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第6章
【ビビり屋フレディ】
しおりを挟む街を出てしばらく歩くと、段々と灯りも減り、道が無くなっていった。
目を凝らして先を見ると、前には茂みが広がっていた。
「ここからはしばらく道が無い。
足元に気を付けて歩くんだ」
暗闇の中でジャックの声が聞こえる。
「ええ、分かったわ」
エイミーは手探りで茂みを掻き分け、ジャックと共に前へ進んだ。
服が汚れるのなんてお構い無しに。
風は相変わらず冷たかった。
足を進める度、暗闇の中ざわざわガサガサと草木が踊り、気味が悪い。
ヘビでも出て来たらどうしよう、とヘビが嫌いなエイミーは少し不安になった。
しばらく茂みの中を進むと、なにやら洞窟が見えて来た。
何故か、中に小さな灯りが灯っている。
ジャックはそれを確認すると、洞窟の方に向かって何かを呼んだ。
「おい、フレディ、いるんだろう?
客を連れて来たから、出て来いよ」
ジャックとエイミーは耳を澄ませたが、それは一向に返事をしない。
するとジャックがエイミーにひそひそと言った。
「ここに住んでるフレディって奴は、異様なまでにビビり屋なんだ。
君もあんまり驚かせないように、静かについて来な」
エイミーは頷くと、先に洞窟へ入って行ったジャックの後をついて行った。
洞窟の中には、小さなテーブルが置いてあり、その隅に懐中電灯が点いていた。
テーブルの上には、本が沢山積み上げてあった。
その本を見てみようとエイミーが手に取ろうと動いた時、膝がテーブルに当たった振動で懐中電灯が落ちてしまった。
カラン!と小さな音が響くと同時に、「ひいっ!!」と甲高い悲鳴が聞こえた。
エイミーが後ろを振り返ると、さっきまで誰もいなかった場所に、白い小さなおばけがガタガタと震えながらこちらを見ていた。
隣にいたジャックがその白い小さなおばけをエイミーに紹介した。
「こいつがフレディ。
これでも一応おばけだ。
小心者で、びっくりするとすぐ姿を消す癖がある」
エイミーはクスリと笑うと、フレディに握手を求めた。
「私はエイミー。びっくりしたわよね、ごめんなさい」
するとフレディは不思議なものを見るかのように上目遣いでエイミーを見上げた。
「エイミーって、あのエイミー……?」
高い、子供のような声だった。
ジャックがクスクスと笑いながらエイミーの代わりに答える。
「ああ、あのエイミーだよ。
また、あの日と同じようにこの世界に迷い込んで来てしまったらしい。
相変わらずだろ?」
フレディはそれを聞くと、さっきまで怯えていたのが嘘のように目を輝かせエイミーに飛びついた。
「エイミー、エイミーだ!」
どうやらフレディも、私を知っているみたいだ。
でも、私には本当に記憶が無い。
ここまで歓迎されているにも関わらず、ここの住人に会った過去の記憶が無い。
それが少し哀しかった。
エイミーはそう考えながらも、喜ぶフレディを子供のように抱きしめ返した。
「フレディも、ついて来る?」
エイミーはフレディに微笑んだ。
フレディは満面の笑みを浮かべて答えた。
「うん!喜んで!」
ジャックが釘をさすようにフレディに問う。
「目指すのはあの遠い峠の魔女の城だが……
本当に大丈夫か?」
フレディは笑顔を崩さなかった。
「大丈夫だよ。僕もついてく」
こうして、ビビり屋フレディが新しく仲間に加わることとなった。
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