地球防衛軍!

フジキフジコ

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【第三部】戦士恋情

3.能力者

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「おまえさあ、さっきから何きょどってんの、千里。人とすれ違うたびに、オレの後ろに隠れてるみたいだけど、言っておくけど、全然っ、隠れてないからな。おまえのがデカいんだからさあ、無理あんだろ」
呆れた声で剣にそう言われて、千里はしょんぼり肩を落とした。

「もしかして、おまえ、この街に会いたくない人でもいるんじゃないの」
剣と千里は宮城県仙台市のとある町に来ていた。
この町のどこかに能力者がいる可能性があり、調査のためだった。
駅前の商店街は多少賑わっていたが、そこを抜けると風景はいきなり長閑になり、道路の脇には畑やたんぼが多くなった。
そよ風に吹かれて、どんな野菜の葉っぱだかわからないが、細長い緑が揺れている。

「っていうか、オレ、1年前までこの町に住んでたんだ」
「へえ、そうなんだ。で、誰に会いたくないんだよ。別れた彼女か?それとも、いじめっ子か」
「そんなんじゃないよ。それより剣くん、本当にここに能力者がいるの?」
千里は話をはぐらかすような調子で聞いた。

「そんなの、オレに聞かれてもわかんないよ。今のところ何も感じないけど、でも綾波博士が作った能力者探索レーダーにかかったんだから、間違いないんじゃないかな」
「その能力者探索レーダーって、信用出来るの」
「あれ、千里知らなかったの?オレと九郎ちゃんは、そのレーダーにかかって、涼と終夜が探しに来たんだよ。涼に誘われて、防衛軍に入ったんだ。おまえは自分から網に引っかかった珍しいパターンだけどな」
そう言って剣は笑った。

「でもオレがこの町に住んでたとき、超能力者がいるなんて噂、聞いたことないよ」
「超能力者って言っても、いろいろあって、本人に自覚がないこともあるから。オレや千里もそうだったろ。自覚があっても、隠してることもあるし。っていうか、普通は隠すと思う」
「どうして」
「考えてみろよ、もし、おまえの近くの人間が、おまえの心を読むってわかったら、そんなやつと付き合えるか」
千里は少し考えるような顔をして、「難しいかも」と答えた。
「どうしても意地悪なこととか、エッチなこととか考えちゃうもんね」
「だろ?それだけじゃなくて、人間は、自分と違う人間を排除したがる生き物だから、いつの時代も少数派っていうのは、差別や迫害にあうんだよ。言わないけど、きっと、涼や終夜は、辛い思いをたくさんしてきたんじゃないかなあ。あと、九郎ちゃんも」

剣の口から九郎の名前が出て、二人は顔を見合せてため息を吐いた。
「剣くん、あの噂、本当なのかな」
「どうだろう。でも確かに最近、九郎ちゃんの様子、おかしかったよな」
二人がこの町に来る前、基地の中では、九郎がメイン構成員から外されるという噂が流れていた。

「オレたち、ピンクの変りを探しに来てるってこと?」
「それは難しいと思うけどね。能力者は日本にまだまだ沢山いると思うけど、カードの絵柄を当てたり、スプーンを曲げるくらいじゃ、戦闘には役に立たないからなあ。そう簡単には、九郎ちゃんの変りなんて、見つからないと思う」
「え、そうなの?でもオレは3人目のグリーンなんでしょ?」
「まあ、そうだけど。実を言うと、千里の前の2人のグリーンは、覚醒までしなかったんだ」
「えっ、一人は怖気づいて逃げちゃって、もう一人はレッドが追い出したんじゃないの?」
「どっちも事実だけど、それ以前に使い物にならなかったんだよね」
「ふーん。オレたちって、珍しいんだね」
「珍しい?まあ、珍しいんじゃない。千里の能力はとくに珍しいよ、うん」
「なに、その言い方。馬鹿にしてるでしょ」
膨れて言った千里は、剣の身体にわざと肩をぶつけた。

「わっ、なにすんだよ千里、田んぼに落ちるだろ」
よろめいて、道路の脇の田んぼに落ちそうになった剣はお返しとばかりに、千里の首にしがみついた。
「重いよ!剣くん」

中学生のようにじゃれあいながら田舎道を歩く二人はすっかり任務のことなど忘れているようだ。
その時、二人の脇を50ccのバイクが通り過ぎた。
5メートルほど前を走ったところで、バイクが止まる。
そこは信号も横断歩道もないところで、二人が不審に思ったとき、バイクのエンジンを止めて、運転していた若い男が、二人のところまで転がるように駆け寄ってきた。

「ちーちゃん!ちーちゃんだろ!?」
男は千里を見つめてそう叫んでいた。



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