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第4話 無知から始まる和平交渉①
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僕はクレープスに連れられてさっきの部屋に戻ってきた。ちなみにカタリナにも同伴してもらっている。
僕が椅子に座り、カタリナが僕の隣に立つと、爬虫類の異形―ランプ国民啓蒙大臣は口を開いた。
「陛下、講和会議……といっても、郊外の一室での話し合いですが。ともかく、今から2時間後にメメント・モリ陣営の盟主国ハーデス連邦の代表イルシール西方軍集団副司令官と、6時間後に血盟国陣営の盟主国聖ヨルシカ皇国の代表シャネルA軍最高司令官との講和会議を約束しました」
ランプの言葉に出てくる名前、というか肩書きが長すぎて全く覚えられないけど、とりあえずハーデス連邦と聖ヨルシカ皇国は僕たちの話を聞いてくれるようだ。
「ほう、それで、誰が交渉の席につくのかな?」
これは僕は絶対に聞いておきたいことだ。そして、こんな喋り方は不慣れだけど、この異形達やカタリナの手前仕方ない。それにしても、中々、様になってない?
「両国とも陛下を指名しておられます」
ランプは言った。
「はいっ?」
僕はトーンの外れた声で答える。すると瞬間、カタリナが僕を睨んだのを感じる。
ちょちょ、無理無理! 一国の命運を背負った話し合いなんて僕には荷が重すぎるよ! 僕の発言一つで命を救えるかもしれないけど、反対にそれだけの命を殺すことにもなるかもしれないとか、なにその地獄。もう、唇が重すぎて開かないな。くぅそっ、どこの誰がこんなとこに転移させたんだ! チート能力とかいらないから、もっとましな世界あっただろ! まったく……最悪、僕なんかに耐えられないよ。
「陛下が魔皇、宰相、帝国軍最高司令官を兼任しておられるからなんでしょう」
そういうクレープスの声には少し怒りが含まれていると思う。それにしたって、僕の体の前の持ち主イシュメール……魔皇(?)は仕事しすぎ、王なのに社畜か。
「それで、具体的な内容を説明しますがまず……」
ランプは茫然自失としている僕に、二枚の紙を見せながら講和についての話を始めた。そこに書いている文字は日本語ではないのは勿論のことだし、英語でもなかった。要するに僕が見たことのない文字だ。しかし、その文字が持つ意味が不思議と脳に直接流れてきた。少し気持ち悪い。とはいえ、僕には固有名詞の意味がまるで理解できなかったので、あとでカタリナに聞いたことによると、
ハーデス連邦版
1.メメント・モリ陣営国と大イリオス帝国は戦争状態を解除する。
2.メメント・モリ陣営国は大イリオス帝国が元々所有している領土から軍隊を撤退させる。
3.メメント・モリ陣営国と大イリオス帝国は互いに原状回復とする。
4.メメント・モリ陣営国と大イリオス帝国は互いに独立を認め合う。
5.大イリオス帝国はハーデス連邦に賠償金340億セイン(通貨らしい)を支払う。
6.メメント・モリ陣営国は魔皇イシュメール・ブランデンが大イリオス帝国唯一の支配者であることを認める。
聖ヨルシカ皇国版
といっても、賠償金がなくなったことを除けば、固有名詞が入れ替わっただけだ。
ランプの説明中、クレープスと、別の角を持つ異形―フランソワ空軍元帥は終始機嫌が悪そうだった。恐らく、この講和条件に納得がいってないのだろう、それも僕たちが傲慢すぎるという意味で。しかし、カタリナやランプ達も少し残念そうだった。それは僕たちが有利な条件にしたかったかららしい。
僕はこの講和条件についてクレープスやフランソワと同じ気持ちになったが、特にその気持ちを伝えることもなく、ぎこちない笑顔で「おおっ、中々だな」などと言った。そもそも、僕が持っている度胸ではランプ達を否定できず、そっと拳を握りしめ、心の中で二人に謝ることくらいしかできない。これは本当にごめんなさい。
そして、僕と共に講和会議に赴くのは、ランプ、フランソワ、豚の異形―ボルマン官房長官、五人の警備兵らしい。僕はこれにカタリナを付け加えた。流石にランプやボルマンもこれには驚いたが、カタリナは何も喋らないことを条件に承諾して貰った、がそれを横目に実はこういう考えを僕は持っている。
逃げよう。
だって、当たり前でしょ! ついさっきまで保険会社の会社員やってた男に国の運命を任せられても普通に困るよ! だから、僕は期を見計らってここから逃げ出して、どっかの田舎に隠れて魔王の身分を隠しながら平和に暮らす。この考えを卑怯とか言うなよ? どうせ、みんな同じ考えになるからな! ……とにかく、どうしようかn
ここまで考えたとき「ぶひっ、それでは、早速出発しましょうか」というボルマンの高い声が僕の胸に突き刺さる。
「えっ! い、い、いや、少し考える時間を……」
それを聞いた僕は目を見開いて言った。
「陛下、申し訳ありませんが講和会議の場所は少し遠いのです。それに相手よりも早く席についていれば、交渉の主導権を握れるでしょう」
それに対して、ランプは僕に追い打ちをかけた。
そして、僕ら一行は僕を除いて皆意気揚々と部屋を出た。……あ、終わった。
驚いたことに僕らがいる場所は地下だったので、地上へと上がることになった……といっても、僕の感情と目は死んでおり、両足を震わせている。それに気づいているのはカタリナだけで時折僕の袖を潤んだ目で引っ張ってくるが、それでも僕の気持ちが揺らぐことはなかった。
はえー、夜だったのか。それにしても、地上はボロボロだなぁ。首都だっていうのに地面が穴だらけだし、周りの建物が倒壊してる。
そんなことを思っていると、僕らの前に二頭の巨大な狼が引く、馬車のような物が二台で飛び込んできた。
「すいません、王室用の馬車でなくて。しかし! これは帝国の稲妻ことフォックスハウンドです! 彼らもこれには腰を抜かすでしょう」
ランプは言った。そして、僕はこっそりとカタリナに「これ何?」と聞く。
「陛下が直接設計されたチャリオットです。うふふっ、やはりかっこいいです!」
カタリナは小さな体を震わせながら言った。
へぇ~、たしかチャリオットって、僕の世界では古代の戦車だったかな……はぁ、これに乗って逃げれないかなぁ。
ランプの手引きで、僕、カタリナ、ランプ、ボルマンは同じフォックスハウンドに乗り、五人の剣士(?)と共に遅れてやってきたフランソワはもう一つのフォックスハウンドに乗ることになった。そして、僕らが乗り終え、フォックスハウンドに真っ白な旗が掲げられると出発した。
何気なく、僕は外を眺めた。どうせ、対策を立ててもそれを喋る度胸はないし、多分僕みたいな一般人が考えた対策なんて通用しないと思うからだ。
地上は地下の雰囲気が生ぬるいと思えるほど凄惨を極めていた。ありとあらゆる建物は崩れているか燃えているかで、路頭に迷う異形達は薄い布を巻いているばかりで他には何も持っていなかった。盗みが街中で平然と行われており、人心は荒廃している。道の舗装など夢のまた夢で、街の水路が決壊しているので、陥没した道に水がたまり小さな池のようになっていた。食料が無いからなのか、道端に生えている草を食べたり、土を食べている異形がほとんどだ。自殺を図っている異形も多く、街道に肉体がちらほらと転がっていた。ランプが通れると思っていた全ての門が崩れており、僕らは元は家があったであろう場所を踏み越えていくしかなかった。さらに、これらを僕は他人事のようにしか見てなかった。
しかし、遂に僕に感情を取り戻させ、ある想いを抱かせる出来事が起きる。
ある程度、時間が経つと、悲鳴のようなものが多く聞こえてきて、槍兵が女性や老人のような異形を串刺しにしていた。流石に僕も目がくらみ、カタリナに「敵軍がきてるではないか!」と言った。すると、カタリナは「あれは敵軍ではなく自軍です」と答えた。それに驚いた僕はカタリナに「どうして自軍が国民を殺してるんだ⁈」と息を荒くして聞くと「恐らく、陛下が立案された国民皆兵計画の一環ですよ。国民といえど、今は全員兵士。敵軍から逃亡すれば死刑ですから」とカタリナは平然と答えた。直後、僕は脳に直接衝撃を喰らったような感覚に襲われる。
国民が全員兵士? ふざけるな、そんな国があっていいわけないだろ! 一体、魔皇イシュメールは何を考えているんだ。一国の王が国民に死ねと言ってるのと同じじゃないか。そりゃあ、異形の中には気持ち悪いのもいるけれど、それでも一つの生命だ。それが、それが、こんな扱いだなんて惨すぎる……。誰かがこんな戦争をやめさせないと、誰かが……。
さらに、僕の目に、一人の背の高い異形に15人ほどの子供のような異形が統率され、鍋や農具をもって炎の中に飛び込んでいく姿が映り、これをランプとボルマンが「素晴らしい!」とフォックスハウンドから乗り出してほめたたえる。さらにさらに、家族と思われる5人の異形が「大イリオス帝国万歳」と言って、焼身自殺する姿も映った。
僕らがどんどん進んで行くと、異形達の阿鼻叫喚が冥土からの合唱のように流れ、この国の大地には異形の屍と文明の瓦礫が横たわっているのだろうなと僕は感じた。そして、さっきまでの講和会議に出席することに臆していた自分が怖くなる。
……誰かがこの戦争をやめさせるんじゃない。僕にしかやめさせれないんだ。この体へ転移したことは僕にとっては不運かもしれないけど、この国の多くの人たちにとっては間違いなく希望だ! なら、なら、やってみせる、この戦争を終わらせる!
そう、僕は感情を取り戻しただけではなく、この戦争の終結という確固たる意志が湧いたのだ。
僕が椅子に座り、カタリナが僕の隣に立つと、爬虫類の異形―ランプ国民啓蒙大臣は口を開いた。
「陛下、講和会議……といっても、郊外の一室での話し合いですが。ともかく、今から2時間後にメメント・モリ陣営の盟主国ハーデス連邦の代表イルシール西方軍集団副司令官と、6時間後に血盟国陣営の盟主国聖ヨルシカ皇国の代表シャネルA軍最高司令官との講和会議を約束しました」
ランプの言葉に出てくる名前、というか肩書きが長すぎて全く覚えられないけど、とりあえずハーデス連邦と聖ヨルシカ皇国は僕たちの話を聞いてくれるようだ。
「ほう、それで、誰が交渉の席につくのかな?」
これは僕は絶対に聞いておきたいことだ。そして、こんな喋り方は不慣れだけど、この異形達やカタリナの手前仕方ない。それにしても、中々、様になってない?
「両国とも陛下を指名しておられます」
ランプは言った。
「はいっ?」
僕はトーンの外れた声で答える。すると瞬間、カタリナが僕を睨んだのを感じる。
ちょちょ、無理無理! 一国の命運を背負った話し合いなんて僕には荷が重すぎるよ! 僕の発言一つで命を救えるかもしれないけど、反対にそれだけの命を殺すことにもなるかもしれないとか、なにその地獄。もう、唇が重すぎて開かないな。くぅそっ、どこの誰がこんなとこに転移させたんだ! チート能力とかいらないから、もっとましな世界あっただろ! まったく……最悪、僕なんかに耐えられないよ。
「陛下が魔皇、宰相、帝国軍最高司令官を兼任しておられるからなんでしょう」
そういうクレープスの声には少し怒りが含まれていると思う。それにしたって、僕の体の前の持ち主イシュメール……魔皇(?)は仕事しすぎ、王なのに社畜か。
「それで、具体的な内容を説明しますがまず……」
ランプは茫然自失としている僕に、二枚の紙を見せながら講和についての話を始めた。そこに書いている文字は日本語ではないのは勿論のことだし、英語でもなかった。要するに僕が見たことのない文字だ。しかし、その文字が持つ意味が不思議と脳に直接流れてきた。少し気持ち悪い。とはいえ、僕には固有名詞の意味がまるで理解できなかったので、あとでカタリナに聞いたことによると、
ハーデス連邦版
1.メメント・モリ陣営国と大イリオス帝国は戦争状態を解除する。
2.メメント・モリ陣営国は大イリオス帝国が元々所有している領土から軍隊を撤退させる。
3.メメント・モリ陣営国と大イリオス帝国は互いに原状回復とする。
4.メメント・モリ陣営国と大イリオス帝国は互いに独立を認め合う。
5.大イリオス帝国はハーデス連邦に賠償金340億セイン(通貨らしい)を支払う。
6.メメント・モリ陣営国は魔皇イシュメール・ブランデンが大イリオス帝国唯一の支配者であることを認める。
聖ヨルシカ皇国版
といっても、賠償金がなくなったことを除けば、固有名詞が入れ替わっただけだ。
ランプの説明中、クレープスと、別の角を持つ異形―フランソワ空軍元帥は終始機嫌が悪そうだった。恐らく、この講和条件に納得がいってないのだろう、それも僕たちが傲慢すぎるという意味で。しかし、カタリナやランプ達も少し残念そうだった。それは僕たちが有利な条件にしたかったかららしい。
僕はこの講和条件についてクレープスやフランソワと同じ気持ちになったが、特にその気持ちを伝えることもなく、ぎこちない笑顔で「おおっ、中々だな」などと言った。そもそも、僕が持っている度胸ではランプ達を否定できず、そっと拳を握りしめ、心の中で二人に謝ることくらいしかできない。これは本当にごめんなさい。
そして、僕と共に講和会議に赴くのは、ランプ、フランソワ、豚の異形―ボルマン官房長官、五人の警備兵らしい。僕はこれにカタリナを付け加えた。流石にランプやボルマンもこれには驚いたが、カタリナは何も喋らないことを条件に承諾して貰った、がそれを横目に実はこういう考えを僕は持っている。
逃げよう。
だって、当たり前でしょ! ついさっきまで保険会社の会社員やってた男に国の運命を任せられても普通に困るよ! だから、僕は期を見計らってここから逃げ出して、どっかの田舎に隠れて魔王の身分を隠しながら平和に暮らす。この考えを卑怯とか言うなよ? どうせ、みんな同じ考えになるからな! ……とにかく、どうしようかn
ここまで考えたとき「ぶひっ、それでは、早速出発しましょうか」というボルマンの高い声が僕の胸に突き刺さる。
「えっ! い、い、いや、少し考える時間を……」
それを聞いた僕は目を見開いて言った。
「陛下、申し訳ありませんが講和会議の場所は少し遠いのです。それに相手よりも早く席についていれば、交渉の主導権を握れるでしょう」
それに対して、ランプは僕に追い打ちをかけた。
そして、僕ら一行は僕を除いて皆意気揚々と部屋を出た。……あ、終わった。
驚いたことに僕らがいる場所は地下だったので、地上へと上がることになった……といっても、僕の感情と目は死んでおり、両足を震わせている。それに気づいているのはカタリナだけで時折僕の袖を潤んだ目で引っ張ってくるが、それでも僕の気持ちが揺らぐことはなかった。
はえー、夜だったのか。それにしても、地上はボロボロだなぁ。首都だっていうのに地面が穴だらけだし、周りの建物が倒壊してる。
そんなことを思っていると、僕らの前に二頭の巨大な狼が引く、馬車のような物が二台で飛び込んできた。
「すいません、王室用の馬車でなくて。しかし! これは帝国の稲妻ことフォックスハウンドです! 彼らもこれには腰を抜かすでしょう」
ランプは言った。そして、僕はこっそりとカタリナに「これ何?」と聞く。
「陛下が直接設計されたチャリオットです。うふふっ、やはりかっこいいです!」
カタリナは小さな体を震わせながら言った。
へぇ~、たしかチャリオットって、僕の世界では古代の戦車だったかな……はぁ、これに乗って逃げれないかなぁ。
ランプの手引きで、僕、カタリナ、ランプ、ボルマンは同じフォックスハウンドに乗り、五人の剣士(?)と共に遅れてやってきたフランソワはもう一つのフォックスハウンドに乗ることになった。そして、僕らが乗り終え、フォックスハウンドに真っ白な旗が掲げられると出発した。
何気なく、僕は外を眺めた。どうせ、対策を立ててもそれを喋る度胸はないし、多分僕みたいな一般人が考えた対策なんて通用しないと思うからだ。
地上は地下の雰囲気が生ぬるいと思えるほど凄惨を極めていた。ありとあらゆる建物は崩れているか燃えているかで、路頭に迷う異形達は薄い布を巻いているばかりで他には何も持っていなかった。盗みが街中で平然と行われており、人心は荒廃している。道の舗装など夢のまた夢で、街の水路が決壊しているので、陥没した道に水がたまり小さな池のようになっていた。食料が無いからなのか、道端に生えている草を食べたり、土を食べている異形がほとんどだ。自殺を図っている異形も多く、街道に肉体がちらほらと転がっていた。ランプが通れると思っていた全ての門が崩れており、僕らは元は家があったであろう場所を踏み越えていくしかなかった。さらに、これらを僕は他人事のようにしか見てなかった。
しかし、遂に僕に感情を取り戻させ、ある想いを抱かせる出来事が起きる。
ある程度、時間が経つと、悲鳴のようなものが多く聞こえてきて、槍兵が女性や老人のような異形を串刺しにしていた。流石に僕も目がくらみ、カタリナに「敵軍がきてるではないか!」と言った。すると、カタリナは「あれは敵軍ではなく自軍です」と答えた。それに驚いた僕はカタリナに「どうして自軍が国民を殺してるんだ⁈」と息を荒くして聞くと「恐らく、陛下が立案された国民皆兵計画の一環ですよ。国民といえど、今は全員兵士。敵軍から逃亡すれば死刑ですから」とカタリナは平然と答えた。直後、僕は脳に直接衝撃を喰らったような感覚に襲われる。
国民が全員兵士? ふざけるな、そんな国があっていいわけないだろ! 一体、魔皇イシュメールは何を考えているんだ。一国の王が国民に死ねと言ってるのと同じじゃないか。そりゃあ、異形の中には気持ち悪いのもいるけれど、それでも一つの生命だ。それが、それが、こんな扱いだなんて惨すぎる……。誰かがこんな戦争をやめさせないと、誰かが……。
さらに、僕の目に、一人の背の高い異形に15人ほどの子供のような異形が統率され、鍋や農具をもって炎の中に飛び込んでいく姿が映り、これをランプとボルマンが「素晴らしい!」とフォックスハウンドから乗り出してほめたたえる。さらにさらに、家族と思われる5人の異形が「大イリオス帝国万歳」と言って、焼身自殺する姿も映った。
僕らがどんどん進んで行くと、異形達の阿鼻叫喚が冥土からの合唱のように流れ、この国の大地には異形の屍と文明の瓦礫が横たわっているのだろうなと僕は感じた。そして、さっきまでの講和会議に出席することに臆していた自分が怖くなる。
……誰かがこの戦争をやめさせるんじゃない。僕にしかやめさせれないんだ。この体へ転移したことは僕にとっては不運かもしれないけど、この国の多くの人たちにとっては間違いなく希望だ! なら、なら、やってみせる、この戦争を終わらせる!
そう、僕は感情を取り戻しただけではなく、この戦争の終結という確固たる意志が湧いたのだ。
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