犬に生まれ変わった魔王は勇者を倒したい

ビーグル犬のポン太

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勇者の町についた犬とその供

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懐かしいなぁ。

遠い昔のように感じるが、時間は一年と経っていない。

エヴェロム島の真ん中にあるエヴェロム大迷宮は、島の港町エヴェロから徒歩で半日もかからない。魔族はエヴェロの住民たちとちゃんと交易をしてたんだ。

たが今は、エヴェロム大迷宮に眠る宝物をあさる冒険者たちの拠点になっていて、違う意味で栄えているようだ。

カテリーナを先頭に、船から降りて埠頭を進み、市街地に入った俺たちは賑わう市中のなかでもお高い宿に部屋をとった。

爺はエド君を助ける。

俺は王女と大迷宮に入る。

お嬢とクレアは島内観光。勇者温泉とか、勇者ランド? があるらしい。

エヴェロム島は火山島だから温泉は出る。俺も利用していた。それを商売にするとはすごい根性だな。誰だ? と思うと、フェルトネラー家が経営する南ゴート会社というインペリアルブール王国の特許会社だった。

「ふん。魔王討伐を声だかに叫んだのはこれが目的だったのよ、あいつら」

カテリーナが、勇者温泉はこちら、という看板の前で悪態をつく。

看板には、勇者温泉への道案内、料金、会社概要が記されていて、そこに南ゴート会社の名前と概要が記載されていた。

インペリアルブール王国からみて南の大陸一帯での貿易独占権と植民地活動をおこなう会社で、とても力があり、王家とも密だが、この王女は嫌っているらしい。

俺は、お嬢とクレアが「勇者ランド」のマスコットである愛らしい猫の着ぐるみが踊るパフォーマンスをみて喜んでいる。

このエヴェロの町は、すっかり勇者様さまになっているな。

宿で疲れを癒し、大迷宮には明日いくというカテリーナは、今日のところは武器を買うといって市場をうろつく。

俺と爺は、勇者ランドへと直行した女性陣とわかれて王女につきあう。

市販の武器でいいのか?

大迷宮のな、俺の部屋の奥に武器庫あるから、そこの武器が今もあればあげるぞ?

「これがいいわ」

カテリーナが選んだのは、薙刀だった。

「狭いところはこれにしよう」

彼女は短剣もとり、それから革水筒、革の胸、腹、背中を守る防具を買い、大腿部まで守ることができる鎖帷子を買った。

「鎖帷子の上に防具をきて、上着を羽織れば完璧」
「殿下、それだけで足りますか? 悪魔たちがいるんですぞ」
「重いと移動できない。軽装すぎたら危ない。これくらいが探索にちょうどいいわ。だいたい、私の主装備は魔法だもの。ウィリアム直伝のね」
「本当に、危ないと感じたらお退きください」
「わかってるわよ。貴方もちゃんとロイを通じて守りなさいよ?」

まかせろ!

魔王が守ってやる。

というか、道案内してやる。

ガルゴズのいるところ、当時と変わってなければ大迷宮の未捜索エリアに入ってから半日くらいだろう。ただ、途中で悪魔たちと遭遇すると面倒くさいが……。

あいつら、頭悪いから会ったらすぐに因縁つけてきて戦いになる。

誰々さんを知ってるか? おれらは誰々さんとこの何なにだそ? 誰の許可とってここを歩いてんだ、てめぇ? 龍属? は? しらねぇよ!

みたいな感じで、こちらが戦う意思はないと伝えても、びびってんのか? ああ? と通じなくてやっぱり戦いになるから、俺も諦めて途中からは会えば倒してたけど、ゴキブリみたいに数がいてキリがなかったんだよなぁ。

俺も戦いばかりで嫌だったし、あいつらも俺を見たらびびりだして、こっからこっちは来るなよ、わかった、という話し合いをガルゴズとしたのだ。

封印、完璧だったからな!

さすが俺。

ひさしぶりの我が家か。

なんだかドキドキするな







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