追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!

仁徳

文字の大きさ
21 / 183
第二章

第十二話 シルクロードステークス決着

しおりを挟む
東海帝王トウカイテイオウ視点~






『アストンマーチャン! 消滅! これにより、アストンマーチャンは競争を中止したことになります』

 目の前を走っていた名馬が、肉体を維持することができずに消滅してしまった。

 このままでは、騎手の明日屯麻茶无アストンマーチャンが落馬して芝に激突してしまう。

「ハルウララ! 急げ!」

 愛馬に鞭を入れ、加速するように促す。

 すると、俺の指示を受け取った彼女は速度を上げ、仰向けの体勢になっている明日屯麻茶无アストンマーチャンに接近する。

 間に合え!

 俺は心の中で叫び、そして彼女に向けて手を伸ばす。

「掴まれ!」

 声を上げて俺の手を掴むように言うと、明日屯麻茶无アストンマーチャンは手を伸ばし、俺の手を掴む。

 良かった。どうにか間に合ったようだ。

「大丈夫だ。お前を芝には落とさせない」

「奇跡の名馬!」

 明日屯麻茶无アストンマーチャンは驚いた表情を見せていた。きっと、俺が助けに入るとは思っていなかったのだろう。

 腕に力を入れ、彼女の華奢な体を持ち上げると、前に座らせた。

「行け! ハルウララ!」

 俺は愛馬に、このままゴール板に向かうように告げる。

『ム、ムリムリムリ! ムリに決まっているよ! 何を考えているの! 人間2人を乗せて走るなんて、ハンデ戦の重さどころではないよ!』

 明日屯麻茶无アストンマーチャンを乗せたまま走るように指示を出すが、彼女はムリだと反論して来る。

「何を言っている! 現に走っているじゃないか!」

『私が言っているのは、2人を乗せたまま最後まで走り切れる自信がないって言っているの!』

「良いから走れ! 文句はレースが終わってからたっぷり聞いてやるから! 大丈夫だ。俺はお前ならやれると信じている。負け馬根性は伊達ではないところを、観客たちに見せ付けてやれ」

「分かったよ。もう、こうなればどうにでもなれ! アストンマーチャンのように消滅しても知らないのだから!」

『学園のアイドル騎手を乗せたまま、ハルウララはレースを続行! ハンデ戦を凌駕する重量で、果たして最後まで走り切れるのか! 後からファイングレインが迫って来ている!』

「行け! ファイングレイン! お前に単勝で賭けているんだ! 絶対に優勝しろ!」

「ハルウララ頑張れ! 応援しているから!」

「くそおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ! アストンマーチャン、競争中止かよ! 俺の金がああああああああぁぁぁぁぁ!」

「コパノフウジン! まだだまだチャンスはあるぞ!」

 ゴール板が近付いたことで、観客たちの声援が耳に入って来る。

『私の応援する声が聞こえて来る! みんなに負け馬根性を見せ付けてあげるよ!』

 ハルウララが声を発したその瞬間、彼女の名馬の伝説レジェンドオブアフェイマスホース負け馬の最後の走りザ・ラストランオブアルーシングホースが発動したようだ。芝のコースがダートへと代わり、彼女の走った後には蹄鉄の跡が残される。

『ここでハルウララの名馬の伝説レジェンドオブアフェイマスホースが発動! 芝がダートへと代わり、ファイングレインが速度を落とす!』

『やったね♪ これでみんなは速度が落ちた! これなら何とか……ってなに⁉︎ この迫り来る嫌な予感は!』

 芝がダートへと代わり、ハルウララはざまぁみろと言いたげな口調で言葉を連ねていた。しかしその言葉は直ぐに怯えたような口調へと変わって行く。

『速度を落として行く馬の中に、逆に加速して馬がいるぞ! コパノフウジンだ!』

『コパノフウジンは、芝よりもダートの方が得意ですからね。コースがダートへ変わったことで、走りやすくなったのでしょう!』

『どうしてダート適性のある馬が混じっているの! 私の中ではルール違反だよ! ハルウララのルールブック違反により、コパノフウジンは失格にする!』

 ハルウララの意味の分からない言葉に頭を抱えたくなるが、今は集中力を切らす訳にはいかない。どうにか、彼女には頑張ってもらわないと。

「何意味の分からないことを言っている! 良いから、お前はゴールに目がけて走ることだけに集中しろ!」

 彼女の体に鞭を叩き、レースに集中するように注意を促す。

『3番手だったコパノフウジンが、ファイングレインを抜いて2番手に! そしてハルウララに迫り来る! 1馬身差……半馬身差……並んだ! ハルウララとコパノフウジンが並んだ!』

『自分の名馬の伝説レジェンドオブアフェイマスホース)で敵に塩を送るとはな! 策士策に溺れるとは、このことだ! ざまぁ』

『ムキイイイイイイイィィィィィィィ! ざまぁといった方はざまぁなんだよ! だから君の方がざまぁだ!』

 何馬同士で言い争っているんだ。でも、実際にコパノフウジンの言う通りだ。でも、だからと言って、名馬の伝説レジェンドオブアフェイマスホースを使っても使わなくても変わらなかっただろう。

 相手がコパノフウジンか。ファイングレインかの違いでしかない。

『ハルウララ、コパノフウジン、ハルウララ、コパノフウジン、ハルウララ、コパノフウジン! 両者鍔迫り合いのまま1歩も引かない!』

 コパノフウジンと競り合ったまま、互いに1歩も引かない。騎手の方も愛馬の力だけに任せている所を見る限り、アビリティなどは使い果たしてしまったのだろう。

『くそう! どうして負け馬を追い抜けない! 1勝もできないクソザコ牝馬ひんばの癖に!』

『残念でした! 私は既に1勝していますぅ~もうクソザコではないですぅ~それに私がクソザコなら、2人を乗せている状態でも追い抜けない君の方がもっとクソザコですぅ』

『うっぜー! ウザすぎる! でも、事実だから何も言い返せられない!』

 ハルウララとコパノフウジンが言い争っている間、2頭はゴール板を駆け抜けた。

『ハルウララとコパノフウジン! 2頭並んだままゴールイン! 3着、ファイングレイン、4着はステキシンスケクン、5着はコウセイカズコと言う順位となりました。1着と2着は写真判定となっています。もうしばらくお待ちください』

 肉眼ではどちらが先頭だったのかが分からない。なので、写真判定と言う結果になった。

 電光掲示板にゴール直前の映像が流れ、ゴールした直後に映像は停止した。

 その映像を見た俺は、ハルウララの頭を優しく撫でる。

「頑張ったな。ハルウララ」

「て、帝王。私……グスン」

 ハルウララの目から涙が流れる。彼女は俺と明日屯麻茶无アストンマーチャンを乗せた状態で走っていたのだ。その状態であそこまでのレースをみせてくれたのだ。それは誇って良いことだ。

「さぁ、行くぞ。主役の凱旋だ」

『結果が出ました! 1着ハルウララ! 2着コパノフウジン! ハルウララ! ハンデ戦以上の重量でありながら、見事シルクロードステークスを制しました!』

 実況担当の中山の言葉に、観客たちは一斉に喝采を上げた。

「スゲーぜ! ハルウララ!」

「まさか、ここまでのレースを見せてくれるとは!」

「私たちも負けていられない! 同じレースで競う時はライバルだから!」

 観客たちの歓声を受けながら、ハルウララを観客席前へと歩かせる。そして俺は右手を上げて優勝したことをアピールする。

「あ、あのう……奇跡の名馬? いつまでハルウララちゃんの背に乗って入れば良いのですか? 優勝してもいないのに、ここに居るのは恥ずかしいのですが」

 頬を朱色に染めつつ、明日屯麻茶无アストンマーチャンが早く降りたいことを告げる。

 そう言えば、彼女を乗せたままだったな。

 G Iレースではない以上、あんまり図に乗ったことはしない方が良いだろう。

 ある程度の所でハルウララをコースから出るように誘導する。

「ハルウララ。良く頑張ってくれた。今は休んでくれ」

 彼女から降り、労いの言葉をかけると、ハルウララは姿を消す。

明日屯麻茶无アストンマーチャン、今から時間はあるか?」

「え、あ、はい。大丈夫ですが?」

「そうか。なら、俺と付き合ってくれ!」






掲示板の結果

1着6番
    >ハナ
2着5番
    >1
3着8番
    >2
4着10番
    >クビ
5着2番
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...