21 / 99
青は藍より出でて藍より青し
同類の男〔4〕
病院から離れても、綾瀬は真琴の抱える孤独に掴まったままいた。
同情なんかしていない。
自分だって一人で生きている。
誰にも理解できない世界で、一人でもがきながら生きている。
綾瀬は、今はもうわかっていた。
組を継ぐのが嫌なわけじゃない。
この世界以外では生きていけない、自分の中に生まれながらにして流れている極道の血が厭わしいのだということを。
けれどそれは本当に血のせいなのか。
他人の命なんかどうでもいいと思っていることや、人より優位に立つ方法ばかりを考える思考回路、時々自分でもぞっとする。
自分は平気で人を殺せる人間だ。
5年前、目の前で自分を犯した男が痛めつけられるのを視線を反らすこともなく見ていたあのときから、血の匂いは綾瀬の記憶から決して消えない。
あれが、自分の正体。
逆らう人間など、虫けらのように、殺せる。
他人とは違うそういう自分が、我慢できない。
ぎゅっと拳を握って、心の中で真琴に問いかける。
真琴、自分が自分でいることに倦む人間がどうやったら楽に生きられる。
気がつくと綾瀬は高谷の腕を強く握って、立ち止まっていた。
「…綾瀬、どうした」
高谷に救いを求めることは間違っている。
わかっているのに、弱過ぎる脆い心だけが高谷に拠りかかろうとする。
綾瀬の目に溢れてきた涙に驚いて高谷も綾瀬の腕を握った。
理由を聞くな、というように綾瀬はただ首を振る。
痛いくらい唇を噛んで、首を振った。
「少しでいいから…このまま…」
助けをもとめたら、この痛みはもう自分だけのものではなくなる。
高谷を、自分の事情につき合わせるつもりはない。
「綾瀬…」
二人は互いの腕をつかみながら、見つめ合った。
それ以上は踏み込めない距離がある。
どちらが作っているのか、わからない。
目に見えない透明な壁にさえぎられて、ただじっと、そのまま長く見つめあっていた。
同情なんかしていない。
自分だって一人で生きている。
誰にも理解できない世界で、一人でもがきながら生きている。
綾瀬は、今はもうわかっていた。
組を継ぐのが嫌なわけじゃない。
この世界以外では生きていけない、自分の中に生まれながらにして流れている極道の血が厭わしいのだということを。
けれどそれは本当に血のせいなのか。
他人の命なんかどうでもいいと思っていることや、人より優位に立つ方法ばかりを考える思考回路、時々自分でもぞっとする。
自分は平気で人を殺せる人間だ。
5年前、目の前で自分を犯した男が痛めつけられるのを視線を反らすこともなく見ていたあのときから、血の匂いは綾瀬の記憶から決して消えない。
あれが、自分の正体。
逆らう人間など、虫けらのように、殺せる。
他人とは違うそういう自分が、我慢できない。
ぎゅっと拳を握って、心の中で真琴に問いかける。
真琴、自分が自分でいることに倦む人間がどうやったら楽に生きられる。
気がつくと綾瀬は高谷の腕を強く握って、立ち止まっていた。
「…綾瀬、どうした」
高谷に救いを求めることは間違っている。
わかっているのに、弱過ぎる脆い心だけが高谷に拠りかかろうとする。
綾瀬の目に溢れてきた涙に驚いて高谷も綾瀬の腕を握った。
理由を聞くな、というように綾瀬はただ首を振る。
痛いくらい唇を噛んで、首を振った。
「少しでいいから…このまま…」
助けをもとめたら、この痛みはもう自分だけのものではなくなる。
高谷を、自分の事情につき合わせるつもりはない。
「綾瀬…」
二人は互いの腕をつかみながら、見つめ合った。
それ以上は踏み込めない距離がある。
どちらが作っているのか、わからない。
目に見えない透明な壁にさえぎられて、ただじっと、そのまま長く見つめあっていた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185