設の手伝いに来たに決まっているだろう!」

「ギルドマスターって、アントニオはどうしたんだ!」

「やつは死んだ! 自ら命を絶って、この世を去った。だから俺がギルドマスターに就任することになった!」

「何だって!」

 彼の言葉に驚かされつつも、モンスターを切り倒す。すると、フェルディナンが大剣の先を俺の喉元に突きつけた。

 突然のことに、俺は一瞬言葉を失ってしまう。

「フェルディナン、これは何の冗談だ」

「冗談などではない。リュシアン、俺のギルドにはお前が必要だ。だから戻って来い!」

「フェルディナン、今すぐ剣を引け」

「貴様が俺のギルドに戻ると言えば、今すぐに離して……ぐはっ!」

 俺に剣を向けたことで無防備状態となったフェルディナンに、二体のハクギンロウが覆い被さるように彼を押し倒した。

 ほら、周囲の警戒を解いたからモンスターの標的になったじゃないか。

 本当に何しに来たんだよ。邪魔するなら帰って欲しい。

 フェルディナンに覆い被さり、今にも牙を突き立てようとするハクギンロウを背後から斬った。

「悪いが断る!」

「そうよ! リュシアンピグレットが帰る場所はあたしのいるギルド何だから! あんたみたいな顔だけの男のところには帰らないわよ」

 上のバリスタエリアからテレーゼの声が聞こえて来る。タイミングよくハクギンロウがフェルディナンを襲ったのは、彼女が上手い具合に誘導したからなのだろう。

 フェルディナンは立ち上がると、キッと俺を睨む。

「俺は既に新しい居場所を見つけた。だからいくら勧誘しようが、首を縦には降らないさ」

 俺の返答に、フェルディナンは顔を歪ませながら撃ち漏らしたハクギンロウをぶった斬る。

「そうかよ! だけど俺は絶対に諦めないぞ! どんな手を使ってでも、お前を俺のギルドに連れ戻す! ここにいるハクギンロウをより多くの倒した方が勝ちだ! もし、お前が負けたら大人しく戻って来てもらうからな!」

「いや、何勝手に決めているんだよ。それに今は、勝負をしている状況じゃないだろう!」

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

 俺の言葉を無視して、フェルディナンは雄叫びを上げながら大剣を横に振る。二体のハクギンロウが刃に触れると、鮮血を吹き出しながら地面に倒れた。

「これで二体だ!」

 肩で息をしながら、彼はわざわざ二体倒したことを報告してきた。

 これはもうダメだ。俺が何を言おうと聞く耳を持ってくれないだろうな。仕方がない。

 ここは俺が頭脳プレイで勝たせてもらう。

 顔を上げると、上のエリアにいるテレーゼとユリヤに視線を送る。彼女たちは俺が見ていることに気づくと、無言で頷いた。

 どうやら俺がお願いしたいことを一瞬で理解してくれたみたいだな。

 フェルディナン、悪いがこの勝負、勝たせてもらう。

 俺はテレーゼとユリヤと協力し、次々とハクギンロウを倒して行く。

 そして最後の一体と思われるオオカミを俺が倒すと、それ以上ハクギンロウが砦内に入って来ることはなかった。

 フェルディナンは、自分と俺が倒したモンスターの死体の山を見て歯を食いしばった。

 俺の方が一回りも二回りも大きく、数えるまでもなかったのだ。

 もちろん、これは最初から仕組まれたものだ。上のエリアにいる二人が、バリスタの弾を放ってハクギンロウを俺のところに来るように誘導していた。

 まぁ、本当はそんなことしなくても、数の勝負なら普通に勝てる。だけど心から諦めさせるには、圧倒的な力の差を見せつける必要があった。

「どう見たって俺の勝ちだな」

「くそう! こんなはずでは! この俺が負けるなんて」

 現実を受け入れることができずに、フェルディナンは驚愕している。

『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!』

 しかし、砦の外から聞こえたモンスターの咆哮に、彼は我に返った。

「この咆哮はまさか!」

 フェルディナンが砦の扉の方を見ると、ライトニングロウが砦内に入って来た。

『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!』

 モンスターは俺たちを見ると咆哮を上げる。

「やっぱりライトニングロウか。こんな奴もいるなんて聞いていなかったぞ」

 突然のモンスターの乱入に、フェルディナンは驚く。しかし、直ぐに何かに閃いたようで、口角を上げた。

「リュシアン! 俺が一人でこいつを倒せたら、俺のギルドに帰って来てもらう! 行くぜ!」

 俺が了承する暇もなく、フェルディナンが勝手に決めると大剣を構えてモンスターに突っ込む。そしてライトニングロウの前脚を大剣で切った。しかし鱗に遮られて鮮血が噴き出すようなことはなかった。

「くそう。なんて硬さだ」

 必死に前脚を切ろうとしているフェルディナンに、ライトニングロウは反対側の前脚で彼を叩き潰す。

「グアッ!」

 フェルディナンは大剣を手放して両手モンスターの一撃を受け止める。

 本当は手助けするところなのだろうけど、彼には俺のことを諦めてもらう必要がある。モンスターに痛めつけられて、殺されそうになるまでは、このまま静観させてもらうとしよう。

 それに遠くから観察している方が、やつの行動パターンを覚えやすいからな。

 そんなことを考えていると、敵の一撃を受け止めているフェルディナンに、ライトニングロウのテールアタックが襲いかかってきた。

「危ない!」

「え? グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 俺の声が届くよりも早く、ライトニングロウの尻尾がフェルディナンの横腹に当たると彼は吹き飛ぶ。そして壁にぶつかると頭から地面に倒れた。

 俺は直ぐに彼に駆け寄り、フェルディナンを抱き起こす。

 イケメンの顔は残念なほどボロボロとなっており、白目を向いていた。

「これはしばらく目を覚ましそうにないな」

 彼をどうしようかと悩んでいると、ライトニングロウが俺に向けて前脚を振り下ろしてくる。

 しかし、やつの攻撃が当たるよりも早く、モンスターの頭部が爆発した。

「リュシアンさん! 私たちが時間を稼ぎますので、その男を安全な場所に連れて行ってください」

 今の爆発は、ユリヤの大砲だったのか。

「分かった。直ぐに戻って来る」

 俺はフェルディナンを背負うと、彼を安全な場所に運ぶ。

「よし、この辺でいいだろう」

 フェルディナンをモンスターの攻撃が当たらない場所に連れて行くと、俺は直ぐに引き返した。

「さぁ、一狩り行こうぜ!」










最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

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