ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
162 / 171
第十四章

第九話 チャプスの最後

しおりを挟む
 チャプスの身動きを封じていると、やつの頭にこぶのようなものが見えた。

 なんだ? あのこぶのようなものは?

 気になってしまった俺は、暴れるチャプスの牙や舌が当たらないように、少し遠回りをしながらやつの側面に回る。

 モンスターの体によじ登り、背中に到達すると頭部を見る。

 するとチャプスの頭部には、水晶のようなものが半分埋め込まれてあった。

 あの水晶、ゴッドヒルフが持っていた水晶に似ている。あれを破壊すれば、チャプスのモンスター化が解けるんじゃないか。

 チャプスを元に戻す糸口を見つけた瞬間、足を拘束していた氷が破壊された。

 やつは立ち上がり、俺を振り落とそうと足を軸にして回転を始める。

 せっかく元に戻すことができるかもしれないのに、ここで吹き飛ばされる訳にはいかない。

 必死にしがみつきながら、仲間達に顔向ける。

 ユリヤたちがいない?

「リュシアンさん、私たちはここです」

 モンスターの足元からユリヤの声が聞こえてくる。

 さすがに長い間、俺の戦い方を見ているだけはあるな。モンスターがこの回転をしてきた時は、足元が安全だとみんな分かっている。

「みんなは、チャプスが次の攻撃の動作に入ったときは離れてくれ」

「分かりました!」

 俺の指示に、ユリヤが代表して答える。

 今はチャプスの背にしがみつきながら、攻撃が収まるのを待つしかないな。

 チャプスが疲れて動きを止めるのを待っていると、やつはエリアの外側に向けて突っ込んで行く。

 こいつ、あまりにも俺がしつこく粘るから、岩壁に叩きつけて振り落とそうとしているのか。

 確かにこの方法なら、自身の肉体を傷付ける代わりに俺を振り落とすことができるだろう。

 だけどこのチャンスを見逃す訳にはいかない。一か八かの賭けに出させてもらう。

 振り落とされないように、しっかりとしがみ付いていると、チャプスの体が岩壁に叩きつけられる。

 振動で振り落とされそうになるも、どうにか耐えることに成功した。だが、これで終わりではない。

 チャプスが体当たりしたことにより、岩壁の一部が崩れ、落石が発生した。

 転がり落ちる落石は、運悪く当たってしまった……チャプスの顔面に。

『ギャオオオオオオオオオオォォォォォォォン』

 落石を受けた瞬間、チャプスが吼える。

 きっとこいつのことだ。落石が当たったのも俺のせいにしていそうだな。

 モンスターの出方を伺っていると、やつは岩盤から離れて距離を置く。しかし、チャプスの顔はまだ岩盤を見据えていた。

 もう一度体当たりをする気か。

「リュシアン王子、これを受け取ってください!」

 エリーザ姫の声が聞こえると同時に、俺の前に矢が突き刺さった。矢には糸状のものが絡まっている。

「これは、マンダラ蜘蛛の糸で作った操り糸」

「それでモンスターをコントロールしてください」

 なるほど、その手があったか。

 マンダラ蜘蛛の操り糸は、その名の通りモンスターに絡ませることで操ることができる。しかし、その条件がモンスターに騎乗することなので、運よく背中に乗れないと使うことができない代物だ。

 直ぐに操り糸をチャプスの関節に絡ませる。

 しかし作業の最中に、やつは岩壁に向けて走り出した。

「そうはさせるかよ!」

 ギリギリ作業が間に合い、チャプスが岩壁にぶつかるのを阻止する。そして糸を操作して岩壁から遠ざけた。

『ギャオオオオオオオオオオォォォォォォォン』

 チャプスが吼える。

 モンスターの言葉は理解できない。だが、なんとなくだけど『俺でお馬さん遊びをするな!』と訴えているように思えた。

 だけどマンダラ蜘蛛の糸は時間経過と共に切れてしまう。早くやつの頭部にある水晶を破壊する必要がある。

 周囲を探り、この場に近いのがテレーゼであることが分かると、チャプスを歩かせて彼女に近づく。

「はい、おすわり」

 チャプスを操作して体を屈ませる。

「テレーゼ、悪いが、俺の代わりにこいつを押さえ付けてくれないか」

「任せて! チャプスブタを見事に躾けてあげるわ」

 歌姫がモンスターの上に乗り、俺の代わりに操り糸を使ってチャプスを押さえ付ける。

 よし、今のうちやつの頭部にある水晶を破壊だ。

 一応破壊力がある方がいいだろう。

 ポーチから双剣を取り出し、刃のない部分をくっ付けて大剣へと姿を変えると、思いっきり振り下ろす。

 刃が水晶に当たり、ヒビを作る。だが、まだ破壊には至っていない。もう一度だ!

 再び刃を振り下ろしたその時。

リュシアンピグレットごめんなさい。操り糸が切れちゃったわ」

 操り糸が切れ、自由を取り戻したチャプスが再び暴れ出す。

 くそう、間に合ってくれ!

 俺は振り下ろした刃に願いを込める。

 頼む! この一撃で破壊してくれ!

 刃がヒビの入った水晶に触れた瞬間、ヒビが蜘蛛の巣状に広がり水晶が破壊された。

 その瞬間、チャプスの体が光だす。

 もしかして人間の姿に戻ろうとしているのか。

「テレーゼ!」

 大剣を双剣に戻してポーチに仕舞い、歌姫の名を呼ぶと彼女を抱きしめて地面に飛び降りる。

 着地と同時に立ち上がり、テレーゼを下ろしてチャプスの方を見る。

 すると全裸の男が地面に倒れていた。

 それもそうだよな。人間からあれだけでかいモンスターになったんだ。着ていた服は破けて当然だ。

 テレーゼを見ると彼女はチャプスに対して背を向けていた。

 さすが裸の男を直視するのは異性としては少々恥ずかしいよな。

「一瞬でもクソブタの裸が視界に入ってしまったわ。目が汚れてしまう」

 いや、本気で見たくないから背を向けていたみたいだ。

 ゆっくりと歩き、チャプスに近付こうとした。

 だが、チャプスに向けて火球が跳び、彼の体に当たると炎に包み込まれる。

 いったい何が起きた。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

非オタな僕が勇者に転生したら、オタな彼女が賢者に転生してサポート万全だった。

ケイオチャ
ファンタジー
高校2年生の真忠悠太(まただ ゆうた)は、部活に勉強に文武両道な充実した毎日を おくっていた。 しかし、ある日の教室に強烈な閃光を 見た途端、意識を失った。 目が覚めると、不思議な光の空間で ただぽつんと座っていて目の前には 女性がいた。 『私は転生の女神です。  あなたは勇者に選ばれました。  剣と魔法がある異世界[コエシステンツァ]  を救って下さい。』 その意味を彼は理解していなかった。 知らなかった…のである。なぜなら 今までアニメやゲームは聞いたことある程度の いわゆる非オタだった。 あまりにもな知らなさに女神は もう一人の転生者にすぐ会えるよう にし、無事を,祈りつつおくった。 異世界にいき悠太は、 もう一人の転生者であり、賢者の 在原瑠花(ありはら るか)に出会う。 瑠花は彼と同じ高校の同級生で ゲーム三昧のアニメ観まくり人生 をおくっていた。しかし、 彼と同様に強烈な閃光により意識を失う。 そして女神から、賢者となり魔法で勇者を 支える使命をたくされていた。 彼の異世界についての知識がなさすぎる ことに驚きつつも、全力で支えることを 決意した。 クラスメイトと再会していき、世界を救う意味を 見つけていく異世界初心者ファンタジー。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

限界勇者のスローライフ~追放気味に田舎暮らしに突入したけど、元魔王やら魔族の子と出会って何だか幸せに暮らせています~

みなかみしょう
ファンタジー
現代日本から転生し、魔王を倒した勇者クウト。 なんとか平和な世界を取り戻したはずが、彼だけは戦い続けていた。 その期間、120年。しかも年中無休、24時間営業である。 「さすがにこれは、ちょっとおかしくないか?」 戦いに疲れ果て、クウトはようやくそのことに気づいた。 自分を道具としてしか見ていない、かつての仲間の子孫にも飽き飽きだった。 会議の場で引退を宣言し、勇者の証も放棄。清々しく立場を強引に捨てることに成功。 遂に手に入れた自由な日々。 そんなクウトの前に、転生にも関わった女神が現れる。 想像よりも酷い状況を見て、女神は新たな力を授け言う。 「とりあえず、スローライフでもしてなさい」 そんな言葉と共に送り出された元勇者は、田舎でのんびり暮らすべく新生活を開始した。 しかし、そんな彼の前に現れたのは別世界に行ったはずの二代目魔王。 似たような事情を抱えた彼女の話を聞き、クウトは同居生活を提案する。 こうして、元勇者と元魔王の田舎暮らしが始まった。 無理のない範囲での畑仕事。 冒険者としての活動。 町の人々との触れ合い。 慣れない普通の生活に苦戦しつつも、二人は穏やかな日々を少しずつ手に入れていく。 たまに起きるトラブルは、その有り余るパワーで粉砕しながら……。

処理中です...