252 / 269
第十三章
第二十四話 魔法プリパラの復活
しおりを挟む
~とある魔族視点~
私は魔王様を復活させ、この世界を昔の混沌とした世界に戻そうと考えている魔族だ。
ついにこの時が来た。
私は祭壇の上に置かれた少女を見て、ニヤリと口角を上げる。
今まで数人の少女を犠牲にしたが、この少女は今までのやつらに比べて適性が高い。そして今宵は満月である。
今回こそ、今回こそは成功するであろう。
「ブッヒーよ、良くこの娘を見つけてくれた」
「ええ、この娘を見つけることに全力を尽くしました。絶対にこの女は、魔王様の器として相応しいでしょう」
「もし、成功したら褒美を授けてやろう。さぁ! 魔王様よ! 復活してください!」
両手を上げて声を上げる。すると、月の光に照らされた少女が淡く光始めた。
この反応、やはりあの少女は魔王様の器に適していたか。これで魔王様が完全に復活してくれるのであれば、私の野望が達成できる。
懐から魔王様の魂がひとりでに飛び出す。そして魂は器である少女の中へと入って行った。
「魔王様! 復活の時です!」
再び声を上げると、少女はゆっくりと状態を起こし、こちらに顔を向ける。
「お前が我を目覚めさせた者か?」
「ええ、そうです。私の名はルシファーです」
「そうか。礼を言おう。再びこの世に誕生することができたのだ」
「そうでしょう。そうでしょう。お目覚めのところ悪いのですが、魔王様、早速あなた様のお力で魔物を凶暴化させてください。そしてあなた様が活躍していた時代のように、血で血を争う混沌とした時代にしましょう!」
「嫌だ」
「え?」
魔物を凶暴化させ、下等生物たちを襲わせるようにお願いをした。だが、気のせいだろうか? 魔王様は拒絶されたような気がした。
「すみません。どうやら聞き逃してしまったみたいです。恐れ多いながら、もう一度お聞かせください」
「嫌だと言っておる。どうして我がそのようなことをしなければならない」
「何を言っているのだ! それが魔王の仕事だろうが! この世の下等生物である人間共を駆逐し、魔族の世界を作り上げる使命を持っているのが魔王のはずだ! 目覚めたばかりとは言え、子供ではないのだぞ! 大人しく俺たちの言う通りにするんだ!」
「やめろ! ブッヒー!」
「へ? ぶっひいいいいいいぃぃぃぃぃぃ」
魔王様に対して侮辱の言葉を述べたブッヒーに、それ以上暴言を吐かないように咎める。だが間に合わなかった。魔王様がパチンと指を鳴らした瞬間、ブッヒーの肉体が爆発して肉片が分散し、血の花火が飛び散る。
「うるさいブタがおる。ブタはブタらしく肉となれ」
ブッヒーが死んだ瞬間、体が震える。目覚めたばかりとは言え、魔王様だ。魔力の量が違いすぎる。私も言葉を間違えれば彼女に殺されるだろう。
「あのう。魔王様、どうして魔物を凶暴化させてくれないのでしょうか?」
「そんなの決まっておる。我が痛い思いをするからだ」
「はい?」
思わず聞き返す。
「魔物を凶暴化させて人々を襲わせれば、神々がこの世界に転生者を送り出す。そうすれば転生者を中心とした勢力が生まれ、我を倒しに来る。もうあんな痛い思いは嫌だ。そもそもどうして魔族と人族で争わなければならんない。みんな仲良く手を取り合って暮らすのが一番楽しいではないか。争いは悲しみしか生まぬ」
いや、いや、いや、何を言っているんだこのバカは? 魔王なのだから世界を滅ぼすために動くのが普通ではないか。何が痛いから争いたくないだよ。
実際に声に出す訳にはいかないので、心の中で彼女を罵倒する。
それにしても困った。復活した魔王がここまで腑抜けになっているとはな。どうやって争いを好む殺伐としたマシーンと化すかを考えなければならない。
「ところで、この世には走者と呼ばれる者同士で走るレースがあるらしいな」
「え? あ、はい。魔王様が封印された後にできた競技でして、様々な種族が走って1番を決めております」
「素晴らしいではないか! 他者と争うと言う意味では戦争と同じかもしれないが、多くの血が流れないで済む。そして走っている者もそれを見ておる者も同時に楽しむことができる。本当に素晴らしいことではないか。この競技を考えた者には我から勲章を授けたい」
何が素晴らしいだ! あんなもの、お遊戯のようなものではないか! 人々が憎しみ合い、血で血を争う混沌とした世界こそが、あるべき本当の世界だと言うのに!
「と言う訳で、我は走者レースが開催されてある場所に飛び入り参加してくるとしよう」
魔王様が立ち上がると、彼女の背中から漆黒の翼が現れる。
「では、我は行って来る。我の活躍をその目に焼き付けておくのだ。ワハハハハハ!」
魔王様は空高く舞い上がり、そして和の国がある方角へと飛び去って行く。
「この大バカ娘がああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
私は魔王様を復活させ、この世界を昔の混沌とした世界に戻そうと考えている魔族だ。
ついにこの時が来た。
私は祭壇の上に置かれた少女を見て、ニヤリと口角を上げる。
今まで数人の少女を犠牲にしたが、この少女は今までのやつらに比べて適性が高い。そして今宵は満月である。
今回こそ、今回こそは成功するであろう。
「ブッヒーよ、良くこの娘を見つけてくれた」
「ええ、この娘を見つけることに全力を尽くしました。絶対にこの女は、魔王様の器として相応しいでしょう」
「もし、成功したら褒美を授けてやろう。さぁ! 魔王様よ! 復活してください!」
両手を上げて声を上げる。すると、月の光に照らされた少女が淡く光始めた。
この反応、やはりあの少女は魔王様の器に適していたか。これで魔王様が完全に復活してくれるのであれば、私の野望が達成できる。
懐から魔王様の魂がひとりでに飛び出す。そして魂は器である少女の中へと入って行った。
「魔王様! 復活の時です!」
再び声を上げると、少女はゆっくりと状態を起こし、こちらに顔を向ける。
「お前が我を目覚めさせた者か?」
「ええ、そうです。私の名はルシファーです」
「そうか。礼を言おう。再びこの世に誕生することができたのだ」
「そうでしょう。そうでしょう。お目覚めのところ悪いのですが、魔王様、早速あなた様のお力で魔物を凶暴化させてください。そしてあなた様が活躍していた時代のように、血で血を争う混沌とした時代にしましょう!」
「嫌だ」
「え?」
魔物を凶暴化させ、下等生物たちを襲わせるようにお願いをした。だが、気のせいだろうか? 魔王様は拒絶されたような気がした。
「すみません。どうやら聞き逃してしまったみたいです。恐れ多いながら、もう一度お聞かせください」
「嫌だと言っておる。どうして我がそのようなことをしなければならない」
「何を言っているのだ! それが魔王の仕事だろうが! この世の下等生物である人間共を駆逐し、魔族の世界を作り上げる使命を持っているのが魔王のはずだ! 目覚めたばかりとは言え、子供ではないのだぞ! 大人しく俺たちの言う通りにするんだ!」
「やめろ! ブッヒー!」
「へ? ぶっひいいいいいいぃぃぃぃぃぃ」
魔王様に対して侮辱の言葉を述べたブッヒーに、それ以上暴言を吐かないように咎める。だが間に合わなかった。魔王様がパチンと指を鳴らした瞬間、ブッヒーの肉体が爆発して肉片が分散し、血の花火が飛び散る。
「うるさいブタがおる。ブタはブタらしく肉となれ」
ブッヒーが死んだ瞬間、体が震える。目覚めたばかりとは言え、魔王様だ。魔力の量が違いすぎる。私も言葉を間違えれば彼女に殺されるだろう。
「あのう。魔王様、どうして魔物を凶暴化させてくれないのでしょうか?」
「そんなの決まっておる。我が痛い思いをするからだ」
「はい?」
思わず聞き返す。
「魔物を凶暴化させて人々を襲わせれば、神々がこの世界に転生者を送り出す。そうすれば転生者を中心とした勢力が生まれ、我を倒しに来る。もうあんな痛い思いは嫌だ。そもそもどうして魔族と人族で争わなければならんない。みんな仲良く手を取り合って暮らすのが一番楽しいではないか。争いは悲しみしか生まぬ」
いや、いや、いや、何を言っているんだこのバカは? 魔王なのだから世界を滅ぼすために動くのが普通ではないか。何が痛いから争いたくないだよ。
実際に声に出す訳にはいかないので、心の中で彼女を罵倒する。
それにしても困った。復活した魔王がここまで腑抜けになっているとはな。どうやって争いを好む殺伐としたマシーンと化すかを考えなければならない。
「ところで、この世には走者と呼ばれる者同士で走るレースがあるらしいな」
「え? あ、はい。魔王様が封印された後にできた競技でして、様々な種族が走って1番を決めております」
「素晴らしいではないか! 他者と争うと言う意味では戦争と同じかもしれないが、多くの血が流れないで済む。そして走っている者もそれを見ておる者も同時に楽しむことができる。本当に素晴らしいことではないか。この競技を考えた者には我から勲章を授けたい」
何が素晴らしいだ! あんなもの、お遊戯のようなものではないか! 人々が憎しみ合い、血で血を争う混沌とした世界こそが、あるべき本当の世界だと言うのに!
「と言う訳で、我は走者レースが開催されてある場所に飛び入り参加してくるとしよう」
魔王様が立ち上がると、彼女の背中から漆黒の翼が現れる。
「では、我は行って来る。我の活躍をその目に焼き付けておくのだ。ワハハハハハ!」
魔王様は空高く舞い上がり、そして和の国がある方角へと飛び去って行く。
「この大バカ娘がああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる