花よ。届けておくれ。

咲 カヲル

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遠い遠い異国の地モーデンヒル。
この国は、未だ貧富の差が大きく、国王と貴族による国政を行ってる国である。
そんなモーデンヒルでは、富裕層の間で、エリオルサーカスが人気を集めていた。
煌びやかで華やかな多種多様のショーに、多くの人々が魅了され、中でも、猛獣使いのジルと闘士のハジが行う演目は、人気が高かった。
女性のように長い髪をなびかせながら、華麗に、優雅に猛獣を操るジルと、どこに、そんな力があるのかと思う程、華奢な体付きで鉄球を操るハジは、多くの人を魅了していた。
対象的な2人だが、出身地が近かった為、日頃から仲が良く、共演する事も多くあり、何があったとしても、必ず、ショーを成功させていた。
そんな2人を団長のルクスは、誰よりも信頼し、日頃から、ショーのない昼間を2人にサーカスを任せ、日用品や必要な物の買い出しで、市場に出向いていた。

「いらっしゃい。今日は何をお探しで?」

この日も変わらず、ルクスは、人が疎らな市場で、買い物をしていた。

「ムチが壊れそうでね。新しいのを探してるんだよ」

「なら、コレなんてどうです?」

商人から渡された朱色の鞭を振り、ルクスは、感触を確かめてから、台に置かれた値札を見た。

「安くならないのかい?」

「それ以上は無理ですよ」

「そう」

ルクスがムチを台に戻し、背を向けようとすると、店主は、足元に立て掛けていた棒を手に取った。

「待って下さい。安くは出来ませんが、コレを付けしますよ」

その棒を手に取り、ルクスは、とても軽く美しい曲線で、剣のような形の棒の柄先に、不思議な模様が掘られているのを見付けた。

「これは?」

「ボクトウと言って、東南の島国で使われてる物です」

「…よし。買った」

「毎度ありがとうございます」

何かに引き寄せられるように、鞭と木刀を買い、その他の買い物も済ませ、ルクスが、サーカス小屋に向かう裏路地に入ると、木箱の影に座り込んでる人影を見付けた。

「大丈夫かい?」

ルクスが、その肩に触れると、人影は、そのまま倒れてしまい、露わになった手足には、青痣や沢山の傷跡がついていた。
奴隷制度は廃止されたが、まだまだ貧富の差が激しく、腐った貴族が多いモーデンヒルでは、隠れて人身売買をする商人も少なくない。
そこで買われ、使い物にならなくなると、その辺に捨てられる。
特に、体の小さな子供は、人目が届かない裏路地に捨てられる事が多く、そのまま息を引き取る事もある。
だが、ルクスの前で倒れた子は、弱々しいが、幸いにも、まだ息があった。
ルクスは、眉間に眉を寄せ、静かに、その子を背負い、背中に柔らかな物が当たると、更に、悲しく苦しそうな顔をした。
背中の子を気遣いながらも、急いでサーカス小屋に戻ったルクスは、すぐに医者を呼び寄せた。

「この子は?」

「裏路地で拾ったんだよ」

「そうか」

ベットに寝かされた姿に、医者も、眉間に眉を寄せながら、フードを取ると、2人は、大きく目を開いた。

「これは…東南人?そうか。あの国の…こんなに衰弱して。可哀想に」

医者が、マントに手を掛けた瞬間、その体が横に吹っ飛んだ。
衰弱してるのが疑わしい程、俊敏に動くも、足が縺れ、倒れながらも、転がるようにして、ドアに向かう女の子に、ルクスは、慌てて手を伸ばした。

「待って。俺らは、何もっ!」

回し蹴りが腹に入り、ルクスは、その場に膝を着いたが、ドアに向かう細い足を掴んだ。
女の子は、足首を掴まれ、四つん這いのまま、横目でルクスを睨んだ。

「待って…そんな体じゃ…危険…だから…」

痛みを耐えながら、ルクスが声を絞り出し、視線を向けると、暴れた拍子に倒れた木刀が、女の子の指先に触れた。

「ルクス?帰ってるなら、そう言っ」

「開けるな!」

ルクスの叫び声が響く中、ドアが開かれ、女の子は、掴んだ木刀を振り抜き、足首の手を弾くと、ハジに向かって走り出した。

「ハジ!止めろ!」

ハジが、目を大きく開きしながらも、振り上げられた木刀を受け止めると、小さな爆発が起き、その体が吹き飛ばされた。

「んなろ!」

転がりながらも、すぐに立ち上がったハジに向かい、女の子が、地面に木刀を滑らせると、波打つように盛り上がり岩が突き出た。
間一髪の所で、それを避けたハジが、ドアから離れると、女の子は、縺れながらも、部屋から出て行った。

「まずい!」

「追え!」

岩を砕いて、ハジとルクスが追い掛けると、女の子は、何度も、木刀を地面に滑らせたり、叩いたりして、地面を変形させ、岩や板などで、2人の進路を妨害した。

「なんだなんだ?」

「どうした?」

「お前ら!!そいつ捕まえろ!!」

ハジが叫んでも、女の子の動きが速過ぎて、誰も捕まえられなかった。
それでも、女の子が、かなり弱っていた事とサーカスの内部を知らない為に、距離を縮められる者もいたが、様々な物に妨害されて、逃げられてしまった。
フラフラしながらも、逃げ回る女の子が、稽古場に転がり込むと、積まれた木箱の上で、ボーッと天井を見上げるジルが座っていた。

「…誰?」

ジルに視線を向けられ、女の子は、顔を歪めて膝を着くと、ギリギリと歯軋りをして、足元に木刀を突き立てた。
波紋のように突き出る岩が木箱に向かうと、ジルは、口笛を吹き、現れたライオンの背に乗って逃げた。

「ジル!そいつ捕まえっぞ!」

飛び込んで来たハジが、ジリジリと近付くと、ライオンに跨ったジルも、女の子に少しずつ近付いた。
後退りして、壁際にまで追い詰められた女の子が、獰猛な野獣のような視線を向けると、その口元から赤黒い雫が滴り落ちた。

「大丈夫。誰も、君を」

ジルが、手を伸ばそうもした瞬間、女の子の口から、大量の血が吐き出され、何度も、吐き出された血が、ドロドロと広がり、稽古場の地面を濡らした。
突然の吐血に、ハジとジルは、目を大きく開いたまま、ただただ見つめ、血溜まりに倒れ込んだ女の子は、浅い呼吸のまま、虚ろな目で、2人を睨み続けた。

「おい!しっかり」

走り寄ろうとしたハジよりも先に、トラが、砂と血で汚れた頬を舐め始め、一瞬、瞳を揺らした女の子は、静かに目を閉じた。
駆け込んできたルクスとドクターは、その光景に息を呑み、怒鳴るような大声を出した。

「ハジ!!連れてこい!!」

「どこに!?」

「そこの檻の上でいい!!何してる!!早くしろ!!」

ハジが女の子を抱き上げ、大きな布を被せた腰丈くらいの猛獣用の檻の上に寝かせると、手足を枷で檻に固定した。

「誰?」

「さぁ?」

「裏路地で見付けたんだよ」

女の子のマントを取ると、必要最低限の布を着けただけの体は、古いのから新しいのまで、多くの傷跡が残っていた。

「っ!!…辛かったろうに」

腰に巻かれた布を取ると、下腹に、何度も殴られた痣が現れた。
顔だけは、小さな傷跡もなく、綺麗なままで、大小様々な傷と殴られた痣が、その小さな体を覆い尽くしていた。

「…よく頑張った。これで、少しは楽になるはずだ」

シーツに包まれ、静かに眠る女の子を見つめ、ジルは、眉尻を下げながら、眉間に眉を寄せた。

「ひどい」

その隣で、眠る顔を見つめたまま、ハジは、拳を震わせた。

「こんな子供に」

「それでも立派な成人女性だ」

「これで?どう見ても、まだ子供だろ」

「僕も、そう、思う」

「東南人は体の造りが小さい。特に女性はな。だが、体力と柔軟性に優れてるのだ」

「ドクターは、見た事あるのかい?」

「いや。話には聞いていたが、見るのは初めてだ」

「てか、これからどうすんの?」

「まずは、ゆっくり休ませる。それと、きちんと食事をさせる」

「んじゃ、部屋とベットが必要か」

「なら、お部屋、直す」

「うっし。開演まで修理するか」

ハジが、静かに檻の上から、女の子をマットに下ろして、寝かせると、ライオンが、角を咥えて引っ張った。

「どうしたの?」

トラが檻の柵を撫でるように触れ、ガシャンガシャンと、鉄の揺れる音が響いた。

「…任せよう」

マットを檻の中に移動し、2匹が、小さな体を挟むように寝転ぶと、女の子の呼吸が落ち着いた。

「大丈夫、かな?」

「あ?」

「檻の中で、目が、覚めた、ら、また、暴れ、ない?」

「今は仕方ねぇよ」

「でも、可哀想」

「だな。さっさと終わらせて、ちゃんとした部屋に移してやろうぜ」

「うん」

団員総出で地面を平に均し、壊れた壁を直し始め、元通りになる頃には、開演時間ギリギリになっていた。
普段通りの煌びやかで華やかなショーは、この日も、大盛況の中、無事に閉幕した。

「お疲れ、様。ご飯、だよ。君も、ちゃんと、食べて、ね?」

ショーの最中に目覚めた女の子が、檻の隅で、小さく丸まっている前に2匹が座り、ジルが、その後ろに、食事と水を置いた。
普段は、すぐに食べ始める2匹も、座ったまま、微動だにしない女の子を見つめた。
ジルが頭を撫でると、気持ち良さそうに、ゴロゴロと喉を鳴らし、2匹は、ジルを見上げた。

「どう、した、の?」

2匹が視線を戻し、女の子を見つめると、ジルは、小さなため息をついた。

「…ちゃんと、食べて。ね?」

ジルが部屋から出て行くと、ライオンが、鼻で器を押して、トラが、その頬を舐めた。
それでも、女の子は、全く動こうとせず、2匹が、諦めたように餌を食べ始めると、ドアの隙間から覗いていた3人は、大きなため息をついた。
ただ黙って寝転んだまま、水すらも口にせず、数日が過ぎると、もう生きてるのか、死んでるのかも、分からない程、女の子の呼吸が弱々しくなり、ハジとジルは、檻の前に屈んだ。

「なぁ。水くらい飲もうぜ?」

「死ん、じゃう。よ?」

2人が声を掛けても、女の子は、返事どころか、一切動かない。

「どうすりゃいんだかなぁ」

「何も、言わ、ない」

「…言葉が、分かんねぇんじゃね?」

「…そう、かも」

「更に、どうすっかなぁ」

「動物と、同じ、やって、みる?」

「仕方ねぇ。やってみっか」

ガシガシと頭を掻くハジを置いて、ジルは、檻に入り、持っていた食事の中から、肉を摘み、半分を噛み千切って差し出した。
トラが、それを咥えて、口元に運んだが、女の子は、ピクリとも動かない。
今度は、ライオンと一緒に近付き、口に水を含んで、女の子に覆いかぶさり、顔を近付けようとしたが、拒むように、その手が振り上げられた。
ジルの鼻先を掠めた手が、ハジに掴まれると、女の子は、野獣のような目付きで、2人を睨んだ。

「ったく。東南人は、んなに手が掛かんのかよ」

文句を言いながら、ハジの手が腕を抑え、仰向けにされると、女の子は、足を振り上げようするも、ライオンに阻止され、ジルの手が、頬を包むように添えられた。
迫るジルから逃げようと、女の子は、必死に手足をバタつかせた。

「おら。暴れんなって」

ジタバタと動こうとするが、ハジやライオンを振り払う程の力もなく、ジルは、女の子の口を覆うように唇を重ねた。
女の子の唇が固く閉ざされ、重なる唇の隙間から、水が零れ落ちると、女の子の頬とジルの手を濡らした。

「…ダメ」

「隙間から流し込めないか?」

片手で腕を押さえて、ハジが、頬を引っ張ると、僅かな隙間が出来た。

「やって、みる」

ジルの体が離れた瞬間、ライオンも体を動かし、女の子の足が自由になると、その頬を蹴り飛ばした。

「ジル!」

障害物がなくなり、女の子は、ハジの顎を蹴り上げ、腕から手が離れると、露になった首に足を絡め、体を反転させた。
ハジの体が倒れると、女の子が拳を振り上げたが、ライオンが、その背中を押した。
女の子が倒れ込むと、背中にライオンが乗り、トラも足に乗って寝転んだ。

「…やべぇ。殺されっかと思ったわ」

「僕も」

トラが足の上に伸びて寝転び、ライオンが背中で丸くなると、女の子は、完全に動きを封じられて、動かなくなった。

「あ~もう…なんか、いい方法ねぇかな」

「ルクス、試す?」

「んじゃ、相談ついでにやってみっか」

2人が檻から出ると、2匹も離れて、一緒に部屋から出て行き、女の子は、うつ伏せのまま、換気口の格子に視線を向けた。
優しく流れる風が、草花を揺らすのを見つめ、とても小さな口笛を吹くと、その音色に、首を傾げながら、小鳥が通気口から顔を覗かせた。
その愛らしい姿に、女の子は、小さく微笑んで口笛を吹き続けた。
とても穏やかな時の流れが過ぎ、外が暗くなり始めると、小鳥も姿を消し、女の子は、静かに目を閉じた。
ショーが始まり、賑やかな音楽が聞こえる中、ガサガサと草を揺らし、ズルズルと、何かを引き摺るような音がした。
大きな影が現れ、静かに目を開けた女の子が、ゆっくりと手を伸ばすと、その手に、影が頬擦りをして、賑やかな音楽や歓声が聞こえる中、暗闇で、2つの影が重なった。
ショーが終わり、部屋に戻ると、異変に気付いた2匹が立ち止まった。

「どう、した、の?」

ジルの声に反応したように、何かを引き摺るような音が聞こえ、檻の中で、ヒョロヒョロと首を持ち上げた大蛇が、2匹を見つめ、ペロペロと舌を出した。
動物全般的に大丈夫なジルでさえ、恐怖を感じる程、大きく、その真っ白な姿に膝が震えた。

「ジル?どうした?」

「あ…あれ」

震えながらも、ジルが大蛇を指差すと、ハジは、立て掛けてあった木刀を掴み、檻に向かおうとするも、2匹が、それを止めるように、目の前に並んだ。

「おいおい。あんなのにられたら、一発で死んじまうぞ?」

グルグルと鼻を鳴らして、視線を戻すと、2匹は、檻の前で頭を下げたのを見つめ、大蛇も頭を下げ、少し後に下がった。
檻の撫でるトラの後ろから、ジルが、恐る恐る近付き、檻を開けると、2匹は、中に入って大蛇の前に座った。
2匹の後ろに、ジルが静かに食事を置くと、トラが鼻で器を押し、それを見つめていた大蛇が、水の入った器に顔を突っ込んだ。
器を空にすると、女の子の体に巻き付き、上半身を起こして顔を近付けた。
首を振る女の子に、大蛇が、更に、顔を近付けると、小さく口が開かれた。
乾いた喉に水が流し込まれ、女の子は、少し咳き込みながらも、静かに飲み込んだ。
その隣で、ライオンが肉を噛み砕き、器に戻して鼻で押すと、大蛇は、それを口に咥えて、また顔を近付けた。
また首を振ったが、大蛇が頬擦りすると、女の子は、小さく口を開け、砕かれた肉を噛んで飲み込みんだ。
それからは、肉を口に入れた大蛇が、顔を近付けると、女の子は、素直に口を開けるようになると、2匹も、静かに食事を始めた。
1匹の大蛇が現れた事で、女の子の命が救われると、2人は、大きなため息をついた。
ある程度の量を食べた女の子が、大蛇を抱きしめて、静かに目を閉じ、スースーと寝息を発て始めると、2匹も、少し離れた所で、折り重なるように丸まった。

「…俺らの苦労って、なんだったんだ」

「よかった。これで、安心」

スヤスヤと静かに眠る女の子を残し、2人は、それぞれの部屋へと戻った。
次の日。
朝早くに、ルクスは、大蛇と寝ている女の子に、目を大きく開いて、その異様な光景を見つめた。

「これは…どうゆう事なんだい?」

「さぁ?」

「いつからいたんだい?」

「多分、昨日」

「どっから来たんだい?」

「多分、あそこ」

ジルが通気口を指差すと、ルクスは、何度も頷き、その肩をハジが叩いた。

「とりあえず、大人しいし、回復するまで、このままでいんじゃね?」

「そうだね。少し様子を見ようか」

それからは、大蛇の手を借りながら、女の子は、素直に食事をするようになり、更には、人がいない時は、向かい合って、微笑みながら、何かを喋っていた。

「…あ。ごめん、ね?」

女の子は、人の姿を見ると、鋭い目付きで睨むだけで、暴れる事もなく、大人しく、数日を過ごした。

「…んで?これ、どうすんだ?」

ちゃんとした食事を続け、女の子の体力も回復した頃、ベットや部屋の準備も整い、部屋に案内しようとした3人は、全く言葉が通じない事に気付き、檻の前で立ち尽くした。

「体で、表現?」

ジルが手を動かしても、女の子は、鋭い目付きで、見つめるだけで、全く動かない。

「ダメ、みたい。ねぇ、出て、って、お願い、して?」

ジルを見上げて、2匹は、コテッと首を傾げた。

「駄目か。手招きしてみっか」

ハジが檻を開けて、ドアの所から、手招きしてみたが、ジルの時と同じで、全く動かない。

「どうすりゃいんだかなぁ」

ガシガシと頭を掻くハジが持つ木刀を見つめ、スルスルと大蛇が動くと、女の子は、その体を抱きしめた。
首を振る女の子に、大蛇が頬擦りすると、眉尻を下げながら、その体から手を離した。
開け放たれた檻から出て、ペロペロと舌を見せると、トラがハジの手から木刀を奪った。

「あ!おい!」

「ハジ」

ジルが止めると、トラは、それを持って、大蛇と檻に入り、女の子の前に木刀を置いた。
大蛇が柄を咥えて、その先を見せると、女の子は、瞳が零れ落ちそうな程、目を大きく開き、木刀を受け取って抱きしめた。
眉間に眉を寄せ、唇を噛み締めてから、何かを呟くと、その頬を涙が流れ落ちた。
大蛇が、頬を伝う涙を拭い、その手に顔を寄せると、何かを受け取り、女の子は、手のひらを見つめて、瞳を潤ませた。
大蛇を挟んで並ぶ2匹を見てから、視線を向けられ、3人の唇に力が入った。
大蛇とトラが檻から出ると、女の子も這い出て、ゆっくり立ち上がった体は、小さいならがも、足腰はしっかりしていた。

「えっと~…部屋、お前、行く?」

必死に、ジェスチャーをするハジを尻目に、大蛇が、ペロペロと舌を見せると、2匹に連れられるようにして、女の子は、部屋から出て行った。

「…ホント、俺らの苦労って、なんなんだ」

それに続いて部屋を出て、用意した部屋ではなく、サーカス小屋の裏手に向かうと、3人が、首を傾げる中、女の子は、木刀で、地面を削るように模様を描き、その中央に、小さな花弁を置いた。
振り返った女の子に、大蛇が小さく頷くと、前を向いて、足元に木刀を突き刺した。
胸の前で手を動かしながら、ブツブツと何かを呟き、模様が青白く光り始め、3人は、その光景に目を大きく開いた。

「…耳と成りて声を成せ。花よ。言の葉を届けておくれ」

幾重にも模様から筋が伸び、花弁を包むと、青白い光を放って、沢山の同じ花弁が付いた木が突然現れた。

「…なんだ?今の」

木を見つめ、ハジが呟き、隣に並ぶ2人も、ボーッと木を見上げる3人から視線を戻し、大蛇は、2匹の猛獣に支えられる女の子に近付いた。
女の子の肩を抱き、頬擦りをしてから、大蛇が小さく頷くと、ライオンが鼻を鳴らし、3人に視線を向けた。

「…言葉、分かりますか?」

呪文のように聞こえてた言葉が、突然分かるようになると、3人の口が半開きになった。

「…君、話せたのかい?」

「花のおかげだ」

「…ぎゃぁーーーーー!!」

暫くの沈黙が流れ、ハジが奇声に近い叫び声をあげて、ルクスの後ろに隠れた。

「…ヘビが…喋った…」

ルクスも後退りしたが、ジルは、キラキラと瞳を輝かせて、大蛇に近付いた。

「すごい。どう、やってる、の?」

言霊コトダマを使っておる」

「コト、ダマ?」

「話せぬ者が、その意思を伝えるが為、言の葉を集めたタマの事。儂は、それを飲み込んだが為、言葉が話せる」

ハジとルクスに視線を向け、大蛇は目を細めた。

「だが、言霊を使えば、化け物や妖怪と呼ばれ、人々との繋がりが途絶える」

女の子が頬擦すると、大蛇は、その肩を抱き寄せるように巻き付いた。

「御免」

「儂が望んだ事よ。気にするでない」

頬を寄せ合い、目を閉じているのを見て、2人は、ジルと同じように近付いた。

「なんで、黙ってたんだ?」

「異国の言葉は分からん。だが、この花で、分かるようにした」

木には、花弁ではなく、小さな黄色の花が咲いていた。

「異国の土と母国の花。その二つが、儂等の耳となり、声となり、互いの言葉が分かるようになっておる。だが、花が枯れれば、また元に戻ろう」

「ずっと、咲かせて、られ、ない、の?」

「儂等の国には四季があり、それに合わせ、咲く花も変わる。今の時期ならば、母国では、この花が満開に咲き誇ろう」

「そう。素敵、だね。香水?みたい。甘くて、すごく、いい、香り。今は、どんな、時期?」

「秋。日差しが温かく、風が冷たい。この花は、秋を代表する花の一つ」

「花が、あれば、もっと、話せる、の?」

「あぁ」

「すごい。魔法、使い?」

「こちらでは、そう呼ばれるのだろうか。儂等の国では、呪術師ジュジュツシと呼ばれておる」

「コトダマ、作れる?」

「あぁ。だが、今は出来ん」

「なんで?」

「材料が無い。この国では、集めるのが、難しい物もあろう」

「何、必要?」

「種と濁りのない湧き水」

「湧き水、は、ちょっと、難しい」

「ジル。そろそろ、俺も話したいんだけど」

苦笑いするルクスを見上げて、ジルは、プクッと頬を膨らました。

「もっと、話、したい」

「あとでにしろ。あとで」

ハジに頭を撫で回され、ジルが腕を振り回して、戯れ始めると、ルクスは、2人の前に屈んだ。

「名前を聞いてもいいかい?」

「儂は紫苑シオン。こっちは花葉カヨだ」

「君、にも、名前、ある。すごい」

ハジと戯れていたはずのジルが、隣に屈むと、ルクスは苦笑いを浮かべた。

「花葉から貰った。それまでは、山神ヤマガミと呼ばれておった」

「ヤマ、ガミ?」

「私達の国では、長く生きる動物や木々を山の神として、崇めていたんです。紫苑も、そんな存在です」

「どれ、くらい、生きてる、の?」

「かれこれ、千年くらいは、生きておるな」

「1000年!?」

ハジとルクスが、目を大きく開くと、ジルは、小さく拍手した。

「すごい。2人、それくらい、生きる?」

「さぁ?異国の動物は分かりません。どう?」

「…花葉と然程変わらん」

「シオン、分かる、の?」

「山神となった動物には、特殊な力があると考えられてるんです。神に代わり、自然を守り、人々を導く存在だから、普通の動物よりも、長く生きられるようになっていると、伝えられています」

「シオン、すごい、ヘビ」

「違う。山神と呼ばれても、儂に出来る事は、危険を知らせ、時間を稼ぐ事くらい。山も人も守れん。大事な者すら守れんかった」

首を下げ、目を閉じたシオンを見つめ、カヨが目を細めると、3人は、眉間に眉を寄せた。

「生まれ故郷を失い、変化するにも、花葉の手を借りねば、もう出来ん。儂は、もう山神でも何でもない。ただ言葉を発するだけの大蛇、ただの化け物でしかない」

震えるシオンの頭に触れ、カヨは、頬を寄せて目を閉じた。

「紫苑が生きていてくれた。それだけで、私は立ち直れる。私だけじゃない。父様も母様も、郷の人々も、きっと喜んでくれる」

シオンが、薄っすらと目を開けると、カヨの瞳が、小さく揺れた。

「私達だけになっても、生き続けて、後世まで郷の事を語り継ぎましょう。ね?」

「…花葉」

見つめ合ってから、頬を擦り寄せて、悲しみを分け合うような姿に、3人は、眉間に眉を寄せたまま、目を伏せた。

「…ごめん、ね」

「汝が謝る必要はない」

「だけど、俺らも、お前らの国を襲った奴らも、同じ国の」

「でも、私を助けてくれました」

「ただの自己満足だよ」

「同じ人でも中身は違う。儂等は、汝等に救われた。感謝はすれど、謝罪は受けん。花葉を救ってくれて、有難う」

「…なんか、シオン、言葉、難しい」

「確かに。ちょっとジジくさいな?」

「紫苑は、山神の中でも若い方です。もっと生きてる山神もいますから」

「カヨ、どんな、事、出来る、の?」

シオンとカヨが首を傾げると、ジルの頭に手を置いて、ハジは、大きなため息をついた。

「話が、ぶっ飛んでんぞ。魔法使いなら、何もねぇ所に、火や水が出せんだろ?」

「何もない所に?どうやってですか?」

「どうって、こう、杖とか振って」

「うむ。根本的に違うのやもしれん」

「どう?」

「さぁ?魔法が、どんなモノなのかが、分からないので、なんとも言えません」

「それは、文化の違いなんじゃないかな?とりあえず中に入ろう。そろそろ、他の団員も起きるから、食事にしないかい?」

「だな」

「ご飯、食べて、話の、続き」

「の前に、魔法使いの説明しろ」

「あ、うんと、魔法、使い、杖、持ってて」

小さなの花で、言葉の壁を緩和されると、いつもは、口数の少ないジルが、頬を赤らめて話すのを見つめ、ルクスとハジは、苦笑いを浮かべた。

「ジル、忘れてっぞ」

シオンと並び、ライオンとトラが、首を傾げると、ジルは、ポンと手を叩いた。

「ごめん。お部屋、に、戻ろう。ね?」

「有難う」

カヨが2匹の頭を撫でると、大きな舌が、その頬を舐めた。

「うっ…やめてくれと言っただろうに」

シオンも、首周りを舐められ、ヨダレが、ベッタリと着いた。

「行こう」

「だから、猫は好かぬ」

「そう言わないの」

カヨが、腰布で頬とシオンのヨダレを拭いてる間に、2匹は、ジルと一緒に部屋に戻った。

「俺らも行くぞ」

「はい。獅子と虎が並んでるのって、屏風絵だけかと思ったけど、本当に、並んでる事もあるんだね?」

前を歩くハジとルクスを追うように、カヨは、シオンと並んで歩き始めた。

「生まれた時から、一緒だったと言っておった」

「だから、いつも二人でいるんだね。ずっと、一緒にいられるのって、ちょっと羨ましいね」

「儂等も同じ。これからは、花葉の傍におる」

「…そうね。有難う」

「ところで、ソレって、お前の?」

少しずつ歩く速さを緩めて、ハジが隣に並ぶと、カヨの持つ木刀を指差した。

「これは父様のです」

「親父の?なんで分かんだ?」

「このジンは、父様が、生まれた時に与えられた模様モノです」

「与えられた?」

「呪術師は、必ず、その者だけが使える陣を与えられ、それを使って呪術を行うんです」

「へぇ。んじゃ、さっき描いてたのは、お前の?」

「あれは父様のです。本来は、元々決まっているインに、自分の陣を織り交ぜて施し、呪術を行うんですけど、陣が施された物を使う場合、別の陣を使うと、失敗するんです」

「失敗すると、どうなるんだい?」

「全てが無となる」

「脅かさないの」

「だが、事実であろう」

「そうかもしれないけど、そこだけ強調したら、誤解されちゃうでしょ?」

「無になるって、死ぬって事かい?」

「極稀ですよ?ほとんどは、使った物が消えてしまうだけです」

「爆発や跳ね返りを受ける事もあろう」

「まぁね。でも、怪我で済む方が多いから、気にしないで下さいね?」

「お前にも、そのジンってのは、あんのか?」

「あります」

「どんなのだい?」

歩きながら、カヨは、目の前で指を動かし、陣を描いて見せた。

「分かんねぇわ」

「後で、何かに書いてくれるかい?」

「良いですけど、何故、私の陣を」

「最近、東南の品が市場に出回っててね。もしかしたら、君の物もあるんじゃないかと思ったんだよ。ところで、模様があるのとないのは、どう違うんだい?」

ルクスは、ジルとハジが苦戦してる間も、何度か市場に行き、東南で作られた剣や弓を見て、模様が有るのと無いのを見付けていた。

「身分が高い者、もしくは、私達のように、呪術に精通してる者が、扱っていた物には模様が有ります」

「なら、ないのは、それ以外の人が使ってた物。って事かな?」

「そうですね」

「家紋や陣が刻まれてる物の方が少なかろう。探すにも、かなりの時間が掛かるであろう」

「そっか。まぁ、市場に行ったら、イヤでも見せられるから、気長に待っててくれるかい?」

「はい。ところで、ここは、何をやってる所なんですか?」

「ここはエリオルサーカス。音楽に乗せて、色んな芸を見せんだ」

「見世物小屋か」

「それって、どんなとこだ?」

「儂のような者を売る」

「俺らは、売らねぇよ」

「冗談ですよ。不思議な力や特技、物珍しいもの見せたり、施したりして、対価を得る所です」

「まぁ、サーカスも同じような感じだね。ところで、今日の食事は、部屋でいいかな?他の団員たちもいるし、急に大勢に囲まれても、困っちゃうだろうからね」

「分かりました」

「ここが、シオンとカヨの部屋だから」

ルクスがドアを開けると、シオンとカヨは、部屋に入り、グルっと周りを見渡した。

「一応、一通り揃えてはあるけど、必要な物があったら、遠慮なく言ってくれるかい?」

「はい」

「じゃ、食事は、後で持って来るから」

ルクスがドアを閉めると、カヨとシオンは、再び、然程広くない部屋を見渡した。
絨毯が敷かれ、壁に沿って低い家具が置かれ、窓際の小上がりには、沢山のクッションがあり、2人は、異国の地、独特の雰囲気を見ながら進み、窓のカーテンを開けた。

「シオ~ン。カヨ~。ご飯」

呼び掛けられ、カヨが素早く戻って、ドアを開けると、ジルとハジが、両手一杯の食事を持っていた。

「ありが…」

「あ。花、が、見える」

「そうみたいですね」

「さっき、の、続き。魔法、使い、話した。今度は、ジュジュツシ」

「分かりました。まず、呪術とは」

食事をしながら、話を始めると、ジルは、眉や目元を動かし、小さい表情を変えた。

「…それって、魔法と何が違ぇの?」

ハジは、時々、言葉の足りないジルをフォローしながら、一緒になって話を聞き、楽しい時間が過ぎて、稽古の時間となった。

「また、あと、で」

食器を持って、部屋から出て行く2人が、手を振るのに、カヨは、手を振り返し、シオンとの時間をゆっくり過ごした。
昼頃になると、ジルとハジが、食事を持って部屋を訪れ、また話をしながら、食事を済ませ、今度は、開演前の準備に向かった。

「カヨ。シオン。ちょっと、一緒に来てくれるかい?」

ルクスに案内され、賑やかな音楽に合わせ、沢山の芸が披露されのを2人は、舞台袖から見つめた。
2匹の猛獣が火の輪を通り抜け、ジルの動きに合わせ、走って飛び跳ね、ハジが、踊るように鉄球を振り回してぶつけ合う。
目まぐるしく変わる演目は、どんな者も魅了し、シオンでさえ、小さな歓声をあげていた。
その日は、ハジとジルの共演があり、ハジが、大きな重り両側に着けた棒を持ち上げ、その上で、2匹が、ジルの合図でポーズをとる。
バランスが崩れそうになるも、ハジの上を器用に歩く2匹も、サーカスで人気を集めていた。

「…あれは?」

「ピエロといって、ふざけたり、曲芸をしたり、わざと失敗して、笑いを誘うんだよ」

「うむ。道化師か」

大きなボールに乗り、その上で、ジャグリングをするピエロが、ハジに近付いて行くと、トラが飛び乗り、ボールを奪って、器用に乗りこなした。
ジャグリングしていた棍棒が散らばると、ハジが一本を空中でキャッチし、その上で、ライオンが大きな体を小さく縮めて乗った。
ジルがムチを振って、火の輪を指差すと、ピエロは、おかしな動きをしながら逃げ出した。
笑う場面もあれば、真剣な場面もあり、シオンとカヨは、その華やかな世界を見入っていた。
大盛況の中、ショーが終わると、シオンは、2匹と一緒の部屋で、食事をする事になり、カヨは、ジルに連れられ、食堂を訪れた。

「…お?この前の子か」

「もう大丈夫なのか?」

「顔色は大丈夫そうだな」

「おら。んな一気に喋んなって」

「カヨ、困って、る」

多くの団員に囲まれ、カヨが、戸惑いで動けなくなると、ジルやハジに守られるように、椅子に座らせられた。

「すまん」

「いえ。大丈夫です」

「酒は?」

「あまり、得意ではないです」

ポツポツと団員達と話しながらも、カヨは、チラチラと出入口に視線を向けた。
食事を終わらせ、ハジが、他の団員と酒を飲み始めると、ジルは、カヨとシオンを部屋に送り届けてから、自分の部屋に戻った。
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