明日の空は君のもの

海埼有音

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夢から覚めた夢《ユウタside》

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ふわふわした感覚。

ここは・・・どこ・・・?


「ユウタ。」

・・・え?

この声は・・・、


「レオ・・・?」

レオだ。
間違いない。
何度となく聴いた声。
幾度となく求めた声。


自然と、涙があふれる。


「レオ・・・!!」


遠くに人影が見える。


あの声。
あの姿。
きっとレオに間違いない。


僕は笑顔で駆け寄る。

「レオ・・・!!」

「ユウタ。待ってたよ。」

レオが優しい笑顔を僕に向ける。
何度となく見てきた、キスする前に必ず向ける表情。



・・・そうか。
今までが夢だったんだ。

僕とレオが別れるなんて、縁起の悪い夢。


僕は嬉しくなって、レオに抱きつく。


「レオ!」


その瞬間、





パンッ



・・・僕を包んでくれたはずのレオが、花びらになって散った。



「え・・・?」


嫌だ・・・

嫌だ嫌だ嫌だ・・・


「レオ・・・!・・・っ」

行かないで。
行かないで。
行かないで。



・・・今の僕にはそんなこと言う資格すらないのかもしれないけど。


「・・・かないで・・・!行かないで!レオ・・・!!!!」



僕は必死で叫ぶ。



もがいて、足掻いて、目の前の花びらを掴んで・・・




ゴツン!





「?!・・・っいっ・・・た・・・?」

「っ・・・!」





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