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第一章 Revival of Communism編
第5.5戦 祖国の新しい姿
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第四話の最後と第五話の冒頭で述べた、スターリンとプラウダの談笑より抜粋。
「ところで、今の最高指導者は誰だ?」
これは聞いておきたい話だ。かつて、私が就いていた地位にどんな奴がいるのかを知りたいからな。私が死んで60年も経っているのだから、私とは面識が全くないだろう。だが早くにも、現代の最高指導者と顔を合わせて今の内政状況や資本主義国家との関係、GDPや軍事力について知らねばならん。
プラウダは気まずそうに口を開いた。
「いや、あの~それがちょっと~、はい」
私はプラウダの態度を不審に思った。
「どうしたんだ? はっきり言いたまえ、流石に自国を導いてる人間の名前がわからないというわけではないだろな? 私は60年前の人間だから知らなくても仕方ない……いや、本来は知っておかねばならんが、それは君の優しさに免じて許そう。とにかく、今の最高指導者は誰なんだね? プラウダ」
私はプラウダを問い詰めた。
「それがですね、ソ連は1991年に崩壊したんですよね」
なっ……。
「って! え? ちょっと大丈夫ですか⁈」
プラウダが「大丈夫ですか」と聞いたのは、恐らく私が口をぱくぱくさせながら、白眼を剥きかかっていたからだろう。
わ、私は人生の全てを祖国と党に捧げた、な、の、に⁈ 崩壊だと? 何たる事だ! 同志レーニン達と築いた、国民の理想の社会が崩壊しただと!
この時、私の中で何かが切れた。そして、私は立ち上がり叫んだ。
「チクショぉぉめえぇぇー! 何故だ! 我々は全ての人間が平等に暮らせる社会を作ろうとしていただけだぞ。なのに! 何故、崩壊したのだ? かつての私の部下達は粛清を控えろと言ってきたが、そんなことはする必要は無かった。それどころか、もっと多くの裏切りの芽を摘むいでおけばよかった! そうすれば、崩壊なぞ起きなかったはずだ!」
「さらに言えば、国民も国民だ。彼らの中の多くは思想の勝利に対しての信頼があまりにも薄い! ストライキや革命などを起こしている暇があれば、その分の時間を労働に費やすべきだ!」
「私は闘った! 反革分子と、ナチスと、資本主義の犬共と! なのに全てが無駄となっているではないか。一体どこのクズ達がそんなことをしでかしたかは知らんが、出会うことがあればこの手で首を締めてやる! そうでもしなければ、同志や労働者が死んでいった意味がなくなってしまう!」
「資本主義はいずれ行き詰まるを見せる。それがわからない人間が愛すべき我々の国民の中にいるとは! 恐らく、皆、最初は息を潜めており、私が死んだらここぞとばかりに国の変革を始めたのだろう」
「もし、国家という存在は資本主義社会に呑まれることが歴史のあるべき姿であるというのならば、我々なぞただの殺戮集団だったではないか……」
私は散々叫んだ後、元の椅子に腰掛けた。深く息を吸い込み、重々しい口調で語り始めた。
「我々の夢は崩れ去った……。古参党員達と目指した真の理想郷はもう私の手の届かない遥か彼方に消えてしまった。そして、私は歴史に記憶された、無意味に国民を殺した狂人として」
私は両手を顔を覆いながら、下を向いた。
そうやって、悲しみに打ちひしがられている私をプラウダはそっとフォローした。
「いや、まあ落ちついてくださいよ。一応、まだ社会主義国家ですから……ね」
プラウダの言葉を聞いた私は、思わずプラウダの方に振り返った。
「何……だ……と?」
私の中でほんの少しの希望が芽生えた。
「国名は?」
「ロシア連邦です」
「……いい名だ。しかし、安心できたな」
ほう、そうか、それならば良かった。まだ、共産主義国家をつくるチャンスはあるな。もしかしたら、私がこの時代に来た理由は私に政権を握らせるため?……いや、そのようなわけはないか。だとしても、この世界で出馬するというのはいい考えかもしれないな。
私は今の考えを、笑みを浮かべながら自然に口に出してしまった。
「もう一度、やるか」
その時、プラウダが驚いた
「え、今なんて言いました?」
私は焦ったが、冷静に対応した。このような考えは心の内に秘めておこう。
「いや、なんでもない。プラウダ」
「そ、そうですか」
プラウダは疑惑の目を私に向けたが、きっと大丈夫だろう。
「それにしても、スターリンさん」
「どうした?」
「あまり、人を疑うものじゃありませんよ。だって、人は疑えば疑うほど孤独になっていきますからね」
「……」
確かに私は孤独だった。だが、それも仕方のない事だと受け止めていた。しかし、私の命の恩人であるプラウダの言うことを考慮すると、人を疑いすぎるのは良くないのだろうか。
ふんっ、何を今更……そんな馬鹿、な。
「ところで、今の最高指導者は誰だ?」
これは聞いておきたい話だ。かつて、私が就いていた地位にどんな奴がいるのかを知りたいからな。私が死んで60年も経っているのだから、私とは面識が全くないだろう。だが早くにも、現代の最高指導者と顔を合わせて今の内政状況や資本主義国家との関係、GDPや軍事力について知らねばならん。
プラウダは気まずそうに口を開いた。
「いや、あの~それがちょっと~、はい」
私はプラウダの態度を不審に思った。
「どうしたんだ? はっきり言いたまえ、流石に自国を導いてる人間の名前がわからないというわけではないだろな? 私は60年前の人間だから知らなくても仕方ない……いや、本来は知っておかねばならんが、それは君の優しさに免じて許そう。とにかく、今の最高指導者は誰なんだね? プラウダ」
私はプラウダを問い詰めた。
「それがですね、ソ連は1991年に崩壊したんですよね」
なっ……。
「って! え? ちょっと大丈夫ですか⁈」
プラウダが「大丈夫ですか」と聞いたのは、恐らく私が口をぱくぱくさせながら、白眼を剥きかかっていたからだろう。
わ、私は人生の全てを祖国と党に捧げた、な、の、に⁈ 崩壊だと? 何たる事だ! 同志レーニン達と築いた、国民の理想の社会が崩壊しただと!
この時、私の中で何かが切れた。そして、私は立ち上がり叫んだ。
「チクショぉぉめえぇぇー! 何故だ! 我々は全ての人間が平等に暮らせる社会を作ろうとしていただけだぞ。なのに! 何故、崩壊したのだ? かつての私の部下達は粛清を控えろと言ってきたが、そんなことはする必要は無かった。それどころか、もっと多くの裏切りの芽を摘むいでおけばよかった! そうすれば、崩壊なぞ起きなかったはずだ!」
「さらに言えば、国民も国民だ。彼らの中の多くは思想の勝利に対しての信頼があまりにも薄い! ストライキや革命などを起こしている暇があれば、その分の時間を労働に費やすべきだ!」
「私は闘った! 反革分子と、ナチスと、資本主義の犬共と! なのに全てが無駄となっているではないか。一体どこのクズ達がそんなことをしでかしたかは知らんが、出会うことがあればこの手で首を締めてやる! そうでもしなければ、同志や労働者が死んでいった意味がなくなってしまう!」
「資本主義はいずれ行き詰まるを見せる。それがわからない人間が愛すべき我々の国民の中にいるとは! 恐らく、皆、最初は息を潜めており、私が死んだらここぞとばかりに国の変革を始めたのだろう」
「もし、国家という存在は資本主義社会に呑まれることが歴史のあるべき姿であるというのならば、我々なぞただの殺戮集団だったではないか……」
私は散々叫んだ後、元の椅子に腰掛けた。深く息を吸い込み、重々しい口調で語り始めた。
「我々の夢は崩れ去った……。古参党員達と目指した真の理想郷はもう私の手の届かない遥か彼方に消えてしまった。そして、私は歴史に記憶された、無意味に国民を殺した狂人として」
私は両手を顔を覆いながら、下を向いた。
そうやって、悲しみに打ちひしがられている私をプラウダはそっとフォローした。
「いや、まあ落ちついてくださいよ。一応、まだ社会主義国家ですから……ね」
プラウダの言葉を聞いた私は、思わずプラウダの方に振り返った。
「何……だ……と?」
私の中でほんの少しの希望が芽生えた。
「国名は?」
「ロシア連邦です」
「……いい名だ。しかし、安心できたな」
ほう、そうか、それならば良かった。まだ、共産主義国家をつくるチャンスはあるな。もしかしたら、私がこの時代に来た理由は私に政権を握らせるため?……いや、そのようなわけはないか。だとしても、この世界で出馬するというのはいい考えかもしれないな。
私は今の考えを、笑みを浮かべながら自然に口に出してしまった。
「もう一度、やるか」
その時、プラウダが驚いた
「え、今なんて言いました?」
私は焦ったが、冷静に対応した。このような考えは心の内に秘めておこう。
「いや、なんでもない。プラウダ」
「そ、そうですか」
プラウダは疑惑の目を私に向けたが、きっと大丈夫だろう。
「それにしても、スターリンさん」
「どうした?」
「あまり、人を疑うものじゃありませんよ。だって、人は疑えば疑うほど孤独になっていきますからね」
「……」
確かに私は孤独だった。だが、それも仕方のない事だと受け止めていた。しかし、私の命の恩人であるプラウダの言うことを考慮すると、人を疑いすぎるのは良くないのだろうか。
ふんっ、何を今更……そんな馬鹿、な。
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